兵馬地獄旅

兵馬地獄旅

横山光輝による忍者漫画。作者が一世を風靡した『伊賀の影丸』などの忍者漫画とは違い、1970年代から手掛けるようになった歴史ものに近いニュアンスを持つ。主人公の兵馬や敵役が使う術も、科学性と合理性を伴った実現可能な術になっている。また掲載誌が大人向けということもあり、艶事の描写が多いのも特徴。

正式名称
兵馬地獄旅
ふりがな
ひょうまじごくたび
作者
ジャンル
時代劇
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概要・あらすじ

2代目服部半蔵の服部正就に、力尽くで婚約者を奪われた忍者の兵馬は、仲間たちの不満をくみ取り、サボタージュにより服部正就から幕府の要職を奪う。復讐を遂げ逃亡した兵馬を逆恨みし、服部正就は次々と追っ手を差し向ける。様々な策をもって兵馬に迫る下忍たち。兵馬は彼らを返り討ちにし、服部正就への逆襲を図る。

そして運命の刻となる慶長19年、大阪の役が幕を開ける。

登場人物・キャラクター

兵馬 (ひょうま)

先代の服部半蔵正成に育てられた、伊賀忍者。強靭な肉体と意志を持ち、不死身の二つ名を持つ。優れた観察眼と洞察力を持ち、剣術、手裏剣術、催眠術などの技に長けている。

(ゆき)

庄屋の娘で、野盗にさらわれたところを兵馬に助けられた。実は兵馬を狙うくノ一で、情事の最中に四肢で兵馬の自由を奪い、他の忍にとどめを刺させる真間の術の使い手だった。

妖斎 (ようさい)

服部半蔵正就の下で働く忍の頭目の一人。伊賀葉隠れの里に屋敷を持っている。見た目は白髪の老爺だが、多くの忍を従えた実力者。兵馬暗殺成功の折には、服部家直属の忍群として取り立ててもらえるという約定を結んでいた。

(うめ)

伊賀の忍の陣内の娘で、兵馬の婚約者だった女性。服部半蔵正就の館に無理やり奉公に出されてしまう。さらに、従わなければ兵馬を死地に追いやると脅されて辱めを受ける。その結果、梅は屋敷の庭先で首をくくってしまった。

服部 半蔵 正就 (はっとり はんぞう まさなり)

先代服部半蔵正成の跡を継ぎ、伊賀忍軍を束ねている。残虐にして好色、器量が狭く、下忍たちからは嫌われていた。兵馬の策により無役となったことを恨み、妖斎配下の忍者集団を追っ手として次々と差し向ける。歴史上の実在の人物、服部正就がモデル。

服部 半蔵 正成 (はっとり はんぞう まさなり)

『兵馬地獄旅』において、兵馬を育てた先代の伊賀頭領。徳川家康配下の武将として様々な勲功を立てて、出世した。作中ではすでに死去しているが、いまだ多くの忍たちに大半蔵様と呼ばれ、慕われている。歴史上の実在の人物、服部正成がモデル。

後藤 又兵衛 (ごとう またべえ)

元は黒田如水の配下で、豪傑で知られている。しかし、黒田家を飛び出し乞食に身を落としていた。兵馬は野盗から又兵衛の暗殺を依頼されるが、意気投合してしまい逆に協力して野盗たちを皆殺しにしてしまった。歴史上の実在の人物、後藤基次がモデル。

猿の伝蔵 (ましらのでんぞう)

妖斎の配下で、大量の猿を部下として操る。兵馬に休む間もなく猿をけしかけ、小屋に逃げ込んだところを爆殺しようとした。兵馬は辛くも小屋から逃げ出すものの、衝撃により目が見えなくなってしまった。

(かえで)

妖斎の配下の忍、音羽三兄妹の一人として兵馬の命を狙う。色事でスキができたところをふくみ針で命を奪う手はずだったが、逆に兵馬に惚れてしまう。その後は、兵馬の手助けをし続けた。服部半蔵正就を討った後、2人で新天地を目指して旅立っている。

左近 (さこん)

妖斎の配下の忍、音羽三兄妹の長兄。マント姿の武芸者で、手鉤を武器として使う。手鉤の間に刀を搦めとり、へし折ってからとどめを刺す。だが、兵馬の二刀流の前に敗れ去る。

右近 (うこん)

妖斎の配下の忍、音羽三兄妹の次兄。陣羽織姿の武芸者で、容易には切れない細い捕縄を武器として使う。捕縄は肉に食い込み動きを止めるほか、強力な媚薬が塗布されている。万一獲物に逃げられても、媚薬で発情した獲物に妹の楓が近づいて殺すという算段になっている。

陰の弥蔵 (いんのやぞう)

妖斎の配下で、商人に化けて兵馬の隙を伺っていた。どんぐり眼のひょうきんな面相をしており、めくらましの達人。兵馬は自分が得意とする催眠術で陰の弥蔵を葬ろうとしたが、逆に術にかけられ首を吊るハメになってしまう。

甚作 (じんさく)

伊賀葉隠れの里に住む老忍者。すでに役に立たなくなった者として、山小屋に放置され餓死していた。服部半蔵正就を追って里へ来た兵馬は、この老忍者の姿を借りて服部正就の動向を探ることになる。

佐平次 (さへいじ)

伊賀葉隠れの里に住む元忍者。人のいい中年男性だが、右足を失っていて忍の仕事はできなくなっている。様子のおかしい甚作を心配していたが、利き腕の違いから兵馬が化けている偽物だと看破。抹殺しようと企む。

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