スカタン野郎

スカタン野郎

デフォルメされた大阪を舞台に、意志を持ち動く人体模型を巡って、超人的身体能力の女子高生やその父親のマッドな医者、人体模型を追う製作会社社員など様々な登場人物が乱れ飛ぶギャグ作品。家屋倒壊や爆発、洪水など大阪の街を巻き込んで盛大にスラップスティックなドタバタが繰り広げられる。立体的で非常に高い画力と、その画力の無駄遣いに見えるような行き当たりばったりのストーリー展開のギャップが魅力。北道正幸の初連載作品。続編に『スカタン天国』がある。

正式名称
スカタン野郎
ふりがな
すかたんやろう
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
関連商品
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概要・あらすじ

意志を持ち動く超リアルタイプ人体解剖模型の定吉は、市場に出た模型は使い捨てされる運命にあると知り、製造された会社大阪科学から脱走する。定吉は脱走の途中で心臓のパーツを落としてしまい、偶然それを拾った女子高生の安部リカと知り合う。追手の大阪科学会長や社員たちから逃げ回りながら、いつの間にか定吉は安部家に居候することになる。

追手の目をかわしつつ、野生児のようなリカとその父親で嘘つきかつデタラメな行動ばかりとる医者安部零次に翻弄されながら、今日も定吉は吉本新喜劇のような滅茶苦茶で波乱万丈な生活を送ることとなる。

登場人物・キャラクター

定吉 (さだきち)

正式名称は「80周年なにわスペシャル」。理科標本専門会社・大阪科学の会長が最新の電子工学とバイオ技術を注ぎ込んで製作した超リアルタイプの人体解剖模型。意志があり、自由に動き回ることが可能。非常に高コストなので売値は1億円もする。自己修復機能が付いているので、バラバラになっても自力で元の姿に戻る。 眼球解剖模型の目玉のおっちゃんから「模型は外の世界に出されたら、人間たちに毎日体をいじられ続けて最後は捨てられる」と聞かされ、大阪科学から脱走した。偶然女子高生安部リカと知り合い、安部家に居候をすることになる。気性は荒く向こう見ずな性格だが、意外にも障子貼りや料理など、家庭的な作業が得意。

安部 リカ (あべ りか)

紫のリボンで結んだツインテールが特徴的な女の子。東京出身だが父安部零次の転勤で大阪へと引っ越してきた。私立高校星月女学院2年さくら組の生徒。頭の中はまるで幼稚園児のままで、いい年をして幼児向けテレビ番組「過激派戦隊ナナレンジャー」が大好き。顔立ちは愛らしいが、屋根の上を走ったり風呂屋の煙突から飛び降りたりと、人間離れした身体能力を持つ。 怪力でもある。コスプレも好きで、たいがい変な格好をしている。母はすでに他界している。

安部 零次 (あべ れいじ)

安部リカの父親。小児科医。メガネをかけ、特徴的な長い口ひげを生やしている。高校生の娘を持つ中年男性だが、およそその年齢にふさわしくない内面の持ち主。気分屋で飽きっぽく、わんぱくな子供そのもの。診察が嫌いですぐ外に遊びに行ってしまうため、ナースたちに叱られてばかり。その場のノリで嘘やデタラメ、口から出まかせを言うのでその言動に信用性はない。 民家の屋根の上を走り回るなど、驚異的な身体能力を持つ。コスプレ好きで変な格好をするのを好む。これらの性質は娘のリカに遺伝しているようである。

島津 銀蔵 (しまづ ぎんぞう)

理科標本専門会社・大阪科学の創業者にして会長。小柄な老人。年齢は100歳になるが足腰は丈夫で頭脳も明晰。せっかちでエネルギッシュ。標本模型づくりに研究熱心だが、犬を人間の身体に改造したりと、マッドサイエンティストぶりを発揮することも。超リアルタイプ人体解剖模型「80周年なにわスペシャル」の開発に心血を注いでいたので、脱走してしまった定吉を捕まえようと奮闘する。

松方 (まつかた)

理科標本専門会社・大阪科学の営業販売促進部部長。小太りで丸鼻の中年男性。会長が熱中している超リアルタイプ人体解剖模型はコストがかかりすぎて実用的でないので、開発をやめてもらいたいと悩んでいる。愛社精神はあるが欲深く、金に弱い。

目玉のおっちゃん (めだまのおっちゃん)

製作されてから50年以上経つ眼球解剖模型。定吉とは模型同士なのでテレパシーのように会話ができる。無知で無鉄砲な定吉に説教をする、保護者のような存在。手違いで定吉の手によって粉々に粉砕されてしまったが、組み立て直して事なきを得た。その後も火事で全身が燃えたりと、難儀な目に遭い続けている。

学長 (がくちょう)

四天王寺医科大学の学長。とても太った中年男性。解剖の実習用に、自己修復機能の付いた超リアルタイプ人体解剖模型「80周年なにわスペシャル」に目を付け、購入しようとする。大阪科学の会長とは昔なにか因縁があったらしく、「古ダヌキ」と呼んで嫌っている。

マリア

安部リカの母親。17年前に病院を開業したばかりの安部零次と出会う。常に着ぐるみを着ているため、素顔を見たものはいない。零次と初めて会ったときも河童の着ぐるみを着ていた。他にもクマ、皇帝ペンギン、ミヤマクワガタ、金星人、怪獣ギロンガなど多様な格好をしていた。 しかしこの情報はデタラメを話すことも多い零次の口から出た内容なので、本当に正しいかどうかは不明。すでに亡くなっているというのは真実のようである。

医学東洋 (いがくとうよう)

自称「さすらいの天才経穴(ツボ)師」。名前は仮名であり、本名や経歴などは不明。夜中に覆面姿で通りすがりの人のツボを無理やり押して強制的に治療するという奇行をくりかえし、テレビ等で話題となった。西洋医学がはびこる現在に不満を持ち、四千年の歴史を持つ東洋医学の優位を証明するため、小児科医の安部零次に、どちらが多くの患者を治せるかの決闘を申し込む。

万屋 幸之助 (よろずや こうのすけ)

丸メガネがトレードマークの中年男性レポーター。フリーになったばかり。小児科医安部零次とツボ師医学東洋の治療対決をどこからともなく嗅ぎ付け、「緊急企画・ヤブはどっちだ!!」という番組名で強引にテレビ中継を始めてしまう。番組は零次の暴走により滅茶苦茶に終わる。

ニャンコ先生

『スカタン野郎』に登場する猫。オスの茶虎。年齢不詳。安部家に飼われている。日中はおとなしいただの人見知りがちな猫だが、夜12時を過ぎると別の顔を持つ。近隣の猫たちの信仰を一身に集める「ニャンコロリ教」の教祖なのである。正しくは728代目大日本ニャンコロリ総大司教。猫はコロリとひっくりかえれば悩みをすぐ忘れてしまう性質がある。 したがってニャンコロリ教祖は、悩みを相談してくる猫をパンチで転がし、その悩みを忘れさせるのが役割である。パンチが効かなかったり疑い深い信者猫に対しては、奥の手のマタタビを使い、悩みを忘れさせる。

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