砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない

田舎で鬱屈を溜め、早く大人になりたいと願う山田なぎさ。彼女の学校に転校してきたのは、自分を人魚だと言いはる少女海野藻屑だった。最初は海野藻屑に苛立ちを覚えるも、彼女が受けている虐待に気づき、次第に彼女の歪んだ生き方に惹かれていく。原作は、2004年に富士見ミステリー文庫から刊行された桜庭一樹の小説で、2006年度「このライトノベルがすごい!」で3位を取っている。原作では、主人公と兄が過去を振り返る形式で謎解きをする描写があり、それをマンガで一部再現している。

正式名称
砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない
ふりがな
さとうがしのだんがんはうちぬけない
漫画
原作
ジャンル
推理・ミステリー
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概要・あらすじ

田舎で鬱屈を溜め、早く大人になりたいと願う山田なぎさ。彼女の学校に転校してきたのは、自分を人魚だと言いはる少女海野藻屑だった。最初は海野藻屑に苛立ちを覚えるも、彼女の奇妙な言動や、「好きって絶望だよね」という父親への歪んだ愛情、抱えているぼんやりした苦しみに対して、共感していく。次第に、父親の海野雅愛が自宅で飼っていたイヌを殺したこと、海野藻屑が激しい虐待を受けていることを知る。

それでも父の暴力を「愛情表現」だという海野雅愛の歪んだ感情を見て、彼女は二人で逃げようと言う。

登場人物・キャラクター

山田 なぎさ (やまだ なぎさ)

田舎の住宅で母と兄の友彦の3人で暮らしている。厭世的な性格で、周囲の環境に嫌気がさしており、早く大人になるために、卒業後は自衛隊に入ろうと決めている。動物が好きで、飼育委員でうさぎの世話をしている。ある日、自分のことを人魚だと言う海野藻屑が転校してきて、彼女に話しかけられた。 最初は苛立つものの、一緒にいるうちに共感できる部分が現れ仲が良くなっていく。次第に海野藻屑が受けている虐待や、後遺症の様子などを知り、海野藻屑に二人で逃げる計画を伝える。引きこもりの兄の友彦を慕っており、彼と共に何が起きたのかを思い出す形で、物語がつづられている。

海野 藻屑 (うみの もくず)

東京から転校してきた少女。脚に後遺症があり、うまく歩くことが出来ない。また左耳は鼓膜が破れており、耳が聞こえない。障害者手帳を持っているが、山田なぎさたちには伝えていない。自分のことを人魚だと言いはり続けるため、嘘つき呼ばわりされることがある。普段からペットボトルのミネラルウォーターを飲み続けており、山田なぎさと共にいたいときは、ペットボトルを投げつけて気を引く事が多い。 父の海野雅愛に日々虐待を受けており、近隣の住民からも声があがっているが、彼女はそれを「父の愛情表現」だといい、かばい続けている。自分のことを「ボク」と呼び、仲良くなっても山田なぎさのことはフルネームで呼んでいる。

海野 雅愛 (うみの まさちか)

元々山田なぎさの住む田舎にいたミュージシャンで、東京から海野藻屑と共に戻ってきた。彼の曲「人魚の骨」はCMなどに起用され、多くの人に知られている。テレビでは繊細な美貌をウリに人気があったが、今は粗暴な格好で、スーパーで怒鳴るなど乱暴な行動を取っている。娘の海野藻屑を日常的に虐待しており、近隣の人に通報もされていた。 しかし海野藻屑が彼のことを庇い「愛情表現」だと言い続けたため、海野雅愛の虐待が明るみに出なかった。飼っていたイヌのポチをブロックで撲殺。鉈で刻んで蜷山に捨てている。

山田 友彦 (やまだ ともひこ)

山田なぎさの兄。物腰が柔らかい美青年で、様々な賞を取るほどの秀才。中二の途中から学校に行かなくなり、家から一歩も出なくなって三年間引きこもっている。美しい姿はそのままに保たれており、なぎさは「現代の貴族」だと考えている。魔術などのオカルトや心理学の本を大量に買いあさって読んでいる。 海野藻屑の謎についてのヒントをなぎさにしばしば与えている。なぎさは博識な兄を慕っている。

山田 英次 (やまだ えいじ)

山田なぎさの父親。漁師を営んでいた。十年前の大嵐の時、漁船が転覆してしまい、死亡。

山田なぎさの母 (やまだなぎさのはは)

明るく元気な性格で、おしゃべり好き。今はスーパーのパートで働いている。父が亡くなっており、生活保護を受けている。高校時代、海野雅愛の後輩で、彼をエキセントリックで変な人だった、と語っている。

花名島 正太 (かなじま しょうた)

野球部に所属している短髪の少年。山田なぎさがひそかに思いを寄せていた、となりの席の男子。海野藻屑に好意を持った花名島は、山田なぎさを含めた3人デートを企画。しかし相手にされず、すねてしまう。後日うさぎ小屋でのうさぎ惨殺事件を発見してしまって動揺し、疑いをかけてきた海野藻屑を激しく殴りつけてしまう。

海野藻屑の母 (うみのもくずのはは)

海野雅愛の夫で、海野藻屑の母親。噂にあがるほど有名な女優。今はVシネなどにでている。夫とは離婚済み。

ポチ

海野藻屑の家で飼っていた大型のイヌ。ある日、海野雅愛にブロックで殴られて死んでしまう。お墓を作るために山に運ぼうとしたが、大きすぎたために海野藻屑が買ってきた鉈で4つに切り、山の一画にバラバラの死体が積まれた。

うさぎ

学校のうさぎ小屋で飼われており、山田なぎさが飼育係として日々世話をしている。一方海野藻屑はうさぎを嫌っていた。ある日、小屋中のうさぎが惨殺され、一匹は首を失っているという事件が起こる。

先生 (せんせい)

自衛隊に入りたいと言い続けている山田なぎさをとても心配して相談に乗ろうとしているが、山田なぎさは彼の言うことを聞きたがらない。海野藻屑が受けていた虐待を常に心配しており、児童相談所にも相談していた。しかし海野藻屑本人が父親をかばうため、彼は話を進めることが出来ずにいた。

映子 (えいこ)

山田なぎさのクラスメイト。海野藻屑を嫌っている。彼女の左耳の鼓膜が破れて音が聞こえないことを知って、海野藻屑の左側でいつも悪口を言い続けていた。

場所

蜷山 (になやま)

『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』に登場する山。山田なぎさの住む街が一望できる山。最初に海野藻屑と海野雅愛が、切り刻んだポチの死体を捨てにいった場所。

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