天翔の龍馬

天翔の龍馬

中岡慎太郎の献身により、近江屋事件を生き延びた坂本龍馬。平和的解決を図ろうとする龍馬が邪魔になった薩長倒幕派による陰謀・王政復古の大号令が発せられることを防ぐため、龍馬が奔走する歴史改変漫画。原作を梅村真也が務める。実在人物が多数登場し、史実に沿って展開されるが、小御所会議に徳川慶喜が出席して自ら版籍奉還を申し出たり、陸奥宗光・中村半次郎・徳川慶喜が劇中で死亡したりするなど、龍馬の生存以外にも大胆なアレンジが加えられている。

正式名称
天翔の龍馬
ふりがな
てんしょうのりょうま
漫画
原作
ジャンル
幕末
 
歴史IFもの
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概要・あらすじ

時は幕末、坂本龍馬は薩長同盟を実現したのち、平和的解決を目指して徳川家に大政奉還をさせる。しかしそれは武力革命を望む薩長、そして誰より岩倉具視にとって敵対行動に等しかった。激怒した岩倉具視は龍馬暗殺を西郷隆盛に指示。西郷は見廻組に情報を流し、中岡慎太郎とともに近江屋に潜伏する龍馬を襲撃させる。

頭に斬撃を喰らい、重傷を負った龍馬だが、そんな龍馬に中岡は手を貸し、土佐藩邸に落ち延びようとするのだった。しかし追手をかわしきることはできず、中岡は自らを犠牲にすることで龍馬の命を救う。こうして生き延びた龍馬は、日本人の間で血が流れることを防ぐべく、再び動乱の時代を動き始めるのだった。

登場人物・キャラクター

坂本 龍馬 (さかもと りょうま)

薩長同盟を成立させたことで倒幕派から信頼を獲得するが、その後、平和的解決を目指し大政奉還を実現したことで疎まれるように。結果、岩倉具視から命じられた西郷隆盛の画策で暗殺が謀られる。朋友の中岡慎太郎とともに近江屋に潜伏していたところ、西郷から情報を流された見廻組の襲撃を受け、瀕死の重傷を負ってしまう。 しかし中岡の自分を犠牲にする献身によってかろうじて生き延びた。自分のために中岡が身を捨てたショックで髪が白髪に変化してしまう。その後、上野彦馬による治療で回復。あくまで武力倒幕を成し遂げようとする薩長に歯止めをかけようと奔走しはじめる。王政復古の大号令によって徳川幕府と薩長との間で血が流れるであろうことを予見すると、佐幕派諸藩に出資させるコンペニーを作り、利の力で薩長を出し抜こうと画策。 徳川慶喜との面会を果たし、慶喜に自ら領地を返上するよう進言し、その一方で徳川家をコンペニー構想の中心に据えることで薩長を抑え込もうとした。 同時に陸奥陽之助に、慶喜を小御所会議に参加させるための偽勅を得るという策を授ける。陽之助が命と引き換えに手に入れた偽勅によって、慶喜は自ら版籍奉還を申し出、薩長は徳川家に対する武力行使の口実を失った。同時代の実在の人物・坂本龍馬がモデルになっている。

上野 彦馬 (うえの ひこま)

もともとは医者だったが写真家になり、坂本龍馬の写真を撮ることに情熱を傾けている。近江屋事件で瀕死の重傷を負った状態で土佐藩邸に運び込まれた中岡慎太郎が、息を引き取る前に、龍馬が生存していることを伝えた唯一の人物。その後、龍馬の看病に当たる。回復した龍馬が、武力倒幕を果たそうとする薩長および岩倉具視の野望を阻止するために動き始めると、その一部始終を見届けるため、行動を共にするようになった。 正直で真っすぐな性格をしており、嘘をつくと小鼻が膨らむ癖がある。この癖のため、中岡には自分が助からないこと、龍馬には中岡が死亡したことを悟られてしまった。 同時代の実在の人物・上野彦馬がモデルになっている。

西郷 隆盛 (さいごう たかもり)

薩長同盟の立役者たる坂本龍馬には確かな友情を感じていたが、徳川幕府を実力で打ち倒すという岩倉具視の意向により龍馬暗殺を主導した。のちに龍馬が生存していることを知り、内心では喜びつつも己が歩む道に立ち塞がるならばこれを排除することを改めて決意。しかし卑怯な手を用いようとはせず、正々堂々と勝負しようと考える。 同時代の実在の人物・西郷隆盛がモデルになっている。

岩倉 具視 (いわくら ともみ)

薩長側で中心となって徳川家打倒を目指す公卿。武力による政権奪取を切望しており、平和的解決を目指し大政奉還を成し遂げた坂本龍馬に憎悪をつのらせ、暗殺するよう西郷隆盛に命じた。のちに龍馬が生存していることを知ると改めて排除するよう指示。西郷が卑怯な手段を忌避しようとしていることに勘付き、内々に中村半次郎に龍馬を殺害するよう言い含めた。 このほかさまざまな陰謀・計略に関与する。身体を鍛えることを信条にしており、その姿は筋骨隆々。木材を握力でちぎったり、両手で挟んだ岩石を粉々に砕いたりするほどの怪力の持ち主でもある。同時代の実在の人物・岩倉具視がモデルになっている。

陸奥 陽之助 (むつ ようのすけ)

坂本龍馬が率いる海援隊の一員で、龍馬の懐刀。龍馬のことを心底敬愛している。龍馬暗殺の報に触れ、実行犯と考えた紀州藩士に復讐するため紀州藩邸を襲撃しようとしていたところ、生存していた龍馬と再会。その後、武力倒幕を回避させようと奔走する龍馬に協力。 小御所会議に徳川慶喜を参加させるための偽勅を得るため、帝の祖父で後見人の中山忠能に面会し、虚実交えた策謀によって難事を成し遂げた。だがこの動きに勘付いた薩長によって命を狙われてしまう。結果、龍馬や中岡慎太郎を裏切っていた陸援隊の田中顕助によって殺害されるが、それすら読みきっており、無事に偽勅は龍馬のもとに届けられた。 同時代の実在の人物・陸奥宗光がモデルになっている。

勝 海舟 (かつ かいしゅう)

坂本龍馬の師に当たり、徳川幕府で軍艦奉行を務める。幕臣でありながら徳川幕府の役割は終わったと考えており、その点において小栗上野介と意見が対立していた。龍馬が近江屋事件を生き延び徳川慶喜と手を結んだことに勘付いており、慶喜に版籍奉還をして自ら徳川幕府に終止符を打つよう進言する。 同時代の実在の人物・勝海舟がモデルになっている。

徳川 慶喜 (とくがわ よしのぶ)

徳川幕府第15代将軍。明晰な頭脳の持ち主で、龍馬の暗殺により徳川家が苦境に立たされることを予見した。その後、生きていた龍馬からコンペニー構想を聞かされるが、尊皇思想に染まった水戸家から将軍になったという出自により、朝敵になることに対する抵抗感に苦しむ。 しかし龍馬の熱い想いに打たれ、龍馬の策に乗ることを決意。陸奥陽之助の命と引き換えに手に入れた偽勅で小御所会議に参加し、勝海舟の進言に従い自ら版籍奉還を申し出ることで薩長の徳川家武力討伐の口実を封じる。その後、一橋慶喜という一人の男として、龍馬のように生きていこうと願っていたところ、慶喜の版籍奉還を不満に思った幕臣・小栗上野介によって殺害された。 同時代の実在の人物・徳川慶喜がモデルになっている。

土方 歳三 (ひじかた としぞう)

新撰組副長として京都に勇名を轟かす。近江屋事件以前に坂本龍馬と因縁があり、いずれ立ち合いたいと願っていた。しかし徳川慶喜の命により、生きていた龍馬の護衛を務めることに。利のためにフランスと結ぼうとする龍馬のコンペニー構想や、命を狙ってくる相手に甘すぎることなど、龍馬とは馬が合わない。 再び龍馬を暗殺すべしとの岩倉具視の意を受けて現れた中村半次郎を返り討ちにして斬殺。半次郎に友情を感じていた龍馬との関係はいっそう険悪になる。一方、龍馬のために命を落とした陸奥陽之助に対しては、最上の賛辞を送った。その後、龍馬を小御所会議の現場へと送り届けるため、立ちはだかる薩摩兵を相手にひとり奮戦。 同時代の実在の人物・土方歳三がモデルになっている。

中村 半次郎 (なかむら はんじろう)

西郷隆盛への強い尊崇の念を抱く薩摩藩士で、西郷のために多くの相手を斬り伏せてきた剣豪でもある。人斬り半次郎の異名を取るその太刀筋は、通常の薩摩示現流とは大きく異なる変則的なもの。坂本龍馬に対しては大いなる好意と同時に、西郷と深い友情で結ばれていることへの嫉妬心も抱いていた。 龍馬が近江屋事件を生き延びたことを知ると、岩倉具視に言い含められ、自らの手で龍馬を始末しようとする。しかし、龍馬の護衛として同道していた土方歳三と対峙することとなり、土方の剣で討ち取られた。同時代の実在の人物・中村半次郎がモデルになっている。

レオン・ロッシュ

フランス駐日公使。薩長に肩入れするイギリスとは異なり、徳川幕府を支援。しかし当の徳川幕府が大政奉還をしてしまったため面目を潰された格好で、徳川家に見切りをつけようとしていた。コンペニー構想を持ちかけてきた坂本龍馬に対しても拒絶の意思を示すが、食い下がる龍馬相手にロシアンルーレットで勝負。 4回連続で引金を引くという狂気の沙汰とも言える行為に及んだ龍馬を信頼するようになり、独断で徳川幕府を支援し続けることを決意した。同時代の実在の人物・レオン・ロッシュがモデルになっている。

田中 顕助 (たなか けんすけ)

中岡慎太郎が率いる陸援隊に所属していたが、坂本龍馬を嫌悪しており早くから岩倉具視に取り込まれる。龍馬と中岡が近江屋に潜伏している情報を西郷隆盛に流した。近江屋事件で中岡が死亡すると陸援隊隊長に就任。生きていた龍馬と行動をともにする陸奥陽之助が、小御所会議に徳川慶喜を参加させるための偽勅を入手すると、これを奪取するため陸奥を騙し打ちにして殺害した。 しかし田中顕助の裏切りを察知していた陸奥は、別人に偽勅を託していたため失敗に終わる。その後、小御所会議の場に赴こうとする龍馬と対峙、見逃した龍馬を後ろから不意打ちにしようとしたところを、駆けつけた土方歳三によって斬り伏せられた。 同時代の実在の人物・田中光顕がモデルになっている。

小栗 上野介 忠順 (おぐり こうずけのすけ ただまさ)

徳川慶喜に仕える幕臣で、海軍奉行を務める。聡明な頭脳の持ち主だが生真面目な性格をしており、あくまで徳川家による統治を目指し、対薩長では主戦論を唱えた。慶喜が近江屋事件を生き延びた坂本龍馬と再会し、また勝海舟から進言され、版籍奉還して徳川幕府に終止符を打とうとしたことに不満を覚える。 その行為が岩倉具視を利するだけだと重々承知しながら、幕臣としての誇りのため、陰腹を切った上で自らの手で慶喜を葬り、対薩長戦への道筋を開いた。同時代の実在の人物・小栗上野介忠順がモデルになっている。

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