包丁人味平

包丁人味平

未熟だが才気ある若手料理人・塩見味平が、洋食、日本食、カレー、ラーメンなど、さまざまな料理勝負を通じて、成長していく物語。原作は牛次郎。題材としてグルメ/料理を扱った初めての長編漫画であり、料理バトルというスタイルを確立させた作品である。作者であるビッグ錠と牛次郎のコンビは、後に『スーパー食いしん坊』、『一本包丁満太郎』などの料理バトル漫画を発表している。

正式名称
包丁人味平
ふりがな
ほうちょうにんあじへい
作画
原作
ジャンル
料理バトル
関連商品
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概要・あらすじ

中学を卒業したばかりの少年塩見味平は、日本料理の名人である父の反対を押し切って、洋食屋・キッチン・ブルドッグの見習いコックとなる。しかし、修行中のトラブルから、日本料理界に伝わる包丁試しの勝負を受けることになってしまう。さらにこの勝負をきっかけに、数々の料理勝負に挑むことになっていく。

登場人物・キャラクター

塩見 味平 (しおみ あじへい)

日本料理の名人である父を尊敬しているが、誰もが食べられる安くて美味しい料理を作りたいと考え、洋食屋・キッチンブルドッグの見習いコックとなる。実は魚が苦手で、魚に触れると蕁麻疹が出てしまう(魚料理の勝負である荒磯勝負の際に、この弱点を克服)。包丁試し、点心礼勝負、荒磯勝負、カレー戦争、ラーメン祭りなどさまざまな料理勝負を繰り広げた後、豪華客船のコックとして旅立つ。

塩見 松造 (しおみ まつぞう)

塩見味平の父で、日本料理界でも最高の権威を持つ流派・五条流を修めた名料理人であり、高級料亭かつらぎの花板を勤める。骨だけになった魚を水槽に戻し、再び泳がせるという伝説の技を会得しているが、松造自身はこの技を味とは関係の無い座興と考えている。典型的な頑固親父ではあるが、自分とは異なる道を選んだ息子・味平を陰ながら助けることもある。

北村チーフ

塩見味平が就職した洋食屋・キッチン・ブルドッグのチーフ・コック。かつては世界を巡る豪華客船でチーフ・コックを務めたほどの料理の腕の持ち主。厳しいが、公平かつ誠実な人柄で、味平にとっての最初の師とも言える人物である。包丁試しの勝負においては主審を務める。また、鹿沢練二との包丁勝負に敗れたという過去を持つ。

留さん (とめさん)

初老の域に入ったベテラン料理人。キッチン・ブルドックのナンバー2であり、ストーブ前を務める。職人気質で常に気難しい表情をしているが、味平のことは認めており、包丁試しの特訓で苦しむ味平に示唆を与える。

片桐 (かたぎり)

キッチン・ブルドックでセカンド・コックを務める料理人。物語序盤では、先輩として味平に厳しく当たることもあったが、根は気のいい青年である。包丁試し、点心礼勝負では、留さんや川原と共に、観客席から味平を応援する。

川原 (かわはら)

キッチン・ブルドックで野菜場を担当する若手料理人。大学卒業後に料理の道に入ったという変り種で、料理以外にも雑多な知識を持ち、何気ない一言が味平にヒントをもたらすこともあった。

ミッちゃん

味平が中学時代に同級生だった少女。いち早く自分の道を定め、一心に料理人として邁進する味平を見守る。

仲代 圭介 (なかだい けいすけ)

北村チーフ不在時の臨時チーフ・コックとして、キッチン・ブルドックに派遣されてきた料理人。キッチン・ブルドックの乗っ取りを企む。さらに味平を挑発し、包丁試しの勝負に持ち込む。かつては五条流で修行した料理人であり、包丁試しで味平の父・塩見松造に敗れた過去を持つ。

一の瀬 (いちのせ)

キッチン・ブルドックの臨時チーフ・コックとなった仲代圭介が、手下として呼び寄せた料理人。見習いである味平にキャベツの早切り勝負を仕掛け、敗れる。

団 英彦 (だん ひでひこ)

日本屈指のホテルと言われる東洋ホテル(実在する同名ホテルとは異なる)の料理長。「包丁貴族」の異名を待つ天才料理人として知られている。非常な自信家であると同時に冷徹な性格で、部下のミスや下品さを許さない。東洋ホテルにボーイとして潜り込んだ味平に激怒し、その始末を点心礼勝負で付けようとする。

熊五郎 (くまごろう)

包丁試しの決着後、キッチン・ブルドックを離れた味平が、上野の包丁塚で出会った少年。弁天堂をねぐらにする浮浪児で、一時はスリで生活費を稼いでいた。点心礼勝負および荒磯勝負で、味平のパートナーとなる。

神林 道風 (かんばやし どうふう)

日本料理界に絶大な発言力を持つ五条流の宗家を務める老人。点心礼勝負にて審査団が下した判定に異議を唱え、「闘六味」による決着を提案する。味平にとっては父・塩見松蔵が修めた流派のトップであり、仲代圭介や鹿沢練二にとっても大師匠にあたる人物である。

鹿沢 練二 (しかざわ れんじ)

高級レストランや料亭の料理に因縁を付け、賭け包丁(料理勝負)で大金を巻き上げるゴロツキ。「白糸バラシ」、「地雷包丁」といった独自の技を使いこなす。かつては五条流の料理人として修行していたが、胸の病により2年間の療養生活を余儀なくされ、身を持ち崩す。点心礼勝負の終盤に乱入し、味平を挑発。 味平を荒磯勝負に引きずり込む。

一橋 久美子 (いちはし くみこ)

焼津の老舗料亭「いちはし」の娘。点心礼勝負の延長戦である「闘六味」において、偶然審査員のひとりとなり、味平に興味を持つ。さらに鹿沢練二に勝負を挑まれた味平のスポンサーとなり、掛け金1千万円を提供する。

二代目磯十郎 (にだいめいそじゅうろう)

焼津の老舗料亭「いちはし」の花板。「いちはし」の娘である一橋久美子と共に、味平の魚アレルギー克服に尽力。さらに荒磯勝負では立会人を務める。

鼻田 香作 (はなだ こうさく)

高級カレーチェーン「インド屋」のメニュー開発者で、6000種類のスパイスを嗅ぎ分けるという超人的な嗅覚を持つカレーの専門家。あまりにも鋭敏な嗅覚のため、平素は鼻だけを覆う特殊なマスクを付けている。カレーに関しては超一流の腕を持ち、カレー戦争において味平の強大な敵として立ちはだかる。

マイク赤木 (まいくあかぎ)

高級カレーチェーン「インド屋」の経営者。無一文で渡米し、わずか6年で全米に日本風肉料理のスキヤキチェーンを展開したという立志伝中の人物。日本では、カレーの天才である鼻田香作と組み、「インド屋」による全国制覇を目指す。横浜で労務者相手に屋台カレーを売っていた味平と出会うが、その際味平の作ったカレーを「エサだ」と酷評した。 あくまでも実業家・経営者であり料理人ではない。

神山 佐吉 (かみやま さきち)

横浜港で働く日雇いの中年労務者。味平が屋台カレーを始めるきっかけとなり、カレー作りの仲間として活躍する。

香川 梨花 (かがわ りか)

横浜を縄張りとする暴走族「ブラックシャーク」の女団長。団員と揉め事を起こした味平と出会い、その料理に対する真摯さに魅かれ味平を手伝い始める。実は大徳デパートひばりヶ丘支店長の娘であり、「インド屋」に対抗できるカレーの作り手として父に味平を紹介しようとする。

柳 大吉 (やなぎ だいきち)

横浜周辺の労務者やタクシードライバーに人気のラーメン屋台「大龍軒」の店主。味平とそう変わらない若さだが、客の言動から好みを判断し最適の味付けをするという「味割り」の技術を体得している。その腕を味平に買われ、カレー作りの仲間に加わる。カレー戦争の決着後、味平と袂を分かつが、ラーメン祭りにおいて強敵として再登場する。

大徳社長 (だいとくしゃちょう)

全国に展開する「大徳デパート」の社長。味平が屋台で売り出した「雑煮カレー」を認め、「インド屋」を擁するライバルデパート「白銀屋」への対抗策とすべく、味平をスカウトする。

井上 洋吉 (いのうえ ようきち)

長距離トラックの運転手で、大のラーメン好き。仕事柄、全国を巡ってラーメンを食べており、東京で出会った味平に本当にうまいラーメンを食べさせてやろうと、札幌まで連れて行く。その札幌で開催されていた「第1回全日本ラーメン祭り」に飛び入り参加することになった味平をパートナーとして助ける。

石田 鉄竜 (いしだ てつりゅう)

弟の石田石竜と共にラーメン祭りに参加した料理人。三平汁の技法をスープに活かした「三平ラーメン」で人気を博しており、ラーメン祭りでも優勝の大本命と言われている。ラーメン祭りに飛び入り参加した味平を苦々しく思っており、度々妨害を加える。

牛次郎 (ぎゅうじろう)

『包丁人味平』の原作者である牛次郎本人。ラーメン祭りの解説者を務める。料理に関する造詣は深いようだが、寒さが苦手らしく屋外イベントであるラーメン祭りでは、終始寒さに震えている。

場所

キッチン・ブルドッグ (きっちんぶるどっぐ)

『包丁人味平』序盤の舞台となる飲食店。東京のオフィス街にあるこじんまりとした洋食店で、庶民的ながらしっかりとした料理を出す店として知られている。

包丁試し (ほうちょうだめし)

『包丁人味平』で行われた料理勝負。日本の料理人の間で古来伝わる決着方法で、その敗者は料理の世界から去らねばならない。「氷祭り(氷の彫刻作り)」、「火祭り(アイスクリームの壷揚げ)」、「刃物祭り(水面に浮いたキュウリを包丁で切る)」の三本勝負からなるが、作中ではこの三本では勝負が着かず、追加戦の「潮勝負(塩のみで汁の味付けをする)」で決着した。

点心礼勝負 (てんしんれいしょうぶ)

『包丁人味平』で行われた料理勝負。懐石料理の起源に端を発すると言われる料理人同士の真剣勝負。作中の点心礼勝負は、名古屋の熱田神宮境内において行われた「肉の宝分け(豚一頭分の肉を部位ごとに切り分ける)」であったが、神林道風の提案により、切り分けた肉による料理対決「闘六味」をもって決着している。

荒磯勝負 (あらいそしょうぶ)

『包丁人味平』で行われた料理勝負。駿河湾沖の海流の難所である「荒磯の板場」に浮かべた小船の上で、焼き魚を作り、その数と質を競うという危険極まりない勝負である。

イベント・出来事

カレー戦争 (かれーせんそう)

『包丁人味平』で描かれた一種の企業間競争。東京郊外・ひばりヶ丘駅の北口と南口に同時期に開店することになった2つのデパート、白銀屋(北)と大徳デパート(南)。その勝敗を分けるものとして選ばれたのが店内のテナントレストランで提供するカレーであった。白銀屋が招き入れたのは、全国チェーンを展開せんとする本格インドカレー店「インド屋」。 それに対抗して大徳デパートが迎えたのが塩見味平であった。両者はさまざまな新メニューや価格闘争を交えながら激しくぶつかっていく。

ラーメン祭り (らーめんまつり)

『包丁人味平』で開催された野外イベント。ラーメンの本場・札幌を舞台に、全国の有名ラーメン店を集め、日本一のラーメンを決めようという趣旨のお祭りである。正式名称は「第1回全日本ラーメン祭り」。味平は、この祭りの審査員に「プロでなくても美味いラーメンを作る者はいるはず」と主張し、飛び入り参加者として認められる。

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