ACONY

ACONY

母親の仕事の関係で祖父の住むしきみ野アパートに引っ越すこととなった空木基海は、そこでアコニーというひとりの少女と出会う。自らを死人と語るアコニーをはじめ、妖怪や幽霊などさまざまな怪異が住まうしきみ野アパートで基海がさまざまな経験をするファンタジー漫画。

正式名称
ACONY
ふりがな
あこにー
作者
ジャンル
ファンタジー
関連商品
Amazon 楽天

概要・あらすじ

調査員をしている母親が海外赴任することになったため、祖父の住むしきみ野アパートで暮らすこととなった空木基海。関東大震災の復興計画の一環として建築され、築80年を超えるしきみ野アパートは、幽霊や妖怪、物の怪など人間以外の存在が多数住まう場所だった。そこで基海が出会ったのは、自らのことを死人だと称するアコニー・ランチェスターという一人の少女。

最初はにわかには信じられなかった基海だが、次第にアコニーと友情を育むようになる。また、アコニーは母親・敷島閖を探すために日本にやってきたことを知った基海は、一時帰国した母親からその仕事が閖への手がかりだと知った。しきみ野アパートで巻き起こるさまざまな騒動に翻弄される日常を送りながら、閖探しに協力する基海

あるときアコニーとともに母親を尾行した基海は、アコニーの祖母である敷島イリスと出会い、閖の行方とアコニーの体の秘密を知ることとなる。

登場人物・キャラクター

空木 基海 (うつき もとみ)

ごく普通の中学男子。両親は離婚しており母親の空木静枝に育てられるが、静枝が仕事で海外赴任することになり、祖父が住むしきみ野アパートに越してきた。引っ越し当日、しきみ野アパートが不可思議な存在が多数住まう場所であることを知り、またアコニー・ランチェスターと出会う。自らのことを死人であると語るアコニーと奇妙な友情を育み、彼女がある事故をきっかけにほとんど齢を取らなくなったこと、また母親の敷島閖の行方を探すため故郷のマンチェスターから父親とともに来日したことを知る。 吉岡や巳園をはじめとするしきみ野アパートの住人が起こす騒動に巻き込まれる日常の中、母親の仕事の関係で閖の手がかりを掴んだ。 それからアコニーに協力し、閖の消息を探しはじめる。

アコニー・ランチェスター (あこにーらんちぇすたー)

小説家の父、ハッシュ・ランチェスターとともにしきみ野アパートに10年前から暮らしている。13歳のとき、故郷のマンチェスターで研究者をしていた母親の敷島閖が行った実験が失敗して爆発事故を起こし、それに巻き込まれた。医師によって死亡診断書が書かれるが蘇生。その後、髪の色が金から紫に変わると同時に、成長のスピードが著しく遅くなる。 実験体にされることを避けるため、また行方不明になった閖を探すためハッシュとともに閖の母国である日本にやってきた。しきみ野アパートに暮らすようになってから敷地外に出ることはなかったが、空木基海と出会ってから基海と連れ立って外出するようになった。 実年齢は23歳だが、外見は13歳のままでとどまっている。基海が偶然母親の手がかりを仕入れてきたことで、積極的に母親探しをするようになり、死んだと聞かされていた祖母の敷島イリスと再会。イリスから閖がすでに亡くなっていること、さらにはアコニーの身体の秘密について知らされる。ただし閖の魂はアコニーの所有するぬいぐるみに宿っていたため、結果的に10年ぶりの家族団らんを手に入れた。 チルとイルというコウモリをペットとして飼っている。

巳園 (みその)

しきみ野アパートに住む妙齢の美人。蛇の物の怪であり、酒を飲んだり感情が高ぶったりすると本性の蛇に戻りそうになる。フリーランスの編集者を生業としており、担当作家に原稿を絶対に落とさせないとされる。アコニーの父ハッシュも担当。仕事の際はキャリアウーマン然としているが、休日はジャージ姿でずぼらなところを見せる。

吉岡 (よしおか)

しきみ野アパートの管理人を務める幽霊。明治時代の末期に世を儚んで自殺し幽霊になった。シャツの上に着物、袴を着用するという書生のような格好をしている。物腰は柔らかいがシャイな一面があり、緊張が高まると身体が消えてしまう。空木基海の母、空木静枝の幼少のころを知るなど、管理人歴は長い。

沼田 青左衛門 (ぬまた あおざえもん)

しきみ野アパートの住人。もともとは江戸時代に直参旗本の武士だったが、神社に住み着いた大蛙を退治した結果、呪いで蛙に姿が変わってしまう。住んでいた沼が開発で埋め立てられたため、しきみ野アパートへと移住してきた。アコニーにもその存在を知られていなかったが、しきみ野アパートの敷地内に蛇が現れ、多くの捕食された蛙たちが助けを求めたことで姿を現す。 見事蛇を斬り捨てると同時に、空木基海やアコニーらと知己を得た。姿は蛙だが二足歩行し、着流し姿。呪いを解くには“惚れた女性との接吻”が必要で、偶然通りかかった巳園に一目ぼれをしたため、基海たちのとりなしで巳園にキスを求める。 巳園は蛇の物の怪のため、沼田を捕食しようと口に入れたことがキスとみなされ、呪いが解除されかけた。だが、巳園が人間の女性でなかったため完全に呪いは解けず、姿は蛙のまま、大きさのみ人間サイズになった。

座敷童 (ざしきわらし)

しきみ野アパートに住まう妖怪。アコニー・ランチェスターと非常に親しい。直接言葉を発することのないしきみ野アパートの意思を告ぐ者として振る舞う。

(しきみ)

しきみ野アパートが建てられる前、その場所が森だったころの森の精霊。地鎮祭が行われたことで長く眠らされていたが、神社が移転したことで覚醒する。かつての森を取り戻そうとしきみ野アパートを崩壊させようとするが、座敷童の奮闘によって阻止された。再び地鎮祭で眠らさせそうになるが、号泣して悲しむ様子に、おとなしくすることを条件に封じられずに済む。 その後はしきみ野アパートの住人たちと交誼を結ぶようになった。

ハッシュ・ランチェスター (はっしゅらんちぇすたー)

アコニー・ランチェスターの父親で怪奇小説専門の小説家。アメリカ人で大学の文学部在籍中、同じ大学で別学部の敷島閖と出会い、恋に落ちる。後に結婚し、一人娘のアコニーを授かった。研究者となった閖が行った実験で本人は亡くなり、アコニーも死亡。のちにアコニーは生き返る。 閖が死亡したことは認識していたが、アコニーを実験体にさせないため敷島イリスと図り、行方不明となった閖を探すという口実で閖の母国である日本を訪れ、閖が育ったしきみ野アパートでの生活をスタート。すると閖の魂が戻ってきて、アコニーが幼いころ作ったぬいぐるみに宿るが、それもアコニーを混乱させないため黙っていた。 アコニーが空木基海と出会い、自ら母親を探し始めた結果、祖母の敷島イリスと再会したことですべてを伝え、10年ぶりの家族団らんを手に入れる。

敷島 閖 (しきしま ゆり)

アコニー・ランチェスターの母親。幼いころ両親とともにしきみ野アパートで暮らしていた。父親である敷島教授がアメリカの大学で職を得たため家族で渡米。自身も父親が勤める大学に進学し、敷島教授の死後、研究者となる。また大学在学中に知り合ったハッシュ・ランチェスターと結婚し、一人娘のアコニーを授かった。 父から引き継いだ不老不死の実験を行うが、実験を危険視する反対派の放火により失敗、命を失ってしまう。のちに魂のみが生まれ育ったしきみ野アパートに戻り、引っ越してきていたアコニーのぬいぐるみに宿る。そのことをハッシュは知っていたが、行方不明になった閖を探す名目でハッシュとアコニーは来日したため、アコニーには長く伏せられていた。 アコニーが空木基海と出会い、自ら母親を探し始めた結果、祖母の敷島イリスと再会したことですべてを伝え、10年ぶりの家族団らんを手に入れる。

敷島 イリス (しきしま いりす)

アコニー・ランチェスターの祖母。日本で敷島教授の実験助手をしていた際、事故に遭い成長が著しく遅い体質になる。その後、敷島教授と結婚してしきみ野アパートで暮らすようになり、敷島閖を授かった。敷島教授がアメリカの大学で職を得たため家族で渡米。敷島教授の死後、閖が研究者として後を継ぐが、実際の采配をとっていたのはイリスだった。 あるときの実験が、反対派の妨害で事故となり閖は死亡、アコニーは自身と同じ体質となってしまう。閖の夫ハッシュと図り、アコニーを実験体にさせないため、閖が日本に戻ったと見せかけて日本に赴かせる。また、自身が閖になりかわって日本の大学で研究を続けた。 その結果、成長の速度は遅くなるものの、寿命が伸びるわけではないことを突き止める。自らに残された時間はそう長くないことを悟り、研究から身を引くことを決意。ただ、後進のために研究費を捻出することに手をつくし、調査員である空木静枝からのアプローチを受ける。静枝の仕事が閖の手がかりにつながっているのではないかと考えた空木基海とアコニーが静枝の尾行をしていたことで、アコニーと再会を果たす。 そこでアコニーにすべての真実を話すと、アメリカへと戻っていった。ただしその後は、アコニー一家との付き合いが再開する。

じいちゃん

空木基海の祖父で、空木静枝の父。模型の箱絵の絵師を生業としている。祖父の代からしきみ野アパートで暮らしており、人外の者が多数住まう場所であることを知りながらまったく気にしない豪胆な性格の持ち主。実在のイラストレーター・高荷義之が外見のモデルになっている。

空木 静枝 (うつき しずえ)

空木基海の母。離婚したため女手一つで基海を育てる。医療関係の調査会社に勤めており、海外赴任することになった結果、基海がしきみ野アパートで暮らすことになった。仕事の関係でたびたび日本に帰国し、敷島教授の研究についての調査を行う。中学までしきみ野アパートで暮らしていたが、静枝は不思議な経験は一切しなかった。

その他キーワード

しきみ野アパート (しきみのあぱーと)

『ACONY』に登場する建築物。関東大震災復興事業の一環で3棟建てのアパートとして建てられた。第一號舘および第ニ號舘はすでに取り壊されているが、第三號舘には手がつけられていない。その理由は建物の構造が激変したり時間が過去に遡ったりと、まるで意思を持っているかのような不思議な現象が多発するため。幽霊や妖怪・物の怪など、人外のものが多数住まうが、じいちゃんなど人間も暮らしている。 また建物に損壊が発生しても、自動的に修復されてしまう。かつて実在した同潤会アパートがモデルになっている。

SHARE
EC
Amazon
logo