雄飛

雄飛

母と姉を殺された少年が、戦災孤児として転々としつつ、仇への恨みを胸にプロボクサーを目指す姿を描く。

正式名称
雄飛
ふりがな
ゆうひ
作者
ジャンル
ボクシング
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概要・あらすじ

大垣雄飛は、満州で生まれ育ったが、引き揚げの際、日本人の男に母と姉を殺され、その恨みをいつか晴らそうと心に誓っていた。成長した雄飛は紆余曲折を経てプロボクサーへの道を歩み始めるが、とあるボクシングジムの会長が、かつて母と姉を殺した男・峻堂巌であることに気づくのだった。

登場人物・キャラクター

大垣 雄飛 (おおがき ゆうひ)

昭和15年に満州で生まれる。6歳で満州から引き揚げる際に母・柴田とよと姉・柴田百合を日本人の男に殺され、男への復讐を誓う。親類の家に預けられるが、そこで下男同然に扱われたため脱走、浮浪児となる。その後、いじめられていた少年・奥野剛士を助けたことがきっかけで剛士の姉・奥野まち子に育てられる。 11歳の頃に、まち子に好意を寄せる男岡田正行がボクシングをしていたことで、ボクシングに興味を持つ。その頃知り合った侠客の大垣に気に入られ、14歳で大垣と養子縁組をし大垣雄飛となる。その後、17歳でデビューを果たし、プロボクサーへの道を歩み始める。中学2年生の時に、母と姉を殺した男が、ボクシングジムの会長・峻堂巌であることを知り、峻堂のジムの選手をリング上で倒すことを当面の目的にする。 階級はデビュー時はバンタム級だったが、成長に合わせてフェザー級になる。過去の経験から女性に暴力を振るう男を許せず、相手が大人でも立ち向かっていく。

立花 青葉 (たちばな あおば)

大垣雄飛の満州時代の幼馴染み。中学2年生のころ大垣雄飛と再会する。父親は満州の映画会社に勤めており、幼いころに子役で映画に出演したこともある。父が病気で死亡した後に、母親が新たに交際し始めた相手を嫌っている。雄飛の勧めもあって、実家から逃げ出すようにして父親と関わりのある映画会社を訪ね、映画女優を目指す。 昭和32年に橘青葉という芸名で映画デビューし、人気女優となる。雄飛の母と姉が殺害された現場に立ち合っており、雄飛の仇が峻堂巌であることを知る人物。

峻堂 巌 (しゅんどう いわお)

満州から引き上げようとしていた大垣雄飛の母と姉を殺害した男。その際に雄飛に鎌で切りつけられ、顔に大きな傷跡がある。終戦直後の混乱期の事件であったことから、その罪を裁かれることもなく、戦後は峻堂興行という興行会社を立ち上げ、ボクシング、プロレス、歌謡ショーなどを取り仕切って成功を収めている。 裏社会では旭翔会という組織を作り、小さな組やチンピラたちを集めて大規模な組織へと育てている。

奥野 まち子 (おくの まちこ)

浮浪児となっていた大垣雄飛を育てていた女性。奥野剛士という弟がおり、弟を養うためにパンパンをしていた。パンパンを辞めた後は、日の出屋という定食屋で働き始め、近所に住んでいた寿司屋の岡田正行と結婚する。雄飛のことは家族同然に育てており、大垣から雄飛を養子に欲しいと言われた時も最初は断っていた。 しかし、雄飛の将来を考えて、大垣に雄飛を任せる。

奥野 剛士 (おくの つよし)

奥野まち子の弟で、大垣雄飛と同い年。頭が弱く、姉がパンパンであることをバカにされて、よく近所の子供達からいじめられている。親戚の家を飛び出して浮浪児になっていた雄飛に、いじめられているところを助けてもらったことがきっかけで、雄飛と親友になる。

岡田 正行 (おかだ まさゆき)

奥野まち子の勤める定食屋の近所にある寿司屋で働く若者。趣味でボクシングを習っており11歳だった大垣雄飛にボクシングの手ほどきをする。やくざたちにさらわれたまち子を助けるために、雄飛と共にやくざの事務所に乗り込む。まち子がパンパンだったことを知りながらも好意を抱いている誠実な人物で、その後、まち子と婚約する。

笹村 (ささむら)

やくざの男。奥野まち子がパンパンだったことを知っており、まち子や他のパンパンたちをさらって監禁し、娼婦にしようとしていた。しかし、岡田正行と大垣雄飛たちに叩きのめされる。

大垣 (おおがき)

大垣組の親分で、強きを挫き弱きを助ける人情派の侠客。やくざにさらわれた奥野まち子を助け、現場で戦っていた11歳の大垣雄飛と知り合う。ふたりの息子がいたが、戦争で失っている。雄飛に息子たちの面影を見ており、養子縁組をして雄飛の養父となる。雄飛を学校に通わせ、大学に行って欲しいと考えている。 裏社会でも勢力を伸ばし始めた峻堂巌と対立し始めるが、峻堂が雄飛の母と姉を殺した男であることは雄飛から知らされていない。

(みのる)

大垣組の構成員の若者。大垣雄飛を弟のようにかわいがっている。腕力が強く、酔っ払うと街灯などに腕だけで上ってヒューマンフラッグを行い、背中にある孔雀の入れ墨を見せびらかす癖がある。

赤羽 辰臣 (あかば たつおみ)

昭和28年ごろに立花青葉の母と交際を始めた男。青葉に母との交際を認められて以降、たびたび青葉の家に泊まりこむようになる。紳士的な態度をとっているが、実は青葉に劣情を催しており、青葉が家を出る原因になった。

北原 慎一 (きたはら しんいち)

大垣雄飛よりひとつ年上のプロボクサー。17歳でプロデビューしたばかりの時に、雄飛の通うボクシングジムを訪れて、雄飛とスパーリングを行う。優れたボクシングの才能を持ち、雄飛に衝撃を与えた。デビュー以来快進撃を続けて新人王となり、人気の新人ボクサーとなる。西洋人の父親と売春婦の母親の間に生まれたハーフで、現在は母親と二人で暮らしている。 男に騙され続けている母親のために、ボクシングの世界チャンピオンを目指す。

慎一の母 (しんいちのはは)

北原慎一の母親。西洋人との間に慎一をもうけるが、現在は母子家庭。娼婦をやって生計を立て、慎一を育てている。貯金でスナックの経営を始めることを考えていたが、敬介という男に言い寄られて騙され、貯金を奪われる。

一宮 辰男 (いちみや たつお)

峻堂ジムに所属する新人プロボクサー。デビュー戦以来KO勝ちを続け東洋チャンピオンとなるが、世界タイトルマッチで、世界チャンピオンのルペ・アルバレスに敗れる。

坂東 勝太郎 (ばんどう しょうたろう)

18歳の新人プロボクサー。大阪でプロデビューするが、リング上でふざけすぎると言う理由で出場停止処分になり、近所に住んでいた弟分の幹男と、末の弟坂東末太郎を連れて上京した。峻堂ジムを訪れ、一宮辰男をおちょくった挙げ句に殴り倒したことが峻堂巌の目に留まり、峻堂ジムへの移籍を果たす。 大垣雄飛とは同じフェザー級であり、東日本新人王トーナメントで争うことになる。雄飛の境遇を見て「親に甘えてボクシングをしている」と考え、敵意を向ける。リング上では相手をバカにしたような試合を行うが、確かな実力を持つ。

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