秘命監察官ドン 鷹の目を持つ男

秘命監察官ドン 鷹の目を持つ男

警察内部の悪事を暴く秘命監察官という架空の職業を題材に、不当な圧力に苦しめられる人々と、そんな人々を救おうと奮闘する主人公の活躍を描いた警察ヒューマンドラマ。警察組織のタブーに切り込むような内容が多く、警察と各種関係組織との取引や癒着を多く描いている。

正式名称
秘命監察官ドン 鷹の目を持つ男
ふりがな
ひめいかんさつかんどん
作画
ジャンル
警察官・刑事・検察官
関連商品
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概要・あらすじ

検挙数ゼロの落ちこぼれ警部補・昼安堵には、秘命監察官という裏の顔があった。警察による不当な圧力に苦しめられている人々からのSOSがあれば、現場がどこであろうと昼は駆けつける。ある日、地元有力者との関係を守るため、無実の市民に信号無視の濡れ衣を着せた警察官を成敗するため、昼は秋田県へと赴く。内部の犯罪を暴き、その規律を正すためなら、潜入に偽装工作、ヤクザとのカーチェイスと、昼の活躍は止まらない。

登場人物・キャラクター

昼 安堵 (ひる あんど)

大阪にある新世界警察署の捜査三課で班長を務めている青年。階級は警部補で、移動警察職員の資格保持者。短い黒髪をセンター分けにしている。普段はスリ対策課でのんびりと業務をこなしているため、吉田義郎からは厄介者扱いされている。その一方で、秘命監察官という裏の顔を持っている。「弱きを助け強きを挫く」を地でいく性格で、自分より地位や権力のある相手でも、物怖じせずに悪事を暴いていく熱血漢。 また人情家でもあり、被害者に共感して号泣することが多い。警部補という立場上、テレビ取材に応じることがあるが、カメラの前だと緊張して話せなくなってしまう。小料理屋「春」の常連で、ママに惚れ込んでいる。一方、従業員の直美には苦手意識を持っている。

木下 藤七郎 (きのした とうしちろう)

大阪にある新世界警察署の刑事。階級は巡査長。精悍な顔つきをした黒髪短髪の青年。スリ対策課として昼安堵のもとで働いている。基本に忠実な捜査と、刃物を持った相手にも動じずに対処する対応力で、何度も現行犯での逮捕に貢献している。そのため、藤村富美蔵や吉田義郎からは「新世界少年隊」と称され、期待のホープと高く評価されている。 たまたま職務質問した相手が犯罪者であることが多く、警察官としての引きが強いと評判。

淀 キミ子 (よど きみこ)

大阪にある新世界警察署の女性警察官痴漢対策チームに所属する刑事。階級は巡査。茶髪をショートボブの髪型にした若い女性。職務上、昼安堵や木下藤七郎と現場をともにすることが多い。男性相手でも物怖じしない性格と、自分より大きい相手でも軽々と投げ飛ばせるほどの柔道の腕前を持つ。

藤村 富美蔵 (ふじむら とみぞう)

大阪にある新世界警察署の署長。階級は警視正。禿げ上がった頭に、吊り上がった太い眉毛が特徴の老年男性。成績が振るわない昼安堵に厳しく当たることが多いが、一向に気にしない昼に悩まされている。吉田義郎と同様に、木下藤七郎には期待しており、木下が昼の教育係になったほうが良いのではと考えている。

吉田 義郎 (よしだ よしお)

大阪にある新世界警察署の副署長。階級は警視。白髪で眼鏡をかけた、八の字に下がった眉と吊り上がった細い目元が特徴の老年男性。新人でありながら着々と検挙数を伸ばす木下藤七郎の活躍に期待する一方で、その教育係である昼安堵には厳しい。

ママ

小料理屋「春」を経営している女性。黒髪で、整った顔立ちと優しげな雰囲気をまとっている。頻繁に訪れる昼安堵の良き話し相手で、仕事の愚痴にも丁寧に対応している。昼とのデートに応じることもあるが、その好意に気づいている様子はなく、直美との仲を取り持つような行動をよくする。

直美 (なおみ)

小料理屋「春」の従業員。茶髪をベリーショートの髪型にした太り気味の若い女性。昼安堵に惚れ込んでおり、出勤前に近所のラブホテルに誘うなど、かなり大胆なアプローチをしているが、効果は出ていない。また昼以外に連絡を取り合っている男性もいるようで、昼からはそちらの男性との交際を勧められている。

熊川 真治 (くまがわ しんじ)

秋田県にある夢の川署の警察官。階級は巡査長。細い目と無精ひげ、角ばった顔が特徴の青年。加害者が一方的に引き起こした交通事故の調書が、被害者の過失のように書き換えられていたことに疑念を抱く。しかし、加害者と繋がりを持っている上層部の圧力により、声を上げられずにいた。秘命監察官として大阪から駆けつけた昼安堵を一度は無視するが、その熱意を信用して事故の顛末を話す。

早見 章介 (はやみ しょうすけ)

秋田県にある夢の川署の交通課課長。階級は警部。白髪のオールバックにまっすぐな眉毛をした老年の男性。部下の熊川真治からは、現場の声が分かる人間として信頼されていた。ところが実際には、市内第一の運送会社と癒着し、関係者が起こした交通違反の調書の書き換えを手配していた。交通事故の被害者家族による訴えを聞いた昼安堵が、大阪から秘命監察官として駆け付けて過去の不正を暴き、早見章介は懲戒解雇となった。

護持 弘 (ごじ ひろし)

岡山県にある希望山署の署長。階級は警視。禿げ上がった頭と分厚い唇、肥満体型の老年男性。部下に命じて希望山署の運営費に関する領収書を偽造し、退職に伴って懐に入れられる公金の水増しを画策していた。地元のヤクザとも手を組んでおり、秘命監察官として駆けつけた昼安堵に対しても強気な態度を取る。しかし、あらかじめ署内に忍び込んでいた能見信吾に偽の領収書を押さえられ、警務によって逮捕された。

能見 信吾 (のみ しんご)

岡山県にある希望山署の捜査一課の刑事。階級は巡査部長。黒髪短髪に、引き締まった口元をした青年。護持弘の裏金工作に反発したため、田舎の駐在所へと左遷された。秘命監察官として駆けつけた昼安堵に対し、警察の信用を損なわせる行為になりかねないと非協力的な態度を取る。ところが、その依頼の発端が自分の息子にあったことを知り、協力することになる。 護持が残していた偽造領収書の証拠を押さえるため、希望山署の会計室に侵入、その悪事を暴く。

崎田 広樹 (さきた ひろき)

青森県にある鶴賀中央署の生活安全課に所属している警察官。広い額と大きな口、「ヘム」という口癖が特徴の青年。違法風俗店の取り締まりを担当しながら、経営者と癒着して違法な接待を受けたり、薬物の売買に手を出していた。同僚である吉丸和己とは高校からの付き合いだが、その実力差から劣等感を抱いており、関係は険悪。吉丸に悪事を見抜かれて更に関係が悪化し、警察署内で吉丸を射殺すると、上層部を巻き込んだ隠ぺい工作を計画した。

吉丸 和己 (よしまる かずみ)

青森県にある鶴賀中央署内の交番に勤めている警察官。短髪で精悍な顔つきをした青年。勤務態度は真面目だと評判で、交通課に勤務する妹がいる。同僚である崎田広樹とは高校時代の同級生だが、劣等感を抱く崎田から一方的に嫌われており、関係は険悪。崎田が不当な接待や薬物の売買に手を出していると知り、説得を試みるが失敗。逆上した崎田によって射殺されてしまった。 崎田を説得するためなら、自分も職を失っても構わないという旨の遺書を残しており、それを読んだ妹の訴えにより、秘命監察官への指令が下った。

金谷 理恵子 (かなや りえこ)

鹿児島県にある人形埼署の生活安全課の班長。後ろで一つ結びにした茶髪ときつい目元が特徴の女性。警察一家のサラブレッドで、父親は現職の署長。ホストクラブで遊ぶ金欲しさに始めた内部窃盗が癖になり、地位が上がってからも犯行を繰り返していた。部下の佐藤啓介を気に入り、その出世を約束する代わりに、恋人の田崎光代に内部窃盗の罪を着せる手伝いをするように誘惑する。

佐藤 啓介 (さとう けいすけ)

鹿児島県にある人形埼署の生活安全課に勤務する警察官。横に流した短い黒髪と、太い眉毛をした青年。同僚の田崎光代と付き合っている。実力はあるものの、なかなか出世できずに悩んでいた。そこへ、上司である金谷理恵子に唆され、内部窃盗の罪を恋人である光代に押し付ける手引きをする。工作後、金谷と電撃結婚を発表するが、そのパーティーの会場で、昼安堵に悪事を告発された。

田崎 光代 (たざき みつよ)

鹿児島県にある人形埼署の生活安全課に勤務する警察官。茶髪をショートカットの髪型をした若い女性。勤務態度は真面目で、街の不良たちからも信頼されている。上司である金谷理恵子の工作で、内部窃盗犯に仕立て上げられ、署内での居場所を失ってしまった。恋人の佐藤啓介とも連絡が取れなくなり、自殺を図ろうとトラックの前に飛び出したところを、秘命監察官として駆けつけた昼安堵に救われる。

池ノ上 渡 (いけのうえ わたる)

栃木県にある電光院署の新署長。顔に深く刻まれた皺(しわ)と、への字に結んだ口元が特徴の中年男性。叩き上げから出世した実力者だが、検挙率ばかりを気にしており、事件の全容解明よりも目先の検挙を優先することが多い。また警察署々長として得られる退職金を多くするため、署全体の捜査費用を出し渋ることもしばしば。間接的に事件の被害者を増やすことに繋がっていた。 最終的には秘命監察官として着任した昼安堵により、その粗末な捜査手法を明るみに出され、処分された。

宮沢 昭一 (みやざわ しょういち)

栃木県にある電光院署の刑事。黒髪のオールバックで、凛々しい顔つきをした青年。麻薬組織のルートを捜査していたが、全容を解明する前に売人を逮捕するよう、池ノ上渡に指示される。後日、売人を失ったことで半狂乱となった麻薬中毒者の手で、市民が殺傷されたことを知り、自身の警察官としての在り方に苦悩するようになる。養っている家族を守るために口をつぐむか、己の正義に従うかを、ドンちゃん人形に相談したことにより、昼安堵に指令が下るきっかけをつくった。

折笠 信吾 (おりかさ しんご)

鳥取県にある銀嶺警察署の暴力団対策室所属の刑事。階級は警部補。太い眉毛に大きな鼻、がっしりとした体格の壮年男性。暴力団による麻薬売買を取り締まるため、同僚の久島兵介とチームを組んでおり、その実績から名コンビと名高い。警部への昇進を見送ってまで、現場での全容解明に拘るなど、実力と正義感を兼ね備えた人物。しかしある日、久島の情報をもとに別の刑事と現場に踏み込んだ際、暴力団組員の待ち伏せにあって殉職してしまう。

久島 兵介 (くしま へいすけ)

鳥取県にある銀嶺警察署の暴力団対策室所属の刑事。階級は警部。坊主頭に吊り上がった眉毛、鋭い目元をした壮年男性。暴力団による麻薬売買を取り締まるため、同僚の折笠信吾とチームを組んでおり、その実績から名コンビと名高い。しかし厳密には折笠の方が評価されることが多く、そのことにコンプレックスを抱いている。折笠が警部への昇進試験を辞退したため一足早く警部となる。 コンプレックスを解消するために、折笠に偽の情報を与えて、失態を犯させようと試みる。

蟹沢 喰三 (かにざわ くいぞう)

パチンコ「オオグロチェーン」の岐阜ブロック総括長。四角張った平たい顔と細長い目元、大きな唇が特徴の老年男性。地域の店舗数を増やすため、逆柱署の署長や警察官に賄賂を贈り、パチンコ店の営業認可を融通してもらっていた。昔から地域にあった店舗を押しのけて無理な拡大を計画したため、秘命監察官に連絡が行き、昼安堵によって悪事を暴かれた。

森山 正二 (もりやま しょうじ)

岐阜県にある逆柱署の生活安全課の警察官。階級は巡査長。逆立った黒髪に眼鏡をかけた青年。幼い頃に父親と一緒に通っていた地域密着型のパチンコ店が、蟹沢喰三によって経営危機に立たされていると知った。にもかかわらず何もできないままでいる自分が情けなくなり、ドンちゃん人形に助けを求める。秘命監察官として派遣された昼安堵に、警察官としては優しすぎると発破をかけられ、署長らの不正を暴く決意を固める。

塩瀬 隆文 (しおせ たかふみ)

静岡県にある針ノ山警察署に所属する警察官。階級は巡査長で、短い黒髪の若者。パトロールの最中に、行方を捜索されていた強盗犯を見つける。しかし、点数稼ぎのため、犯人にもっと罪を重ねさせようと考えた上司の命令で、犯人を見逃させられた。その後、再び家宅侵入を行った犯人が市民に重傷を負わせたため、警察組織の在り方に疑いを持つ。 秘命監察官として派遣された昼安堵とともに、狂言強盗を演出し、上司から被害者家族に直接謝罪させる機会を作り上げた。

黒井 武雄 (くろい たけお)

千葉県警の機動隊の小隊長。角ばった顔と吊り目、大きな口をした中年男性。警察官になる前は地域で有名な不良で、かなり荒っぽい性格をしている。地元意識が強く、他県出身の部下をいびることで有名。ある日、東京出身の新米機動隊員に無理な潜水訓練を課し、死亡させてしまう。部下に緘口令を出し、死因を病死と偽ったが、被害者の母親に疑われ、昼安堵を招くこととなった。

佐古 敏行 (さこ としゆき)

広島にある南風中央警察署の署長。太く丸い顔に二重顎、肥満体型の中年男性。地域の葬儀社と癒着し、管轄内で回収した遺体の情報や処理を優先的に回していた。自身の言いなりにならない葬儀社の女社長に執着し、性的ないやがらせや、葬儀帰りの顧客を狙い撃ちするような検問を繰り返していた。悪事を聞きつけ、秘命監察官として訪れた昼安堵に成敗される。

横手 光彦 (よこて みつひこ)

北海道にある北星中央署の署長。オールバックに剃りの深い額と、細い眉毛の中年男性。管轄の留置所内で起きた不祥事をもみ消すため、地方検察庁と取引し、無実の女性を殺人未遂犯に仕立て上げようとした。悪事を聞きつけ、秘命監察官として訪れた昼安堵に、共謀した検察官と一緒に成敗された。

集団・組織

移動警察職員 (いどうけいさつしょくいん)

管轄に制限されず、無限に容疑者を追える資格を持っている警察官。エリートしか取得できない資格とされる。ところが、通常業務では成績が芳しくない昼安堵が、課内で唯一の資格保持者であるなど、謎の多い資格。吉田義郎からは、昼が資格保持者であることが、そのまま警察組織の矛盾点だと揶揄されている。

秘命監察官 (ひめいかんさつかん)

警察による悪事を摘発する組織。通常の監察とは異なる影の存在。悪事を暴くためであれば少々の荒事は認められており、警察官の間でも恐れられている。その仕事柄、全国各地を飛び回る必要があるため、秘命監察官は移動警察職員の資格を持っていることが多い。昼安堵もその1人。また性質上、秘命監察官であることは他言無用とされている。 指令が下ると、専用の携帯電話に401という数字が表示され、次いで現場の地名が伝えられる。

場所

(はる)

大阪の新世界にある小料理屋。ママが経営している。カウンターテーブルのみの小さな店ながら、落ち着いた調度品でまとめられている。直美も従業員として働いており、勤務時は両名とも着物を着用している。昼安堵が仕事終わりに頻繁に立ち寄る店で、仕事の愚痴をよく聞いてもらっている。

その他キーワード

ドンちゃん人形 (どんちゃんにんぎょう)

全国各地に設置されている人型の石像。耳に手を当てながら、舌を出したポーズをしている。仕組みは不明だが、相談窓口のような役目をしており、この石像に悩みを訴えると、秘命監察官への指令として汲みあげられるようになっている。事情をよく知らない市民の間でも、借金の申し込み以外は受け付けてくれると評判。

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