アタゴオル玉手箱

アタゴオル玉手箱

ますむらひろしがヨネザアド大陸を舞台に描く、幻想世界シリーズの一つ。1984年から1989年にかけて、偕成社から発刊された3誌にわたって掲載された。大猫のヒデヨシとその仲間が体験する不思議や驚きを、繊細な絵柄で描き出していく。読み切り短編だが、一部は「星街編」や「タルダリ大帝」「ミイト緯度の指」「キリエラ戦記」などの連続作品になっている。1997年度の第26回日本漫画家協会賞において大賞を受賞。

正式名称
アタゴオル玉手箱
ふりがな
あたごおるたまてばこ
作者
ジャンル
ファンタジー
関連商品
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概要・あらすじ

太古より様々な文明が生まれ、滅び、その遺跡や遺産が眠る森があるアタゴオル。不思議な出来事が多いこの世界で、テンプラは今日もいろんな体験をし、ヒデヨシは食い逃げに勤しんでいた。いままた、ツキミ姫という新しい仲間が加わり、一行は世界の美しさや素晴らしさを発見していく。しかし、そんな中にありながらもタルダリ大帝銀波船長網樹などの悪意が、人々を脅かそうと蠢いていた。

登場人物・キャラクター

ナゾノ・ヒデヨシ (なぞのひでよし)

シリーズのレギュラーキャラ。太った細目で黄色い毛並みを持つ猫。意地汚く大食漢、衛生観念も無く、いつも周囲に迷惑ばかりかけている。『アタゴオル玉手箱』でもその行動に変わりなく、魚やタコを盗んでは喰い、余計な手出しをして事態を悪くする。しかし、その意地汚さや好奇心が世界を救うこともある。

テンプラ

『アタゴオル玉手箱』に登場する、シリーズのレギュラーキャラ。明るい茶髪の少年で、真面目にして実直、探求心が旺盛。なぜかヒデヨシの親友をしていて、その習性に詳しく扱いも心得ている。ハーモニカの名手であり、『アタゴオル玉手箱』内の「キリエラ戦記」では、発見されたハーモニカ、キリエラを使って、網樹との戦いで大きな戦力となった。

タクマ

『アタゴオル玉手箱』に登場する、シリーズのレギュラーキャラ。水玉模様のバンダナを被っている逞しい青年。『アタゴオル玉手箱』の話内では、銀しぶき海に住んでいる。周囲を荒らす巨大なタコ・タルダリ大帝に手を焼き、アタゴオルのヒデヨシに助けに来てほしいと手紙を送っている。

唐あげ丸 (からあげまる)

『アタゴオル玉手箱』に登場する、シリーズのレギュラーキャラ。黒いハの字ひげを生やした名バイオリニストで、『アタゴオル玉手箱』内では喫茶店・粉雪亭の店主をしている。喫茶店では閉店時にはバイオリンの演奏を披露する。また「キリエラ戦記」では、先祖が銀波船長に盗まれたバイオリンを奪い返すため、海賊の仲間になったフリをしている。

ヤニ・パンツ (やにぱんつ)

『アタゴオル』シリーズのレギュラーキャラで、帽子を被り、パイプをくわえた猫。考古学に明るく、各種古代語が読めるほか、自宅には数々の古書を溜め込んでいる。『アタゴオル玉手箱』内でも様々な書籍で不思議な話のきっかけを作ったり、謎の言葉を解析したりと活躍する。

ツキミ姫 (つきみひめ)

ヒデヨシが割ったカプセルの中から目覚めた少女。常に被っている三角帽がトレードマーク。自称、「アタゴオルの森の王の娘」。不思議な力や知識を持っていて、不思議な事件や出来事のきっかけになったり、解決策を提供したりする。飛空艇や潜水艦になる家・月見ハウスを作り上げ、冒険の旅を助けている。

ヒデ丸 (ひでまる)

唐あげ丸の店で働く子猫。真面目で熱心、手先も器用で賢い。唐あげ丸の異常行動を止める役を担っている。また、ヒデヨシが扮するホシノミヤ・スミレ博士の手伝いもしており、話し相手や口述筆記を担っている。

テマリ

代々、占い師をしている人間の女性。歌と工作を得意としている。マグマを噴出させる杖や遠くの音を拾い上げるキノコの機械の設計図など、奇妙なアイテムをご先祖様から受け継いでいる。

タルダリ大帝 (たるだりたいてい)

『アタゴオル玉手箱』の「タルダリ大帝」の章に登場する、銀しぶき海を荒らし回る巨大なタコ。しかし、実体は巨大タコに憑りついた知能を持つ小さなヒトデだった。タルダリ大帝の眼を見ると、体から墨が吹き出し動けなくなる。また口からしびれスミを出すこともできる。しかしヒデヨシの食欲の前にはどちらも通じず、ストローを刺されて本体を吸い出されてしまった。

霧尾 (きりお)

『アタゴオル玉手箱』の「キリエラ戦記」に登場する凛々しい青年猫。網樹を手に入れて、ゴランドア大陸の胸の海林を横断しようと考えていた。網樹の恐ろしさに気づき、ヒデヨシたちに協力するようになる。

銀波船長 (ぎんなみせんちょう)

『アタゴオル玉手箱』の「キリエラ戦記」に登場する海賊船・闇のバイオリン号のボス。海賊だけあって傲慢で不遜だが、バイオリンの調べを愛し、バイオリン演奏者には手出しをせずに厚遇する。キリエラの謎を追い、ヒデヨシたちが手に入れた輝く猫を強奪。網樹を復活させると、それを操りゴランドア海林国の都を壊滅させてしまう。 後に網樹に吸収され、その一部になってしまった。

葉座 (ようざ)

『アタゴオル玉手箱』の「キリエラ戦記」に登場する銀波船長を敬愛する部下。全身が葉に覆われた男で、強力な催眠術や念動力を使って戦う。網樹に吸収された銀波船長を救おうとするが、逆に網樹に吸収されてしまった。

網樹 (もうじゅ)

『アタゴオル玉手箱』に登場する恐ろしい怪物。輝く猫が生み出した地図に指し示された島から、キリエラの旋律によって甦った。周囲の鉱物や植物を吸収し成長していき、光波の都に迫った時には巨大な2足歩行の恐竜の姿になっていた。自然を食らい、世界を覆い尽くすまで広がろうとする存在であり、銀波船長は「永遠に続く死の文明」だと評している。

場所

星街 (ほしまち)

『アタゴオル玉手箱』に登場する風鈴森の上空に浮かぶ、いくら探しても見つからないという街。釣り上げた星のあかりについていったり、気巻砲で転送することで辿りつける。銀河コーヒーを出すコーヒー店や、動くポスターを作るキリン塔、音符屋など不思議な建物や店がたくさん存在している。

その他キーワード

キリエラ

『アタゴオル玉手箱』の「キリエラ戦記」に登場する大きな月型のハーモニカ。封印されていた網樹をよみがえらせるのに使われた。銀波船長が隠し持っていた、物体を旋律を読み取る眼鏡と組み合わせることで、物体のコピーを作ったり、破壊したりが自在にできるようになる。

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