おやすみプンプン

おやすみプンプン

初恋の女性・田中愛子との出会いを機に数奇な運命をたどる、複雑な家庭環境のもとに育った少年・プンプンの、11歳から18歳までの7年間にわたる姿を描いた青春成長物語。「週刊ヤングサンデー」'07年第15号から'08年35号にかけて連載されたのち、「ビッグコミックスピリッツ」'08年第47号から'13年第49号にかけて連載された作品。

正式名称
おやすみプンプン
ふりがな
おやすみぷんぷん
作者
ジャンル
その他
レーベル
ヤングサンデーコミックス(小学館)
巻数
既刊13巻
関連商品
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あらすじ

第1巻

小学5年生のプン山プンプン(のちの小野寺プンプン)は、転校生の田中愛子に一目惚れをする。愛子から、やがて地球は滅びるらしいと聞いたプンプンは、もし自分がそれを阻止できたら愛子好みの男性になれるのではと考え、将来は宇宙について研究したいと作文に書く。しかしその翌朝、父親のプン山プンプンパパの暴力が原因で、母親のプン山プンプンママが入院する事になる。結果、しばらく叔父の小野寺雄一がプンプンの面倒を見る事になり、学校を休んだために作文の発表が遅れたプンプンは、実際に書いたのとはまるで違う、無難な発表をしてしまうのだった。だが、プンプンの本当の気持ちを綴った作文を見つけた愛子だけは彼を応援し、その優しさに心打たれたプンプンは愛子に告白する。その直後、プンプンと友人達は道で拾ったアダルトビデオの鑑賞会をする。しかしビデオは、途中で見知らぬ男が自分の殺人を告白する内容に変わったうえ、男は遺体と共に現金を近所の廃工場に隠したと語る。プンプン達は悪戯だと判断するが、その後すぐにプンプンは、高額のお金が必要になってしまう。新興宗教に熱中する母親・田中光子との関係に疲れた愛子が、夏休みいっしょに旅行に行こうとプンプンを誘ったのだ。友人達も同じように廃工場を気にしている事を知ったプンプンは、早速現地に向かう事にする。

第2巻

プンプンは、途中から参加した田中愛子を含む友人五人と共に、遺体と現金が埋められているらしい廃工場へやって来た。しかし結局なにも見つからなかったうえ、途中で火災が起きてしまう。その時屋上にいたプンプンと愛子は危機に陥るが、突然大雨が降って事無きを得るのだった。こうして廃工場探索は終わり、終業式となるが、プンプンは放課後から行く予定の愛子との旅行代を捻出できずに困っていた。しかし、晴見俊太郎からもらった自転車を使えば、なんとかなるのではと考えたプンプンは、ひとまず待ち合わせ場所へ向かおうとするが、そこでプン山プンプンママが、病院の階段から落ちたという報せが入る。プンプンと小野寺雄一はすぐさま病院へ向かう事になり、プンプンは愛子との約束を果たせずに終わってしまう。結局プンプンママは軽いケガをしただけであったが、約束を破ってしまったプンプンは、その日から憂鬱な夏休みを過ごす事になる。やがて2学期となり、プンプンは愛子に謝罪するが、愛子の態度は冷たいものであった。そしてプンプンは、その帰り道でプン山プンプンパパと再会するが、彼の態度から、もう当分会えないだろう事を悟る。そしてその直後、両親は離婚し、プンプンは「小野寺」に改姓する。

第3巻

田中愛子との約束を破った日から2年以上が経過し、プンプンは中学1年生になっていた。バトミントン部に入部したプンプンは、冬のある日、先輩の矢口マモルと、愛子が交際を始めた事を知りショックを受ける。しかもその直後部活をサボったプンプンは、偶然マモルと出くわし、マモルの誠実な人柄に触れる事となる。これがきっかけでプンプンは、マモルをライバルとして一方的に嫌う事もできず、かといって愛子を忘れる事もできず、さらに悩むのだった。そんなある日、プンプンは校内でマモルと愛子が話している場面に遭遇する。しかし愛子はなぜか泣いており、あとでマモルに聞いたところ、それはマモルが最近親しい後輩として、プンプンの名前を出したからなのだという。プンプンと愛子の関係を怪しんだマモルに、プンプンは現在愛子が自分をどう思っているかは知らないが、自分は愛子に思いを寄せていると打ち明ける。これを知ったマモルは、来週のバドミントンの県北大会で優勝できたら愛子はずっと自分のものだと宣言する。しかし、もし負けたら自分はあきらめるので、プンプンが愛子に告白しろと言い出すのだった。一方その頃小野寺雄一は、以前小野寺プンプンママの件で世話になった看護師・大隈翠と再会していた。翠にアプローチされる雄一だったが、雄一には、恋愛に積極的になれない、とある理由があった。

第4巻

小野寺雄一が恋愛に積極的になれない理由とは、5年前陶芸教室で出会った女子高校生・八木と親しくなり当時の恋人とのあいだで揺れたが、結局八木を深く傷つけたうえ、ほかの人間まで巻き込んだ傷害事件に発展したというものであった。すべてを知った大隈翠は、今からその陶芸教室に行ってみようと提案。雄一はためらいながらも関係者にその後を聞きに行くが、それは意外にも明るく前向きなものであった。安堵する雄一であったが、これによって、自分がこれまで生きてこられたのは、罪の意識があったからだと気づいてしまう。その罪の意識が消えた今、生きている理由もないと感じた雄一は自殺を図ろうとするが、翠に止められ失敗。こうして翠に救われた雄一は、とうとう翠と交際を始めるのだった。一方小野寺プンプンは、ついに県北大会が始まり、田中愛子と共に矢口マモルの試合を見守っていた。マモルは足にケガをしながらも必死に戦っていたが、愛子はマモルと自分のあいだには決定的なズレがあり、マモルでは愛子の孤独を埋められないと語る。結局マモルはケガで最後まで戦えず、プンプンは今愛子との関係を修復すれば、マモルから愛子を奪える事に気づく。しかしそれでもなおプンプンは、愛子にどうかマモルのお見舞いへ行ってほしいと頼むのだった。

第5巻

県北大会から2年以上が経過して、プンプンは無事高校に合格した。しかし現在小野寺家は、小野寺雄一が失踪して行方不明になっている事で暗い雰囲気になっていた。プンプンは落ち込む大隈翠を励ますが、雄一が戻る確証はなく、翠は次第にプンプンに依存するようになっていく。一方その頃雄一は、自殺しようとタクシーで埠頭に向かっていた。雄一の失踪の原因は、翠がいるにもかかわらず既婚女性と不倫し、その慰謝料を小野寺プンプンママが負担しようとしていた事にあった。長らくプンプンママを軽蔑し続けて来た雄一は、この優しさに耐えられなかったのである。結局雄一はタクシーの運転手に説得され自殺をやめるが、そんな事はつゆ知らぬ翠は淋しさのあまり、ある日とうとうプンプンを無理やり襲い、セックスする事になる。これによりプンプンは深い喪失感を抱えるが、それでもどうにか高校に馴染もうとしていた。しかしうまくいかず、親睦会でも孤立していたところ、同じように浮いてしまっていた同級生・蟹江梓に話しかけられる。これをきっかけに親しくなった二人はデートの約束をするが、その直後プンプンは雄一がいつの間にか戻って翠と入籍しており、翠は先日の一件を秘密にしようとしている事を知る。翠のあまりの身勝手さに腹を立てるプンプンだったが、どうする事もできずに、ますます孤独感に苦しめられるのだった。

第6巻

小野寺プンプンママが、肺気胸で入院する事になった。入院してすぐ院内で倒れたプンプンママは、偶然居合わせた晴見俊太郎に助けられ、親しくなる。俊太郎は先日自転車で交通事故に遭い、以来通院生活をしているのだという。その日からプンプンママは俊太郎と交流を深めていくが、ある日俊太郎は通院しているのではなく、いっしょに事故に遭い、今は入院している恋人に毎日会いに来ている事を知る。しかし俊太郎は恋人の顔に大ケガさせてしまった事が理由で、未だに声をかけられずにいたのだ。このままではいけないと考えたプンプンママは、少しでも早く仲直りするべきであると、俊太郎に伝えるのだった。一方その頃プンプンは、蟹江梓とデートをしていたが、今ひとつ盛り上がらず困っていた。そのまま二人は、梓の姉の蟹江美雪とその友人・南条幸がやっている展覧会へ向かうが、プンプンはそこで見た幸の絵に小学校時代の思い出を重ね、思わず涙する。そしてその後もプンプンと梓はいっしょに過ごすが、考え方の違いでケンカになったうえ、プンプンが無理やり梓を襲おうとした事で梓は激怒し、デートは失敗。さらにその直後、プンプンママの癌が発覚する。

第7巻

小野寺プンプンママの癌発覚から2年が経過し、プンプンが高校3年生になった夏、プンプンママは亡くなった。その直後、プン山プンプンパパがプンプンのもとを訪れ、自分が暮らす福島県でいっしょに暮らそうとプンプンを誘うが、プンプンはその申し出を断る。こうして一人暮らしを始めたプンプンは、高校を卒業して、そのままフリーターとなる。そんなある日、駅で偶然田中愛子を見かけたプンプンは、愛子を必死で追いかけるが、結局見失ってしまう。そこでプンプンは、現在愛子が住んでいるかもしれない街に引越しを決意。すぐに新居を決め、もしこの部屋の次回契約更新時期である2年後までに愛子を見つけられず、自分を取り巻く環境も改善できなければ、その時はすべてをあきらめて自殺しようと決めるのだった。こうしてプンプンはアルバイトを掛け持ちしながら愛子を探す日々を送るが、一向に愛子は見つからず、次第にやつれていく。そんなプンプンを案じた大家の宍戸平六は、ある日プンプンを食事に誘う。そこで偶然、南条幸に再会したプンプンは、幸に以前の展覧会でプンプンが感想ノートに書いた物語がとても気に入っているので、よかったら続きを書いてくれないかと頼まれる。

第8巻

プンプンは、以前プンプンが書いた物語を元に、南条幸が現在取り組んでいる作品の原作者になってほしいと頼まれる。自信の持てないプンプンは、その申し出を断るが幸は引き下がらず、蟹江美雪の頼みもあって仕方なく了承する。その日からプンプンと幸の奇妙な交流が始まり、二人は宍戸平六も交えて親しくなっていく。しかしある日プンプンは、美人で頭もよく、絵の才能もある幸が、かつて辛い境遇から自力で成功を手にし、整形を繰り返して現在の容姿をも手に入れた事を知る。そんな強い女性である幸が、一番取り組みたかった漫画だけは挫折してしまった過去があると知ったプンプンは、原作者として本気で活動する事を決意。二人はコンビとして、友人達の協力も得ながら制作を進めていく。そんなある日、プンプンは幸が見知らぬ男性と親しげにしているところを目撃してしまう。幸に恋人がいるのだと誤解したプンプンは、ショックでその日の幸との約束を破ろうとするが、幸はその男性は恋人ではなく元夫で、自分はバツイチであると告白する。これがきっかけで二人は結ばれるが、プンプンはやはり田中愛子の事が忘れられず、一線を超えたものの、二人はこれまで通り友人として付き合う事になるのだった。

第9巻

プンプンと南条幸が漫画制作を始めて1年が経過した、冬のある日、二人はついに完成した作品を出版社へ持ち込んだ。しかし編集者の評価は厳しく、二人は意気消沈する。そのまま季節は春になるが、プンプンと幸の漫画制作は完全に煮詰まってしまい、二人が会う機会も減っていた。幸は落ち込むプンプンを励まそうとするが、結局幸と対等な関係を築けず、ペット扱いされていると感じるプンプンは反発。二人はケンカになってしまうのだった。一方その頃、プンプンのかつての友人である関真澄清水は、現在も変わらず交流を続けていた。しかしある日真澄は、清水がかつて自分が言った言葉を真に受け、亡くなった母親が今も生きていると思い込んでいる事を知る。呆れた真澄は現実を見ろと清水を怒鳴りつけるが、これに傷ついた清水は、その心の隙を最近勢力を伸ばしている謎の団体「ペガサス合奏団」に付け入られてしまう。その直後、プンプン達はお花見に出かけるが、その途中、宍戸平六が万引きの疑いをかけられてしまう。無理やり取り押さえられた平六は、大ケガをして半身不随となり、犯人は見つからないままにプンプンの契約更新時期が訪れる。そしてとうとうヤケになったプンプンは、平六に勧められて通い始めた自動車学校でナンパを繰り返すが、そこに田中愛子が現れる。

第10巻

プンプンは、自動車学校でついに田中愛子と再会する。しかし愛子は非常に華やかな生活を送っているらしく、矢口マモルではない、新たな恋人もできていた。プンプンは気持ちの整理がつかないままに、思わず見栄を張って嘘を重ねながら愛子と会うようになる。だがプンプンは、会うたびに軽薄な行動ばかりする愛子に、次第に怒りを募らせるようになっていた。そしてある日、プンプンは愛子とセックスしようとするが、拒絶されてしまう。この結果、愛子に嫌われたプンプンは衝動的に南条幸の家に行くが、そこで幸の元夫・早乙女と出くわす。さらに幸は現在、早乙女の子供を妊娠しているのだという。しかし幸はその事実を早乙女に伝えず、中絶を考えていた。そこでプンプンは幸と共に生きる決意を固め、手術日に付き添う約束をし、ついに愛子との関係に決着をつける事にする。そしてプンプンは愛子に、再会以来自分は充実した日々を送っているように見せかけていたが、これはすべて嘘であり、本当はただ愛子との再会を待っていた事を白状する。しかしここで、衝撃の事実が発覚する。愛子もまたプンプンに嘘をついており、本当は母親から暴力を受け、辛く苦しい毎日を送っていたのである。これを知ったプンプンは、幸との約束を破り、愛子を救う決意をする。

第11巻

プンプンは、田中愛子を母親の田中光子から解放するべく、愛子と共に田中家へ行く事にした。しかし光子はこれに激怒し、プンプンと愛子を殺そうとする。それを止めようとしたプンプンは、衝動的に光子の首を締め、そのまま気絶させてしまう。プンプンがあとで現場に戻ってみると、光子はすでに死亡していた。人を殺してしまったプンプンは、大ケガをしている愛子の傷を無理やり縫い、いっしょに光子の死体を山中へ埋める。その後プンプンは愛子に、罪はすべて自分が被るので、愛子はこれまで通りの生活を送ってほしいと伝える。しかし愛子はこれを拒否し、二人は小学5年生の頃に約束した、鹿児島への逃避行を始めるのだった。一方その頃、関真澄は浮気を繰り返す恋人と別れる事にしたが、これに怒った彼女の父親から、命を狙われるようになっていた。そこで真澄は清水に助けを求めるが、清水はすでに「ペガサス合奏団」の活動に参加していた。同じ頃、南条幸は先日の一件から中絶をやめ、子供を産む事を決意。だが、あの日以来プンプンと連絡が取れず、家にも戻っていないらしい事を不審に思っていた。

第12巻

田中愛子は、プンプンを独占したいあまり、プンプンの左目に大ケガをさせてしまう。この一件もあり、二人は次第に精神的に追い詰められていく。一方その頃、南条幸は、プンプンの知人に手当たり次第に会っていた。その過程で幸は、いつも頼りなく見えたプンプンが、実は周囲からきちんと評価されている事を知り、彼をペット扱いしていた己の傲慢さを痛感する。さらに幸は、小野寺雄一と会った事でプンプンが幸を交際相手として雄一に紹介しようとしていた事も知る。そして最後に福島に住むプン山プンプンパパと話した事で、やはり自分がプンプンを守らなければならないと確信するのだった。一方のプンプンと愛子は、とうとう鹿児島に辿り着いていた。そして人気のない海に到着したプンプンは、今後愛子を絶対に一人にしないため、ここで愛子を殺す決意をする。

第13巻

 清水は「ペガサス合奏団」が根城にする建物で放火に遭うが、そこに駆けつけた関真澄に無事救助される。その頃、田中光子の死がついに報道され、とうとう追い詰められたプンプンと田中愛子は、通報を恐れて山奥に逃げていた。今度こそプンプンに殺されると考えた愛子はプンプンをナイフで刺すが、プンプンは動じず、なにがあっても愛子を守ると宣言する。だが、逃走を続ける中で二人はついに限界を悟り、自首する事を決意する。

登場人物・キャラクター

プン山 プンプン (ぷんやま ぷんぷん)

物語の開始時点では小学5年生の少年。他の登場人物がリアルな人間として描かれているにも関わらず、鳥を図案化したようなシンプルな姿で描かれている。両親が離婚してからは母親に引き取られ、名前が「小野寺プンプン」となる。内気な少年で、思春期を経て鬱々と悩むことが多くなっていく。周囲の人々とは普通に交流し、男性アイドルの「ジョニーズ」系と言われたり、中断された似顔絵があることから、本来はごく普通の少年の姿をしており、描かれている容姿は心象のようなものと思われる。 小学校時代、田中愛子に恋をし、告白して仲良くなるも、徐々に疎遠となり中学では会話することも稀になっていた。中学時代はバドミントン部の先輩・矢口マモルとの三角関係に悩み、愛子への想いを断ち切ろうとするも未練は残ってしまう。 高校時代には蟹江梓に対して欲望を暴走させてしまった事で自己嫌悪に陥る。高校卒業後はフリーターとなってアパートで一人暮らしをするが、高校時代に出会っていた南条幸と再会し、文才を期待され漫画執筆の共同作業を始めることになる。充実した生活を送るようになるが、愛子と再会し、共に依存し合うような関係になっていった。

田中 愛子 (たなか あいこ)

練馬区からプンプンのクラスに転校してきた少女。プンプンから告白され、受け入れる。だがプンプンが自分だけをずっと好きで絶対的な味方でいる事、嘘はつかない事などを念入りに要求し、プンプンに恐怖心を抱かせる。母親が宗教団体「コスモさん健康センター」に入信しており、休日は布教活動に同行しているが、そんな母親を疎み、親戚の住む鹿児島へ逃げたがっていた。 やがてプンプンとは疎遠になり、中学では矢口マモルと交際していた。だが、矢口には冷めた様子で、プンプンには想いが残っているかのような素振りを見せた。高校卒業後は母親に束縛されつつアルバイト等で生活していたが、プンプンと再会したことで母親からの脱出を計るようになる。

プン山 プンプンパパ (ぷんやま ぷんぷんぱぱ)

プンプンの父でプン山プンプンママの夫。プンプンと同様、鳥を図案化したようなシンプルな姿で描かれているが、リーゼント風の髪型やヒゲで区別できる。かつてはサラリーマンだったが単身赴任を断わったためリストラされ無職となり、家で酒を飲みプンプンママとケンカすることが多くなっていた。趣味はテレビでの野球観戦で、少年時代はSF好きだったことから宇宙にも関心を持つ。 ある日、夫婦ゲンカでプンプンママに重傷を負わせ、警察沙汰となって離婚。単身福島へ移住して、夜警を経て福祉の仕事に就いていた。しばしばプンプン宛てに手紙を送っていたと思われたが、後にそれはプンプンママの偽装で、実際は連絡が無かったことが判明する。プンプンママの死後にプンプンと再会して福島への移住を誘うが、断わられ一人で帰っていった。

プン山 プンプンママ (ぷんやま ぷんぷんまま)

プンプンの母でプン山プンプンパパの妻。プンプンと同様、鳥を図案化したようなシンプルな姿で描かれているが、髪型やまつ毛の目立つ眼、張り出した胸などで区別できる。口うるさい性格で激昂しやすく、さらに酒乱の気がある。ある日、夫婦ゲンカで重傷を負い、警察沙汰となってプンプンパパと離婚する。傷を受けたことから被害者として扱われたが、実際は酔ったプンプンママが包丁でプンプンパパを殺そうとし、プンプンパパの反撃で気絶したものであった。 離婚後は旧姓の「小野寺」を名乗り、実弟の小野寺雄一と同居。さらに雄一の婚約者・大隈翠も家族に加わる。妻子ある男と不倫関係を続けていたが、逢瀬の最中に肺気腫で入院。入院中に癌が見つかり、約二年後に病死した。 最後まで息子のプンプンには好かれず、冷めた親子関係であったが、連絡のないプンプンパパになりすまして手紙を送り続けており、最期にはプンプンへの愛情を告白した。

小野寺 雄一 (おのでら ゆういち)

プンプンの叔父で、プン山プンプンママの実弟。プンプンと同様、鳥を図案化したようなシンプルな姿で描かれているが、ニット帽や眼鏡で区別できる。陶芸家を志し、美大の大学院を出た後は陶芸教室の講師をしていたが、生徒がらみのトラブルから辞め、無職だった。そのトラブルが原因で宗教を嫌い、さらに女性不信気味だが、女性に欲望を感じては自己嫌悪に陥っている様子がある。 プンプンとは親しく、良き理解者としてしばしば助言を与えた。プンプンママの離婚騒動からはプンプンの家に住み着き、プンプンの父親代わりになる。大隈翠との出会いから恋愛、婚約に至るが、別の人妻と不倫をしてしまい、失踪。二年近くの放浪生活の末帰宅し、翠に許されて結婚した。 結婚後は、翠が開いていた喫茶店を手伝っている。

大隈 翠 (おおくま みどり)

プン山プンプンママが入院した時、担当だった女性看護師。後に看護師を辞め、自ら開業することを目標に喫茶店でアルバイトをしていた。バイト先で小野寺雄一と出会って恋愛関係となり、婚約。プンプンやプンプンママとも家族同然のつき合いをしていたが、結婚を前にして雄一が人妻と不倫騒動を起こし、失踪。その後も小野寺家に残り、やがて帰ってきた雄一を許したが、その間に寂しさから一度だけプンプンと肉体関係を持った。 アルバイトをしていた喫茶店を店長から譲り受けて切り盛りし、雄一が戻ってからは共に経営する。プンプンが家を出て一人暮らしをしてからもその身を案じ、携帯電話を買い与えるなど世話を焼き続けた。

南条 幸 (なんじょう さち)

プンプンの高校の卒業生で、プンプンの4年先輩。早稲田大学中退で、予備校の講師をしながら漫画や絵本など絵の創作活動をしていた。長髪で眼鏡をかけており、サバサバした態度が目立つ。蟹江梓の姉とは絵描き仲間で、梓に誘われてグループ展に来たプンプンと出会う。その場ではプンプンが幸の絵を見て、強引に書かされた感想を渡しただけの関係に終わったが、幸はその文章に才能を感じていた。 後に偶然プンプンと再会し、強引に絵本の原作を依頼。一転して不出来な原稿に失望するが、交流を続けるうちに互いの内面に触れ、創作のパートナーかつ理解者となっていく。離婚歴あり。

神様 (かみさま)

プンプンが「神様神様チンクルホイ」という呪文を唱えると現れる、天然パーマで眼鏡をかけた笑顔の男。中学生になってからは呪文を唱えなくても現れるようになった。プンプンの願いを叶えたり質問に答えたりはせず、欲望を煽るようなことしか言わない。その正体はプンプンの自意識が見せた幻覚で、プンプン自身も成長するにつれて薄々感づいていた。 呼び出す呪文は叔父の小野寺雄一が教えたものだが、雄一自身もその事を忘れていた。

晴見 俊太郎 (はるみ しゅんたろう)

プンプンの、小学校時代の友人。眼鏡をかけている。遊び仲間の中心的人物だったが、夏休み明けに隣町へ転校し、以後のプンプンとの交流は不明。高校時代に恋人ができるが、自転車の二人乗りで事故を起こし、彼女の顔に傷を負わせてしまう。罪の意識から何度も入院先の病院を訪れるが面会できずにいた。偶然、入院していた小野寺プンプンママと知り合い、プンプンの母とは知らないまま打ち解ける。 プンプンママに励まされ、彼女の退院時には迎えに現れた。

関 真澄 (せき ますみ)

プンプンの、小学校時代の友人。家が弁当屋だったが、父親は店を閉め飲んだくれていた。小学生時代から冷めた言動が目立ち、幼なじみの清水にのみ乱暴だったが、中学では教師にも反抗的な態度が増える。中学以降はプンプンとあまり接触を持たず、清水とのみ行動を共にしていた。中学卒業後は進学も就職もせず、アルバイトをしながら生活。 「何でも屋」として殺人依頼を受けるが思いとどまり、依頼主からも取り下げられて安堵する。

清水 (しみず)

プンプンの、小学校時代の友人。夢想癖があり、独自に思い描いた神の幻覚を時々見ていた。幼なじみの関真澄と行動を共にしており、中学以降もよく会っていたが、次第に真澄との仲に違和感を覚え始める。

小松 (こまつ)

プンプンの、小学校時代の友人。遊び仲間の中では目立たない存在だったが、中学で入ったバドミントン部で才能を開花させ、市内最強とも言われた先輩の矢口マモルをも圧倒するほどに急成長する。さらなる上達を求めて日々真剣にバドミントンへ打ち込むが、融通が効かず徹底して勝敗にこだわる性格となっていった。県北大会の決勝戦で矢口と当たり、その気迫に先行を許すが、矢口のアキレス腱断裂により勝利を得る。

湯上 (ゆがみ)

プンプンの両親が離婚する際、手続きを担当した弁護士。いつも上体を傾けた姿勢で笑顔を浮かべており、よく「ウィッ」という奇声を発する。離婚調停がきっかけで小野寺雄一との交流が続き、二年後には雄一の唯一の友と言える仲になっていた。喫茶店で働いていた大隈翠に好意を抱き、以後雄一の目を隠れるように通いつめるが、雄一と翠が付き合い始めるのを見過ごすことになる。 雄一が失踪から帰ってきた時に再会するが、その時だけは「ウィッ」を言わずまともに話し合い、雄一を突き放すように立ち去っていった。

矢口 マモル (やぐち まもる)

プンプンが中学で入部した、バドミントン部の先輩。容姿が良く、田中愛子に告白され交際する。バドミントンでは市内最強とも言われる選手だったが、初心者だった小松の急成長に焦りを感じ、慢性化していたアキレス腱炎症も重なって調子を乱していく。ふとしたきっかけでプンプンと気さくに話し合う仲となるが、互いが愛子をめぐる三角関係にあると察し、愛子を得るため県北大会優勝を目指すとプンプンに宣言する。 県北大会の決勝で小松と戦うが、試合中にアキレス腱を断裂してしまう。

蟹江 梓 (かにえ あずさ)

プンプンの、高校一年生時の同級生。真面目な少女で、一学期の中間試験明けにカラオケを楽しむ友達に馴染めず、同じように冷めていたプンプンと意気投合する。姉が出展している絵画のグループ展へプンプンを誘い、結果としてプンプンが南条幸と出会うきっかけを作ったことになる。このグループ展への訪問が初デートとなるが、最期に欲望を暴走させてしまったプンプンに失望し、以後疎遠となっていった。

三村 雪之進 (みむら ゆきのしん)

プンプンの、高校一年生時のクラスメイト。常に陽気で遊び人に見える言動を続けているが、実際はいわゆる「高校デビュー」で童貞。プンプンを「オノッティー」と呼び、大学へ進学したにも関わらず卒業後もプイプイと交流を持つ。ジャンルは偏っているが漫画好きで、プンプンと南条幸の漫画制作を手伝う友人の一人となる。

田中 光子 (たなか みつこ)

田中愛子の母親。前髪を眉上で短く切り揃え、胸につくほどまで伸ばしたストレートロングヘアにしている。額の真ん中にほくろが一つある。精神的に不安定で、カッとなりやすい性格。そのため、ヒステリックな態度に出る事が多い。夫とは離婚しており、愛子と二人暮らししている。宗教法人「コスモさん健康センター」の熱心な信者で、愛子が小学生の頃から布教活動を行っていた。小野寺プンプンとは、プンプンが小学5年生の頃、引っ越して来たばかりの愛子と光子がプンプンの家に布教活動をしに来た事がきっかけで出会った。その後、足を悪くして家から出られない状態になり、愛子に頼りきりになるが、その頃には性格はより攻撃的になり、愛子に日常的に暴力を振るうようになる。こうして肉体的にも、精神的にも愛子を支配していたが、プンプンが20歳の時にプンプンと愛子が再会したのを機に、愛子が自分と距離を置くつもりである事を知る。そこで激高して愛子に暴力を振るって殺そうとするが、止めに入ったプンプンに首を絞められて気を失う。その後、愛子によってとどめを刺されて死亡した。しかし、プンプンはその様子を見ていなかった事から、長らく自分こそが田中光子を殺害したと思い込んでいた。

蟹江 美雪 (かにえ みゆき)

蟹江梓の姉。南条幸の友人の若い女性。前髪を目の上で切り、胸の高さまで伸ばしたロングヘアにしている。下がり眉で目の下にそばかすがあり、眼鏡をかけている。太目な体型で、動物をモチーフにした帽子をよくかぶっていたり、フリフリの服装など奇抜なファッションを好む。さらにやや下品な言動をするため、いつもふざけているように見られがち。しかし、実は観察眼に優れて周囲をよく見ており、幸の歪んだ一面についてもよく理解している。小野寺プンプンとは、プンプンが高校1年生の時、蟹江美雪と幸達が企画したグループ展に、プンプンが梓と共に訪れた事がきっかけで知り合った。その後、プンプンが18歳の時、幸に再会し、親しくなった事でプンプンとも友人として付き合う事になる。

八木 (やぎ)

小野寺雄一が28歳の頃に親しくしていた女性。当時は高校生だった。前髪を眉の高さで切り、顎の高さまで伸ばしたボブヘアにしている。色白で、左目の下に三つ、右目尻に二つほくろがある。一見すると物静かな雰囲気を漂わせているが、恋愛に対しては非常に積極的。また、目的のためには手段を選ばないところがある。高校1年生の雄一と出会う半年前のある日、クラスメートとのあいだにできた子供を妊娠し、堕胎する。これがきっかけで母親から、家にいる時は縄で縛られ監禁されるなどの激しい束縛と虐待を受け、苦しんでいた。その後、雄一を異常に気に入っている母親に連れられ、彼が講師を務めている陶芸教室に行った事がきっかけで雄一と知り合った。雄一とは出会ってすぐ、本の趣味が合った事で好感を抱く。そこで、現状から抜け出すためにある日雄一を誘惑したが、彼はそれに応じず、当時の恋人を選んだ事で絶望感を強める。そのため、代わりに雄一と同じ教室の講師である鷲尾を誘惑し、鷲尾に母親を殺させようとした。しかしそれは結局未遂に終わり、5年後は京都府の美大に進学。陶芸の勉強をしている。

宍戸 みすず (ししど みすず)

「宍戸建物」で働く中年女性。宍戸平六の娘。前髪を目の下まで伸ばして真ん中で分けて額を全開にし、肩につくほどまで伸ばしたセミロングヘアにしている。まじめだがやや言動がきつく、攻撃的になりすぎてしまう事がある。小野寺プンプンとは、プンプンが18歳の時に「宍戸建物」を訪れ、平六と親しくなった事で知り合う。当初はプンプンのようなフリーターを快く思っておらず、プンプンに優しすぎるお人好しな平六に対しても腹を立てていた。しかしプンプンが、「宍戸建物」でアルバイトを始めた事により、プンプンのまじめで努力家な人柄を知り、考えを改めた。そのため、平六が大ケガを負ってプンプンを「宍戸建物」で雇うのが難しくなったあとも、自分の人脈を使って別の仕事を紹介しようとした。

鷲尾 (わしお)

小野寺雄一が28歳の時に、同じ陶芸教室で働いていた若い男性。前髪を目の高さまで伸ばして真ん中で分けて額を全開にした短髪で、眼鏡をかけている。物静かで皮肉屋な性格をしている。陶芸家として非常に将来を期待されており、周囲からは、なぜ市営のカルチャースクールにいるのかと不思議に思われている。そのため、雄一にとってもあこがれの存在だったが、鷲尾本人は自分の作品にあまり価値を感じておらず、周囲にはそれが嫌味に映る事もあった。ある日、陶芸教室にやって来た八木に一目惚れをする。やがて、八木のためであれば何でもできると思い詰めるようになっていくが、そんなある日、八木が母親から虐待を受けている事を知る。そこで、八木の母親を殺害しようとするが、失敗に終わり、八木の母親は軽いけがを負う程度にとどまった。その後、八木が必死に止めた事もあって八木の母親は訴訟をせず、鷲尾は5年後、陶芸家として復帰した。

早乙女 (さおとめ)

南条幸の元夫の若い男性。前髪を目の上で切り、耳の下まで伸ばしたマッシュルームヘアにしている。テレビ関係の仕事をしており、自分を人生の成功者と認識している。そのため皮肉屋で意地悪な性格で、つねに他人を見下しており、必要以上に辛辣な言動をする。幸との離婚後も幸と交流を続けており、セックスもしていた。しかし、いつも天邪鬼で自分の思う通りにならない幸に複雑な感情を抱いている。小野寺プンプンとは、プンプンが20歳の時、幸の家で出くわした事がきっかけで知り合った。その際、幸と交際相手しているプンプンの事が気に食わず、意地悪を言って二人を怒らせた。幸が自分の子供を妊娠している事は知らない。

宍戸 平六 (ししど へいろく)

「宍戸建物」の社長を務める中年男性。前髪を真ん中で分けて額を全開にした刈り上げヘアにしている。下がり眉にたれ目で顔が長く、眼鏡をかけている。穏やかでお人好しな性格。小野寺プンプンとは、プンプンが18歳の時に「宍戸建物」へ物件を見に来た事がきっかけで知り合った。その際、前に住んでいた住人が部屋の中で死亡している、いわくつきの物件をプンプンに紹介するが、なぜそんなところにプンプンが住みたがるのか疑問を覚えた。そして入居以来、食事に誘ったり「宍戸建物」でアルバイトする事を勧めたりと、なにかとプンプンの世話を焼くようになる。また、宍戸平六がプンプンを食事に誘った事で、プンプンと南条幸は再会した。プンプンの人柄を非常に気に入っており、いずれはプンプンを「宍戸建物」の従業員として迎えたいと考えていた。そのため、プンプンに運転免許の取得や宅建の資格取得を勧めていたが、プンプンが20歳になる春、万引き犯と間違われて大ケガを負い、半身不随になってしまう。

書誌情報

おやすみプンプン 13巻 小学館〈ヤングサンデーコミックス〉

第1巻

(2007-08-03発行、 978-4091512185)

第2巻

(2007-12-28発行、 978-4091512598)

第3巻

(2008-06-05発行、 978-4091513335)

第4巻

(2009-01-30発行、 978-4091514134)

第5巻

(2009-06-30発行、 978-4091514301)

第6巻

(2009-12-26発行、 978-4091514790)

第7巻

(2010-09-30発行、 978-4091514998)

第8巻

(2011-02-26発行、 978-4091515100)

第9巻

(2011-10-28発行、 978-4091515292)

第10巻

(2012-04-27発行、 978-4091515377)

第11巻

(2012-11-30発行、 978-4091515438)

第12巻

(2013-06-28発行、 978-4091515490)

第13巻

(2013-12-27発行、 978-4091515551)

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