耳をすませば

耳をすませば

図書カードに書かれた名前しか知らない相手に惹かれていく中学生の女の子と、その周囲の人々の恋模様を描いた少女マンガ。続編として『耳をすませば 幸せな時間』と、スピンオフ作品として猫の男爵が登場する『バロン 猫の男爵』がある。

正式名称
耳をすませば
ふりがな
みみをすませば
作者
ジャンル
動物擬人化
 
 
恋愛
レーベル
りぼんマスコットコミックス(集英社)
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あらすじ

「天沢聖司」が気になる雫

読書が好きな少女、月島雫は、自身が通う学校の図書館に通い詰めていた。そして、いつも図書貸し出しカードを見るたびに、自分より先に同じ本を借りている天沢聖司の存在が気になっていた。そんなある日、夏休みに登校した雫は教室で、自らが図書館で借りた本を勝手に読んでいる少年の姿を見かける。さらにその少年から、これから読もうとしていた本の内容をバカにするような発言をされたことで、雫は腹を立てる。そんな中、雫は姉の月島汐から「天沢航司」という聖司に似た名前の知り合いがいると知り、ますます聖司の存在が気になっていく。穏やかな日々が過ぎていく中で、電車に乗った雫は、慣れた様子で乗り込んでくる黒猫に遭遇する。興味を抱いた雫は黒猫が降りた駅にいっしょに降り立ち、黒猫のあとをついていくことにする。黒猫は「地球屋」という名前のアンティークショップに入っていき、まるで導かれるように入店した雫は、オーナーの孫である航司と出会う。

雫と聖司の再会

ある日、月島雫は読書をするために訪れた県立図書館で、以前学校の教室で顔を合わせ、自らの借りた本の内容をバカにした少年と再会してしまう。そして雫と少年は、お互いに憎まれ口を叩(たた)き合う中、雫と少年が図書館を出ると予想外の雨が降っており、傘がなくて困る雫に対して、少年が駅まで送ってくれることになる。しかし、そこでも少年は雫に対して憎まれ口を叩き、二人は喧嘩(けんか)別れのようなかたちになってしまう。そんな中、アンティークショップ「地球屋」を訪れた雫は、自分とそりの合わない少年こそ天沢聖司で、彼はこの店を経営しているおじいさんの孫だという事実を知る。

お互いの好きなことを語り合う雫と聖司

ある夜、月島雫はアンティークショップ「地球屋」にある、猫の人形の男爵が購入されてしまう夢を見る。心配になった雫は、さっそく「地球屋」に向かう。男爵はオーナーであるおじいさんの思い出の品であり、誰にも売る気がないと知り、雫は安堵(あんど)する。そしておじいさんは特別に、男爵を太陽の光に当て、瞳が美しく輝く姿を雫に見せる。その様子に感動した雫の頭には、自然と物語が浮かび上がる。その帰り道、おじいさんは孫の天沢聖司が描いた油絵を見せる。聖司の描く絵にも心が震えた雫は、彼にその感想を素直に伝える。聖司は親からは医者になるように言われており、絵を描くことに反対されているものの、どうしても画家になりたいという夢を語る。そして、最近どの物語を読んでも、以前より感動できないと話す雫に対して、聖司は自分で書いてみればいいと提案する。こうして雫は生まれて初めて、小説の執筆に取りかかる。そんな中、聖司の最新作を目にした雫は、そのモデルが姉の月島汐に似ていることに気づく。

メディア化

劇場版アニメ

1995年7月15日、本作『耳をすませば』の劇場版アニメ『耳をすませば』が公開された。製作は株式会社スタジオジブリが担当し、監督は近藤喜文、脚本を宮崎駿が務めている。キャストは、月島雫を本名陽子、天沢聖司を高橋一生、月島汐を山下容莉枝が演じている。なお、原作では聖司は画家を目指しているが、劇場版アニメではヴァイオリン職人になることを夢見ているなど、キャラクターの設定に相違がある。配給収入は18.5億円。劇場版アニメのキャッチコピーは「好きなひとが、できました」。

登場人物・キャラクター

月島 雫 (つきしま しずく)

明るい性格でショートカットの髪型が特徴。緑町立向い風中学校の1年5組に所属。ファンタジーの物語が好きで、学校の図書室や県立図書館でいつも本を借りている。初めて地球屋を訪れた時に丸メガネを購入し、本を読む時に使うようになった。

天沢 聖司 (あまさわ せいじ)

図書館の本を、いつも月島雫より先に借りていた男子中学生。緑町立向い原中学校1年3組所属。初めて雫と話をした際に憎まれ口をきき第一印象は悪かったが、本来は絵画を趣味とする優しい少年で、徐々に誤解が解け惹かれあっていく。

月島 汐 (つきしま しお)

月島雫の姉で緑町立向い原中学校の卒業生。天沢聖司の兄天沢航司とは中学時代同級生で、卒業後も交際が続いている。

天沢 航司 (あまさわ こうじ)

天沢聖司の兄で、緑町立向い原中学校の卒業生。メガネをかけた、写真が趣味の好青年だが、高坂からは変人と呼ばれている。快晴の日に雨降りを予見したり、ゲタで町内を歩き回ったりと少し奇妙な行動をとることも多い。

ムーンとルナ

『耳をすませば』に登場する2匹の黒猫。地球屋の飼い猫で、ムーンがオスでルナがメス。月島雫が電車内で出会ったのはルナで、ムーンは天沢聖司にしか懐かない人見知りな性格。

男爵 (ばろん)

『耳をすませば』に登場するスーツ姿の猫のキャラクター。地球屋に置かれている猫の人形をモデルに、月島雫が書いた物語の主人公。スピンオフ作となる『バロン・猫の男爵』にも登場している。

原田 夕子 (はらだ ゆうこ)

月島雫の友人でクラスメイト。三つ編み2本のお下げ髪が特徴で、ソバカスに悩む思春期の女子中学生。杉村に恋しているが、杉村の所属する野球部の先輩・山崎に告白され困っていた。

杉村 (すぎむら)

野球部に所属する明るいスポーツマンの男子中学生。月島雫とは悪口を言い合うような間柄だが、密かに恋心を抱いていた。

高坂 (こうさか)

緑町立向い風中学校の養護教諭で、月島雫の理解者でもあり、図書室が閉まっている時でも鍵を開けて貸し出してくれる人物。

月島 靖也 (つきしま せいや)

月島雫の父親で、黒縁メガネをかけ、司書として県立図書館に勤務している。

おじいさん

天沢聖司の祖父で、地球屋の経営者。

集団・組織

緑町立向い原中学校 (みどりちょうりつむかいばらちゅうがっこう)

月島雫や天沢聖司らが通っている中学校。

場所

風街 (かぜまち)

月島雫の家からもほど近い位置にある駅。月島雫が電車内で遭遇した黒猫のルナがここで降り、追いかける雫を地球屋まで案内する形になった。

地球屋 (ちきゅうや)

風街にあるアンティークショップ。天沢聖司の祖父が経営している。

続編

耳をすませば 幸せな時間 (みみをすませば しあわせなじかん)

1995年に宮崎駿監督により映画化された、柊あおいの『耳をすませば』の続編。月島雫が中学3年の夏休みに体験した、不思議な出来事を描く。「りぼんオリジナル」1995年8月号に掲載された作品。 関連ページ:耳をすませば 幸せな時間

関連

バロン 猫の男爵 (ばろん ねこのだんしゃく)

猫の国に迷い込んだ少女・吉岡晴を不思議な猫の人形バロンが助け出すファンタジーな物語。柊あおい原作の漫画『耳をすませば』からのスピンオフ作品。 関連ページ:バロン 猫の男爵

書誌情報

耳をすませば 集英社〈りぼんマスコットコミックス〉

(1990-01-01発行、 978-4088535159)

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