孔雀王退魔聖伝

孔雀王退魔聖伝

先の大戦で天蛇王を鎮め、世界の滅亡を食い止めた孔雀が、再び一介の退魔師として活動する様を描く異能力バトル漫画。前作『孔雀王』の直接的な続編。序盤から中盤にかけてはオムニバス仕立てで、様々な怪異や妖魔と対峙する話が中心となるが、中盤以降は日本古来の神々である天津神の野望に立ち向かう長編へと移行する。ただし、この天津神編は話半ばで終わっており、続きは『孔雀王 曲神紀』へと持ち越されている(なお、『孔雀王 曲神紀』でも完結していない)。

正式名称
孔雀王退魔聖伝
ふりがな
くじゃくおうたいませいでん
作者
ジャンル
オカルト
関連商品
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概要・あらすじ

己の出自を巡り、世界の存亡をかけた戦いを制してしばらく後、裏高野の退魔師・孔雀は再び、日本各地で起こる怪異の解決や妖魔退治を行う日々を過ごしていた。攫(やまこ、山子)、武蔵坊弁慶、黒の箱船、それに暗黒神テスカトリポカと吸血鬼たち。様々な怪事件を解決していた孔雀の元に、ある日、一人の霊能力者・宣導涼子からの依頼が舞い込む。

それは彼女が出演したオカルト番組の関係者が、巨大な目玉の怪異によって次々と殺害されていくという凄惨なものだった。事件を解決するため、制作会社に乗り込む孔雀。だが、その背後に潜むものは予想以上に強大で、事件は複雑怪奇な様相を見せていく。敵は八百万の神、またの名を天津神。

古の昔、土着神であった国津神を滅ぼし、以来、日本を支配下に収めた彼らは、その戦いで自らも力を使い果たし、長い眠りについていた。だが、その天津神たちがいよいよ目覚め、最高神アマテラスの復活を目論んで蠢動しはじめたのだ。天津神の手は裏高野にも及び、長たる日光月読は捕らわれ、多くの高僧・退魔師が天津神の圧倒的な力の前に降るか殺される。

月読の救出にはどうにか成功したものの、孤立無援となってしまった孔雀は、天津神の野望を挫くため、神殺しを可能にする武器・スサノオの宝を探す旅へと出るのだった。

登場人物・キャラクター

孔雀 (くじゃく)

高野山と対を成す密法の総本山・裏高野に属し、この世の怪異を討ち祓うことを生業とする退魔師。本名を明という。慈空阿闍梨の愛弟子で、階級は第九階中僧都(ちゅうのそうず)。孔雀明王を守護神に持つが、通常の退魔師が守護神の術のみを使用できるのに対し、孔雀は不動明王、帝釈天(因駝羅)、摩利支天、地蔵菩薩など、守護神以外の神仏の術を操れる特殊な能力の持ち主で、霊力そのものも極めて高い最強クラスの実力者である。 また、伝説の大魔王・孔雀王の生まれ変わりであり、3対の翼と6本の腕を持つ姿に変化(へんげ)もできるが、この力は滅多に発現することはない。 さらに、本作では新たに国津神の王・スサノオに選ばれし者として、神殺しの力を得られるスサノオの宝を継ぐ資格も得ている。孔雀は当初、スサノオの宝を手に入れることに否定的だったが、邪悪な者の手に宝が渡ること防ぐため、また天津神を滅し人の世界を取り戻すため、宝のカギを探す旅に出る。

アシュラ

金髪碧眼の美少女で、純粋なる原アーリア人の容姿を備える。血と争いを巻き起こす魔神・阿修羅の血を引く忌児として、生まれてから12年間、インドの砂漠に立つ仏塔に幽閉されながら育ち、その後、邪悪な組織の手先となっていた過去をもつ。前作で孔雀に解放されて以降、彼の師匠である慈空阿闍梨の保護下に入り、孔雀を含めた三人で暮らすようになった。 日本での生活にすっかり溶け込んでおり、言動も元気な女子高生そのものだが、守護神・阿修羅の庇護は健在で、闇の炎を自在に操れる。ただ、たいした戦闘訓練を受けていないため、孔雀のように戦えない。裏高野が天津神に乗っ取られて以降は、生死不明となっている。

慈空 阿闍梨 (じくう あじゃり)

孔雀の師匠であり、幼い頃に両親を失った彼にとって父親のような存在。また、アシュラを引き取って以降は、彼女にとってもよき保護者となった。阿闍梨とは密教の階級で、退魔師たちを統率する高僧を指し、自らも極めて強力な退魔師だったが、先の大戦で右手を無くし、印を結べなくなったことから、退魔師としての力は失われている。 本作では物語に大きく関わる場面はないが、若かりし頃の悲恋物語や、かつてパチンコにどハマりしていた姿が短編として描かれる。

王仁丸 (おにまる)

金銭のために人を呪い殺す呪禁道師。サングラスをかけた筋肉質の大男で、鬼神の王・大暗黒天(摩訶迦羅、マハーカーラ)を守護神とし、鬼と人間の混血に由来する超人的な耐久力を備える。巨大な戦斧による肉弾戦と、紙片に神鬼を宿らせた式鬼(しき)による攻撃を得意とするほか、孔雀との合体技である大極波は非常に高い攻撃力を誇る。 また、黒い箱船事件の折には、大極波の応用形であるアシュラとの合体技大極火を披露し、事件解決の一助となった。ぶっきら棒で、荒っぽい口調だが、実際には仲間想いの頼れる男。

服部 遮那 (はっとり しゃな)

あの世とこの世の掛け橋となれる霊媒能力・幽玄の素質の持つ少年。その素質ゆえに関東神明会系の暴力団・鬼道会の会長・蛾王にさらわれ、鬼を支配できる魔刀・鬼一法眼刀の所有者にさせられる。その後、鬼一法眼刀を狙う源九郎判官義経の怨霊に憑依され、武蔵坊弁慶を引き連れて孔雀、王仁丸らと戦うが敗北した。 義経の憑依が解け、救出された後は幽玄の能力を鍛えるため、孔雀らの寺にて修行を開始。アシュラの短慮によって、福瘤観音の事件に巻き込まれるが、孔雀の助けが間に合い、どうにか事なきを得る。

(らん)

裏高野の実戦部隊・五輪坊のうち、風の部隊を司る女退魔師。『孔雀王 ─退魔聖伝─』では、女人堂の主である月読の身辺警護を担っている。風天神を守護神とし、風の術を得意とするほか、紫雲糸と呼ばれる極細かつ強靭な糸を用いて戦う。天津神による裏高野乗っ取りを、傷だらけになりながら慈空阿闍梨に伝えるが、その後行方不明となる。

月読 (つくよみ)

裏高野を統べる日光の妹で、かつての座主・薬師大医王の娘。裏高野の尼僧たちを束ねる、女人堂の若き主でもある。生まれつきの盲人だが、常人には見ることが不可能なものを知覚できるとされ、ハンディを感じさせないほどの立ち回りを見せる。あまり表に見せることはないが、孔雀のことを愛しており、彼にとって最善となるように行動する傾向がある。 天津神編では、オモイカネに憑依されるが、日光の死力を賭した攻撃で解放され、阿久谷の機転で裏高野から逃れた。

日光 (にっこう)

裏高野を束ねる座主で、薬師大医王の息子、月読の兄である。 裏高野が崇める神仏のなかでも最高位にある大日如来の守護を受けており、抜きんでた霊力を持つ。闇の抹殺を使命としており、闇に属するものには徹底的に戦いを挑むが、一方で闇の資質を持つ孔雀やアシュラに理解を示すなど、人の上に立つ器の大きさも兼ね備えている。 天津神編では、天津神の軍勢に抗しきれずに囚われの身となり、アマテラスが眠る天岩戸を開くため、霊力を抽出されていた。その後、死力を振り絞って軛を脱し、孔雀や月読を逃がすも生死不明となる。

蓮華 (れんか)

吸血鬼編から登場した裏高野の女退魔師で、円状の武器チャクラムを駆使するほか、護符を利用して守護神・勢至菩薩以外の術も行使できる。自分の強さに己惚れており、共同で事に当たった吸血鬼編では何かと孔雀と対立し、敵に与してまで己の強さを認めさせようとした。 吸血鬼・ジル・ド・レエに諭されて一時は改心し、裏高野に戻ったが、天津神編で ツクヨミの操り人形と化し、神楽の舞手アメノウズメとして再び裏高野に牙を剥く存在となる。

阿久谷 (あこや)

古来より裏高野とは水と油の関係にある出羽三山に所属する少年修験僧。猿丸上人の命で裏高野の内情を探っていたが、天津神の裏高野乗っ取りに巻き込まれ、囚われの身となる。その後、孔雀と月読の裏高野脱出に手を貸し、2人を出羽三山に導いた。ネズミと会話できるという特技を持ち、数万匹ものネズミを動員できる。

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