刑事が一匹…

刑事が一匹…

一匹狼の刑事が事件を追う姿と、事件を取り巻く人々の人間模様を描いた作品。『プロローグ 別件逮捕』、『牙の女王編』、『裏金を生む英雄編』、『冬のキリギリス編』、『赤い記憶編』の5編で構成されている。

正式名称
刑事が一匹…
ふりがな
でかがいっぴき
作者
ジャンル
警察官・刑事・検察官
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概要・あらすじ

美鳥県警中王暑の刑事・高円寺大樹は周囲の警察官がサラリーマンと化している中、組織に染まらず一匹狼を貫く男だった。強引にも見える捜査手法は三鷹純など同僚達の反発を招き、軋轢を生むことも度々。しかし高円寺は犯人逮捕に凄まじい執念を燃やし、追い詰める。彼の額に刻まれた古傷は、かつて実の姉が殺された時につけられたものだった。

登場人物・キャラクター

高円寺 大樹 (こうえんじ だいき)

短髪に逞しい身体、鋭い目をした男性。眉間を斜めに走る古傷がある。美鳥県警中王暑の刑事。後に銃器対策課へ移動する。周囲の警察官がサラリーマンと化した中、組織に染まらず一匹狼を貫く。どんな手を使ってでも容疑者を吐かせるなど強引な捜査をするため、無法者扱いされがちだが、被疑者逮捕に凄まじいほどの執念を見せる。 父方の伯母、姪の千菜の3人で大きな家で暮らしている。千菜の母である姉は8年前に起きた殺人事件で殺され、眉間の傷はその時についた。

三鷹 純 (みたか じゅん)

耳が隠れるほど髪を伸ばし、眼鏡をかけた優男風の男性。美鳥県警中王暑の刑事。東京大学を卒業後、ノンキャリ採用で警察官になった。優秀だが「刑事はサラリーマン」が持論で、同僚で一匹狼型の高円寺大樹とは真逆のタイプ。高円寺とは度々対立するが、一方で彼を本物の刑事として認め、組織の論理に従う自分に葛藤を覚えている。 地元のヤクザ・十東湖会の娘東湖加奈子と同棲している。後に彼女が子を宿したことで、刑事としての岐路に立たされる。

千菜 (ちな)

おさげ髪の少女。美鳥県警中王暑の刑事高円寺大樹の姪。母は高円寺の姉で、自宅に侵入してきた男に殺された。高円寺、高円寺の伯母の3人で暮らしている。屈託が無く、時に大人びた物言いをする。姉を殺されたことを深く悔いている高円寺の生き甲斐でもある。

立川 憲三 (たちかわ けんぞう)

『プロローグ 別件逮捕』に登場する。眼鏡をかけた中年男性。妻と娘がいる。平凡こそがすべてと考える慎ましい生き方をしてきた。バーのツケがたまっていたという理由で、詐欺罪で美鳥県警中王暑に逮捕され高円寺大樹の取り調べを受ける。実際は水沢加奈子殺人事件の容疑で、捜査のための別件逮捕だった。

小金井 (こがねい)

美鳥県警中王暑の刑事。いつも葉巻を咥えている。高円寺大樹、三鷹純の同僚で、対照的なタイプの2人をそれぞれ刑事として認めている。課長代理の荻窪英昭から、三鷹と東湖加奈子(ヤクザの十東湖会の組長の娘)を別れさせるよう命じられた。

梶山 めい子 (かじやま めいこ)

『牙の女王編』に登場する。黒いロングヘアーで前髪を切り揃えた女性。初登場時21歳。背が高く、周囲からモデルのようだと言われる容姿だが、時折密かに目に狂気が宿ることがある。食事は肉のみで野菜もパンも口にしない。美鳥食品中王工場に転職し、同僚となった堀アイコに特別な愛情を向ける。彼女から拒絶されると一転異常な憎しみを抱き、凶悪なストーカー行為に走る。 男達を操って襲わせるなど、残忍で狡猾な手口でアイコを追い詰めていく。捜査にあたる高円寺大樹達に対しては挑戦的な態度を取り、なかなか尻尾をつかませない。

堀 アイコ (ほり あいこ)

『牙の女王編』に登場する。初登場時21歳。美鳥食品中王工場に勤務する。梶山めい子から異常な愛情を抱かれる。当初は子どもの頃大事にしていた「ちいちゃん」と呼ぶ日本人形(九十九這子)に似ていたため、彼女に親近感を感じていたが、不気味さを覚え拒絶するとストーカー行為をされるようになった。いとこの火之村ユカに相談し中王暑に相談するが相手にされず、次第に追い詰められていく。 祖父・火之村一郎は殺人事件で逮捕され死刑となっている。気弱な性格だが、幼い頃から彼女を知る永吉によれば、火之村一郎の激しい気質を受け継いでいるという。

インパラ

『牙の女王編』に登場する。交番勤務の若い男性警察官。ヤクザに助けをもとめられた若者に対して何もすることができなかったところを高円寺に救われた。東京大学を卒業し、自己実現を目指してノンキャリ採用で警察官になったが、現実とのギャップに悩み、高円寺の後を追うようになる。本名は不詳だが、高円寺から草食という意味で「インパラ」と呼ばれている。

大月 信輝 (おおつき のぶてる)

『牙の女王編』に登場する。美鳥県警中王暑の署長。本部の意向に沿って部下の刑事たちを徹敵的に監視し、部下にあたる三鷹純、高円寺大樹を危険視している。署内に落ち度があった際は、マスコミに都合のよい情報を流して操作するなど組織の論理を最優先する。花好きで職場にも自宅にも花が溢れ、台詞の要所に花言葉が登場する。 一見若く、横柄な振る舞いと相まってキャリア(国家公務員一種採用)に見えるが、出世には苦労している。

東湖 加奈子 (ひがしうみ かなこ)

『牙の女王編』に登場する。ヤクザの十東湖会の組長の娘。刑事・三鷹純と同棲している。家でもたびたび高円寺大樹の事を口にする三鷹に対して、ふと寂しそうな表情を浮かべることがある。「梅本辰造殺人事件」の捜査の渦中に三鷹の子を宿す。

火之村 ユカ (ひのむら ゆか)

『牙の女王編』に登場する。初登場時21歳。東京で娘の小雪と2人で暮らしている。喫煙者。堀アイコとはいとこ同士。梶山めい子からストーカー行為を受けるアイコから相談を受ける。めい子とは同じ中学校で、彼女に関わった者が無残な最期を遂げていることを覚えていた。アイコを守るために動き出し、美鳥県警中王暑に告訴状を提出する。 以前はある雑誌でライターをしていた。美鳥県警中王暑の刑事高円寺大樹は、「梅本辰造殺人事件」の捜査の過程で、アイコが共に30数年前殺人事件で死刑になった火之村一郎の孫であることを知った。

国立 正春 (くにたち まさはる)

『牙の女王編』に登場する。短い白髪の男性。元美鳥県警中王暑の刑事。30数年前に起こった「九十九村狼男殺人事件」が起こった時捜査の渦中にいた。高円寺大樹に当時の顛末を教える。

永吉 (えいきち)

『牙の女王編』に登場する。白髪に髭を生やした老人。「梅本辰造殺人事件」を追う高円寺大樹が捜査の過程でたどり着いた人物。旧九十九村(現前田町)に伝わる日本人形「九十九這子」の最後の造り手。30数年前に起こった「九十九村狼男殺人事件」の容疑者・火之村一郎は弟のような存在だった。火之村一郎が死刑に処された後、彼の子ども2人を育てた。 後に梅本辰造が真犯人であったことを知る。

梅本 辰造 (うめもと たつぞう)

『牙の女王編』に登場する。何者かに殺され、美鳥県警中王暑の刑事高円寺大樹 が捜査に動いている。高円寺はこの事件を追ううちに、彼がかつて暮らした九十九村で30数年前に起きた「狼男殺人事件」との接点を見出す。

簑島 (みのしま)

『牙の女王編』に登場する。美鳥県警中王暑のベテラン刑事で高円寺大樹の同僚。堀アイコからストーカーの相談を受けるが、冷たくあしらう。その後火之村ユカから告訴状が出されても破り捨てていた。その後、アイコ、ユカが襲われる事件が起こる。自らの失態が署長の大月信輝の手で隠蔽されていく中、葛藤を抱えるようになる。

朝田 史子 (あさだ ふみこ)

ショートヘアーに丸眼鏡をかけた女性。毎朝新聞の記者。火之村ユカが殺された後、堀アイコに対して報道代表として単独インタビューをするが、警察発表が正しいという思い込みから真相を見誤ってしまう。その後、美鳥県警中王暑の刑事・高円寺大樹の助力によってアイコが記者会見を開き、自分の不明に気づく。

丹沢 清 (たんざわ きよし)

『裏金を生む英雄編』に登場する。高円寺大樹が美鳥県警中王暑から銃器対策課に異動した際、南国県警から美鳥県警生活安全部長に赴任し、彼の上司となった。地元のヤクザ・十東湖会に流れる銃を抑えるため、高円寺に対して銃の供給元・氷南組へのダイブ(潜入捜査)を命じる。

氷室 司 (ひむろ つかさ)

『裏金を生む英雄編』に登場する。金髪で端正な顔立ち、一見ホスト風の男性。南国県に根を張るヤクザ・氷南組の若頭。南国県警の刑事沢口豪とは幼馴染。豪に銃の摘発をさせる代わりに、要所に銃を流すという手法で利益を得ている。本心では氷南組に激しい憎しみを抱いている。刑事の高円寺大樹が潜入捜査のため、一匹狼のヤクザ「高寺」と名乗って氷南組に入り込んだ際、不審に思いながらも彼の能力を買うようになる。

沢口 豪 (さわぐち ごう)

逆立った髪に無精髭を生やした男性。南国県警の刑事。銃の取締りで年間50丁という圧倒的な検挙数を誇る。一匹狼の刑事・高円寺大樹が唯一デカと認める男。かつてはホシ(犯人)を抑える事が刑事の価値と信じ、身を犠牲にして事件を追っていた。しかし妻を病で亡くし、裏金作りに長けた者が出世するなど次々に逆境に見舞われる中、幼馴染でヤクザとなった氷室司と出会い、ヤラセ(自作自演)によって銃検挙の実績をあげるようになった。

氷南 忠信 (ひなみ ただのぶ)

白髪交じりの髪をオールバックにした男性。南国県にあるヤクザ・氷南組の組長。若頭の氷室司からは密かに憎まれている。潜入捜査のためにヤクザに扮した高円寺大樹が、様々な能力に長けていることに目をつける。

角川 正史 (かどかわ まさふみ)

南国県警の刑事で、沢口豪の同期。捜査そっちのけで勉強して昇任試験に合格し、沢口の上司となる。捜査費を裏金化して上層部に気に入られ出世する。沢口が銃器対策課に異動した後も同課の課長となる。異常な検挙数を上げる沢口に不信感を抱きながらも、検挙の度に捜査費が上乗せされるため、黙認している。沢口を止めるため美鳥県警からやってきた高円寺大樹を懐柔しようとするが、一蹴された。

今中 浩介 (いまなか こうすけ)

『冬のキリギリス編』に登場する。眼鏡をかけた気弱そうな青年。無職でアパートを追い出され、実家に戻る。回転寿司屋でヤクザ風の男に覚えの無い支払いをさせられそうになったところを高円寺大樹に助けられた。殺人事件で疑いをかけられたり、怪しげなアクセサリー販売を行う会社に就職して上司に逆恨みされたりと挫折の連続だったが、その都度高円寺に出会い、励まされる。

霧間 早希 (きりま さき)

『赤い記憶編』に登場する。肩まで伸びた黒髪の少女。初登場時高校1年生。2年前、大学教授だった父が、駅のホームから転落した殺人犯を助けそのまま轢死した。事故後、父が救った殺人犯を追っていた刑事・高円寺大樹と出会った。以前は明るく屈託ない性格だったが、この事故以来、つっぱった言動で容易に人と交わらないようになった。父の死は世間から美談として見られていたが、自分はある罪の意識を抱えるようになっていた。 電車の中で痴漢をされていた時に高円寺と再会する。

吉川 葵 (よしかわ あおい)

『赤い記憶編』に登場する。ストレートロングの少女。万引きをしようとしていたところを霧間早希に止められた。最初は彼女に反発していたが、無二の親友となる。一見仲睦まじい家庭に暮らすが両親に対して不信感を持ち、援助交際に手を染めていた。以前、早希の父と関わりが持ったことがある。

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