花もて語れ

花もて語れ

不器用で人見知りな佐倉ハナが、人々と共に朗読に打ち込む青春を描いたヒューマンドラマ。朗読協力・朗読原案として東百道が製作に参加している。

正式名称
花もて語れ
ふりがな
はなもてかたれ
作者
ジャンル
ヒューマンドラマ
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概要・あらすじ

ハナ(佐倉ハナ)は雲を見ながら空想するのが好きな少女。両親を亡くして、地方に住む伯母の佐倉遥に引き取られたが、引っ込み思案で口下手な上に方言の壁のせいで、まともに話すことができない。そんななか、テントの中で本を朗読する青年折口(折口柊二)に出会う。彼はハナの学校にやってきた教育実習生だった。

ある日、学芸会でナレーション役を務めることになった佐倉ハナは尻込みをするが、 折口ハナに朗読の才能を見出し、手ほどきをする。その後、朗読から遠ざかり22歳になったハナは上京し、ムーンリバーコーヒーに就職。相変わらずの引っ込み思案で声が小さく、怒られてばかりの ハナ藤色きなりの主催する朗読教室に出会う。

ある日、ハナは人事部長に得意先のファミレス大手レッドベリーの社長佐々木の元に連れて行かれた。娘の佐々木満里子が大学4年生の時から引きこもっているので、朗読で仲良くなって外に連れ出してほしいという。藤色きなりのアドバイスを受けてハナは佐々木満里子の元を訪れ、宮沢賢治作『やまなし』の朗読で彼女の心を揺り動かす。

自分が朗読に夢中だということに気づいたハナは、佐々木満里子と共に藤色きなりに入門する。その後ハナは、小学生の頃出会った折口が、藤色きなりの兄弟子だったということを知る。

登場人物・キャラクター

佐倉 ハナ (さくら はな)

ショートヘアーの女性。冒頭の回想シーンでは7歳。現在は22歳。神奈川県生まれ。両親を亡くして、地方に住む伯母佐倉遥に引き取られたが、引っ込み思案で口下手な上に方言の壁のせいで、まともに話すことができなかった。そんななか、テントの中で本を朗読する青年折口(折口柊二)に出会い、朗読の才能を見出された。 その後、朗読から遠ざかり大学の家政学部を卒業。ムーンリバーコーヒーに就職し上京するが、慣れない相手の前では、小声でしか話すことが出来ず、加えて不器用。ふとした偶然から、仕事の傍ら朗読家・藤色きなりが主宰する藤色朗読教室を知る。間壁人事部長からの紹介で、大口取引先・レッドベリーの社長の娘佐左木満里子を、朗読によって引こもりの状態から救い出し、以来彼女とは親友となる。 その後正式に藤色朗読教室に通い出し、朗読にのめり込む。折口との再会、佐左木満里子との確執など様々な出来事や壁を経て、朗読のステップを一歩ずつ登っていく。

佐左木 満里子 (ささき まりこ)

ショートヘアーの女性。初登場時26歳。大手ファミレスチェーン・レッドベリーの社長の娘。高校2年生の時に経験した妹・佐左木絵里子の死と、父親への不信感が後々トラウマとなり、就職活動を続けていた大学4年生から、5年にわたって引きこもり生活を続ける。レッドベリーの取引先ムーンリバーコーヒーの新入社員・ハナ(佐倉ハナ)の朗読がきっかけで外に出るようになり、ハナと共に藤色朗読教室に通うようになった。 彼女とは無二の親友となる。独自の朗読譜を書き込むなど分析的に読み込む朗読は、感性そのままで朗読するハナとは対照的。一番の親友。折口(折口柊二)に見出され、彼がプロデュースする朗読会に出演しスタッフとしても働き始めるが、このことによってハナとは一時隙間ができてしまう。

藤色 きなり (ふじいろ きなり)

前髪を切り揃えた和服姿の女性。プロの朗読家として活動する傍ら、藤色朗読教室を主宰する。公民館やカルチャースクールで6つの教室を受け持つが、それらを卒業したメンバーに対し、自宅兼教室を開放し、朗読の指導を行っている。偶然、見学に訪れたハナ(佐倉ハナ)の才能を見抜き、彼女の朗読を指導している。 折口(折口柊二)とはかつて、父・藤色智彦の下で共に朗読を習った兄弟子・妹弟子の関係にあった。

折口 柊二 (おりぐち しゅうじ)

髪がはねた男性。かつて教育実習生だった時に小学1年生のハナ(佐倉ハナ)と出会い、彼女に初めて朗読の手ほどきをした。ただし教育実習のカリキュラムはサボってしまう。藤色きなりの兄の友人で、彼女の父藤色智彦に朗読の手ほどきを受けていた。その後、小説家と朗読家を目指そうとしていたが、小説家一本に絞った末に挫折。 ラジオの制作会社に入り、ディレクターとなる。藤色きなりの推薦で朗読の日の演出家をつとめたことをきっかけで再び朗読の世界に戻り、自ら数々の朗読会のプロデュースをしている。藤色朗読教室主催の「朗読の夕べ」に出演したハナと再会するが連絡先も交わさずに別れ、共に出演した彼女の親友・佐左木満里子を抜擢して指導する。

山吹 (やまぶき)

長髪でつり目の男性。藤色朗読教室の受講生。初めて藤色朗読教室を訪れたハナ(佐倉ハナ)の朗読を聞き、惹かれるものを感じた。小さな劇団の役者で、演技の勉強の一環として朗読を習っている。ハナに様々なアドバイスをするうちに女性としての魅力も感じ、想い続けるようになる。 後に演劇の道に区切りをつけ、藤色朗読教室も辞める。

東雲 アカネ (しののめ あかね)

染めたロングヘアの女性。藤色朗読教室の受講生。本業はキャバクラ嬢で朗読はあくまで趣味だというが、秘密も多い女性。教室では朽葉のボケに対する突っ込み役だが、佐左木満里子が独自の朗読譜を書いていることをいち早く認めるなど、朗読に対する造詣は深い。同じ受講生の山吹がハナ(佐倉ハナ)に好意を持っている事を知り、彼の告白の手助けをしようとする。

若竹 (わかたけ)

白髪頭に眼鏡をかけた男性。藤色朗読教室の受講生。本業は総合病院の事務職。東雲アカネがいうには、以前は「睡眠薬」と呼ばれるほど、退屈な朗読だった。柔和で気の良い人物だが、朽葉に突っ込まれる度に眼鏡が割れ顔面蒼白になる。

朽葉 (くちば)

白髪にサングラスをかけた男性。よくパイプをくゆらせている。藤色朗読教室の受講生。職業は学者とも文筆業とも本人はいっているが、本当か分からない。建物の前で逡巡していたハナ(佐倉ハナ)を藤色朗読教室に引き込んだ張本人。ハナが佐左木満里子の家を訪ねた際には盗聴器を仕掛けるなど、妙な行動が多い。 教室での言動もボケなのか真面目なのかよく分からないことが多く、その都度アカネ(東雲アカネ)からツッこまれている。度々若竹の痛い処をついて、顔面蒼白にさせている。朗読教室では、感情を込めて発声する指導もしている。教室の主宰者・藤色きなりの父・藤色智彦とは親友だった。

佐倉 遥 (さくら はるか)

ショートヘアーの女性。ハナ(佐倉ハナ)の伯母(父の姉)。ハナの両親の死後、彼女を引き取って女手一つで育てた。上京したハナのことを大変に心配し、たびたび携帯電話に連絡をしたり、食材を贈ったりしている。独身主義者だが、9年間付き合っている男性(五十嵐)がいる。ハナが小学生の頃、『ごんぎつね』を朗読して先生を驚かせた事件があり、その時の朗読をそっくり真似できる程よく覚えていた。

天城 龍夫 (あまぎ たつお)

SCM(サプライチェーンマネジメント)本部調達チームに配属されたハナ(佐倉ハナ)の教育担当(OJT)。何かが見捨てられるのが苦手な性格で、物をなかなか捨てられない。幼少時、姉天城のぞみとともに母親、父親の双方から捨てられ、父の愛人であった女性に育てられた。ハナが出演した朗読会を姉の天城のぞみと共に聞きに行ったことをきっかけに、ハナの朗読を支援するようになる。

谷村 直樹 (たにむら なおき)

ハナ(佐倉ハナ)と同じ友咲小学校の卒業生。ハナが1年生の時6年生だった。学芸会で彼女のナレーションを聞き、「天才少女」と吹聴していた。現在は東京でバンドを組み、路上ライブをしている。上京したハナと偶然出会い、路上で朗読をしようという彼女の手助けをする。また、朗読会ではハナと自らのギターのコラボレーションで出演したり、ハナと親友・佐左木満里子が郷里を訪ねた際に同行するなど、共に時間を過ごすことが多くなる。 ハナに惹かれ始めている様子。

五十土 園子 (いかづち そのこ)

金髪で、前髪で目を隠した女性。かつて折口柊二や藤色きなりと共に、藤色きなりの父・藤色智彦の下で朗読を習っていた。折口柊二と藤色きなりしか話をしない極度の人見知りだが、圧倒的な朗読の才能があった。その後10年近くを海外で過ごし、朗読からも離れていたが、帰国してハナ(佐倉ハナ)と共に朗読コンクールに出場する。

クレジット

その他

東 百道

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