邂逅の森 新約マタギ伝

邂逅の森 新約マタギ伝

秋田、阿仁地方でマタギとして育った青年の半生を描く作品。熊谷達也による直木賞受賞小説『邂逅の森』を漫画化したものである。物語を貫く縦糸となるのは、並外れた巨体と高い知能を併せ持つツキノワグマのコブグマと主人公との対決だが、大正期を中心に、村田銃と呼ばれる単発の狩猟銃を主な武器に、山の獣を狩って生計を立てるマタギたちの生活、掟、狩猟の技などに加え、当時の東北地方の習俗なども詳細に描かれている。原作:熊谷達也、作画:近藤佳文。

正式名称
邂逅の森 新約マタギ伝
ふりがな
かいこうのもり しんやくまたぎでん
作画
原作
ジャンル
時代劇
 
その他歴史・時代
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概要・あらすじ

その精強さで知られる阿仁マタギの一員の松橋富冶は、兄や頭領らの先人たちに鍛えられながら狩りの腕を磨いていた。あるとき富冶は、獲物を求めて入った山の中で不死身かと思えるほどの生命力と狡猾さを持つ熊、コブグマに襲われる。兄の助けによりその命を拾った富冶だったが、マタギとして大きな屈辱を味わう。

さらに、村の地主の娘と恋仲になったことが発覚、村を追われ、鉱夫として生きることを余儀なくされてまうのだった。それから数年、鉱山で弟分となった男の村に招かれた富冶は、村の若者たちによる狩猟組を率いる立場となっていた。再びマタギとなった喜びを噛み締める富冶。その前に姿を現したのはあのコブグマだった。己の人生の全てをかけて富冶は巨獣と対峙する。

登場人物・キャラクター

松橋 富治 (まつはし とみじ)

阿仁マタギとして育った青年で、未熟ながらも優れた素質を持っていたが、地主の娘の文枝と恋仲となり妊娠させてしまったために、マタギとしての将来を失い、鉱夫として生きることになる。だが、鉱山で弟分となった小太郎の村に招かれ、その土地で再びマタギとしての生活を始める。巨体と狡猾さを併せ持つ熊、コブグマと三度にわたって対峙する。

松橋 富雄 (まつはし とみお)

富冶の兄であり優秀なマタギでもある青年。マタギの先達として富冶には厳しく当たるが、弟の才覚を誰よりも認めている。富冶がコブグマと初めて対峙した際に、富冶を救うために足を骨折している。

善次郎 (ぜんじろう)

富冶たちを率いる阿仁マタギの頭領。一生をマタギとして生きてきた男で、すでに老境に入りつつあるが、その腕は衰えていない。山の怖さを熟知しており、常に的確な判断を下す。

片岡 文枝 (かたおか ふみえ)

富冶が住む村の地主の娘。富冶と恋仲となりその子を孕むが、様々な事情により富冶と添うことをあきらめ、別の男の妻となる。

沢田 喜三郎 (さわだ きさぶろう)

富冶たちが猟に出た先の温泉地で知り合った富山の薬売り。熊の多い猟場の情報を教える代わりに、富冶たちから熊の胆を買い取りたいと申し出る。しかし、受け取った熊の胆の代金を踏み倒して姿を消してしまった。

滝沢 鉄五郎 (たきざわ てつごろう)

富冶が猟に出た先で出会ったマタギの男。兄がコブグマによって命を落しており、その仇を取るため、富冶と共にコブグマを狩ろうとする。

難波 小太郎 (なんば こたろう)

富冶が村を離れ、鉱夫として働いていた際に、弟分となった男。力自慢の巨漢である上に、粗忽で粗暴な性格のため周囲とトラブルを起こすことが多い。女郎として売られてしまった妹を買い戻すために、鉱山での仕事の合間に猟師のまねごとで稼いでおり、それに気付いた富冶は熊狩りに手を貸すことなる。 その際の富冶のふるまいに惚れ込んだ彼は、富冶を故郷の村へ招き、再びマタギとして生きることを勧める。

難波イク (なんばいく)

小太郎の妹。幼い時分に女郎屋に売られたが、小太郎が鉱山と狩りとで稼いだ金で自由の身となり、故郷の村に戻ってきた。実は女郎屋に入るその日に富冶と出会っており、その際に富冶からかけられた言葉を胸にしまっていた。小太郎の勧めで村にやってきた富冶と再会し、後に夫婦となる。

コブグマ

『邂逅の森 新約マタギ伝』に登場する野生動物。通常の個体に比べ一回り以上大きな体躯と、恐るべき狡猾さを併せ持った熊。足跡の一部がコブがあるかのように極端に膨らんでおり、そのため近隣のマタギたちからコブグマの名で呼ばれている。作中では明言されないが、舞台が東北であることとその体毛からツキノワグマと推測される。

集団・組織

阿仁マタギ (あにまたぎ)

『邂逅の森 新約マタギ伝』に登場する職能集団。秋田県阿仁地方を中心に活動するマタギの集団で、熊を主な獲物として狙う。その精強さ、腕の良さで他のマタギ衆とは一線を画す存在として知られている。

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