ちちとこ

ちちとこ

素直で明るいものの、すぐに物を壊してしまう息子と、今は優しいがかつては折り紙つきの不良だった父親。そんな2人の日常を描いたハートフルホームコメディ。うち子のデビュー作で、「月刊少年ガンガン」2013年5月号から連載が開始され、「ガンガンONLINE」でも2013年10月から連載された。

正式名称
ちちとこ
ふりがな
ちちとこ
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
関連商品
Amazon 楽天

世界観

舞台は現代日本。基本的に主人公親子の生活を中心に描かれており、特に重いテーマもなく何気ない日常描写がメインとなる。全体を通してほのぼのとしたゆるいコメディであり、作者のうち子は「お茶請けのようなマンガ」にしたいと語っている。

作品構成

「月刊少年ガンガン」および「ガンガンONLINE」では基本的に1ページマンガの構成となっている。しかし、「GGグランプリ」に投稿された作品や、コミックスに収録される描き下ろしは4コママンガで描かれることもある。なお、各コミックス巻末には次巻予告が掲載されているが、その内容はすべて嘘である。

あらすじ

日坂洋一日坂将は、一見どこにでもいる普通の父子。しかし、普段は穏やかで高校教師をしている洋一は元不良で、血を見ると理性を失う暴走癖がある。将は明るく聞き分けの良い子に見えて、何かにつけて家や家具を壊しまくる天然デストロイヤー。そして、将の母親である日坂真美は、将が1歳の頃、保育園に迎えに行ったまま迷子中という前代未聞の方向音痴。普通に見えてすべてが普通ではない、日坂家の日常は今日も続いていく。

連載経緯

本作『ちちとこ』は、「月刊少年ガンガン」誌上で行われている読切掲載権争奪企画「GGグランプリ」から生まれた作品。「GGグランプリ」へのエントリーおよび初掲載は2011年8月号。そこから5か月連続で読者の支持を集めて読切掲載を果たし、さらに2013年5月号から正式に連載が開始された。

単行本の装丁

コミックスの本体表紙にはカバー表紙の絵柄をネタにした描き下ろしイラストが、本体裏表紙には描き下ろしマンガが掲載されている。これらには、本作『ちちとこ』を舞台や演劇に見立てたような、メタフィクションが扱われることも多い。

登場人物・キャラクター

日坂 将 (ひさか しょう)

日坂洋一の5歳の息子。父親の洋一のことを「よーさん」と呼んで友達のように仲良くしており、また慕っている。幼少期にありがちなやんちゃで生意気なところはあるものの、基本的には天真爛漫で明るい性格の持ち主。しかし、テレビに登場するヒーローの真似をしたり、良かれと思ってやったことで家具や家電、食器などさまざまな物をよく壊してしまうトラブルメーカー。 また、1人では階段が降りれないほどの高所恐怖症だったり、乗り物にすぐ酔うなど子供らしいところもある。

日坂 洋一 (ひさか よういち)

日坂将の父親。はにかみ高等学校で世界史を教える教諭。また吉田悠希らのクラスの副担任も務める。将からは「よーさん」と呼ばれている。性格は温厚で人当たりも良く、面倒見も良い。また、妻である日坂真美が世界規模で迷子中のため、家のことをすべて1人でまかなっており家事スキルも高い。しかし、実は学生時代に不良だった時期があり、その頃のトラウマで、いまでも血やそれを連想するものを見ると理性を失くし、辺り構わず暴れまくるという悪癖を持つ。 その他、エンジンの付いた物に乗ると凶暴化したり、左腕に人には見せられない傷痕があったりする。暴走さえしなければ作中屈指の常識人ではあるため、ひたすらツッコミ役となっているが、自分の過去や家族絡みのことになると、途端にイジられ役になってしまう。

日坂 真美 (ひさか まみ)

日坂洋一の妻で、日坂将の母親。将からは「マミー」と呼ばれている。常識では計れない方向音痴であり、一度外出すると、目的地にたどり着くことはもちろん、家にも帰って来れなくなるほど。そのため、作中ではコミックス第1巻で一度、はにかみ保育園に将を迎えに来て以来、家はもちろん日本にすら戻って来ていない。洋一との馴れ初めは大学生時代、奇跡的に日本に戻って来た際に出会い、一目惚れされたため。 その後、「時間があったら付き合って欲しい場所がある」として実家に戻って家族に洋一を紹介。洋一が同じ大学に通うことになり、4年間、毎日大学への通学に付き合ってもらい、無事卒業した後にそのままなし崩し的に結婚した。将を産んだ後、言葉を教えるなど相手をする時だけは家にいたが、将が1歳の時に保育園に迎えに行くと出かけて、そのまま迷子になっている。 いまでも定期的に、世界中から家にお土産を送って来ているため、存命ではある様子。

向井 晶 (むかい あきら)

はにかみ保育園で日坂将と同じ組に所属する女の子。周囲からは「アキ」と呼ばれている。いつも困ったような半目の瞳が特徴。あまり自己主張をしないおとなしい性格で、言葉数も少ないが、将のことが好きで、そのことに関してははっきり答えることができる。鬱憤をためやすいことから、イライラが募ると周りが驚く突飛な行動に出ることもある。 特に父親から溺愛されているが、向井晶本人はそれを疎ましく思っており、父親関連のことになると意外な行動に出やすい。将来の夢は看護士さんになること。なお、「晶」という名前から、日坂洋一から男の子と思われていた時期があるという裏設定がある。

葵 大樹 (あおい たいき)

はにかみ保育園で日坂将と同じ組に所属する男の子。周囲からは「たっさん」と呼ばれている。非常に活発で元気な性格。特にボール遊びが大好きで、よく将を誘って一緒に遊んでいる。天然気味の将や、おとなしいがキレると怖い向井晶、おませな花岡恵という個性的なはにかみ保育園の園児たちの中では、一番常識的で頼りになる。 しかし、お化けや幽霊が怖くて1人で眠れないという弱点がある他、子供らしくデリカシーに欠ける部分もある。恵とは相思相愛だが、お互いに照れてしまって関係は進展していない。将来の夢はサッカー選手。

花岡 恵 (はなおか めぐみ)

はにかみ保育園で日坂将と同じ組に所属する女の子。周囲からは「めぐ」と呼ばれている。髪型は毛先が内巻きになった黒髪のミディアムヘア。実家が理容院を営んでいる他、父親から甘やかされ、バレエにピアノなど興味のあることになんでも触れさせる環境で育っており、ファッションや女の子らしさに人一倍こだわりが強い。勝ち気でおませな性格で、将来はお姫様になりたいというお嬢様だが、友達に気遣いもできる良い子。 実は葵大樹のことが好きだが、その性格ゆえに素直に好意を表せずにいる。

吉田 瑞希 (よしだ みずき)

はにかみ保育園で日坂将の隣の組に所属する女の子。また、日坂洋一の教え子である吉田悠希の妹でもある。非常に強気で口が悪く、わがままな性格の持ち主で、保育園で行われるお遊戯会の題目で葵大樹らと対立。だが、行動をともにするうちに、わがままで口が悪い部分のみが表面化しているツンデレであることが判明し、その仲を深めていくことになる。 一方、客観的に見てダメダメな兄のことはなぜか「優しくてなんでもできてカッコイイ完璧な兄」として慕っており、その前では途端に猫をかぶっておとなしくなる。ちなみに、本当になんでもできるイケメンで心優しい父親のことは「好みじゃない」と歯牙にもかけない。

室戸 聖司 (むろと せいじ)

日坂家のお隣さん。日坂将からは「むーさん」と呼ばれている。目が見えなくなるぐらいまでボサボサに伸ばした前髪と無精髭が特徴の男性。作家をしており、昼夜逆転の生活を送ることが多いため、日坂家とはあまり関係がなかったが、とあるきっかけから仲を深めていく。作中屈指の常識人であり、日坂親子をはじめ周囲の個性的な面々に対するツッコミで忙しい。 そのため、日坂洋一には「室戸さんがいると、変人の相手をしなくていいから楽」と高く評価されている。一方で、将などによく趣味で作ったお菓子を振る舞っているが、複数のお菓子の中にハズレを入れたロシアンルーレットを仕掛けるいたずらをするなど、幼稚な一面もある。日坂平助に惚れて数々のアプローチを仕掛けた後に、その正体を知って一時的に人間不信になるなど、異性関係にはあまり恵まれていない。 お菓子作りが趣味で、甘いもの好きという共通点から佐伯文吾とは仲が良く、電話番号を交換し、店にも足繁く通うほどの仲。

佐伯 文吾 (さえき ぶんご)

日坂洋一の幼稚園時代からの幼なじみで、ケーキ屋「cafe Teterasee」を営む男性。日坂将からは「ぶんさん」と呼ばれている。基本的には穏やかな常識人だが、思い込みが激しい一途な性格の持ち主で、洋一関連のことになると常識では考えられない行動を取る洋一信者。幼稚園時代、中性的な容姿に加えて気弱な性格であり、周囲からいじめられていた。 そんな中で、「さえちゃん」という愛称だった佐伯文吾のことを女の子だと勘違いした幼い洋一に守ってもらい、以降、洋一を慕って常に行動をともにするようになった。その信望ぶりはすさまじく、洋一の手作りセーターを1億円で買おうとしたり、自身の経営するケーキ屋の内装に額に飾った洋一の写真を貼りつけたりしている。 そもそもパティシエを目指したのも洋一の何気ない一言がきっかけである。その思い込みぶりは、職業柄、衛生面を気にするあまり、髪どころか眉まで剃り上げたという行動からも見て取れ、しかもそれを店員にまで徹底している。なお、現在は剃髪し眉なしなので強面に見えるが、髪がある時の写真を見た将によれば、かなりのイケメンだという。

向井父 (むかいちち)

向井晶の父親。日坂洋一たちの住む街で歯科医院を営んでいる。親バカというレベルを遥かに超えるほど娘を溺愛しており、仕事のない時には常にカメラを手にして、晶の行動を動画や写真に収めようとしている。この時は、コートを羽織って眼鏡をかけマスクを着けるため、不審者と間違われて警察のお世話になることも多い。だが、それでも晶を追うことを諦めない不屈の精神の持ち主。

向井母 (むかいはは)

向井晶の母親。娘を溺愛してカメラを手に追いかけ、しょっちゅう不審者扱いをされている夫の向井父とは異なり、かなりまともな常識人。日坂家や葵家、花岡家とは家族ぐるみの付き合いをしている。

葵母 (あおいはは)

葵大樹、葵晃太、葵草太の母親。髪型は明るい色のロングヘア。いつも髪をシュシュで後ろにまとめている。かなり楽天的で細かいことに執着しない性格の持ち主であり、朗らかで開放的な女性。同じはにかみ保育園に子どもを通わせている家族とは仲が良く、特に日坂洋一とは同じ男の子を持つ者同士意見があう。

葵父 (あおいちち)

葵大樹、葵晃太、葵草太の父親。サーフィンや釣りなどアウトドアの趣味を持ち、浅黒く焼けた肌が特徴。普段から本気とも冗談ともとれないようなことばかりを口にする自由人で、晃太や草太の授業参観で見かけた女性を口説いたり、正月にピザを焼いたりと常識に囚われず、好き放題に生きている。

葵 晃太 (あおい こうた)

葵大樹の兄で、葵草太とは双子。一卵性双生児であり、草太とは外見も性格も瓜二つだが、草太と違って目元のほくろがない。葵父の自由な遺伝子を受け継いでいるのか、いつも冗談を言ったり、その場の流れで適当な行動を取って周囲を惑わせてばかりいるお調子者。一方で、両親に誕生日を教えてもらっていないことや双子の見分けがついてないと言われても動じないなど、世間ずれしているのか、懐が深いのか、分からない部分もある。 なお、なかなかのイケメンで、学校では草太と並んでかなりモテるが、本人はあまり気にしていない。

葵 草太 (あおい そうた)

葵大樹の兄で、葵晃太とは双子。一卵性双生児であり、晃太とは外見も性格も瓜二つだが、草太の方は目元にほくろがあるため、そこで見分けられる。葵父の自由な遺伝子を受け継いでいるのか、いつも冗談を言ったり、その場の流れで適当な行動を取って周囲を惑わせてばかりいるお調子者。一方で、両親に誕生日を教えてもらっていないことや双子の見分けがついてないと言われても動じないなど、世間ずれしているのか、懐が深いのか、分からない部分もある。 なお、なかなかのイケメンで、学校では晃太と並んでかなりモテるが、本人はあまり気にしていない。

花岡母 (はなおかはは)

花岡恵の母親。長く美しい黒髪を持ち、いつも目を細めてにこやかに微笑んでいる穏やかな女性。自分の父親が営む理容院で働いている。自他ともに認める「可愛いもの」好きで、いわゆる少女趣味の持ち主。それが高じて、自分の働く理容院の内装をフリルなどの可愛いもので埋め尽くしたりする他、極めつけには花岡父、つまり自分の夫と結婚した理由も「可愛いから」だという。 ちなみに、理容師としては恵いわく「母の手にかかれば可愛くなるしかない」という謎の腕前を持ち、一度日坂将が花岡母によって髪を切ってもらうことになった時には、人が変わったかのように可愛く仕上げられていた。

花岡父 (はなおかちち)

花岡恵の父親。丸々とした体型に口ひげを蓄えた容姿の持ち主で、恵いわく「可愛い系」。花岡母もその可愛らしさに惚れて結婚したと言っており、その姿を見た日坂洋一は「テディベア系だ」と妙に納得している。性格は穏やかというよりおっとりしており、一人娘の恵を少々甘やかし気味。本人が望むことであればなんでもやらせてあげたいと言っており、その願いを叶えるべく奔走している。 不動産業を営んでおり、生活は裕福な様子。恵がお姫様になりたいと言い出したのを受け、伝手で石油王にコンタクトと取ろうとするなど、ちょっと度が過ぎた親バカぶりを発揮している。

花岡祖父 (はなおかそふ)

花岡恵の祖父。日坂洋一たちの住む街で理容院を営んでいるが、現在は花岡母にほとんど店を譲っており半リタイア状態。少々痩せ気味の体つきに細い顔、鋭い目つきにメガネをかけた、とっつきにくい風貌をしている。しかし、口数は少ないものの、見た目に反して面倒見は良く、また職人肌であるために今も花岡祖父を指名して店を訪れる客も多い。 花岡母の趣味で店内が可愛らしくアレンジされていることに対しても特に咎めることはなく、割とおおらかな心の持ち主である。ちなみに可愛い孫娘が気にかけている男の子として葵大樹のことを認識しており、見かけると「坊主頭にしてやろう」などと冗談交じりにちょっかいをかけるため、大樹からは苦手意識を持たれてしまっている。

吉田 悠希 (よしだ はるき)

日坂洋一が副担任を務めるクラスの教え子の1人で、はにかみ高等学校に通う男子生徒。学校の成績はお世辞にも良いとはいえないが、口から先に生まれたようなお調子者で変なところに頭の回る厄介な性格の持ち主。大学に入りたいと言いながらろくに勉強もせず、挙句に成績の悪さから補習まで受けることになる問題児であり、洋一を困らせている。 ちなみに、日坂将と同じはにかみ保育園に通っている吉田瑞希という妹がおり、瑞希からは「ハルくん」と呼ばれ、何故かパーフェクトな兄として慕われている。

宮地 (みやじ)

日坂洋一が副担任を務めるクラスの教え子の1人で、はにかみ高等学校に通う男子生徒。めったなことでは表情を崩さない冷静沈着な性格の持ち主で、その場のノリで生きるような吉田悠希の友人にしてお守役兼ツッコミ役。将来スクープカメラマンになるのが夢で、いつもスマホを持ち歩き、面白いことが起きれば写真を撮るのが趣味。 また写真はわざとスキャンダル風に仕上げ、誤解を生み出すように撮りたがる悪癖がある。なお、学業の成績は優秀で早くから大学への推薦入学を決めており、合格を決めた後は高校でもっぱら教諭の小野寺の茶飲み友達と化している。このため、洋一の過去の経歴についても詳しく、弱みを握っている。

仁科 (にしな)

日坂洋一が副担任を務めるクラスの教え子の1人で、はにかみ高等学校に通う女子生徒。髪型は明るい色のストレートヘアをしている。恋愛話が大好きな普通の女の子だが、少々ナーバスなところがあり、気が滅入っている時には少しだけ毒舌化する。パソコン、機械関係の操作は人並み程度に詳しいだけだが、機械音痴の洋一から頼りにされており、ちょっとしたことでもすぐ呼び出されて困惑気味。

那須 (なす)

日坂洋一が副担任を務めるクラスの教え子の1人で、はにかみ高等学校に通う女子生徒。外ハネのショートカットの髪型をしている。洋一の教え子の中では吉田悠希と並んで成績不振の問題児。高校生になって数学ではなく「算数が怪しい」と豪語しており、カッコつきの計算式が出てくると頭がこんがらがるという。なお、この件について那須本人は「文系だから」というこれまた頭の悪い言い訳をしている。

金子 (かねこ)

日坂洋一が副担任を務めるクラスの教え子の1人で、はにかみ高等学校に通う女子生徒。図書委員会に所属している。センター分けの黒髪ロングヘアにメガネをかけた優等生ルックスが特徴で、性格も真面目できっちりしている。委員会の仕事で図書室の仕分けを行っていた際、洋一が卒業した年度の卒業アルバムがないことに気付き、小野寺と手を組んで洋一を問い詰めた。

小野寺 (おのでら)

はにかみ高等学校で教鞭をとる初老の男性教諭。現在でこそ日坂洋一の同僚となっているが、洋一の学生時代から教職に就いており、当時は生活指導の担当教諭だった。洋一が不良だった頃のさまざまな面白エピソードを知っており、これをネタに洋一をからかうこともしばしば。実は柔道三段の腕前を持ち、かつてお礼参りを挑んだ洋一を返り討ちにして鎖骨をへし折った過去がある。

小池 (こいけ)

はにかみ高等学校に勤務する初老の女性教諭。あるきっかけで吉田悠希から没収した拳銃のおもちゃを日坂洋一が落としたのを見て驚愕。本物だと思いこんで警察を呼んで、事態を大きくしてしまう。

日坂 平助 (ひさか へいすけ)

日坂洋一の7歳年上の兄であるが、現在は「オネェ」さんになっている。オカマバー「キャサリン's BAR」を経営するママで、元警察官という経歴を持つ。「キャサリン」という源氏名を使用して、ほとんどの人にそう呼ぶよう強制しており、特に仲が良い人物からは「キャシー」とも呼ばれる。洋一が高校1年生の時、警官任務中に窃盗犯を華麗に逮捕した女性警官の姿を目撃し、心を打たれて「真の強さは女性性の中こそ存在する」とオネエに目覚めることになった。 なお、まだ男性であった頃の日坂平助のことを洋一は心から尊敬しており、平助がオネエになったことが洋一が不良の道に走ったきっかけとなっている。性格面で洋一からはかつての兄を神聖視されていたが、割ともとから無茶をやらかす性格であり、オネエになってからはそれに拍車がかかっているものの、根本のところは変わっていない。 女性としての見た目はかなりレベルが高く、洋一の隣人である室戸聖司が一目惚れしたばかりか、洋一の教え子の吉田悠希や宮地ですら、美人と評するほどである。

日坂母 (ひさかはは)

日坂洋一の母親。非常に我が強く、容赦のない性格の持ち主。ことあるごとに洋一のトラウマをえぐる行動、過去の恥ずかしい話を暴露する言動を繰り返すため、洋一から敬遠されており、めったに会うことはない。しかし洋一が風邪を引いて動けなくなり、日坂将に「ばーちゃんの家に連絡をしてくれ」と頼んだ時に日坂真美の実家ではなく、洋一の実家に連絡されてしまい、久々に再会することになった。 なお、洋一に対して風当たりが厳しいのは、過去に洋一が日坂母に心労をかけた意趣返しとしているが、単純に洋一の反応を面白がっているだけである。

日坂 太

日坂洋一の父親。穏やかで争いを好まない心優しき性格の持ち主。子煩悩であり、また孫である日坂将のことも大好き。しかし、洋一が実家に戻ることというより日坂母や日坂平助に会うことを敬遠しているために滅多に会えず、寂しい思いをしている。その想いが募ってか、洋一や将に会えるとなると正装して出迎えるというちょっと変わった価値観の持ち主。 非常に良い体つきをしており、年齢に似合わずムキムキの筋肉美を誇る。

和代 真弥 (わしろ しんや)

日坂真美の弟であり、日坂洋一の義弟。真美と同じく極度の迷子癖を持つ残念な青年。ただし、真美と違ってパスポートを持っていないため国外に出てしまうようなことはなく、さまよう範囲が日本全国にとどまっているのが不幸中の幸いである。洋一たちの暮らす街に迷い込むことが多く、そのたびに洋一に保護され、迷惑をかけるのがいつものパターン。 性格は極めて楽天的である一方、迷子になっても物乞いに身をやつすなどしてその場をしのぎながら生き抜く術も心得ている。最近になって学生時代に付き合っていた畑実里と奇跡の再会を果たし、まさかの結婚。以降も迷子癖は治っていないが、携帯電話を持ち歩いているため、連絡がとれるようになっており、まだ保護しやすくなっている。

和代母 (わしろはは)

日坂真美の実母。教育ママのようなフォックスタイプのメガネをかけた、見るからにきつそうな風貌をしている。性格は基本的には常識人であるものの、真美と結婚した日坂洋一について「真美と結婚するようなチョロい人」と評するなどかなり辛辣で腹黒い。かつて真美が幼少期の頃はその活動性の高さを褒めて育てる親バカであったが、迷子癖を発症。 これに懲りて第二子である和代真弥には徹底したスケジュール管理と言い聞かせ教育を行うも、やはり迷子癖になり断念。2人の育児に疲れてしまい、唯一まともに育った和代真奈に姉兄の管理を任せるようになった。

和代父 (わしろちち)

日坂真美の実父。スクエア型メガネに口ひげを蓄えた好々爺。和代母に比べて穏やかな性格の持ち主で、日坂洋一が家を訪れるたびに「ついに真美に愛想を尽かし離婚宣言をしにきたのではないか」と戦々恐々としている。まともに生活できないような娘と結婚してくれた洋一に対してはかなり心的配慮をしており、物腰は非常に低い。

和代 真奈 (わしろ まな)

日坂真美と和代真弥の妹。極度の方向音痴で迷子になってばかりの姉兄に比べて、かなりまともな性格の持ち主。幼い頃から親の言うことをきちんと聞く良い子で、すぐ迷子になってしまう真弥の保護者的な立場だった。しかし、たび重なる真弥の迷子捜索に心が折れ、「迷子になった真弥を探す責任を負いたくないため、彼が外出しているときは引きこもる」と、ほとんど家から出なくなってしまった。 ちなみに引きこもりといってもニートではなく、インターネットで家庭教師のアルバイトをしているため自活できるだけの労働はしている。寒いのが苦手。

畑 実里 (はた みのり)

突然、日坂洋一の家を訪れて和代真弥の婚約者を名乗った女性。黒髪ボブで前髪パッツンの髪型をしている。実は、真弥が高校時代に付き合っていた彼女であり、相思相愛であったもののちょっとしたすれ違いから自然消滅。その後、最近になって、実里の祖父が偶然真弥を発見したことで再会を果たす。これを運命だと感じ、再度交際を開始して婚約するに至っている。 なお、婚約した時にはまだ真弥の迷子癖のことを知らなかったものの、同じく迷子癖の妻を持つ洋一の経験談や想いを知ったことで前向きに。その後無事に結婚を果たす。日坂将などからは「のり」、真弥からは「みのりん」と呼ばれている。

大家 (おおや)

日坂洋一たちが暮らしているアパートの大家さん。日坂家の上の部屋に住んでいる。比較的温厚で物腰の柔らかい女性だが、なにかと騒々しい日坂家の日常にいつも困らせられており、度を過ぎた騒動を起こした際には注意をしにくる。普段は常識的な日坂洋一に対しては、好意的に振る舞うが、一度だけケチャップを見て暴走した洋一に遭遇しており、その際はしばらく避けたりもしていた。 なお、普段から周囲の人間から「大家さん」と呼ばれているが、部屋の表札には「高橋」とある。

桜井 桂 (さくらい けい)

日坂洋一たちと同じアパートに住む桜井家に生まれた新生児。まだ髪の毛も生えそろっていないほどの幼子で、桜井母が出産のために実家に戻っていたが、落ち着いて戻って来たことで日坂将らと初対面した。泣きだしても将が近くにいると泣き止むなど、なぜか将によく懐いており、これをみた桜井母から「将くんは桂のお兄ちゃんだね」と言われるようになっている。

桜井母 (さくらいはは)

日坂洋一や室戸聖司と同じアパートに住む女性で桜井桂の母親。室戸の上の部屋に住んでいる。桂が産まれるまで実家に帰っていたが、無事出産し、自身も落ち着いてきたためアパートに戻って来ることになった。帰ってからすぐに日坂将に会い、桂と仲良くしてあげてとお願いをする。桂が良く懐く将のことを「桂のお兄ちゃん」と評し、時折、桂の様子を見に来る将を暖かく出迎えている。

桜井父 (さくらいちち)

日坂洋一や室戸聖司と同じアパートに住む男性で桜井桂の父親。室戸の上の部屋に住んでいる。メガネをかけたおとなしそうな風貌をしており、性格もどことなく頼りない。桜井母が外出している時に桂の面倒を見るよう頼まれるも、育児が初めてであたふたし、泣きわめく桂をなだめることができないでいた。そんな様子をみかねた洋一や室戸に手助けをしてもらい、育児のノウハウを学ぶ。

三木 (みき)

はにかみ保育園に勤務するアラサーの女性保育士。主に日坂将らの組の担当をしている。もういい歳だが、恋人もおらず、出会いもないことにコンプレックスを抱いており、日頃からそれを自虐ネタにしていたり、園児たちの何気ない一言に心を痛めている。趣味は飲酒で、芋焼酎が大好き。

副園長 (ふくえんちょう)

はにかみ保育園の副園長を務める初老の女性。普段は滅多に顔を出さない。一度、日坂将が大事に育てようとしたこっこの卵を、そうとは知らずパンケーキの材料に使ったことがある。

こっこ

はにかみ保育園園舎の裏の鶏小屋で飼われている雌鶏。日坂将がことあるごとにこっこのことを気にかけており、何かと面倒を見ようとするが、連れ出そうとして逃亡させたり、勢い余って鶏小屋を破壊するなどなにかと裏目に出ることが多い。

吉田父 (よしだちち)

吉田悠希の父親。二重まぶたで憂いをたたえたような優しげな瞳、細く整った顔つきを持つイケメン。普段通り振る舞っていても、キラキラと輝くオーラに包まれて見える生まれながらのカリスマ性を誇る。しかも学生時代は暗記などをする必要がないほど地頭が良く、非の打ち所が見当たらないほどの人物である。趣味は馬術やフェンシング。趣味に打ち込みすぎて出会いがなかったことから吉田母とはお見合いで結婚。 子供たちのおもちゃにされながらも幸せそうに過ごしている。

吉田母 (よしだはは)

吉田悠希の母親。少々性格が歪んでおり、かつて吉田父とお見合いをした際、その完璧すぎる人柄とプロフィールに若干引きつつも、「今まで挫折を味わったこともなさそうなこの人の、挫折した時の顔が見てやりたい」と結婚を決意し、今に至る。現在は、悠希は吉田母と並んで父親をからかい、また愛娘である吉田瑞希は父親よりも悠希にゾッコンという状況になっており、吉田父のショックを受ける顔を見ては大笑いしている。

こっくりさん

一枚の紙に鳥居の絵と「はい」「いいえ」の選択肢、そのほか50音のひらがなを描いたものを用意し、特定の手順を踏めば召喚できるとされる霊の一種。召喚した後はコインを紙に置き、召喚者がそのコインに指を添えながら質問すると、力を入れずともこっくりさんの力によってコインが動き出し、質問に答えてくれるとされている。吉田悠希らがクラスメイトとお遊びで喚び出し、その中で吉田の「付き合って欲しい」という願いに「はい」と回答、吉田と付き合うことになった。 吉田によれば、その後も順調に仲を深めていっているようだが、夏休みは稼ぎ時で忙しいからと相手をしてくれないこともあるという。また、のちに「あなたは女性ですか?」と質問した際には回答がなく、性別も怪しい。

地井 (ちい)

宮地が地元で幼稚園の頃から一緒に育った幼なじみ。宮地からは「ちぃ」と呼ばれている。当初は会話上やシルエットでしか登場しなかったため、人物像が判然としなかったものの、のちに男であることが判明。宮地とは一緒に初詣に出かけるなど仲がいい。なお、大学のセンター試験で、吉田悠希の窮地を救い、知り合いになる。

早乙女 (さおとめ)

日坂洋一の学生時代の知り合いで、現在はキャサリン's BARでバーテンダーとして働く男性。強面で左の頬からアゴにかけて大きな切り傷痕がある。実は学生時代、洋一が不良だった頃に「例のバット」で洋一の頭を殴りつけ、大乱闘を引き起こした張本人。洋一自身はすっかり忘れていたが、日坂平助の手引きで再会し、互いに大人になったからと和解する。 現在では落ち着いた物腰の人物だが、子どもの扱いには慣れておらず、日坂将に相手をさせるととたんに動揺する。

実里の祖父 (みのりのそふ)

畑実里の祖父。実里の実家で兼業農家を営んでいる。農作業にでかけた時、道端で行き倒れている和代真弥を発見し、食べ物などを分け与える代わりに農作業を手伝わせることにした。これが実里と真弥の再会のきっかけとなる。

マキ

葵晃太のクラスメイトの男子。国語の宿題をやっていない晃太に騙されて自分がやった宿題を隠されてしまい、宿題忘れの仲間に引きずり込まれそうになる。みつくにとは別のクラスだが、お互い葵兄弟に迷惑をかけられている者同士気が合う。

みつくに

葵草太のクラスメイトの男子。そばかすのある顔が特徴。算数の教科書を忘れたという草太に請われて、自分の教科書を見せることになる。マキとは別のクラスだが、お互い葵兄弟に迷惑をかけられている者同士気が合う。

場所

はにかみ保育園 (はにかみほいくえん)

日坂将などが通っている保育園。いくつの組があるのかは不明だが、少なくとも将や向井晶、葵大樹、花岡恵の所属する「こっこ組」と、吉田瑞希の所属する組の2つがあることが分かっている。ちなみに現在進行中で世界規模の迷子になっている日坂真美だが、作中で一度だけ将を迎えにはにかみ保育園を訪れたことがある。 しかし、その時は長く会わないでいたせいで、将から「誰?」と聞かれてしまい、そのまま姿を消した。

はにかみ高等学校 (はにかみこうとうがっこう)

日坂洋一が勤務している高校。担当教科は世界史で、吉田悠希らの所属するクラスの副担任も務めている。学校は共学で、制服は男女ともにブレザータイプ。進学校ではないが学力は中程度で、大学に進学する生徒も多い。しかし、吉田や那須のようにかなり頭がよろしくない生徒も入学できているという謎がある。

cafe Teterasee

佐伯文吾が店長を務めるケーキ屋。駅の近くに立地し、味の評判は良い。外見は普通のケーキ屋だが、店員がすべて頭髪を剃り上げているという異様なお店。これは文吾が衛生面に気をつけるあまり頭髪と眉まで剃り落としており、店員もそれにならっているため。さらに、店内には店長である文吾が信望する日坂洋一の写真が至る所にディスプレイされている他、販売しているケーキには洋一の過去のエピソードにまつわるサブタイトルが付けられている。 なお、店員が全員ハゲであること、また店内に洋一の写真がかざられていることなどはもはやそういうものと受け入れられているようで、不文律になっている様子。洋一の誕生月にはケーキが全品10%オフになる。

はにかみ公園 (はにかみこうえん)

日坂洋一たちの住む街にある公園。敷地は割と広く、ボール遊びができる程度の広場や砂場、いくつかの遊具などが備わっている。日坂将たちの主な遊び場になっており、保育園がない時でもよくこの場所で遊んでいる。

キャサリン's BAR (きゃさりんずばー)

日坂洋一の兄であるキャサリンこと日坂平助が経営しているオカマバー。名刺に書かれている正式名称は「らぶりー小悪魔キャサリン's BAR」。スタッフはバーテンダーの早乙女を除いてすべてオネエ。室戸聖司と佐伯文吾はこの店の常連になっている。

市民プール (しみんぷーる)

夏休みを利用して、日坂家、葵家、向井家の面々で遊びに行ったプール施設。市民プールという名前ではあるが、ウォータースライダーや流れるプールなど充実のラインナップで敷地も割と大きい。なお、日坂洋一たちが遊びに行ったのと時を同じくして、吉田悠希や宮地も遊びに行っており、ばったりと遭遇することになった。

向井歯科 (むかいしか)

向井父が経営している歯医者。日坂将が乳歯の生え変わり時期を迎え、抜歯に行った。向井晶も定期的に歯の検診をしてもらっており、歯を抜きに来た将と出会っている。

コスプレ写真館 (こすぷれしゃしんかん)

はにかみ高等学校文化祭で、写真部、家庭科部の合同で出店された体験展示。家庭科部が縫製した衣装でコスプレを行い、その姿を写真部員が記念撮影するというもの。撮ってもらった写真が気に入れば現像してもらうことができる。日坂将を連れて訪れた日坂平助がお姫様衣装のコスプレをしたところ、写真部員を中心に絶大な人気者になってしまい、ほとんど貸し切り状態になってしまう。 挙句の果てに様子を見に訪れた日坂洋一は、コスプレのために服を剥がされてしまうなど一種の魔窟と化していた。

イベント・出来事

お遊戯会 (おゆうぎかい)

はにかみ保育園で行われたイベント。保護者たちを観客に、保育園に通う園児たちによる桃太郎の劇が披露された。ちなみに園児たちの演じる配役で不公平感が出ないよう、全員が桃太郎で同時出演するというオリジナルアレンジがなされているが、日坂将のみ例外で自ら進んで立候補した犬の役を演じることになった。

お祭り (おまつり)

和代家の近くで行われた夏祭り。何度目かの迷子になってしまっていた和代真弥を和代家に送り届けた日坂洋一と日坂将が、せっかくだからと観に行くことにした。ちなみにこの時、真弥と和代真奈も一緒にお祭りに出向いているが、普段は冷静でクールな真奈が、真弥の面倒を見なくてもいい解放感から想像以上のはしゃぎっぷりをみせる。

はにかみ高等学校文化祭 (はにかみこうとうがっこうぶんかさい)

はにかみ高等学校で行われた文化祭。日坂洋一はこの日は忙しいため、日坂将の面倒が見られないと言ったのに対し、日坂平助がそのお守りを引き受けて文化祭に訪れたため、大変な騒ぎになる。また体育館では佐伯文吾がボウズcafeを出店するなど、洋一絡みの複雑な人間関係が多くの生徒に暴露されることになった。

運動会 (うんどうかい)

はにかみ保育園で行われた保護者参加型の運動会。日坂洋一と葵父はこの時に初めて顔を合わせている。ちなみにこの運動会では、普段はおとなしい向井晶の足が速いことなどが判明している。

キャンプ

日坂家、葵家、向井家、花岡家の面々で行われたサマーキャンプ。サプライズで葵大樹の誕生日が祝われることになったが、同時に葵家の子供たちの誕生日がいつとは決まっていないという謎の慣習が明らかになる。

その他キーワード

根性焼き (こんじょうやき)

日坂洋一の左上腕部にあるもの。洋一が不良時代にやらかしたものであり、ひた隠しにしたい過去の産物。常に隠し通されていたためにどんなものかは不明だったが、市民プールに遊びに行った際、秘密が暴かれた。もとはと言えば佐伯文吾の勘違いと、洋一のちょっとした不注意によってできたものであり、別に望んでつけたものではない。

例のバット (れいのばっと)

日坂洋一が持っている金属バット。至るところがベコベコに凹み、全体に血痕のようなものが付着して汚れており、遠目には影や汚れで人の顔のようなものが浮かび上がっているように見える。「これを使って負けたことはない」という洋一のお墨付きの品で、公園での野球遊びのために日坂将が持ち出した。もともとは洋一の物ではなく早乙女が持っていたが、紆余曲折の末、洋一の手に渡っている。

ランドセル

小学校入学を控えた日坂将がプレゼントにもらったもの。父方の日坂家に帰郷した際に買ってもらったが、実は母方の和代家からも同時期にサプライズでプレゼントされてしまい、さらには世界規模で迷子中の日坂真美からも送られてきてしまった。ちなみに真美から贈られたのはオランダ製のスクールバッグ。

イチゴのバッグ

イチゴの形をしたショルダーポーチ。日坂将が向井晶への誕生日プレゼントとして贈ったもので、それ以来晶のお気に入りになり、外出時には常に持ち歩くことにしている。ただし、身につけたままの写真が残ると、その写真を見た向井父が嫉妬のあまり発狂してしまうため、写真を撮る時は手放すことになっている。

卒業アルバム (そつぎょうあるばむ)

日坂洋一が卒業した年度のはにかみ高等学校卒業アルバムのこと。学校の図書室には歴代の卒業アルバムのすべてが一部ずつ残されており、洋一の過去の伝説を小耳に挟んだ吉田悠希らが、洋一の学生時代の姿を見ようと入手した。図書委員の金子によって持ち出された。卒業アルバムの洋一の写真は至って普通の好青年の姿で残っていたが、なぜか二重張りになっており、吉田がそれを剥がそうとするも洋一自身に見つかって阻止される。 その後、本来の写真が明らかにされないまま、洋一によって焼却処分された。なお、この時紛失した卒業アルバムの件で、その後小野寺を巻き込んで一悶着起きることになる。

室戸のセーター (むろとのせーたー)

日坂洋一が編んだ手作りのセーター。いつも日坂将の相手をしてくれて、洋一にとっての天敵である日坂平助を隣家に招き入れ、佐伯文吾にさまざまな情報をリークしてくれる室戸聖司に対し、日頃の感謝の念をこめて贈ったもの。胸元に大きくアルファベットで「MUROTO」と書かれており、着るもののセンスが問われる逸品。 ちなみに文吾にとっては洋一の手編みというだけで価値があるらしく、半ば本気で1億円払って譲り受けようとしていた。のちに「SEIJI」という下の名前が入ったバリエーションも増えた。

完璧に起きるマン (かんぺきにおきるまん)

葵晃太、葵草太の双子が、夏休みの自由課題の題材として作ろうとした目覚ましギミック。目覚まし時計が鳴るとストッパーが外れて起動、さまざまな仕掛けを経由した後、枕で寝ている人物の額がお玉で叩かれる。しかし、いざ起動してみると、枕にきちんと頭が乗っていないとまったく意味をなさないことが分かった。だが、お玉がないことに気付いて困っている葵母に、葵大樹がお玉の所在を教えたため、当初の目標は達成されている。

マミーの茶碗 (まみーのちゃわん)

日坂家の食器棚の一番上の棚に置かれている日坂真美の茶碗。日坂洋一の茶碗とセットで夫婦茶碗になっている。洋一は家になかなか戻らない真美の身を案じつつ、使わない時でも毎日キレイに磨いて大事にしていたが、いつもキレイであることを不思議に思った将が触っている際、誤って手を滑らせ割ってしまう。普段はどんなことでも許す洋一だったが、この時ばかりは涙を見せ、洋一にしばらくの間、絶交を言い渡すことになる。

将の机 (しょうのつくえ)

日坂将がクリスマスプレゼントにもらった学習机。日曜大工にハマった日坂太がDIYで作ったもので収納力抜群。クリスマスイブの夜中に日坂洋一と日坂平助によって運び入れられ、組み立てられた。ちなみに太は、この机を作る際に出てしまった端材で、なぜか多数のダルマ落としを作っている。

アンケンジャー

日坂将や葵大樹も夢中になっている昆虫系変身ヒーロー番組。主人公のヒーローはアリがモチーフとなっており、敵方のモチーフはその他の昆虫となっている。ストーリーは壮大で特殊効果も派手だが、登場する必殺技は、隣のおばちゃんから借りた物干し竿で敵を撃破する「物干しブレード」や、向こう脛を蹴り上げる「アンケンジャーむこうずね」、肘の関節を捻ることで腕にビリッと電気が走ったようになる「アンケンジャーファニーボーン」など、なぜかどれもセコいなものばかり。 ちなみにコミックス第1巻の巻頭に掲載されているエピソードにおいて、将が物干し竿で窓ガラスを突き破ったのは、「物干しブレード」を真似したからである。

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