ぼくたちは勉強ができない

ぼくたちは勉強ができない

学園が誇る2人の天才美少女と、その教育係を命じられた努力型の秀才男子高校生を中心にしたラブコメディ。文系の天才少女と理系の天才少女が、それぞれ自分の適性と正反対の志望校を目指すことから始まるドタバタを描く。「週刊少年ジャンプ」10号(2017年2月20日号)より連載開始。

正式名称
ぼくたちは勉強ができない
ふりがな
ぼくたちはべんきょうができない
作者
ジャンル
ラブコメ
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あらすじ

第1巻

父親を亡くし、貧しい家庭で育った高校3年生の唯我成幸は、大学の学費が免除される「特別VIP推薦」を目指し、日々学業に励んでいた。理系の天才、緒方理珠と文系の天才、古橋文乃の存在に劣等感を感じつつも、成幸は自らの優秀さを示し、条件付きながら「特別VIP推薦」を勝ち取る事に成功する。しかしそこで出された条件とは、天才である理珠と文乃の「教育係」だった。簡単な条件と思いきや、二人の志望校は理珠は文系、文乃は理系と得意分野とは丸っきり正反対だった。苦手分野はとことん苦手な二人の教育にお手上げな心情になった成幸だったが、本気で夢を目指す二人の熱情に、「できない奴をわかってやれる男になれ」という父親の言葉を思い出し、二人の「教育係」として夢を共に目指そうと決意を固める。(問1.「天才と[x]は表裏一体である」) 

二人の「教育係」を担当する事となった成幸だったが、美少女なうえに、性格も個性的な理珠と文乃の教育は予想以上にハードだった。しかしそんなある日、成幸は二人がなぜ苦手分野を志望するのか、その理由を知る。二人の切実な思いを知った事で、成幸は教育係への決意を新たにする。(問2.「天才の憧憬は[x]である」) 

日曜日の朝、成幸の家に理珠と文乃が訪れていた。三人は休日を返上して勉強会を開いていたのだった。まじめに勉強をするはずだったが、無邪気な成幸の弟と妹の言葉で急速に成幸を意識する理珠と文乃。さらには土砂降りの雨によってすぐに帰る事もできなくなった二人は、成幸の家で夕ご飯をいっしょに取る事になった。(問3.「天才の来訪は[x]の一大事である」) 

成幸は「教育係」としての成果を学園長に報告した。すると学園長は、成幸の古くからの友人である武元うるかの教育も担当してほしいという。うるかは天才的な運動神経を持ち、水泳部の期待の星でもあるが、学業はからっきしだった。このままではスポーツ推薦でも進学できるかどうか怪しいため、成幸は新たにうるかの教育を担当する事になった。勉強嫌いなうるかを、成幸は何とか説得しようと試みる。(問4.「魚心あれば、天才に[x]心あり」) 

新たにうるかを加えて勉強会を開く四人であったが、最近、文乃の様子が少しおかしい。そこで文乃の様子をうかがっていたうるか、成幸、理珠は文乃がイケメンの山岡に告白されている場面を目撃する。文乃は丁重にお断りしたが、成幸は文乃の様子から何かに悩んでいる事に気づいた。成幸は文乃が受験勉強に集中できるように、悩みを解消しようと行動を開始する。(問5.「高嶺の天才は[x]に憂う」) 

理珠は小論文の提出を求められたものの、書き方がわからず途方に暮れていた。成幸の家を訪れ、小論文について相談していた理珠であったが、そこにうるかが訪れ、さらに停電になってしまう。トラブル続きの暗闇に陥った三人であったが、成幸が機転で即席ローソクを作った事で、三人は明かりを囲んで団欒する事ができた。(問6.「天才は[x]によって文明を思案する」) 

うるかは来週までに英単語50個を覚えなければいけなくなった。できなければ補習によって部活の時間が削られてしまうため、水泳好きのうるかにとって死活問題だが、勉強嫌いのため集中力が続かず、すぐに筆が止まってしまう。成幸はそんなうるかに対して一つの勉強法を思いつき、試してみる。(問7.「かくして天才どもは[x]を楽しむ」) 

第2巻

「教育係」としての成果を求められた唯我成幸は、次の中間テストで緒方理珠古橋文乃に平均点以上取る事が課せられた。結果を出せなければ教育係を下りさせられるという話を立ち聞きした理珠と文乃は、それぞれ中間テストに思いを馳せる。中間テストに自信を持てない理珠は、勉強会をするため実家に成幸を呼ぶ。文章問題に苦手意識を抱える理珠のため、成幸は一つのテクニックを伝授する。(問8.「誰が為に天才は[x]に抗う」) 

中間テストの結果が悪ければ、成幸が「教育係」を下ろされるという話を聞いた文乃は、いつも以上に力を入れてテスト勉強に臨んでいた。成幸のこれまでの努力が実を結び、調子がいいと感じていた文乃であったが、力を入れすぎた結果、テスト前日に風邪を引いてしまう。そんな様子の文乃を心配した成幸と武元うるかは、文乃の看病のため家を訪れる。二人の献身的な看護により、文乃はいつもの調子を取り戻して中間テストに臨む。(問9.「天才は[x]にも心通ずるものと知る」) 

成幸の事が気になっているうるかは、部活仲間に連れられて、かわいい服で着飾らせられた挙句、たまたま居合わせた成幸と二人っきりにさせられてしまう。意図せずデートのような時間を過ごして胸が高鳴るうるかは、ひょんな事からカップル限定イベントにも参加して、二人は距離を縮めていく。(問10.「それは乙女なる天才の[x]なる一日である」) 

いつも通りの日常を過ごしていた文乃であったが、ある日、体重計に乗った事で自分が太っている事に気づく。いつから太ったのか、自らの行動を振り返ってみれば、勉強会は意外にも誘惑だらけ。文乃は誘惑を振り切ってダイエットをする事を決意する。(問11.「かの数値は天才による[x]の応報である」) 

理珠の最近の行動を怪しんだ関城紗和子は、理珠が成幸と付き合っているのではないかと疑い始める。関城は事の真偽を確かめるため、理珠と成幸の勉強会に飛び入り参加する。成幸に迫るのを見せつける事で理珠の反応をうかがうが、理珠は無反応。自分の勘違いと思い始めた関城であったが、そこで関城は理珠の思わぬ一面に気づく。(問12.「彼女が天才に望むもの即ち[x]である」) 

球技大会の日。うるかは部活の練習で疲弊し、遅刻ぎりぎりで登校した。慌てて着替えようとするが、そこでうるかはブラジャーを付け忘れていた事に気づく。周囲に知れ渡るほど運動神経がいい事が、この時ばかりは裏目に出て、うるかは周囲から頼りにされる中、ノーブラである事を周囲に悟られないように動かなければならなくなった。(問13.「天才の焦慮は時に[x]と反比例する」) 

成幸達は、学習を目的とした2泊3日の強化合宿に臨んでいた。いつもと違った環境にテンションの上がる一同であったが、そんな中、理珠は無意識の内に成幸の行動に注目していた。自分でも気づかない内に成幸を意識していた理珠は、自分の感情を持て余し、つい成幸にも辛く当たってしまう。自分の行動を後悔した理珠は成幸に謝るため、成幸が興味を示していた山うどを集めて渡そうと思う。ところが、山うど集めに夢中になった理珠は、山の中で帰り道を見失ってしまう。一人心細い思いで落ち込んでいた理珠はであったが、そこに成幸が駆けつけて手を差し伸べる。(問14.「林間の天才は[x]に迷走する」) 

理珠を助けるため山の中を探し回った成幸は、事故で理珠とキスをしてしまう。成幸は気まずい思いをしつつも、何事もなかったかのように振る舞う理珠に合わせて、いつも通り接していた。そして二人は無断外出の罰としてお風呂の掃除を担当していたが、実は内心、慌てていた理珠のミスで女子達の入浴を招いてしまう。見つかったら高校生活が終了してしまう危機の中、理珠は成幸が見つからないように懸命に働きかけるが、全部裏目に出て事態はますます深刻になる。(問15.「浴場にうだる天才は[x]をさらける」) 

強化合宿が終わり、いつもの日常に戻った一同であったが、成幸が生徒指導室に呼び出しを受けてしまう。女教師の桐須真冬に山で理珠とキスをしていたのを見られた成幸は、不純異性交遊を疑われ、詰問されるのだった。理珠と文乃、うるかが成幸の弁護に訪れるが、全部逆効果に出て成幸はさらに追い詰められてしまう。しかし真冬は成幸が三人ときちんと信頼関係を築いているのを知り、成幸と少しだけ心を通い合わせる。(問16.「かくして前任者は天才を未だ[x]する」) 

第3巻

季節が夏に入り、夏服になって気分を一新させた一同。そんなある日、緒方理珠古橋文乃武元うるかの三人は、唯我成幸がお昼にパンの耳のみで食事をしているのを見かける。いつも成幸のお弁当を作っている妹の唯我水希が留守で、4日間は弁当がないという。料理上手なうるかはその話を聞き、朝早起きして弁当の差し入れをしようとするが、思わぬ邪魔が入ってしまう。(問17.「青春とは天才の熱意と車輪と[x]である」) 

三人の実力がメキメキと伸びた事で、成幸は「教育係」として充実感を感じていたが、ちょっとした世間話の中、友人に三人の中の「誰か」とキスをした事がバレてしまう。その話は一気に噂話として校内を駆け巡り、成幸が噓や隠し事のできない事もあって状況は一気に変化する。さらには文乃も様子のおかしいうるかと理珠を見て、彼女達の抱える悩みの正体に思い至る。(問18.「天才[x]たちはかくして勉強ができない」) 

一連の騒動で理珠とうるかの成績が下がり、「教育係」としての仕事が振り出しに戻った成幸は、文乃に相談をしていた。「女心」がわからない事を指摘された成幸は、「女心」を学ぶ決心をするが、その結論はどこかズレたものだった。そしてそこに、恋に悩むうるかが友達にけしかけられてやって来る。(問19.「天才と[x]は互いの空模様を思い做す」) 

眼鏡が壊れた理珠は、度の合っていない眼鏡をかけて登校していた。度が合っていないため、目を凝らして過ごす理珠であったが、周囲からはすごく不機嫌そうに見られて怖がられていた。さらには文乃もそんな理珠を見て勘違いをしてしまい、大きな騒動に発展する。(問20.「天才は不鮮明な世界の[x]たゆとう」) 

成幸は念願のスマートフォンを手に入れるが、機械に不慣れだったため扱いに苦戦していた。そんな中、成幸は理珠、文乃、うるかの三人と連絡先を交換して、受験勉強にもスマートフォンを活用しようとする。しかしその際のうるかの何気ない一言によって、思わぬトラブルに発展してしまう。(問21.「それは[x]の天才と繋がる禁断のものである」) 

ある日、木の枝から下りられなくなっている猫を発見した成幸は、猫を助けようと木に登った。たまたま通りかかった桐須真冬の助けもあり、無事に猫を助ける事に成功するが、真冬がその際に足をケガしてしまう。成幸は真冬をマンションの部屋まで送り届けるが、そこに待ち受けていたのは想像を絶するゴミ部屋だった。そして成幸は真冬の新しくも意外な一面を知る。(問22.「前任者の秘匿領域は[x]な有様である」) 

関城紗和子は理珠に誘われて、女子だけのパジャマパーティーに参加する。文乃、うるかも交えての交流に関城は不満を出しつつも楽しげに過ごしていた。しかし四人で勉強会を始めた結果、文乃達の勉強法は問題だらけで、関城は頭を抱える事となった。自分の手には負えないと悟った関城は最後の手段として、成幸を呼ぶ。(問23.「天才たちの花園に[x]は不可欠である」) 

「女心」の師匠として成幸の相談を度々受けていた文乃であったが、成幸の迂闊な行動に頭を抱え、ついつい説教してしまう。しかしその様子を見ていた人達から、文乃が成幸に迫っていると大きな勘違いをされてしまった。文乃はこの大いなる勘違いを解こうと必死になるが、無自覚な成幸の行動によって誤解はさらに加速していく事になる。(問24.「果敢なる天才は[x]の流説に抗う」) 

勉強に時間を割いたため、水泳の成績が落ちた事を気にしていたうるかは、夏の大会が近い事もあり、勉強と部活を両立させるべくいつも以上にがんばっていた。しかし無理をしすぎたために成幸の目の前で倒れてしまう。うるかを看病するため保健室まで運んだ成幸であったが、ひょんな事からうるかが好きな人が自分である事を知る。(問25.「事の発端は天才の[x]」なる敢闘である) 

第4巻

武元うるかが自分の事を好きな事に気づいた唯我成幸は、うるかの事を意識してしまい、うるかと接する際にギクシャクしてしまう。うるかの事が気になって仕方がない成幸は、思わずうるかの気持ちを確かめようとする。うるかは今の関係が壊れるのを恐れて、思わず違うと答えてしまう。(問26.「天才の一挙手一投足は時に[x]を翻弄する」) 

家が近所なため、帰り道に桐須真冬の住むマンションの前を通りかかった成幸は、なぜか炎天下のもと、真冬がマンションの前に座り込んでいるのを発見する。事情を聞くと、真冬はゴキブリが出て怖くて家に入れないと言う。真冬の家に入ると、またゴミ部屋へと戻っている事もあり、成幸は掃除とゴキブリ退治を手伝う事となった。(問27.「怖じる[x]に天才は憂い 彼は慮る」) 

成幸は、風邪で寝込んだ母親のため、母親の仕事の代役として働く事となった。しかしそこは婦人向けの下着売り場であり、恥ずかしがった成幸は、店長の計らいでマスコットキャラクターになって客引きをする事となった。だが、肝心の店長が急用で店を開けてしまう。こうして成幸は一人で店番をする事になるが、そんな時に限って訪れる客は知り合いばかりだった。(問28.「禁断の地にて彼は[x]が為奮闘する」) 

成幸にキスをされる夢を見た緒方理珠は、キスとは何なのか考え、悩んでしまう。理珠はその疑問に答えを出すべく、成幸と恋愛映画を見たり、相談してみたりして、その思いの正体を確かめようとする。そして理珠は成幸に対して思わぬ行動を取る。(問29.「天才は飽くなき探求の末[x]に至る」) 

理珠にキスをされかかった成幸は、理珠との距離を測りかねていた。また理珠の方も様子がおかしく、平常通りに接しながら、また成幸にキスをしようと近づく。そして遂に成幸は好奇心が暴走して奇行を続ける理珠に説教をし始める。(問30.「されどなお天才は[x]の究明に勤しむ」) 

夏休みに入ったが、受験生の夏休みは受験への準備期間。成幸は学園長の勧めもあって、無料で予備校の夏期講習を受ける事となった。学校の授業とは勝手の違う予備校の講習に苦戦するものの、となりの席で講習を受けていた生徒の小美浪あすみの助けによって事なきを得る。予備校の新たな出会いによって、受験生としてまた一つ成長した成幸であったが、予備校からの帰り道、ちょっとした偶然からあすみの意外な一面を発見する。(問31.「かの新天地にて迷える子羊は[x]と邂逅する」) 

強引な客引きによってメイド喫茶に連れ込まれた成幸であったが、成幸はそこで人気No.1メイド「小妖精メイドあしゅみぃ」として働くあすみと出会う。あすみの事情を聞いた成幸は、メイド喫茶のあすみを慕う店員達の頼みもあり、理科が苦手なあすみに勉強を教える事となった。勉強会で交流を深めていくあすみと成幸であったが、ある日、成幸とあすみの父親が偶然街中で出会った事で、あすみがメイド喫茶で働いているのがバレてしまう。そしてあすみが咄嗟についた噓により、あすみと成幸の関係は思わぬ展開を迎える。(問32.「先人はかくも愚直に[x]な明日を見る」) 

古橋文乃、理珠、うるかは夏期講習に合流したが、予備校の洗礼を受けた一行は死屍累々の有様となってしまう。先輩であるあすみの助言によって予備校での過ごし方を知った一行は、予備校の講習を有意義なものにしていく。しかし帰り道、一行は土砂降りに遭い、雨宿りのためにあすみの実家に立ち寄る事となった。そして文乃はそこで意外な事実を知る事となる。(問33.「天才と先人寄れば[x]の懊悩となる」) 

真冬は教師達との飲み会の帰り道、繁華街で偶然あすみに勉強を教えるためメイド喫茶に入ろうとした成幸の姿を見掛ける。成幸が補導されないように心配した真冬であったが、そこにあすみが現れ、現場はさらに混沌としたものへと変化する。実は以前からの知り合いであったあすみと真冬は、それぞれ意見を対立させ、成幸を取り合う事態になったのだ。(問34.「威厳ある前任者は時に[x]にかしづく」) 

第5巻

武元うるかに好きな人を聞いて以降、唯我成幸とうるかは二人っきりになると、気まずい思いをしていた。二人の悩みをそれぞれ別に聞いていた古橋文乃は、二人のために一肌脱ぐ決心をするが、文乃のアドバイスとフォローはなぜか全部裏目に出てしまう。焦った文乃はメールを送ろうとするが、慌てたあまり誤爆メールを送ってしまった。(問35.「人知れず天才は[x]どもの戯言に踊る」) 

家族が出かけて留守なため、家で一人留守番する事となった緒方理珠。今度こそ映画を見て感動しようと、一人で映画を見に行ったものの、それはホラー映画だった。怖くなって一人で留守番できなくなった理珠は、成幸に助けを求める。(問36.「時に天才は[x]に憂い孤独に仇をなす」) 

成幸は妹の唯我水希の誕生日が近い事から、日頃の感謝の気持ちを込めて、水希に手料理を振る舞いたいと考えていた。料理の経験の少ない成幸は、女子力の高そうな文乃に料理の教えを乞う。だが文乃は成幸に見栄を張ったものの、実は料理が大の苦手だった。文乃は理珠にメールで料理の助言を求めたが、文乃の誤字によって理珠は誤解し、事態はさらに混迷したものになっていく。(問37.「時に天才どもが砂上の[x]は連鎖する」) 

幼い兄妹達と共に夏の縁日を訪れた成幸は、縁日でいつもの面々と出会う。浴衣を着て遊ぶうるかと文乃。実家の手伝いで働く理珠と小美浪あすみ。さらには生徒を見張るという名目でこっそり縁日を堪能していた桐須真冬とまで遭遇して、成幸の夏の夜は騒がしいものとなる。(問38.「喧々たる夜に果たして[x]は勉強ができない」) 

成幸は、みんなの手伝いや迷子の子供の保護で縁日を駆けずり回り、終電を逃してしまう。そこに同じく終電を逃してしまった文乃と遭遇した二人は、旅館に泊まる事となった。一夜を同じ部屋で過ごす事となった二人は、平常に振る舞いつつもお互いを強く意識する。(問39.「天才の目に天の光はすべて[x]である」) 

成幸との仲を父親に疑われたあすみは、成幸に頼み込み、恋人っぽく過ごそうとする。しかし「本当の恋人」がどういうものかわからない二人は悪戦苦闘。そして自然な恋人っぽく振る舞うため、あすみは一つのアイディアを思いつく。(問40.「先人は己の選択に[x]をもって向き合う」) 

学校に書類を取り行かなければならないのに、真冬はうっかり自分の衣類を全部洗濯してしまった。書類を取り行くだけと自分に言い聞かせて、一ノ瀬学園の女子制服に身を包んで出かけるが、その姿を成幸に見られてしまう。真冬の事情を察した成幸は、学校のみんなに気づかれないように、真冬をサポートする事となった。(問41.「前任者の姿は時に青き[x]へと遡行する」) 

成幸は参加するうるかを応援するため、水泳大会に訪れていた。水泳には真剣に打ち込むうるかはいつもと違った様子で、成幸は驚きながらもうるかを応援する。その甲斐あってうるかは個人競技で優勝し、その勢いのままメドレーリレーに突き進む。しかし後輩が引き継ぎミスをしてしまったため、うるか達は高校生活最後のメドレーリレーで惜しくも優勝を逃してしまう。(問42.「水面駆ける天才は唯々[x]に映ゆ」) 

第6巻

水泳大会に応援に来ていた唯我成幸は、大会のあと、武元うるかに誘われて、二人が通っていた中学校を訪れていた。二人はかつての思い出話に花を咲かせながら、誰もいない夜の中学校を探検する。そして二人は今まで胸の奥に抱えていた思いをさらけ出し、少しだけ心の距離を近づける。(問43.「天才は時に[x]をともに分かち追懐する」) 

緒方理珠は予備校の模試に奮起して挑んだが、その結果は「E」判定と散々なものだった。一方、うるか、古橋文乃小美浪あすみの三人は、水着の話から胸のサイズの話をしていた。そこに理珠がやって来た事で、四人は胸のカップサイズと模試の判定を勘違いしたまま話をする。さらには模試の結果が気になる成幸が話に絡む事で、誤解とすれ違いは加速する。(問44.「天才と彼はその[x]なる判定に銘銘慮る」) 

成幸は炎天下のもと、鎮座する桐須真冬の姿を再び見掛ける。真冬は妹が来るから掃除をしようとした結果、逆にゴミ部屋へと戻ってしまったのだと話す。成幸はそんな真冬を助けるべく、部屋の掃除を手伝う。部屋が片付いて一息をついた二人であったが、そこに真冬の妹、桐須美春が到着する。思い込みが激しく、融通の利かない妹に誤解されるのを恐れた真冬は、成幸の存在を隠そうとするが、成幸の存在は結局バレてしまい、二人の関係を大いに誤解されてしまう。(問45.「彼女の[x]は前任者にとって晴天霹靂である」) 

真冬と成幸が恋人同士であると誤解した美春は、二人を引き離すべく、成幸をあの手この手で誘惑しようとする。しかし男性に免疫のない美春の行動は空回りし、真冬の無防備な行動に美春が逆に焦るばかり。さらには真冬は間違えてお酒を飲んで酔っ払ってしまった事で、美春は姉の知らない一面を見てしまう。(問46.「彼女はかくも妖姿媚態に彼を[x]する」) 

理珠と文乃は予備校でも、得意分野では天才としての名声をほしいままにしていた。苦手分野では相変わらず低空飛行なため、成幸に教えを乞う二人であったが、その姿を見た周囲は成幸が二人を超える天才と勘違いするようになる。「影の帝王」として噂されるようになったとは露知らず、成幸はいつも通り「教育係」としての仕事をまっとうし、あすみはそんな成幸を見守る。(問47.「露知らず[x]はその深淵をのぞかれるものである」) 

あすみの父親が再び二人の関係を疑い始めたため、成幸とあすみは恋人らしく振る舞うべく夏の海にやって来た。以前の経験を活かして恋人っぽく振る舞うものの、夏の海は思わぬトラブルだらけ。あすみは年上の女性として成幸をからかいつつも、二人で協力して難局を乗り切る。(問48.「渚に失せものありて先人は艶然と[x]する」) 

夏の海で無事にトラブルを乗り切り、あすみを送り出した成幸であったが、たまたま海に来ていた真冬と出会う。見れば真冬も水着が海に流されてトラブル中。成幸は真冬を助けようとするが、ちょっとした事故で今度は成幸の眼鏡が壊れてしまう。二人は状況を抜け出すためお互いに協力する。(問49.「それは九死の前任者に唯一[x]させるものである」) 

夏期講習の総まとめである勉強合宿に参加した文乃、理珠、うるか。3日間の行程を終了し、疲労困憊の三人だったが、旅館側のミスでうっかり男湯に入ってしまった。風呂に入りに来た成幸に指摘され、女湯に戻ろうとした三人であったが、そこに予備校生の男子が入って来る。成幸は何とかバレずに三人を逃がそうと奮闘する。(問50.「湯の花に咲くは天才どもが[x]の跡である」) 

前髪が伸びすぎたと思った理珠は、自分で少し切ろうとして、思いっきり失敗してしまった。新学期が始まり、登校して文乃とうるかに髪型の変化を聞かれるが、人からどう見られても気にしないと言い張る理珠。しかし理珠は無意識の内に成幸には見られたくないと思い、成幸を避けてしまう。そんな理珠の様子を見て、成幸も理珠に嫌われていると勘違いする。(問51.「天才は変遷する季節と[x]模様に憂う」) 

登場人物・キャラクター

唯我 成幸 (ゆいが なりゆき)

一ノ瀬学園に通う高校3年生の男子。成績優秀、品行方正で教師からの信頼も厚く、条件付きながら「特別VIP推薦」にも認められている。「特別VIP推薦」と引き換えに、古橋文乃と緒方理珠の「教育係」を引き受け、最初は二人の苦手分野でのポンコツ振りに匙を投げそうになる。しかし、「できない奴をわかってやれる男になれ」と言った父親の言葉を思い出し、二人の志望校合格を面倒を見る決意をする。まじめで面倒見のいい性格をしているため、徹夜でアドバイスをまとめたり、教育方針を作ったりして、徐々に二人に信頼されていく。のちに武元うるかの「教育係」も務める事となり、学校ではよく四人で勉強会をする事となる。「できない奴」の味方になる事を信条としているため、「才能」の味方である桐須真冬とは教育論が平行線であるが、教える立場から通じ合う部分も多い。また生活能力が皆無な真冬の素の顔を知っているため、度々真冬の部屋を掃除に訪れている。夏休み、予備校で知り合った小美浪あすみとは紆余曲折の末、偽者の恋人関係を築く事となり、あすみの夢を応援するため協力している。中学時代に父親と死別しており、母親が一人で家計を支えているため苦学生。そのため学費がかからない「特別VIP推薦」を勝ち取り、いい大学を出て就職し、家族に楽をさせてあげたいと考えている。また家が貧乏なため裁縫が得意となっており、弟や妹達が着る服を自作している。

古橋 文乃 (ふるはし ふみの)

一ノ瀬学園に通う高校3年生の女子。黒髪のロングヘアで泣きぼくろがある。現代文、古文、漢文において圧倒的な成績を誇る文系の天才。授業中ほとんど寝ているにもかかわらず、短時間で作った小論文が高評価になるほどの閃きを持ち、周囲からは「文学の森の眠り姫」の通称で呼ばれている。反面、理系では数式を見ただけで思考停止し、眠くなるという駄目っぷりを見せる。天文学を学ぶ事が夢で、亡くなった母親との約束を果たすため、星にかかわって生きたいと思っている。天然の毒舌家で、初期は唯我成幸にもズケズケと悪気なく発言していたが、なかよくになるにつれ次第に鳴りを潜めていった。しかし自らのスレンダーな体型にはコンプレックスを抱いているため、それに関する話題が出た時には未だに毒舌が出ている。他者の感情を慮る文系の天才であるため、武元うるかと緒方理珠が成幸に向ける感情の正体にもいち早く気づいた。以降は人知れず二人の相談に乗ったり、行動をフォローしたり、人間関係の潤滑剤として活躍している。周囲の人間関係の変化に胃を痛める日々を過ごしており、夏休みに入って以降は胃薬を常備するようになっている。また成幸からも、女心がわからないと相談を受けており、女心の「師匠」と成幸から慕われるようになった。食べる事は好きだが、実は自炊経験がなく料理が苦手。しかし女子としての見栄から成幸には、和洋中の料理が何でも作れると言ってしまっている。 

緒方 理珠 (おがた りず)

一ノ瀬学園に通う高校3年生の女子。眼鏡をかけた、小動物のようなかわいらしいタイプ。数学、物理の分野において圧倒的な成績を誇る理系の天才で、冷静沈着で理論派な性格から「機械仕掛けの親指姫」の通り名で呼ばれる。反面、文系では、感情を汲み取って、それを理論的に説明する能力に欠けており、現代文の問題を数式で導き出そうとするズレたポンコツっぷりを見せる。対戦式のアナログゲームが好きだが、対戦相手の感情を読み取るのを苦手としており、勝つ事ができない。そのため心理学を勉強してゲームに勝ちたいと思っている。実家はうどん屋を経営しており、勉強会ではうどんを差し入れに持ってきたり、暇な時間は家の手伝いをしていたりしている。唯我成幸の事を信頼し、徐々に意識し始めるが、自分自身の感情の正体に気づいておらず、空回りな行動を取る事が多い。学校の強化合宿では事故から成幸とキスをしているが、あくまで事故と割り切って付き合おうとしている。ただし、好奇心が強く、集中すると周りが見えなく性格が災いして、キスや恋愛が気になって一時期暴走していた。低身長にもかかわらずかなりの巨乳で、古橋文乃からはその事に強くコンプレックスを抱かれている。実はお化けが大の苦手で、ホラー映画を見た時は一人で留守番ができなくなるほど怯えていた。 

武元 うるか (たけもと うるか)

一ノ瀬学園に通う高校3年生の女子。黒髪で、日焼けした褐色肌に抜群のスタイルの持ち主。天才的な運動神経を持つ水泳部期待の星であり、あまねく水泳大会の自由形で優勝をかっさらっている事から「白銀の漆黒人魚姫」の通称で呼ばれている。だが、根っからの勉強嫌いで学業の方はからっきし。将来のオリンピック候補とまでいわれる運動神経を活かして「スポーツ推薦」を狙っているが、それすら危ういとされるほどの状況であった。そのため、のちに唯我成幸が「教育係」として担当する事となる。成幸とは中学校時代からの知り合いで、実は中学時代から片思いをしている。その様子は成幸以外の周囲にバレバレであるが、成幸が鈍感なのと、武元うるかが恋愛に関しては奥手なのもあって、付き合いは長いものの関係は進展できずにいる。成幸が緒方理珠、古橋文乃の「教育係」を務める事を知ってから、勉強会に参加するようになったが、当初はすぐに集中力が切れて勉強を嫌がっていた。しかし成幸がうるかに合わせた勉強法を考えた結果、少しずつ勉強に向き合い、成績を伸ばしている。普段は恋に友情に勤しむ年頃の乙女といった性格をしているが、水泳に関しては真摯で、真剣な様子を見せる。大会時の本気になったうるかの姿は天才そのもので、普段の姿とのギャップから成幸を驚かせた。意外にも家庭的な性格をしており、料理は得意。アスリートなため栄養学にも詳しく、成幸にお弁当を作った際には、栄養バランスと味を両立させた物を作っていた。 

関城 紗和子 (せきじょう さわこ)

一ノ瀬学園の女子高校生。化学部部長で理系の天才・緒方理珠をライバル視している。理珠が文系志望になったのは唯我成幸と付き合っているからだと当初は誤解していたが、のちに二人の様子を見て勘違いだと悟っている。素直になれないが実は理珠となかよくなりたいと考えており、成幸に勉強会に誘われてからは時々参加している。成幸の事は「教育係」として認めており、面倒な生徒を三人も抱え込んでいる成幸に関心している。 そのため勉強合宿では成幸のピンチを助けたり、パジャマパーティーではいい「教育係」であると語った。理珠が成幸に向ける感情には気づいており、何らかの形で自覚させ、応援してあげたいと考えている。実は感受性豊かで涙もろく、恋愛映画を見た時は大泣きをしていた。

桐須 真冬 (きりす まふゆ)

一ノ瀬学園の女性教師。感情を表に出さない知的美人で緒方理珠と古橋文乃の初代「教育係」を務めたが、「才能」を活かした進路を取るべきと早々に二人に進路変更を勧めた。本人は善意から進路変更を申し出たが、冷徹に正論を突きつけるやり方であるため理珠と文乃からは苦手意識を持たれている。周囲からは冷たいと誤解されがちだが、理珠が山で迷子になった時には人知れず山を駆けずり回って探すなど、根は教育熱心で生徒思いな性格。 また外面が非常によく周囲からは完璧な人間に思われているが、生活能力は壊滅的で、家ではジャージ姿で過ごし、下着はそこらに脱ぎ捨て、掃除をすれば逆に散らかるなどズボラなところがある。唯我成幸が家を訪れた時は足の踏み場もないほどの散らかりようで、掃除好きな成幸によって一度はきれいに片付けられたにもかかわらず、その後すぐにまた散らかっていた。 また虫が苦手でゴキブリが出た時は、自分の家に入れなくなるほど怯えていた。成幸の家とはご近所で、何度も成幸に家の片付けをしてもらったせいで、最近では成幸の方が家の内部に詳しくなっている。酒は一口口をつけただけで酔っ払うほどの下戸で、酔っ払うと普段とは逆に周囲の人を褒めまくる性格に豹変する。 学生時代はフィギュアスケートの選手として活躍していたが、一時の感情で選手としての時間を捨ててしまった事を強く後悔している。妹の桐須美春からも完璧人間として慕われ、フィギュアスケートの選手としての道に戻るべきだと思われているが、その話をされると不機嫌になる。

桐須 美春 (きりす みはる)

桐須真冬の妹。名門の東景女子大に通う女子大学生で、フィギュアスケートのエリジブル(アマチュア選手)としてメディア出演もしている。高校、大学と女子校で過ごした箱入り娘で男性に免疫がまったくなく、男性が側にいるだけで何かと過剰反応をする。状況を四文字熟語で説明する変わったしゃべり方をし、姉よりさらに完璧主義で融通の利かない性格をしている。 「できない人間」にはできるまで教えるという自他共に厳しい性格をしており、融通の利かない彼女のスパルタ教育を恐れて真冬も彼女に自分の苦手な部分を見られないように接している。このため桐須美春も姉は完璧な存在として信じて疑わず、強く尊敬しており、フィギュアスケートの世界にも戻って来てほしいと思っている。 掃除ができないのを隠した真冬と成幸の態度を教師と生徒でありながら恋人であると誤解し、二人を引き離すため成幸を誘惑しようとする。しかし男に免疫がないため空回りし、逆に成幸と真冬の余りに自然な姿から一時的に負けを認めた。

小美浪 あすみ (こみなみ あすみ)

一ノ瀬学園の卒業生の小柄な女性。年齢は19歳。実家の診療所を継ぎたい一心から国公立医大を目指しており、現在一浪して予備校に通っている。予備校の夏期講習を受けに来た唯我成幸と席がとなり同士になった事で知り合った。学費を稼ぐためメイド喫茶「HighStage(ハイステージ)」でアルバイトをしており、店では「小妖精メイドあしゅみぃ」と名乗っている。 ただし、仕事以外でこの呼ばれ方をするのは嫌っており、成幸からプライベートで「あしゅみー先輩」と呼ばれると機嫌を悪くする。普段は若干シビアで現実的な性格をしているが、店では萌え系メイドとしてキャラを作り客と接している。その甲斐もあって店員からも慕われ、店では人気No.1メイドとして地位を確固としたものにしている。 店の客引きに捕まった成幸にたまたまアルバイトしている姿を見られた事で、事情を話し、以降は成幸に苦手な理科の勉強を教えてもらう形で交流を深めていった。実は親にはメイド喫茶でアルバイトしているの秘密にしていたため、父親にバレそうになった時はたまたま近くにいた成幸を「彼氏」に仕立て上げ乗り切っている。そのため親に疑われないため定期的に「彼氏役」を成幸にお願いするようになり、二人で海に出掛けたり、デートに行ったりしている。 恋人関係は偽者だが、がんばり屋でなんだかんだで付き合いのいい成幸の事は気に入っており、時折年上の女性として小悪魔的にからかっている。

唯我 水希 (ゆいが みずき)

唯我成幸の妹。中学生。セーラー服にポニーテールが特徴。ブラザーコンプレックスで、兄のことをいつも心配している。家を訪ねた古橋文乃と緒方理珠に対し、当初は敵意をむき出しにしていた。料理が得意。

葉月と和樹 (はづきとかずき)

唯我成幸の幼い妹と弟。双子で葉月が姉で和樹が弟。元気いっぱいの明るい子供たち。家を訪ねてきた古橋文乃と緒方理珠になつき、兄である唯我の嫁に来てほしいと無邪気に言う。

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