中春こまわり君

中春こまわり君

大ヒットギャグマンガ『がきデカ』の20数年後を描いた作品。すっかり大人になったこまわり君こと山田こまわりが、些細で現実的な人生の問題や隠された犯罪などに遭遇しながら、大人として生きていく様を描く。一時小説家に転向し、漫画から離れていた山上たつひこにとっては漫画家としての復帰作でもあり、最初のエピソードでは江口寿史、泉晴起、田村信ら、豪華メンバーがアシスタントを勤めた。

正式名称
中春こまわり君
ふりがな
ちゅうしゅんこまわりくん
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
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概要・あらすじ

38歳になったこまわり君こと山田こまわり。かつての少年警察官も、今では妻と息子を愛するサラリーマンである。忙しくも平穏な日々だが、時には些細な事件も起きる。妻との口論、旧友の苦境、理不尽な上司、そんな現実の前には、こまわりの変態的なギャグ体質など大して役に立たない。こまわりは、大人として、やるせない現実と折り合いを付けながら、今日もどうにか生きていくのだった。

登場人物・キャラクター

山田 こまわり (やまだ こまわり)

38歳。妻圭子との間に一子を授かっている。金冠生生電器営業部勤務。『がきデカ』で見せた変態ぶり、ギャグ体質は健在だが、大人になったことで常識的な態度も身に付けている。物事に対する独特の視点を持っており、それが他人の秘密や隠された過去を暴くことも多い。

山田 圭子 (やまだ けいこ)

山田こまわりの3歳年下の妻。基本的にはよき妻だが、こまわりの子供時代の奇行を嫌っており、一時は息子の教育を巡って夫婦仲が険悪になったことがある。またこまわりの母親とは非常に折り合いが悪く、義利の両親との同居ははっきりと拒否している。

山田 登 (やまだ のぼる)

山田こまわりの一人息子。母親似の普通の少年で、こまわりの変態性や異常な身体能力は受け継いでいない。将来の夢は僧侶と語るなど、やや風変わりな面もあるが、両親のことは慕っている模様。付き合っている女子もいるらしい。

西城 良夫 (さいじょう よしお)

山田こまわりの同僚。小学生時代からの親友で、山田こまわりの良き理解者。幼馴染のモモ子と結婚し、二児の父となっている。子供の頃は明朗快活な美少年でこまわりに対する突っ込み役だったが、仕事に忙殺されているためか、ややくたびれている。

西城 モモ子 (さいじょう ももこ)

西城良夫の妻で旧姓は「木ノ内」。夫と同じく山田こまわりとは小学生以来の付き合いで、現在も家族ぐるみの友人である。

木ノ内 ジュン (きのうち じゅん)

西城 モモ子の妹。子供の頃はこまわりの変態行為にもひるまない明るい女の子だったが、男運が悪く、二度にわたって結婚に失敗。すっかり不幸体質が身に付いてしまい、こまわりや西城を心配させている。

業腹 幸雄 (ごうはら ゆきお)

木ノ内ジュンの2度目の夫。見た目は悪くないが、浮気性で甲斐性無しのロクデナシである。別れた後もジュンに依存し、家人の世話などを任せている。後にジュンを利用して資産家真下新二の殺害を謀り、逮捕されてしまう。

伊藤園 介三郎 (いとうえん かいざぶろう)

木ノ内ジュンの最初の夫。14年前にジュンと離婚し、現在は別の女性と家庭を築いている。しかし、ジュンのことが忘れられないのか、不幸な状況にあるジュンの様子をこまわりと西城に伝えてきた。

真下 新二 (ました しんじ)

木ノ内ジュンの愛人。有能な企業家であり、芸術にも造詣が深い人物。ジュンと深い仲になってしまったが、本人は大人同士の節度ある付き合いを続けているつもりであるらしい。業腹幸雄は、彼とジュンを心中に偽装して殺害しようとしていた。

山田 常雄 (やまだ つねお)

山田こまわりの父で、現在は定年退職し妻と2人暮らし。老境に入り、こまわりの変態行為で賑やかだった昔を懐かしく思っている。現在の悩みは、妻と嫁の間が険悪なこと。

山田 としえ (やまだ としえ)

山田こまわりの母。あらゆる面で嫁の圭子とはそりが合わないらしく、台詞のほとんどが嫁に対する不満ばかり。圭子の方でも、姑を毛嫌いしており、両者の関係修復はこまわりにも難しいようだ。

六高寺 吉次郎 (ろっこうじ きちじろう)

山田こまわりの妻圭子の父。はげ頭に大きな口ひげを蓄えている。その容姿は山上たつひこによるポリティカル・フィクション『光る風』の登場人物に酷似しており、それを意識したギャグを頻繁に口にする。

六高寺 直久 (ろっこうじ なおひさ)

山田こまわりの妻圭子の弟。おろちビール商品開発研究所勤務。なんでもそつなくこなしていくタイプの男で、要領の悪さを自覚している父の吉次郎とは思春期以来微妙な関係であったらしい。

あべ 美智子 (あべ みちこ)

山田こまわりの小学校時代の担任教師。こまわりが通風治療のために出向いた病院で再会した。清治という恋人と結婚したはずだったが、ずいぶん前に別れており、現在はひとり暮らしらしい。酒に溺れ、だいぶ生活も荒れている模様。

福島 (ふくしま)

山田こまわりの小学校時代からの友人で、商店街で鮮魚店福島を営む。一男一女の父。顔を見せるたびに売り物の魚や貝を盗もうとするこまわりに手を焼く。

栃の光 (とちのひかり)

山田こまわりが行きつけにしている日本料理店「狗」の店主を務める犬。『がきデカ』に登場した栃の嵐の孫で、人語を操り包丁さばきも十全である。人間の妻夏代と息子浩、さらに認知症となりほぼ寝たきりの栃の嵐と共に暮らしている。また、店では板前として土佐犬を雇っている。

親方 (おやかた)

山田こまわりが常連になっている寿司屋すしの猫又で親方を務める猫。相当に苦労して店を出したらしいが、気に入らない客には爪から猫毒を出して寿司を握ろうとする。

土肥 (どひ)

仕事で北陸に向かった山田こまわりの前に現れた謎の男。仕事を終えたこまわりの行動を逐一追うように、何度と無く姿を現す。実は妹を殺した犯人を追っており、能登の鬼浜で偶然こまわりと知り合った漆器店の店員西沢が、その犯人であった。

西沢 章 (にしざわ あきら)

能登の鬼浜にある漆器店の店員。客としてやってきたこまわりを、漆芸作家の林紅魚の工房に案内する。男性の装いだが実は性同一性障害の女性であり、過去に土肥の妹を殺害していた。性を偽っているという己の秘密を知り、それを楽しむような行為をくりかえす知人保坂俊一も殺害しようとする。本名は近藤浩子。

保坂 俊一 (ほさか しゅんいち)

能登の鬼浜で、水産加工会社を営む中年男性。目と足に障害がある。干物を買いに会社へ訪れたこまわりと意気投合し、自費制作した志賀直哉の小説朗読テープを渡す。こまわりはこのテープを聴いて違和感を覚え、再び能登へと向かうことになる。

林 紅魚 (はやし こうぎょ)

能登の鬼浜に住む漆芸作家の女性。その作風に惹かれたこまわりが、習作である胡麻竹塗花筒を格安で譲ってもらった。西沢章とは恋人同士。

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