風夏

風夏

人見知りで目立たない少年が、明るく音楽好きの少女と出会い、ロックバンドを結成。プロミュージシャンになる夢を追いかけて奮闘する姿を描いた青春音楽ストーリー。講談社「週刊少年マガジン」2014年第14号から2018年18号まで連載の作品。

正式名称
風夏
ふりがな
ふうか
作者
ジャンル
バンド
 
ラブコメ
 
その他芸能・音楽
 
恋愛
レーベル
講談社コミックス(講談社)
巻数
既刊20巻
関連商品
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世界観

音楽全般、特にバンド活動が題材。人と接するのが苦手で、SNSのTwitterばかりしていた男子高校生・榛名優が主人公。インターネット上での人間関係ばかりを重視していた優が、携帯電話を持たない秋月風夏と出会ったことで、現実の人間関係にも目を向け、彼女とともに音楽活動をスタートさせる姿が描かれる。並行してTwitterがあったからこそ再会できた幼なじみの氷無小雪との交流も描かれ、SNSが重要なコミュニケーションツールとなっている現代社会を反映したラブストーリーが展開していく。

作品構成

本作『風夏』は、大きく分けて2部構成となっている。第1部(秋月風夏編)は、高校1年生の榛名優秋月風夏が出会い、三笠真琴石見沙羅那智一矢とともにロックバンド「The fallen moon」を結成。初心者の状態からバンドを始める姿を描く。第2部(碧井風夏編)は、秋月風夏の死後、風夏に代わり「The fallen moon」のボーカリストとして活動することを決意した優が、風夏と雰囲気の似た女性、碧井風夏と出会い、ボーカリストとしても女性としても惹かれていく姿が描かれる。

あらすじ

第1巻

SNS依存症気味の男子高校生・榛名優は、高校1年生の夏、両親の仕事の都合で東京都に引っ越す事になった。しかし引っ越し直後、優はスマートフォンを見ながら歩いていたところを、見知らぬ少女に盗撮犯と勘違いされてしまう。すぐに誤解は解けたものの、その少女は新しい高校のクラスメイト秋月風夏であった。今時スマートフォンを持たず、マイペースに生きる秋月に優は驚かされるが、二人は次第に親しくなっていく。そんなある日、優のTwitterアカウントに、人気歌手の氷無小雪からメッセージが送られて来る。優と小雪は、かつてとても仲がよかったが現在は疎遠で、小雪はTwitterを通じて優らしき人を見つけた事がきっかけで、連絡して来たのである。そんな小雪とやり取りするうちに、優は小雪のコンサートに誘われる。しかし、秋月もまた行きたいコンサートがあるらしく、優は最終的に秋月との約束を優先する。だが、当日優が秋月に連れて来られた先は、小雪のコンサートであった。優はこの偶然に感謝しつつ、コンサートを楽しむ事にする。

第2巻

秋月風夏は、氷無小雪のコンサートに行った事がきっかけで、本格的に音楽に関心を持つようになっていた。そこで秋月は、榛名優三笠真琴を誘って軽音部を作ろうするが、部員が三人では同好会扱いになるうえ、三人は楽器を買うお金もなかった。そんな秋月達を案じた吉野友美は、知り合いが経営する海の家を紹介するので、そこでアルバイトするのはどうかと提案する。それに乗った三人は早速働き始めるが、優は初めての接客に苦戦。矢矧伸明に怒られては秋月に励まされ、そのうち、秋月に惹かれ始めている自分に気づくのだった。一方その頃、小雪は新曲のミュージックビデオ撮影のため、湘南に向かっていた。Twitterを通じて優も湘南にいると知る小雪は現地で合流し、二人はいっしょに花火をする。その様子を秋月に目撃されてしまった事で優と秋月はケンカになってしまうが、真琴のフォローで仲直りをする。その直後、様子を見に来た友美が、那智一矢を連れてやって来る。そこで伸明や友美達がかつての人気バンド「HEDGEHOGS」のメンバーである事を知った秋月は、自分がミュージシャンとして通用するか確かめてほしいので、自分の歌を聞いてくれと言い出す。

第3巻

秋月風夏の歌唱力は圧巻で、秋月の音楽活動に反対する那智一矢すら認めるほどのものであった。こうして秋月を陸上選手にしようとしていた一矢は、逆に秋月に誘われ、バンドのドラマーとして加入。榛名優達のバンドは、初めてのスタジオ練習をする事になる。そこで四人が出会ったのは、実力はあるが、トラブルを起こしてはバンドを首になっているギタリストの石見沙羅だった。そんな沙羅を気に入った秋月は早速勧誘し、なんと沙羅は承諾。優は沙羅とうまくやっていけるか不安になりつつも、バンドは五人編成となる。さらにその直後、優は衝撃の事実を知る。なんと沙羅は優のTwitter上の友人「大和(提督)」であり、本当は非常におしゃべりなのだが、コミュニケーションが苦手なせいで誤解され、バンドを転々としていただけだったのである。こうしてついに本格始動した優達は、2か月後の学園祭でライブをする事を決意。五人は練習を続けるが、学園祭直前、優と氷無小雪が二人で会っている盗撮写真がTwitterに投稿され、さらに小雪が片思い相手と会っていたと認めた事で、優は不本意に有名人になってしまう。そして優達のバンドは猛バッシングを受けたまま、ライブ当日が訪れる。

第4巻

学園祭ライブ当日。榛名優達は心ない観客から攻撃される事もあったが、秋月風夏の歌を中心とする高い技術で観客を魅了。さらに飛び入りで氷無小雪も参加した事で、ライブは大成功を収めた。終演後、秋月は外国人からバンド名を聞かれるが、自分の名前を英語で聞かれたと勘違いして名乗った事で、バンド名は「秋月」=「fall moon」を修正した「The fallen moon」に決定。トラブルを乗り越えた五人は、これからも活動を続ける決意をする。しかしその直後、小雪が優には謝罪を、秋月にはライバル宣言をするために現れる。ショックを受けた秋月はその場から逃げ出すが、すでに秋月に思いを寄せている優は追いかけて告白。二人はついに恋人同士となるのだった。こうして恋愛もバンド活動も順調となった優達は、今度は別のライブイベントに招かれる。しかし当日なぜか秋月は現れず、急遽優がボーカルを担当する事になる。その歌声は大評判でライブは大成功するが、その頃秋月は交通事故に遭い、帰らぬ人となっていた。

第5巻

12月。榛名優秋月風夏の死にショックを受けて心を閉ざし、1か月も学校に行かぬまま過ごしていた。しかし、三笠真琴がそんな優に親身に接した事と、吉野友美が秋月の遺品を優に渡した事で、ようやく悲しみを受け入れられるようになっていく。そんなある日、優のもとに見知らぬ男性・小田ニコルソン武蔵がやって来る。HEDGEHOGSのベーシストを名乗る彼は、矢矧伸明を通じて優に貸したままになっている自分のベースを返してほしいのだという。優は承諾し、このままバンドをやめてしまおうと考える。しかしその直後、優は秋月の死以来、電源を切りっぱなしにしていたスマートフォンに、秋月からの留守番電話が残されている事に気づく。そのメッセージに励まされた優はようやく一歩踏み出し、ニコルソンとも話し合って、ベースを正式に譲ってもらうのだった。一方その頃、活動休止状態のThe fallen moonのメンバー達は、それぞれの将来に向けて動き出していた。そこで那智一矢から、優がオリジナル曲を書けたらもう一度バンド活動してもいいと言われた優は、新曲を製作。その熱意に心打たれた真琴、石見沙羅、一矢は活動再開を決意する。

第6巻

1月。榛名優達The fallen moonは、プロを目指して本気で活動する事になった。そこで10代限定の音楽フェス「電光リベリオン」に目をつけた優達は、一次審査突破のため、まずはデモテープ作りに励む。そんなある日、優は路上で歌う少女・碧井風夏と出会う。そして同じミュージシャンとして親しくなった二人は、次は「電光リベリオン」の本選で会おうと約束し、別れるのだった。その後The fallen moonは、審査結果を待ちながら、ライブイベントへの出演交渉を始める。しかし、そこで出会ったバンド「Le-bard」の赤城悠河は、売れるためなら平気で嘘もつく、卑劣な人物であった。そんなLe-bardと対バンする事になった優達は、打倒Le-bardに燃えるが、そこに氷無小雪が突如訪れ、優に引退すると言い出す。そこで、売れる曲を作り続けなくては活動する意味はないと言った小雪に、悠河の考えと近いものを感じた優は、イベント当日、売れる事がすべてではないと証明するために演奏する。結果、Le-bardにはまるで敵わなかったが、優の姿を見た悠河は、少し考えを改めるのだった。そして「電光リベリオン」審査結果が届き、見事突破したThe fallen moonは、碧井との約束通り、本選に挑む。

第7巻

10代限定の音楽フェス「電光リベリオン」は、Le-bardを売り出すための出来レースであった。偶然それを知ってしまったThe fallen moonは、抗議のため、棄権を宣言したうえで演奏審査を受ける。しかしこのライブは大成功で、榛名優達を気に入ったプロデューサーの最上彰は、The fallen moonに碧井風夏を加入させ、優と碧井のツインボーカルであれば見込みがあるので、デビューさせてもいいと言い出す。しかし、優達はこれを断り「電光リベリオン」を去るのだった。そして春。優達は那智一矢の高校卒業と同時に高校をやめ、全員が音楽活動に専念する事になった。そんな優達のもとに、音楽事務所「有限会社TWINKLING STAR」の社長・天谷早織が現れる。優達は相談の結果早織と契約し、半年後に1300人規模のライブハウスでのワンマンライブを成功させる事を目標に活動する事になる。しかし早織は、契約したミュージシャンに到底不可能なノルマを押し付けてはその経費を吹っかけ、多額の借金を負わせるという、悪い噂の絶えない人物であった。そんな事は露知らぬ優は、偶然いっしょに働く事になった碧井と、清掃員のアルバイトをしながら、楽曲作りに励む。

第8巻

榛名優は、道で氷無小雪と会話しているところを、またも盗撮されてしまった。しかしその犯人である日野上青葉は、優と小雪のスキャンダルにはいっさい興味がなく、盗撮していたのは、The fallen moonの応援動画を作るためだったのだという。こうして誤解が解けた青葉は天谷早織に認められ、マネージャーとして働く事になるが、青葉の応援があってもライブ動員数は思うように伸びず、優達は悩む。しかしその直後、The fallen moonは、人気バンド「ラビッツ」の武道館ライブに、前座として出演する事になる。こうして前座ではあるが念願の武道館公演が決まった優達は、秋月風夏の墓参りに向かう。そこで優が出会ったのは、秋月の母親・秋月涼風であった。涼風から秋月の遺したオリジナル楽曲「for you」の音源を受け取った優達は、武道館ライブでこの曲を演奏すると誓うのだった。そしてライブ当日、優達は今回優達を推薦したラビッツのボーカルについに対面する。優はなんとなく察していたのだが、覆面ボーカルとして有名な彼女の正体は、小雪だったのである。優は、小雪の厚意に感謝しつつ、亡き秋月に見守られながら、ライブを大成功させるのだった。

第9巻

夏。榛名優は相変わらず音楽活動とアルバイトに励みながら、碧井風夏と少しずつ交流を深めていた。そんなある日、優は突然氷無小雪にキスをされる。小雪は今でも優を思っており、たとえ今の優に恋愛する気がなくても、今後振り向かせたいと思っているのだという。その後、優は周囲からもそろそろ新しい恋をしてもいいのではないかと言われるが、名前の同じ碧井に秋月風夏を重ねて惹かれ始めている事は自覚しており、思い悩むのだった。そしてとうとう天谷早織と約束した半年後のライブの日が訪れ、The fallen moonは見事1300人を動員し、ノルマを達成させる。安堵する優達だったが、そこに矢矧伸明が現れ、衝撃の事実を口にする。HEDGEHOGSは、先日自分達が主催する音楽フェスに出演してもらうため、The fallen moonと碧井にオファーをしたが、天谷早織が独断で断ってしまったのだという。驚いた優達はすぐに早織に真相を確かめるが、早織は現状では実力不足なので、どうしても出たいのであれば必ず成功させると約束し、もし失敗した場合は、一人1000万円の違約金を払えと言い出す。それでも出演したい優達は承諾するが、そこに最上彰が現れる。

第10巻

最上彰曰く、天谷早織が所属バンドに厳しく当たるのは決してお金のためなどではなく、そのバンドの実力に合った活動をしてほしいかららしい。それを知った榛名優碧井風夏は改めて早織に会いに行き、早織の心配はわかったが、必ずいい結果を出すので頑張らせてほしいと宣言する。その直後、優は人気歌手のシェリー・ホーネットと再会する。シェリーはかつてThe fallen moonのライブを見て気に入っており、今でも優の事を覚えていたのである。シェリーの観光に付き合わされた優は、シェリーもまたHEDGEHOGS主催の音楽フェスの出演者であると知る。それからThe fallen moonは、フェスで販売するCDを作るため、山中湖でレコーディング合宿を行う事になる。そこで石見沙羅は、エンジニアの間宮朱音から厳しい指摘をされ悩む。しかし、それを励ましたのは、犬猿の仲である那智一矢であった。こうしてレコーディングを成功させたThe fallen moonはついに音楽フェス当日を迎えるが、The fallen moonの出演時間と同時刻には、望月一檎率いる人気バンド「Colt Python」のステージがブッキングされていた。

第11巻

The fallen moonは全力を尽くしたが、それでもColt Pythonには敵わなかった。落ち込む榛名優だったが、そんな優達のもとに多摩レイカが現れる。レイカから音楽フェス最終日に30分だけ時間を与えるので、The fallen moonに碧井風夏を加えた五人で特別ライブを行わないかと提案された優達は、地図には載っていない小さなステージでライブを行う。しかし、それは日野上青葉の作戦もあって大盛り上がりとなり、ステージにはどんどん人が集まって来るのだった。こうして大成功を収めた五人は、その夜大満足で、最終ステージであるHEDGEHOGSのライブを見に行く。しかしステージでレイカから告げられたのは、今日のライブを最後にHEDGEHOGSは解散するが、きっとフェスの出演者達が自分達の思いを受け継いでくれるだろうというものであった。ショックを受けつつも受け入れた優は、音楽フェス後、碧井に正式にThe fallen moonのメンバーになってほしいと頼む。碧井は快諾し、喜ぶ優達はこれを、秋月風夏に報告しようと墓参りに行く。しかし、その墓前にはなぜか碧井がいた。驚く優達に秋月涼風は、碧井の父親こそが、秋月死亡事故のトラック運転手であると告げる。

第12巻

秋月風夏の死に碧井風夏の父親がかかわっていた事で、碧井がThe fallen moonに加入するという話は保留になってしまった。さらに今回の件で榛名優が秋月の恋人であったと知り、とてもいっしょに活動できないと感じた碧井は、地元の静岡に帰ってしまう。しかしどうしても碧井に会いたい優は、彼女の実家まで向かい、涙ながらに説得。そこに三笠真琴石見沙羅那智一矢も駆けつけ、五人は話し合いの結果、秋月のバンドであるThe fallen moonを解散し、碧井を迎えた新バンド「Blue Wells」を結成する事にするのだった。さらに、現在優達四人がいっしょに暮らすシェアハウスに碧井も加わる事になり、こうして五人での活動が本格的にスタートするかと思われた。しかし、そこに日野上青葉が現れ、現在「有限会社TWINKLING STAR」の経営が危うく、今年度中に借金を返済しないと倒産してしまうという衝撃の事実を告げる。それは優達の身勝手な解散と新バンド結成が原因であると知った優達は、事務所を守るため、Blue Wellsのニューアルバムの制作と、全国ツアーの開催を決意する。

第13巻

Blue Wellsは、自分達の事務所を守るべく、さまざまなバンドと対バンをしながら全国を回っていた。Le-bardと対バンしたある日、碧井風夏赤城悠河からギターを教えてもらう事になるが、それを見た榛名優は、二人が急接近したと誤解し、ショックを受ける。その直後、今度はラビッツと対バンした夜、優は氷無小雪から、秋月風夏の事を忘れられなくてもいいので交際してほしいと再度告白される。しかし優は、今は秋月ではなく碧井の事が好きなので、小雪とは付き合えないと、はっきり断るのだった。こうして碧井への思いを自覚した優は、彼女の事を「風夏」と下の名前で呼び始め、同時に碧井と悠河の関係についても誤解であった事を知り、安堵するのだった。そして次は名古屋に向かったBlue Wellsは「カナリア」という、普段は会社員として働きながら、週末のみ音楽活動する二人組バンドと対バンする事になる。なぜカナリアのような人気バンドが自分達といっしょにライブしてくれるのかと不思議に思う優達だったが、カナリアの二人は何と、かつて天谷早織プロデュースのもと、最上彰と三人で活動していたバンドであった。

第14巻

12月。Blue Wellsは、The fallen moonの曲を解禁した事で、バンドとして格段に成長を見せていた。榛名優達はこれまで碧井風夏に配慮してThe fallen moonの曲は演奏せずにいたが、これではいけないと碧井から指摘されたのがきっかけで、考えを改めたのである。こうしてパワーアップした優達は、次は大阪へ向かい、ソロシンガーの綾波椛と出会う。椛は素晴らしい才能を持っているが、実家の串カツ屋の経営が大変な事と、父親の体調が思わしくない事から夢をあきらめ、次のライブを最後に音楽をやめようとしているのだという。優はそんな椛に、最後のライブで、今の思いを込めた新曲を発表するのはどうかとアドバイスする。そしてライブ当日、新曲を聞いた綾波椛の父親と恋人の秀行は、今後は自分達が協力して店を守っていくので、椛には音楽を続けてほしいと頼むのだった。これによって椛の問題は解決し、Blue Wellsは大阪を去り、移動中の広島で新しい年を迎える。そして優はその夜、碧井に今の自分にとっての「風夏」とは碧井一人だけなので、この思いを新曲にして、The fallen moon時代を超える最高傑作を作ると約束する。

第15巻

1月。Blue Wellsは、福岡で行われる「街フェス」に参加する事になった。榛名優達は人気投票一位を目指して意気込むが、そこで出会ったスタッフの葛城桜が、秋月風夏にそっくりな事に驚く。一方、碧井風夏は桜の登場に動揺しつつ、優が自分のために新曲制作する事を支えに耐えていた。しかし桜が、優が自分のために新曲を作ってくれるらしいと嘘をついた事で、碧井はショックを受ける。さらに碧井は、街フェスの出演者でありかつての仲間でもある不知火瞬から、Blue Wellsを脱退して、瞬達のバンド「FUNBOOK」に加入しないかと誘われてしまい、悩むのだった。そして街フェス当日が近づくが、優は碧井の悩みを知らぬまま、桜に、親しい女性に似ている桜との出会いを、新曲に生かしたいが構わないだろうかと相談していた。しかしそれを聞いた碧井は、優が桜に心変わりしたのだと誤解してしまう。傷ついた碧井はライブをボイコットし瞬のもとへ向かうが、優は桜の証言もあり、無事に碧井を見つける。だが、これは結果的に瞬の誘いを強引に断った事になり、Blue WellsはFUNBOOKの事務所「ゼータミュージック」の怒りを買うのだった。

第16巻

榛名優碧井風夏のあいだに生じた誤解が解けた事で、二人はついに交際する事になった。さらに街フェスの成功からBlue Wellsは人気に火がつき、優達はとうとう事務所の借金を完済する。こうしてBlue Wellsは、今度こそ安心して活動できるかに思われた。しかし街フェスでの一件で、ゼータミュージックを敵に回してしまったBlue Wellsは、街フェスが終わるなり圧力をかけられ、満足にライブもできない状態に追い込まれてしまうのだった。そんなある日、優は小田ニコルソン武蔵に呼び出される。ニコルソンは新曲を途中まで書いていたが、多摩レイカの声帯摘出手術により、HEDGEHOGSでの演奏はもう叶わない。そのため、もし優がこの曲を完成させられるなら、譲っても構わないという。早速曲を受け取ったBlue Wellsは、相談の結果、優が曲を完成させるまで、個々のスキルアップのため武者修行に出る事にする。そして三笠真琴石見沙羅那智一矢が旅立ち、優と碧井は残って制作と練習を続ける。しかしなかなかうまくいかず、そこで優は、再度ニコルソンに会い、ニコルソンがどのような思いでこの曲を作っていたのか聞きに行く事にする。

第17巻

榛名優碧井風夏は、HEDGEHOGSの成り立ちと、今はいない六人目のメンバー西辺誠の存在を知り、より強い思いで楽曲制作に励むようになっていた。そんなある日、優達のもとにシェリー・ホーネットがやって来る。シェリーは恩人である多摩レイカを見舞うため、極秘で日本を訪れた。そこでレイカから、小田ニコルソン武蔵の未完成曲を優達が受け取ったと聞いたので、優に、絶対にいい作品にしてほしいと言いに来たのだという。そんなシェリーから英語を学ぶ事になった優と碧井は、シェリーのスパルタ指導に驚きつつも、順調に英語力を上げていく。一方その頃、三笠真琴は富山で吉野友美から、石見沙羅はイギリスで誠から、そして那智一矢は全国を回りながら矢矧伸明から、それぞれ楽器を学んでいた。そして1か月後。楽曲制作と武者修行を終えて再集結したBlue Wellsは、早速新曲を天谷早織日野上青葉に聞いてもらう事にする。

第18巻

Blue Wellsの新曲は大評判で、インターネットに投稿したライブ動画は、ものすごい再生数を叩き出していた。こうしてインターネットに活動拠点を移した榛名優達だったが、またもゼータミュージックの生駒智子に邪魔され、決まりかけたライブ出演がキャンセルされてしまう。優達はどうすればライブができるのかと悩むが、やがて、であれば本来ライブ会場ではない場所を借りて、自分達で一からステージを作ればいいのではと気づく。その会場を江の島海岸に決めた優達は、自分達主催の音楽フェス「BLUE SUMMER」の開催を決意。その資金をソーシャルファンディングで集め、出演者をインターネット上で募集する事にする。それを知った智子は早速同日にゼータミュージック主催の音楽フェスをぶつけて来るが、優達の企画を気に入ったシェリー・ホーネット最上彰望月一檎綾波椛といった、かつて優達と対バンしたミュージシャン達は、次々と出演を申し込んで来るのだった。

第19巻

三笠真琴と長年敵対していた父親が、とうとう真琴のバンドへの思いを認めた。これによって真琴の父親は匿名の援助を行い、Blue Wellsのソーシャルファンディングは目標金額を達成する。そして「BLUE SUMMER」前夜。碧井風夏榛名優に、今の優がいるのは秋月風夏がいたからであり、自分は秋月の存在含めて優が好きだと告げる。その言葉に安堵した優は素直に秋月を思い、もしこのフェスのステージに彼女が立ったら、どんなライブになるだろうと思いを馳せるのだった。こうしてついに「BLUE SUMMER」が開幕するが、誰が最初に登場するのかは優達も知らされておらず、現れたバンドに驚愕する。それはなんと、新ボーカルに氷無小雪を迎えたHEDGEHOGSだったのである。予想外の展開に観客は大盛り上がりで、出演者達は負けていられないと、より士気を高める。しかし同日開催のゼータミュージックのフェスにも参加する小雪は、この事前報告なしの行動によって生駒智子を激怒させてしまう。それを見たシェリー・ホーネットは、それでは自分が小雪の代わりにHEDGEHOGSとゼータミュージックのフェスに出演するので、それでちゃらにするのはどうかと言い出す。

第20巻

シェリー・ホーネットの申し出により氷無小雪は許され、さらに二つのフェスは行き来自由で観覧できるようになった。こうして出演時間が重なった事により、Blue Wellsは、シェリーとHEDGEHOGSの合同バンドと、どちらがより集客できるか勝負する事になる。二組はいずれも素晴らしいステージを展開するが、その途中、Blue Wellsの楽器の音が突如出なくなってしまう。異変に気づいた日野上青葉が電源車へ向かうと、そこには生駒智子の手の者が妨害工作を行っていた。青葉は妨害犯に殴られ大けがをしながらもどうにか電源を復活させ、復活を信じてその場をしのいでいた榛名優達は、このトラブルも盛り上げ材料にして、さらにステージの熱を高めていくのだった。しかしその直後、今度は強風で、優の身体に看板がぶつかりそうになる。だが、それはなぜか優に当たらず、優は秋月風夏が守ってくれたような感覚に陥る。今このステージには秋月がいる。そう感じたBlue Wellsは、秋月も含めた六人で、秋月の残した楽曲「for you」を演奏するのだった。

単行本の装丁

コミックスのカバー下には、各巻に4コマ漫画が掲載されている。内容は主に本作『風夏』執筆中の作者・瀬尾公治と「週刊少年マガジン」編集部とのエピソードとなっており、サイン会や、取材で音楽フェスに出向いた際のことなど、作品に関する意外な裏話が語られていく仕様となっている。

スピンオフ

本作『風夏』には多数のスピンオフが存在する。秋月風夏瀬尾公治の別作品『涼風』に登場する秋月大和と朝比奈涼風の娘であるという設定を活かし、『風夏』だけでなく『涼風』のキャラクターも登場するのが特徴。掲載誌も幅広く、「週刊少年マガジン」のみならず「マガジンスペシャル」やwebコミック誌「マンガボックス」にも不定期に掲載されている。コミックスでは1巻、2巻、3巻、6巻などに収録されている。

関連作品

本作『風夏』の関連作品として、同作者・瀬尾公治による『涼風』がある。秋月風夏は『涼風』の主人公・秋月大和とヒロイン・朝比奈涼風の娘であるため、『風夏』には大和と涼風はもちろんのこと、『涼風』の登場人物である桜井萌果や羽柴美紀も登場する。さらに秋月風夏は『涼風』の舞台でもある銭湯とマンションを兼ね備えた建物「旭湯」に住んでいるという設定になっている。

メディアミックス

2017年1月より、草川啓造監督によるTVアニメ版が放送されている。シリーズ構成は朱白あおい、キャラクターデザインは本多美乃。榛名優役を小林裕介、秋月風夏役をLynn、氷無小雪役を早見沙織が演じている。

キャラクターブック

2016年12月、本作『風夏』をはじめとする瀬尾公治作品の公式ファンブック『風夏 涼風 君のいる町 公式ファンブック ゴールデンベスト』が発売された。『涼風』『君のいる町』『風夏』それぞれのヒロインである朝比奈涼風、枝葉柚希、秋月風夏の3人が競演する描き下ろし特別漫画や、瀬尾公治のロングインタビュー、描き下ろしピンナップなど、盛りだくさんの内容となっている。

著名人との関わり

『風夏』は、バンドを題材とした作品のため、実在のロックバンドとの交流企画が充実している。たとえば「週刊少年マガジン」2015年第46号では、「Alexandros」と瀬尾公治の対談企画が行われた。対談には「Alexandros」の4人が、一時期「The fallen moon」のように共同生活を送っていたことや、デビューが決まった際のエピソード、バンドとして長期的に活動していくコツのほか、「Alexandros」と瀬尾公治がプロのクリエイター同士共感する点などが語られている。この対談は、コミックス10巻の巻末に収録されている。また、交流を持ったバンドは、作中に名前を変えて登場もしている。たとえば「週刊少年マガジン」2016年第1号で『風夏』に関するインタビューが掲載されたバンド「ねごと」は、「ねごと」に代わるバンド名候補であった「よだれ」として作中に登場している。ねごとのドラムの澤村小夜子は、「アニメ化決定に伴い、いつか『風夏』の原作コミックだけでなくアニメ版にも「よだれ」として登場したい」とコミックス14巻の帯コメントで語っている。

作家情報

瀬尾公治は、主に少年誌で活躍中の漫画家。1996年『HALF & HALF』が「週刊少年マガジン増刊号」掲載されデビュー。他の作品に『CROSS OVER』『君のいる町』などがある。誕生日は7月26日で、出身地は広島県。

登場人物・キャラクター

榛名 優 (はるな ゆう)

ロックバンド「The fallen moon」と「Blue Wells」のボーカリストとベーシストを務める男子。前髪を右寄りの位置で斜めに分け、耳の下まで伸ばした髪を左右にはねさせている。人見知りで人付き合いが苦手。高校1年生の7月に、家庭の事情で東京都の高校に転校することになったものの、SNSのTwitterばかりして過ごしていた。 しかし、外でもずっとスマートフォンを眺めている姿を、秋月風夏に「盗撮している」と勘違いされ、スマートフォンを破壊されるという最悪の出会いを果たすことになる。社交的でないことからあまり知られていなかったが、ほんとうは心優しく誠実で、困っている人を見ると放っておけない性格。そのため異性からもてるが、優自身にはその自覚がない。 やがて風夏に誘われたのをきっかけに、ベーシスト及びボーカリストとして音楽活動を始め、自身でも知らなかった音楽の才能を開花させていく。幼い頃はロックバンド「HEDGEHOGS」のベーシストであるニコに憧れており、「ニコのようなベーシストになりたい」と思っていた。そのため、その夢を知る氷無小雪にだけ「ニコ君」と呼ばれている。

秋月 風夏 (あきつき ふうか)

「The fallen moon」のボーカリストを務める女子。前髪を目の上で切り、左右にはねさせたショートカットヘアをしている。陸上選手の秋月大和と秋月涼風を両親に持つサラブレッドだが、特にやりたいことが見つけられず、漫然と日々を送っていた。そんなある日、盗撮されたと勘違いし、怒りのあまり張り倒したのがきっかけで、榛名優と知り合う。 出会いこそ最悪だったが、誤解が解け、優の人柄を知ったことで加速度的に親しくなっていく。やや強引で思い込みが激しいところもあるが、素直で人懐っこく、人に好かれる性格。音楽を聴くのが好きで、優に「演奏する側になってみたら」と言われたのがきっかけで「The fallen moon」を結成。類まれなるカリスマ性で周囲を圧倒するが、大切なライブの日に交通事故に遭い、亡くなってしまう。 携帯電話は嫌いで持たない主義のアナログ派。料理は極端に苦手。

氷無 小雪 (ひなし こゆき)

榛名優の小学校時代からの友人。日本でも有数の人気シンガーソングライターとして活動する少女。前髪を左寄りの位置で斜めに分け、腰まで伸ばしたロングヘアをポニーテールにしている。左目尻のほくろが特徴。優とは小学校時代に非常に親しく、将来一緒にバンド活動をしようと約束した。憧れのバンド「HEDGEHOGS」の、自分たちと担当パートが同じメンバーにちなんで「ニコ君」「たまちゃん」と、他の人にはわからない特別なあだ名で呼びあうようになる。 しかし、ある日突然、両親の離婚が原因で小雪は優の前から姿を消してしまい、連絡がつかなくなった。だがTwitterで小雪が優のアカウントを発見したのがきっかけとなり、小雪から連絡をとる形で再び交流が始まった。 小学校時代はメガネをかけており、あまり目立たない容姿だった。現在も一見おしとやかで物静かな雰囲気だが、性格は非常に情熱的で積極的。再会を機に、熱心に優にアプローチするようになる。また、音楽についても、妥協を許さない激しく厳しい一面がある。

三笠 真琴 (みかさ まこと)

「The fallen moon」と「Blue Wells」のキーボーディストを務める男子。榛名優と秋月風夏とは、高校のクラスメイトでもある。前髪を目の上で切り、肩につかない長さのウルフカットをしている。大企業「三笠グループ」の子息で、イギリス系ドイツ人のクォーター。美しい容姿に加え、爽やかな性格と上品な雰囲気で、異性から非常にもてる。 しかし生まれつき女性に関心が持てず、男性が好き。そのため周囲の女性とは、同性の友人のような距離感で接している。風夏とも親しく、バンド活動開始前から、風夏には秘められた才能があると予感していた。やがて優とともに「The fallen moon」に加入し、キーボーディストとして活動することになる。 キーボードについては経験者で、国際ピアノコンクールジュニア部門で優勝したほどの腕前。音楽活動をするために実家を飛び出し、アルバイトをしながら生活している。性格が大きく異なることから、最初は優に敬遠されがちだったが、風夏を通じて親しくなり、良き友人として優をサポートしていく。穏やかで常に落ち着いているが、ややキザで詩的な発言が多い。

石見 沙羅 (いわみ さら)

「The fallen moon」と「Blue Wells」のギタリストを務める女子。石見ヒサシの妹で、榛名優にとっては、同じ高校の1学年上にあたる。前髪を眉の高さで切りそろえ、腰まで伸ばしたストレートロングヘアをしている。コミュニケーションを取るのが苦手で、無愛想できつい態度をとりがち。そのため、ギターの腕は確かなものの、バンドに誘われてはメンバーに愛想を尽かされ、クビになるというのを繰り返していた。 しかし秋月風夏に誘われ、「The fallen moon」のギタリストとして加入することになる。冷たく見えるが、実際はおしゃべりで生真面目、献身的な性格。最初は無口だが打ち解けると途端に饒舌になるため、そのギャップの激しさに驚かれることも多い。 実は沙羅は、優とTwitter上での相互フォロワーで、「大和(提督)」のアカウント名でインターネット上で頻繁に会話していた。お互いにそれを知ってからは急速に親しくなり、ひそかに優に想いを寄せるようになる。優よりも年上だがインターネット上ではお互い敬語で話していたことから、現実世界で友人になってからも敬語で話す。 反面、那智一矢とは、自分の方が年下だが、ケンカ友達のような関係になっていく。

那智 一矢 (なち かずや)

「The fallen moon」と「Blue Wells」のドラマーを務める男子。秋月風夏の友人でもあり、榛名優にとっては、同じ高校の2学年上にあたる。前髪を真ん中で分けて額を見せ、髪全体をツンツンに立てている。高校では陸上部に所属しており、3年次は都大会16位の成績を残した優秀な選手。そのため両親が陸上選手というサラブレッドでありながら、特にこれといった趣味もなく過ごしている風夏を、陸上部に熱心に勧誘している。 しかし、音楽活動に関心を持った風夏に逆に勧誘され、ドラマーを務めることになる。ドラムに関しては、兄のバンドを手伝っていたため経験者で、多少叩ける状態からスタートした。口が悪く意地悪なところもあるが、生来の人の好さが災いして、周囲にはやや振り回されがち。 高校時代は「陸上が恋人」と公言していたため、恋愛経験はゼロ。バンド仲間である石見沙羅とは、よくケンカをしている。

碧井 風夏 (あおい ふうか)

ロックバンド「Other side of the wall」と「Blue Wells」のボーカリストとギタリストを務める少女。前髪を右寄りの位置で斜めに分け、顎の高さまで伸ばしたショートカットヘアをしている。名前が秋月風夏と同じで、雰囲気もやや似ており、音楽活動をしているなど、共通点が多くある。性格はややぶっきらぼうだが実直で心優しく、音楽に対して非常に一途。 プロミュージシャンになるため、音楽活動とアルバイトに明け暮れている。榛名優とは、碧井風夏が路上ライブを行っていた際に、優が観客として訪れたのがきっかけで知り合った。その後音楽の話題で意気投合し、ミュージシャン同士応援しあう仲になるが、碧井風夏が、秋月風夏の交通事故にかかわっていたことが発覚。 お互いに悩むことになる。

小田 ニコルソン 武蔵 (おだ にこるそん むさし)

伝説のロックバンド「HEDGEHOGS」のベーシストで、榛名優の憧れの人物。音楽活動では「ニコ」とだけ名乗っており、本名は明かしていない。前髪を右から左に向かって伸ばし、左目が隠れるほど伸ばしたふんわりとした髪の毛を襟足まで伸ばしている。寡黙で不愛想だがベーシストとしての腕は本物。長らく姿を消していたが「HEDGEHOGS」の活動再開に伴い、矢矧伸明たちのもとへ戻り、優とも知り合う。 優には他のメンバー経由でベースを貸したことから、厳しい態度をとりつつも優の腕に期待している。

多摩 レイカ (たま れいか)

伝説のロックバンド「HEDGEHOGS」のボーカリストで、氷無小雪とシェリー・ホーネットの憧れの人物。音楽活動では「たま」とだけ名乗っており本名は明かしていない。前髪を左寄りの位置で分けて右目が隠れるほど伸ばしたウルフカットをしている。明るくカリスマ性にあふれた男勝りな性格。6年前「出かけてきます」とメモを残して姿を消して以来消息不明だったが、ある日ふらりと戻って来て「HEDGEHOGS」の活動を再開する。 実は体調を崩して音楽活動を続けられない状況にいるが、自分たちの後継者になるような素晴らしいロックバンドとミュージシャンを探し求め、無理に活動を続けている。

矢矧 伸明 (やはぎ のぶあき)

伝説のロックバンド「HEDGEHOGS」のドラマーで、神奈川県湘南にある海の家「South wind」や、楽器店で働く若い男性。「HEDGEHOGS」で活動する際は「ノブ」と名乗っていた。前髪を左寄りの位置で分け、肩につかない長さの長髪を外に向かってはねさせ、あご髭を生やしている。やや口が悪く意地悪なところもあるが、明るく面倒見のいい性格。 榛名優、秋月風夏、三笠真琴とは吉野友美の紹介で知り合い、夏休みの間一緒に「South wind」で働くことになる。その後「South wind」に訪れた那智一矢とも知り合い、優たち5人がバンド活動を始めてからは、兄貴分としてサポートするようになる。特に同じドラマーである一矢には厳しい。

石見 寿 (いわみ ひさし)

伝説のロックバンド「HEDGEHOGS」のギタリストで、石見沙羅の兄。レンタルスタジオ「針鼠」を経営している若い男性。「HEDGEHOGS」で活動する際は「ヒサ」と名乗っていた。榛名優、秋月風夏、三笠真琴、那智一矢とは、矢矧伸明が働く海の家「South wind」を訪れた際に知り合った。 普段は面倒見が良く親しみやすい性格だが、ミュージシャンとして活動する時は近寄りがたい雰囲気に一変する。

吉野 友美 (よしの ともみ)

伝説のロックバンド「HEDGEHOGS」のキーボーディストで、榛名優たちの高校で教師を務める若い女性。前髪を右寄りの位置で斜めに分け、胸まで伸ばした巻き髪ロングヘアをサイドテールにしてまとめている。明るく気さくな性格で、バンド活動開始を決意したものの、楽器を買うお金もない優たちに、アルバイト先として矢矧伸明が働く海の家「South wind」を紹介する。 「HEDGEHOGS」で活動する際は「トモ」とだけ名乗って本名を伏せており、外見も現在とは大きく異なっていたことから、優たちは友美が「HEDGEHOGS」のメンバーであることに一切気が付かなかった。

天谷 早織 (あまや さおり)

音楽事務所「有限会社TWINKLING STAR」の社長を務める若い女性。前髪を左側は上げて全開にし、右側の髪を一房だけ垂らして、残りの髪は後ろで一つにまとめている。眼鏡をかけている。非常にセクシーで落ち着いた雰囲気だが、「人を本気にさせるのは危機感だけ」が持論で、所属アーティストには無理難題を吹っ掛けることも多い。榛名優たち「The fallen moon」とは、優たちが所属事務所を探していると聞きつけ、自ら勧誘する形で知り合った。 契約後も「The fallen moon」を成長させるために、さまざまな高い目標を課していく。その態度ゆえに悪いうわさが絶えず、結果を残せなかったミュージシャンには莫大な違約金を払わせるなどという疑いもあるが、実際は音楽に対し誰よりも強い情熱を抱いており、優たちの才能を信じている。

日野上 青葉 (ひのかみ あおば)

ロックバンド「The fallen moon」と「Blue Wells」のマネージャーで、「The fallen moon」のファン第1号でもある若い女性。前髪を左寄りの位置で斜めに分け、肩につくほどまで伸ばした癖のあるボブヘアをしている。明るく行動的な性格で、大の音楽ファン。見込みのありそうな新人ロックバンドをいち早く見つけて、応援することを生きがいにしている。 インターネットに詳しく、動画制作が特技。お気に入りのバンドは「火の神」のアカウント名で「Twitter」で宣伝したり、動画サイトに自作のプロモーションビデオを投稿して積極的に応援している。「The fallen moon」のことは学園祭ライブのころから知っており、最初は単なるファンとアーティストの関係だった。 しかし、天谷早織にその才能を買われ「The fallen moon」のマネージャーに就任。音楽事務所「有限会社TWINKLING STAR」で働くことになる。

榛名 麻耶 (はるな まや)

榛名家の長女で、きょうだいの最年長。榛名響、榛名優、榛名知歳の姉。東京都にある広告代理店に勤めており、父親のアメリカ合衆国転勤に伴い東京都へ引っ越して来た優、知歳と、もともと東京都に住んでいた響とともに、4人で暮らしている。前髪を真ん中で分けて額を全開にし、胸まで伸ばしたストレートロングヘアをハーフアップにしている。 兄弟4人の中で唯一の社会人ということもあり、姉というよりは母親のような雰囲気のある、おっとりとした性格。これまで打ち込むものを見つけられずにいた優がバンド活動を始めたことを嬉しく思っており、応援している。タオル1枚で家の中を歩く困ったところがある。

榛名 響 (はるな ひびき)

榛名家の次女。榛名麻耶の妹で、榛名優と榛名知歳の姉。東京都にある大学に通っており、父親のアメリカ合衆国転勤に伴い東京都へ引っ越してきた優、知歳と、もともと東京都に住んでいた麻耶とともに、4人で暮らしている。前髪を真ん中で分けて額を全開にし、顎の高さまで伸ばしたボブヘアをしている。眼鏡をかけている。優のことは、インターネット上の人間関係ばかりを優先する愛想のない弟だと思っていた。 そのためやや意地悪な態度をとっていたが、内心では麻耶や知歳と同様に心配に想っており、バンド活動を始めて充実した日々を送り始めた優を陰ながら応援している。下着姿で家を歩き回る困ったところがある。

榛名 知歳 (はるな ちとせ)

榛名家の三女。榛名麻耶、榛名響、榛名優の妹。父親のアメリカ合衆国転勤に伴い、両親と離れて優とともに東京都へ引っ越し、麻耶と響に合流して暮らすことになった。前髪を眉の高さで切りそろえ、外に大きくはねさせたツインテールヘアをしている。明るくやや生意気な性格で、優のことは兄でありながら「いじりがいのある存在」と捉えており、からかうことも多かった。 しかしバンド活動を始めて充実した日々を送り始めた優を、陰ながら応援している。下着姿で家を歩き回る困ったところがある。

三笠 実琴 (みかさ みこと)

三笠真琴の双子の妹。前髪を眉の高さで切りそろえ、胸の下まで伸ばしたストレートロングヘアをしている。穏やかで礼儀正しい性格。双子だが、真琴のことは「兄さん」と呼び、敬意を払って接している。キーボーディストとして活動するために家を出た真琴のことを応援している。そのため、一度は夢をあきらめて家に戻ろうとした真琴を再び音楽の道へ導いた榛名優に感謝している。 家では厳しい父親の管理下に置かれており、窮屈な生活を送っている。

赤城 悠河 (あかぎ ゆうが)

ロックバンド「Le-bard」のボーカリストとギタリストを務める若い男性。前髪を目の上で切り、ウェーブがかった髪をウルフカットにしている。音楽的センスの良さもさることながら、美形でトークもうまく、新進気鋭のミュージシャンとして知られている。しかし、売れるためなら手段を選ばず、たとえば、曲に感動的な印象を与えるため「親しい人が亡くなったのをきっかけに書いた曲」など嘘のエピソードをつけることもある打算的な性格。そのため、生真面目に音楽と向き合う榛名優と「The fallen moon」を青臭いと感じ、見下した態度をとる。

最上 彰 (もがみ あきら)

音楽プロデューサーを務める若い男性。10代限定の音楽イベント「電光リベリオン」の審査委員長でもある。前髪を眉上で短く切った短髪ヘアで、眼鏡をかけている。プロデューサーとしていくつもの人気バンドを生み出し、楽曲提供も多く行う。若手ミュージシャンたちにとっては憧れの存在。また、最上彰自身もかつてはバンド活動をしており、ロックバンド「カナリア」の元メンバーでもあった。 しかし経歴とは裏腹に非常に意地悪で皮肉屋な性格で、音楽に対して厳しいスタンスをとる。「電光リベリオン」においても出来レースで「Le-bird」を優勝させようとしたり、「The fallen moon」や「Other side of the wall」に冷たく当たったりする。

シェリー・ホーネット (しぇりーほーねっと)

アメリカ合衆国で絶大な人気を誇り、「世界の歌姫」と呼ばれる若い女性歌手。前髪を右寄りの位置で斜めに分け、胸の下まで伸ばした巻き髪ロングヘアをしている。高飛車だが、どこかトボけたところのある憎めない性格。榛名優とは、優たちの高校の文化祭を偶然訪れたことで知り合った。出会った当初は日本語が話せず、優たちとはあまりコミュニケーションがとれなかった。 しかし、その後日本のアニメにはまったことで日本語を習得。さらに、意外な形で優と再会することになる。幼い頃は複雑な家庭環境に苦しんでいたが、その時に偶然出会い、アドバイスをくれた「HEDGEHOGS」のたまに強く憧れている。

間宮 朱音 (まみや あかね)

レコーディングエンジニアとして働く若い女性。旧姓は「早鞆」。前髪を右寄りの位置で斜めに分け、顎の高さで内巻きにしたボブヘアをしている。クールで無表情だが腕は確かで、担当アーティストには厳しい指摘をすることもある。「HEDGEHOGS」のエンジニアも務めたが、10年前に職を退いており、伝説のレコーディングエンジニアと言われていた。 しかし、天谷早織の紹介で「The fallen moon」のファーストアルバムのレコーディングエンジニアを務めることになる。幼い娘が1人いる。

望月 一檎 (もちづき いちご)

メタル系バンド「Colt Python」でボーカルを務める少女。前髪を眉上で短く切り、癖のあるボブヘアを顎の高さまで伸ばしている。パンク系のファッションに、舌にいくつもピアスを付けた派手な風貌をしている。常識にとらわれないマイペースな性格で、個性的な楽曲をいくつも生み出す「鬼才」としてカリスマ的人気を誇っている。榛名優にはミュージシャンとして比較的好意を抱いており、路上で偶然見かけた際に、望月一檎から声をかける形で知り合った。 しかし、「The fallen moon」の音楽はどこか物足りないと感じている。チュッパチャプスが好きで、よくなめている。

碧井風夏の父親 (あおいふうかのちちおや)

碧井風夏の父親で、静岡県伊豆市でアルバイトをして生活している40代の男性。前髪を上げて額を全開にしたオールバックヘアをしている。口ひげとあごひげを生やしている。以前、トラックの運転中に交通事故を起こし、被害者である秋月風夏を死なせてしまったことを現在も悔いながら生活している。妻は碧井風夏が4歳の頃に亡くなっており、男手一つで碧井風夏を育てた。

知沙 (ちさ)

ロックバンド「Love God」のメンバーの少女。前髪を右寄りの位置で斜めに分け、胸のあたりまで伸ばしたロングヘアをツーサイドアップにしている。八重歯がある。アイドル並みの非常にかわいらしい容姿だが、音楽に対しては非常にシビアで現実的な性格。榛名優とは、優たち「Blue Wells」が全国ツアー中、移動中に立ち寄ったパーキングエリアで知り合った。 先輩バンドマンとして、優にバンド内の人間関係における厳しいアドバイスをする。

綾波 椛 (あやなみ かえで)

大阪府で、国公立医科大学に通う傍ら音楽活動をしている女子大生。父親は飲食店「串かつ エッちゃん」を経営している。前髪を左寄りの位置で分け、肩につかないショートカットヘアをしている。関西弁で話す。現在、大阪府で最も勢いのある新人歌手だが、医師を志しており、次回のライブで音楽活動を休止すると決めている。明るく姉御肌な性格で、榛名優とは、優たち「Blue Wells」が全国ツアー中、大阪府に立ち寄ったことで知り合った。 ハードスケジュールで体調を崩した優の容態を気にし、看病するうちに親しくなる。10年前に母親を亡くしており、現在は父親と二人暮らし。本当は音楽活動を続けたいと思っているが、高齢の父親を心配し、活動をやめようとしている。

秀行 (ひでゆき)

綾波椛の友人。前髪を上げて額を全開にし、左側の髪は撫でつけて、右側の髪は右に向かって立てる髪型をしている。関西弁で話す。椛に長らく想いを寄せており、椛の音楽の大ファン。そのため椛が家庭の事情のために音楽活動を休止しようとしているのを非常に残念に思っている。実家は串カツのチェーン店を経営しており、自分と椛が結婚すれば、自社に椛の父親の店「串かつ エッちゃん」を吸収する形で営業を続けられるし、椛は無理に医者になることもなく、自由に音楽活動を続けられると考えている。 そのため、会うたびに椛に「自分と結婚しよう」と誘っている。

綾波椛の父親 (あやなみかえでのちちおや)

綾波椛の父親で、大阪府にある飲食店「串かつ エッちゃん」の店主。前髪を上げて額を全開にし、前髪全体を右に向かって立てて流し、残りの髪は刈りあげている。眼鏡をかけている。10年前に妻を亡くしてから、高齢ながらたった1人で「串かつ エッちゃん」を経営しながら椛を支える多忙な日々を送っている。音楽にはあまり関心がなく、椛の曲もよく知らないが、椛が家庭のために活動を停止すると知り、ライブハウスに足を運ぶことになる。 店は、味の評判はいいものの、経営は芳しくない状況にある。

鈴谷 (すずや)

二人組人気ロックバンド「カナリア」のギターボーカルを務める男性。平日はフェスやイベントの設営を行うセット会社で働き、週末のみバンド活動をしている。前髪を目にかからないように右寄りの位置で斜めに分けた短髪で、眼鏡をかけている。かつては天谷早織プロデュースのもと、最上彰、三隈と三人でバンド活動をしていた。しかし、人気が出だした頃に、自分達の人気に対して規模が大きすぎるライブを企画した事で、多額の借金を負ってしまう。そこで彰に責任をかぶせる形で事務所を逃げ出し、早織のもとを去った。現在は三隈と二人だけで活動を続けているが、今でも彰と早織を裏切った事を後悔しており、「有限会社TWINKLING STAR」と、今の早織が手掛けるバンドであるBlue Wellsに何かと力を貸している。また、その過程で彰と再会し、正式に三人体制に戻ったというわけではないが、またいっしょに活動するようになる。

三隈 (みくま)

二人組人気ロックバンド「カナリア」のドラムを務める男性。平日はバス会社で働き、週末のみバンド活動をしている。前髪を上げて額を全開にした撫でつけ髪にしている。かつては天谷早織プロデュースのもと、最上彰、鈴谷と三人でバンド活動をしていた。しかし、人気が出た頃に、自分達の人気に対して規模が大きすぎるライブを企画した事で、多額の借金を負ってしまう。そこで彰に責任をかぶせる形で事務所を逃げ出し、早織のもとを去った。現在は鈴谷と二人だけで活動を続けているが、今でも彰と早織を裏切った事を後悔しており、「有限会社TWINKLING STAR」と、今の早織が手掛けるバンドであるBlue Wellsに何かと力を貸している。また、その過程で彰と再会し、正式に三人体制に戻ったというわけではないが、またいっしょに活動するようになる。

生駒 智子 (いこま ともこ)

大手音楽事務所「ゼータミュージック」の社長を務める中年の女性。前髪を眉上で短く切り揃え、顎の高さまで伸ばした内巻きボブヘアにしている。口元にほくろがひとつある。目的のためなら手段を選ばない、強引で攻撃的な性格。榛名優達が17歳の冬、所属バンド「FUNBOOK」の不知火瞬が、Blue Wellsの碧井風夏と親しい事を知る。そこで、FUNBOOKをさらなる人気バンドにするため、碧井を加入させる事を思いつく。そして瞬と結託して、無理やり碧井をメンバーにしようとしたが、事態を知った優に妨害され、Blue Wellsに面子を潰されたと腹を立てる。そのためBlue Wellsの活動を執拗に妨害し、ライブハウスに出演できないように圧力をかけたり、インターネット上にアップした動画を無理やり削除したり、Blue Wells主催の音楽フェス「BLUE SUMMER」の開催日と同日に、自分達もフェスを開催して客を奪おうとしたりした。しかし最終的には、ゼータミュージックへの背信行為が発覚して社長を解任させられ、これと共に妨害もできなくなった。天谷早織とは旧知の仲で、かつてはプロデューサー同士として、ライバル関係にあった。

葛城 桜 (かつらぎ さくら)

福岡県で開催される「街フェス」のボランティアスタッフを務める高校2年生の女子。前髪を目が隠れそうなほど伸ばしてはねさせた、水色のショートカットヘアにしている。本来は控えめで目立たない性格だが、秋月風夏にあこがれるあまり、秋月に似せた容姿をし、秋月のような明るい性格の人間を演じて生活している。高校2年生の冬までは東京都で暮らしており、高校1年生の時は、実は榛名優や秋月と同じ高校の同じクラスだった。しかし、ほとんど接点がないまま秋月は亡くなり、優は退学したため、二人の印象には残っていなかった。その後、両親の離婚で福岡に引っ越す事になり「川畑」から「葛城」に改姓。これを機にイメージチェンジをして、もともと顔立ちが似ていた秋月の真似をして別人に生まれ変わる。そんなある日、優達Blue Wellsが「街フェス」に出演する事を知り、ボランティアスタッフに志願。秋月の存在などまるで知らないふりをして、優に近づいた。しかし、次第に良心の呵責に耐えきれなくなり、そもそも秋月はこのような卑劣な真似はしないという考えに至る。そして優に秋月の真似をするようになった経緯を報告し、容姿も本来の自分らしいものに変えた。

リカコ

西辺誠の経営するライブパブ「ヤマアラシ」で働く若い女性。日本とアメリカのハーフで、外国人のような外見に反して問題なく日本語を話せる。前髪を目の上で切り、顎の高さまで伸ばした内巻きボブヘアにしている。誠からは「チャンリー」と呼ばれている。物静かで人見知りな性格だが、打ち解けると途端におしゃべりになるため、石見沙羅に同類と認識されている。ある冬、ギターの武者修行のためにイギリスを訪れた沙羅と知り合い、そこで自分もまたバンドのギターボーカルをやっている事を打ち明け、同じ店で切磋琢磨するようになる。沙羅がイギリスにやって来た当初こそ実力で彼女を圧倒していたが、その1か月後にはめきめき上達した沙羅に驚かされる事になる。

西辺 誠 (にしべ まこと)

イギリスでライブパブ「ヤマアラシ」を経営する男性。年齢は32歳。伝説のロックバンド「HEDGEHOGS」の元メンバーでもある。前髪を右寄りの位置で分けて刈り上げた短髪で、顎ひげを生やしている。明るく親しみやすい、お調子者な性格。16年前の高校1年生の時、高校の軽音楽部に入部する。しかし2年生になった際に自分以外の部員がいなくなってしまい、活動ができずに困っていた。だが、それから1年後、高校3年生になった際に多摩レイカと小田ニコルソン武蔵が入部した事で、活動再開を非常に喜ぶ。そこで当時周囲から浮いてしまっていた二人に楽器を教え、HEDGEHOGSを結成。さらに初ライブの観客であった石見寿、矢矧伸明、吉野友美を勧誘して、六人組ロックバンドという、現在に近い形にする。しかし活動を続けるうち、ほかの五人と自分の実力差に悩むようになり、自分がいる限り、HEDGEHOGSが世界一のバンドになる事は難しいという結論に至る。そこでHEDGEHOGSのプロデビューと共にバンドを去った。しかし、交流が完全になくなったわけではなく、その後、寿を通じて紹介された石見沙羅に、ギターを教える事になる。

不知火 瞬 (しらぬい しゅん)

人気ロックバンド「FUNBOOK」のギターボーカルを務める男子。前髪を眉上で切った短髪にしている。一見穏やかで落ち着いた雰囲気ながら、目的のためには手段を選ばないタイプ。碧井風夏の友人で、碧井とは地元が近い事から親しく、碧井が東京に行ってしまうまでは、よく対バンをしていた。その頃から碧井に思いを寄せており、いつか自分達がプロになったら、碧井に新メンバーとして加入してほしいと頼んでいた。そして榛名優達が17歳の冬、福岡で開催される「街フェス」でBlue Wellsと共演する事になったのを機に、生駒智子と結託して、碧井を騙すような形で無理やりFUNBOOKに加入させようとする。しかし、事態に気づいた優によって阻止され、身を引いた。

堂林 (どうばやし)

榛名響の恋人の若い男性。前髪を目が隠れそうなほど伸ばして右寄りの位置で分けたウルフカットにしている。榛名優達が高校1年生の秋、氷無小雪と交際している優と、優のバンドであるThe fallen moonが気に入らず、学園祭ライブで野次を飛ばしたり、瓶を投げつけたりと危険行為をする。しかし、それを観客として見に来ていた響に叱られた事でなぜか恋に落ち、交際を始めた。その後は当時の行いを反省し、優達のファンとして応援するようになる。

集団・組織

HEDGEHOGS (へっじほっぐす)

ボーカルのたま、ベースのニコ、ドラムの矢矧伸明、ギターの石見ヒサシ、キーボードの吉野友美の5人で構成された、伝説のロックバンド。若者に絶大な人気を誇り、強い影響力を持っていたが、6年前にたまが姿を消したことから活動休止状態にある。そのため他のメンバーは、たまが帰ってくるまで、スタジオ経営や高校教師といった、別の仕事をして生活している。 作曲は主にニコが担当しており、主な楽曲に「星の降る町」「Climer’s High」などがある。

The fallen moon (ざふぉーるんむーん)

ボーカルの秋月風夏、ボーカル兼ベースの榛名優、ドラムの那智一矢、ギターの石見沙羅、キーボードの三笠真琴の5人で構成された新人ロックバンド。リーダーは一矢。全員同じ高校の出身で、音楽活動を始めたいと考えた風夏が、全員直々にスカウトする形でメンバーを集め結成された。風夏が中心になって生まれたことから、彼女の苗字である「秋月」つまり「秋の月」をもとに「落下する月」という意味も兼ねて「The fallen moon」とバンド名が付けられた。 主な楽曲に「Fair wind」「for you」などがある。

Blue Wells (ぶるーうぇるず)

ボーカルの碧井風夏、ボーカル兼ベースの榛名優、ドラムの那智一矢、ギターの石見沙羅、キーボードの三笠真琴の5人で構成された新人ロックバンド。秋月風夏の死後、4人で活動していた「The fallen moon」のメンバーが、新たなボーカリストとして碧井風夏を迎える形で結成された。当初はバンド名は「The fallen moon」のままにするという考えもあったが、新メンバーを加えるのであれば、装い新たにバンド名も変えたいというメンバーの意向から、碧井風夏の苗字である「碧井」つまり「碧い井戸」から「Blue Wells」と名付けられた。

ラビッツ

女性1名、男性2名の新人スリーピースロックバンド。全員が頭にうさぎのぬいぐるみをかぶっており、素性が分からない覆面バンド。「The fallen moon」とは新人ロックバンド限定のイベント「電光リベリオン」で知り合い、初対面であるにも関わらず、なぜか好意的な態度をとる。ボーカルの女性は引退した元人気歌手で、バンドメンバーはその歌手のバックバンドを務めていたミュージシャンであるという噂がある。

カナリア

5年ほど前から、愛知県名古屋市内のみで活動している2人組ロックバンド。ギターボーカルの鈴谷とドラムの三隈の2名で構成されており、元メンバーには最上彰がいる。現メンバーは2名とも、平日は会社員として働いており、週末のみバンドとして活動する、いわゆる「週末バンド」。活動範囲が狭く、活動日は限られているにもかかわらず、高い人気を誇っている。 かつては「有限会社TWINKLING STAR」に所属していたことから「The fallen moon」、「Blue Wells」とは事務所の先輩と後輩の間柄。そのため天谷早織が育成している「Blue Wells」に関心を持つ。榛名優たちとは「カナリア」側から「Blue Wells」を名古屋市での対バン相手に指名したことで知り合った。

その他キーワード

うさ宗 (うさむね)

秋月風夏と吉野友美のお気に入りのキャラクターのこと。ウサギの姿をしており、左目に眼帯をつけている。榛名優たちの住む地域にあるCDショップで、CDを購入したカップルにのみ、2個セットでプレゼントされる限定グッズ「スキップうさ宗」のキャンペーンがあったのがきっかけで、優はうさ宗の存在を知った。2個プレゼントされたことで秋月風夏と優は「スキップうさ宗」を分け合うことになり、2人にとって非常に大切な思い出のアイテムとなる。

書誌情報

風夏 20巻 講談社〈講談社コミックス〉

第1巻

(2014-05-16発行、 978-4063950861)

第2巻

(2014-07-17発行、 978-4063951332)

第3巻

(2014-10-17発行、 978-4063952230)

第4巻

(2014-12-17発行、 978-4063952728)

第5巻

(2015-02-17発行、 978-4063953206)

第6巻

(2015-05-15発行、 978-4063953978)

第7巻

(2015-07-17発行、 978-4063954395)

第8巻

(2015-10-16発行、 978-4063955170)

第9巻

(2015-12-17発行、 978-4063955644)

第10巻

(2016-03-17発行、 978-4063956191)

第11巻

(2016-05-17発行、 978-4063956719)

第12巻

(2016-08-17発行、 978-4063957327)

第13巻

(2016-12-16発行、 978-4063958256)

第14巻

(2017-01-17発行、 978-4063958515)

第15巻

(2017-03-17発行、 978-4063958928)

第16巻

(2017-06-16発行、 978-4063959604)

第17巻

(2017-09-15発行、 978-4065101902)

第18巻

(2017-11-17発行、 978-4065103692)

第19巻

(2018-02-16発行、 978-4065109731)

第20巻

(2018-04-17発行、 978-4065112427)

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