江戸前の旬 特別編 寿司魂

戦後の銀座を舞台に、若き寿司職人・柳葉鱒之介の成長を描くグルメと人情の漫画。時代背景ゆえに、現代と異なる寿司ネタの使い方などが描かれることもある。同じ執筆陣による『江戸前の旬』の前日譚であり、鱒之介は『江戸前の旬』の主人公である柳葉旬の父親にあたる。

正式名称
江戸前の旬 特別編 寿司魂
作画
原作
ジャンル
寿司
レーベル
ニチブンコミックス(日本文芸社)
巻数
全14巻
関連商品
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概要・あらすじ

銀座の寿司店「柳寿司」は、親子二代で切り盛りする小さな名店。柳葉鱒之介はまだ修行中の身であるが、多くの客との出会いを通じて、日々成長を遂げていた。しかし、そんなある日、初代である柳葉鮃蔵が急死してしまい、鱒之介はしばらく「柳寿司」を閉めて鮃蔵の友人が営む「すし清」に修行に出ることになる。厳しい修行の後、「すし清」の親方である新見清次郎から「一人前ではなく既に一流であり、もう教えることは何もない」とのお墨付きを得た鱒之介は、「柳寿司」の営業を再開する。

登場人物・キャラクター

柳葉 鱒之介 (ヤナギバ マスノスケ)

寿司店「柳寿司」の二代目である、寿司職人の青年。当初は血気盛んなところもあったが、やがて寿司職人として成長を遂げ、円熟した風格を帯びていく。自分が美味いと認めたものであれば、従来の江戸前の流儀にない新しいネタを取り入れていくことにも積極的。親しい友人などからは「鱒っちゃん」、親方たちなど目上の人からは「鱒」と呼ばれている。 佐原直哉を弟子に取ってからは、自身も「親方」と呼ばれるようになる。

柳葉 鮃蔵 (ヤナギバ ヘイゾウ)

柳葉鱒之介の父親であり、寿司店「柳寿司」の初代にあたる老人。古風で昔堅気であり、すでに衰退していたような技術も含めて、江戸前の技と心を大切にしている。己の死期を悟り、鱒之介の前で最後の寿司を握った後、その場に倒れて帰らぬ人となる。その性格を知る人からは、頑固一徹を意味する「石部金吉」とあだ名されていた。

柳葉 節子 (ヤナギバ セツコ)

柳葉鱒之介の母親であり、寿司店「柳寿司」の初代女将。夫の柳葉鮃蔵と同じく、古い考え方にこだわるタイプで、時代の移り変わりに対して批判を口にすることもよくある。君江との嫁姑関係はそれなりに良好。

君江 (キミエ)

東京の若いOL。婚約者がいたが、柳葉鱒之介にプロポーズされ、それを承諾。元婚約者から嫌がらせを受けるなどのトラブルを退け、鱒之介と結婚した。その後は寿司屋の女将のつとめを無難にこなしている。藤沢美恵子とは友人同士。鱒之介との間に男の子3人、女の子1人をもうけるが、その三男であり末っ子にあたるのが『江戸前の旬』の主人公となる「柳葉旬」である。

藤沢 美恵子 (フジサワ ミエコ)

東京の若いOL。柳葉鱒之介を気に入って店の真ん中で愛の告白をし、短期間だが交際していた。しかし友人の君江とその婚約者にダブルデートでの旅行に誘われ、その旅行の最中に鱒之介が君江にプロボーズするという事態が発生したため、鱒之介との関係はそれっきりになった。竹を割ったような性格の持ち主。

佐原 直哉 (サハラ ナオヤ)

柳葉鱒之介の一番弟子である、寿司職人見習いの少年。新見清次郎の紹介で寿司店「柳寿司」にやって来た。北海道小樽の出身。かつてはひどい不良少年で、「柳寿司」でも当初はいきなりナイフを出して暴力沙汰を起こしかけたが、鱒之介の寿司を握るさまを見て感動し、その場に土下座して弟子入りを懇願。その後は修行熱心な良い見習いとなった。 鱒之介からは「直」と呼ばれている。

平政 (ヒラマサ)

寿司店「柳寿司」随一の常連客である中年男性。銀座で靴職人を務めている。柳葉鮃蔵がその死に際して息子・柳葉鱒之介の前で最後の寿司を握った時、その場に立ち会うことを頼まれたというほど、柳葉一家との絆は深い。柳葉一家も他の常連客もほとんどが「平さん」というあだ名で呼んでいる。

若頭 (ワカガシラ)

寿司店「柳寿司」の常連客である中年男性。拓や他のとびたちとともに店に来ることが多い。とび職の若頭を務め、東京タワーや霞が関ビルなど、大きなランドマークの建造に幾度となく関わっている。江戸っ子気質で、喧嘩っ早い。

(タク)

寿司店「柳寿司」の常連客であるとび職の青年。軽い性格のお調子者で、一緒に店を訪れる若頭とはしょっちゅう喧嘩をしている。喧嘩した挙句にとびの組を飛び出して失踪してしまったこともあるが、結局戻って来て若頭とも和解した。

良太郎 (リョウタロウ)

寿司店「柳寿司」の常連客である大学生の青年。柳葉鱒之介とは長い付き合いで、「与太」というあだ名で呼ばれている。楽に大金を稼ぎたいという考え方の持ち主で、いつも時代の先端を行く新しい物事に興味を抱いてはビジネスチャンスを探している。一方で基本的に考えが浅く、鱒之介に説教されることが多い。

先生 (センセイ)

寿司店「柳寿司」の常連客である壮年男性。大学教授ということもあり「先生」と呼ばれている。しばしば学生たちを連れて店を訪れている。かなりの寿司通で、江戸前寿司の歴史などにも詳しい。かつて東京湾で採れた代表的な魚だったものの、すでに幻とされていた「青鱚(あおぎす)」を入手して「柳寿司」に持ち込み、柳葉鱒之介に握らせたこともある。 また、鱒之介が目新しい寿司ネタを店に導入する際には、他の常連客が敬遠するような、当時としては馴染みがなかったネタに対して真っ先に好意的な評価を下すなど、その舌も確か。

北見 三四郎 (キタミ サンシロウ)

寿司店「柳寿司」の常連客である演歌歌手の青年。当初はまったく売れなくて苦労していたが、やがて大物演歌歌手として知られるようになり、「柳寿司に行けば三四郎に会える」などと世人に囁かれるようになった。もっとも、出世してからは仕事が忙しく、実際にはなかなか「柳寿司」に訪れることができずにいる。

鳴瀬 (ナルセ)

寿司店「柳寿司」の常連客で、築地署の刑事をしている中年男性。当初は何故か血も涙もない人物と噂され、築地署の蝮などといわれて人々に忌み嫌われていた。しかし実際にはかなりの人情家であり、柳葉鱒之介と縁のあった殺人犯が寿司店「柳寿司」にいるのを逮捕しに来た時は、鱒之介が彼のために握った寿司を食べる間だけ逮捕を待つなど、さまざまな気遣いを見せる。

新見 清次郎 (ニイミ セイジロウ)

東京深川の寿司店「すし清」の親方の老人。「深川の清次郎」といえば、当代随一の寿司職人の1人として知られる。また「伝説の寿司職人」とも呼ばれており、初めてその寿司を食べた柳葉鱒之介に深い感銘を与えた。柳葉鮃蔵とは友人同士であり、病身の鮃蔵から後事を託され、鱒之介を弟子に迎え入れた。

哲夫 (テツオ)

寿司店「すし清」の見習い寿司職人の青年。札幌の出身で、東京に修行のために上京してきた。後輩にあたる柳葉鱒之介からは「哲さん」と呼ばれ慕われている。謙虚な性格で、当初は後輩の鱒之介まで「さん」付けして呼ぼうとしては嫌がられていた。やがて腕を上げ、親方である新見清次郎からも一目置かれるようになる。

川征の頭

東京深川の寿司店「すし清」の常連客で、木場の川並鳶という仕事の元締めをしている老人。とある川並鳶の弟子入り志願の青年を柳葉鱒之介が紹介した時、制限時間内に100人前の寿司を握ってみせろという条件を出した。それを達成した鱒之介を以後は目にかけている。

松ヶ根の親方 (マツガネノオヤカタ)

千葉県船橋市の寿司店「松ヶ根ずし」の親方で、壮年男性の寿司職人。深川の親方こと新見清次郎にも匹敵する力量を持つといわれる名職人で、江戸前ではなく関西ずしを流儀としている。柳葉鱒之介は鯖の握り方について悩んでいた時、松ヶ根の親方のもとを訪れてその技量に感銘を受けた。

場所

柳寿司 (ヤナギズシ)

柳葉鮃蔵が銀座に創業した寿司店。もともとは有楽町の「寿司屋横丁」と呼ばれる場所に昭和21年から店を構えていた小さな店であったが、新幹線高架工事に伴って寿司屋横丁が解体された昭和39年、銀座2丁目に移転した。銀座にあるとはいえ、寿司店の中では大衆店寄り。

すし清

深川にある、新見清次郎の寿司店。柳葉鮃蔵亡き後、柳葉鱒之介が修行のために入店した。深川近辺では知らない人間はいないといわれるほどの名店。深川は古くからの木場であるので川並鳶の来客も多く、また職人の街でもあるので、銀座の「柳寿司」とは客層はかなり異なる。

その他キーワード

蛇の目巻 (ジャノメマキ)

寿司飯に芝海老で作ったおぼろを混ぜ、海苔で二重に巻いた細工巻物の一種およびその技術。もともと江戸前寿司の技術の基本となるものであり、かつては「文銭巻」「四海巻」などのさまざまな応用があったが、現在は失われかけた文化となっている。柳葉鱒之介は父親の柳葉鮃蔵からこの技術を厳しく仕込まれ、その腕はのちに「すし清」で働くことになった時にも活かされた。

マッチ箱 (マッチバコ)

佐原直哉が「柳寿司」の住込みの弟子となった後、その私室から見つかったマッチ箱。当初、止めるようにと言われた煙草を隠れて吸っているものと周囲に誤解されたが、柳葉鱒之介はマッチが1本も減っていないこと、また煙草そのものは発見されていないことから、直哉がマッチ箱を手に、寿司の握りの練習をしているということを見抜いた。

書誌情報

寿司魂 全14巻 日本文芸社〈ニチブンコミックス〉 完結

第1巻

(2007年10月19日発行、 978-4537107319)

第2巻

(2008年4月18日発行、 978-4537108125)

第3巻

(2008年9月19日発行、 978-4537108774)

第4巻

(2008年12月8日発行、 978-4537109054)

第5巻

(2009年7月18日発行、 978-4537109658)

第6巻

(2010年4月28日発行、 978-4537125917)

第7巻

(2010年12月18日発行、 978-4537126884)

第8巻

(2011年11月9日発行、 978-4537128055)

第9巻

(2012年7月9日発行、 978-4537129083)

第10巻

(2012年12月7日発行、 978-4537129700)

第11巻

(2013年6月7日発行、 978-4537130430)

第12巻

(2013年12月19日発行、 978-4537131123)

第13巻

(2014年6月9日発行、 978-4537131734)

第14巻

(2015年2月28日発行、 978-4537132410)

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