きらきら馨る

きらきら馨る

報われない恋で自害をした沙桐。自害した時に、黄泉の国で恋を芽生えさせた陽朔と沙桐は共に生きたいと思うようになった。生き返った沙桐は陽朔に会うために、さまざまな行動をとって周囲を驚かせる。身分違いの沙桐と陽朔の平安ラブロマンス。「サウス」「ウィングス」に1993年から2002年まで掲載された作品。

正式名称
きらきら馨る
ふりがな
きらきらかおる
作者
ジャンル
時代劇
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概要・あらすじ

姫と恋仲だった相手に懸想をしていた沙桐は自害へと至る。自害した人間は閻魔様のもとで働くことが義務付けられるため、彼女は黄泉の国で300年間にも渡り、他人の成仏の手伝いをしてきた。そんなある日、東宮の陽朔が黄泉の国に落ちてくる。沙桐は彼を黄泉の国から現し世へ戻すための道案内を買って出るが、陽朔と沙桐の間には恋が芽生え、いつしか沙桐は陽朔と一緒に現し世へ帰りたいと願うのであった。

その後、現し世へ戻ることに成功した沙桐は、想い人の陽朔を捜すうちに、陽朔に最も近しい人物である弾正尹宮中務卿宮に捕まってしまう。そして、弾正尹宮と中務卿宮による、沙桐を東宮妃にするための計略が練られるのであった。

登場人物・キャラクター

沙桐 (さぎり)

黄泉の国で300年働いてきたため、元気が有り余っている少女。橘少将の娘。陽朔と出会ったことで、彼の妃になりたいと思い、弾正尹宮や中務卿宮の手を借りて東宮妃への階段を登っていく。宰相の局にしごかれながらも、立派な東宮妃になるために、嫌々ながらも勉強に励んでいる。「薫」は沙桐が殿上童として変装して内裏に潜りこむための名前。 いろいろな人に好かれており、特に今上帝には東宮妃の沙桐としても、殿上童の「薫」としても可愛がられている。

陽朔 (ひざき)

弘徽殿中宮と今上帝の息子、現在の東宮の19歳の男性。陽朔という名前は一般的には使われず、そう呼ぶのは沙桐のみ。ただ、名付けた弾正尹宮はその名を知っている。黄泉の国に行った際は、東宮の重責に耐え切れず、弱々しい印象だったが、沙桐という守るべきものを得て人が変わったように強くなった。

弾正尹宮 (だんじょういんのみや)

麗景殿女御と今上帝の息子の男性。「宮廷一の世渡り上手」を自称している。ブラコンで、陽朔のことを何より大事に考えている。陽朔が大事にしている沙桐のことも、もちろん大事にしている。中務卿宮から想いを寄せられており、「桜の君」と呼ばれている。

中務卿宮 (なかつかさきょうのみや)

今上帝の弟で、陽朔と弾正尹宮の叔父にあたる。陽朔とは顔が瓜二つだが、沙桐は2人のことを見分けることができる。性別に囚われず人を好きになれるタイプで、今は弾正尹宮に惚れている。宮中一のプレイボーイで、彼の毒牙にかかった少年は数知れず。

志野 (しの)

沙桐付きの女房。「薫」と名前を変えて沙桐が内裏に通っていることを心配しており、姉のような想いで沙桐に接している。沙桐のことを一番に考えており、時には苦言を呈することもある。沙桐の手綱を上手に握っている宰相の局を尊敬している。

(しおり)

温厚でしとやかな美人で、香合わせの名手でもある、橘少将の娘で沙桐の姉。式部大夫と結婚しており、2人で慎ましやかな生活を送っている。沙桐が死にかけた時も真っ先に駆けつけるなど、姉として沙桐をとても心配している。

橘少将 (たちばなのしょうしょう)

沙桐と栞の父親。従七位から四位まで階級を上げた異例の出世人で、内裏でも一目置かれている。家庭内では気弱な性格だが、内裏では決めるところはびしっと決める有能な人物。

式部大夫 (しきぶのたゆう)

沙桐が恋をしていた男性。沙桐が思いを伝えようとした時には、既に栞との婚約が決まっていた。優しい人物で、沙桐が生き返った時にも彼女のもとへ見舞いに訪れた。今は栞と共に幸せに暮らしている。

宰相の局 (さいしょうのつぼね)

中務卿宮のいとこで、彼の頼みにより沙桐の東宮妃としての教育係に就いた。沙桐が東宮妃に選ばれた理由は知らないが、東宮妃に選ばれた以上、最低限のお妃教育を施したうえで宮中に上がって欲しいとの思いを抱いている。厳しいことを言うが、沙桐のことを認めている節もあり、公正で優しい人物。

琴姫 (ことひめ)

左大臣の娘。高飛車で人を見下すところがあるが、一途に陽朔のことを思うなど、根は正直。陽朔の正妃になることを夢見ていて、そのために努力を重ねてきた努力家でもある。中原早生のことが好きだが、ずっとそのことに気づかず、早生を傷つけていた。

中原 早生 (なかはら はやお)

左大臣家に仕える青年。琴姫のことが好きだが、琴姫が陽朔のことを好きだと言っていたため、自分の気持ちをずっと隠していた。周囲の皆が自分を置いていこうとしていると考えており、その思い込みが彼自身の怨霊を作り出すこととなった。

(あおい)

右大臣の娘と見せかけているが、本当は息子。母親である女二の宮に姫として育てられた。綾姫として娘を演じながら、葵として内裏をお使いと称して駆け回っていた。勝ち気で計算高い性格で、男のままでは東宮妃になれないことを知っていたため、陽朔を東宮から下して男も好きな中務卿宮を東宮にしたてようと目論んだ。

今上帝 (きんじょうてい)

面白いことが大好きな今代の帝の男性。陽朔と弾正尹宮の父親で、中務卿宮の兄。沙桐を「薫」として内裏にあがらせていたことにも寛大であったが、中務卿宮と弾正尹宮に対しては自分抜きで楽しんでいたことを怒っていた。母親である大后の宮には頭が上がらない。

大后の宮 (おおきさきのみや)

今上帝の母親にあたる、宮中において最高権力を持つ女性。行動力のかたまりのような人物で、その行動力は時に沙桐を圧倒する。かつて自らの牛飼い童にも手をつけられたことがあり、息子の中務卿宮の色事についてはあまり信用していない。

左大臣 (さだいじん)

琴姫の父親で、弘徽殿中宮の弟。陽朔の後見人でもあり、幼少期は母親の実家で親王を育てるという役目のもと、小さな頃の陽朔を育ててきた。権力欲が強いものの、琴姫のわがままやいたずらに振り回されることも多く、苦労人でもある。

右大臣 (うだいじん)

葵の父親で、女二の宮の夫。麗景殿女御の弟でもある。女二の宮が好きだった相手が左大臣だと勘違いしており、左大臣を蹴落とそうと権力欲にとりつかれている。のちに女二の宮が好きだった相手が右大臣であったことを知り、事態は丸く収まることとなった。

女二の宮 (おんなにのみや)

葵の母親で右大臣の正妃。中務卿宮の異母姉。祖父である先々帝に女子を産むように期待されていたが、生まれてきたのが男である葵であったため、期待に応えられないことに絶望していた。葵を女として育てれば祖父に愛されるのではないかと思い至り、以降は葵を姫として育ててきた。

(かえで)

女二の宮の女房の娘で、葵の影武者。美しさが際立つ葵とは対照的に、可愛らしい見た目の持ち主。葵がいない時に右大臣がやってきた際、御簾ごしに相手をするために選ばれた。冬弥と恋仲で、結婚を考えている。

冬弥 (とうや)

左近大夫の男性で、楓とは結婚の約束をした仲。葵とも面識があり、中務卿宮を東宮にして自分が正妃になる、という葵の作戦に協力している。一方で、葵の行動がやがて大きな問題を引き起こすのではないかと心配もしている。

弘徽殿中宮 (こきでんのちゅうぐう)

陽朔の母親で、左大臣の姉。陽朔はこの母に外見が似ている。数多くいる妃の中で中宮に選ばれるほどの、世渡り上手。陽朔の嫁である沙桐のことをとても可愛がっており、「薫」の正体が沙桐だと分かっていながら遊んでいる節があるところは今上帝にも似ている。

麗景殿女御 (れいけいでんのにょご)

弾正尹宮の母親で、右大臣の姉。弾正尹宮はこの母に似ていて、世渡り上手なところもこの母から受け継いでいる。「薫」という殿上童をたいそう気に入っており、「薫」の正体が沙桐だと判明した後は、沙桐と遊んで楽しんでいる。

鈴音 (すずね)

中原早生の怨霊が一人歩きして、期限付きで未来から連れてきた早生と琴姫の娘。天真爛漫で、中務卿宮に憧れている。殿上童として活動している「薫」と共に、内裏の中を歩き回って好きになれそうな人を捜す。

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