でぶせん

でぶせん

原作を安童夕馬、漫画を朝基まさしが手掛けた『サイコメトラー』のサイドストーリーで、同じ2人が執筆を手掛けている。『サイコメトラー』にも登場した、女装癖があるチビデブの無職男、福島満を主人公にした、独特なミステリー感の漂う学園ギャグコメディ作品。2014年から「マンガボックス」および「ヤングマガジン」にて連載。

正式名称
でぶせん
ふりがな
でぶせん
漫画
原作
ジャンル
ギャグ・コメディ
関連商品
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概要・あらすじ

借金返済に苦しみ、富士樹海にやって来た福島満は、チビデブで女装コスプレが大好きな現在無職の23歳。死を覚悟して樹海に来たはずなのに、持ってきたスーツケースには女装グッズがぎっしりと詰まっていた。また喉が渇けば、白骨遺体の横にあるコーラも飲んでしまう緊張感のなさ。そんな状態で樹海を彷徨(さまよ)っていた満は、ある運命的な出会いにより、いわく付きの高価そうなダイヤの指輪と、マンション付きの新たな人生を手に入れ、可愛いネグリジェを着てベッドに入るのだった。

そして翌日目覚めると、満は女装コスプレをしたまま、なぜか不良高校の新任教師になっていた。

登場人物・キャラクター

福島 満 (ふくしま みつる)

ダサい眼鏡をかけたチビデブでドMな23歳の男性。訪問販売員をクビにされている。婦人警官の制服をはじめ、女装コスチュームを収集して身に着けるのが大好き。一人称は「僕」。幼い頃から太っており、小学中学といじめられ続けて高校は入学式で中退。その後はアルバイトを転々とし、女装コスプレを生きがいにしていた。実家の家族が満に黙って引っ越してしまったうえ、自身は無職となり、借金を苦に自殺しようと、樹海を訪れる。 その際、樹海で自分そっくりな福島満子の遺体に遭遇。謎の指輪や免許などを拝借して帰還。満子になりすまして、高級マンションに住むことになる。しかし、指輪の不思議な力により、目覚めると、不良が集まる帝辺高校の着任式に出席し、2年寅組の担任になっていた。 担当科目は国語だが、授業らしいことは何一つできていない。「ミツコ先生」となってからは、奇跡的な運動能力や戦闘能力、問題解決力を発揮し、スーパーヒーロー的な存在となる。そのほとんどは、謎の指輪の力に憑依されたことによるもの。満自身は、その間の出来事を覚えておらず、問題解決後に意識が戻っては、「ホホホのホー」と笑い飛ばして誤魔化す、というのが定型パターンとなっている。 なおこの時、ピンチに陥った生徒のそばに、偶然にも満のお宝が落ちていることが多い。そのために、お宝を必死に守ろうとする満の言葉が、誤解ではあるものの、助けられた生徒たちの胸に響いてしまう。チビデブな容姿に似合わず、教卓を持ち上げるほどの、無駄に大きい男性シンボルの持ち主。 横着と不潔のため、掃除もせず、食い散らかしたままのマンションの部屋は、悪臭で満ちている。行きつけのコスプレ店から紹介された本物の銃「ニューナンブ」を購入して大切にしている。一番のお宝は、お守り袋に入れていつも持ち歩いている本物の警察手帳。

福島 満子 (ふくしま みつこ)

ぽっちゃり眼鏡で、小柄な8月29日生まれの23歳女性。女装した福島満に顔と体型が瓜二つ。朝比奈景子とは、小学校と大学の同級生であった。国立の旧帝大学文学部卒であり、柔道五段、空手三段、剣道二段の武道の達人。帝辺高校の教師になることが決まっていたが、満が樹海で出会った時には既に死亡していた。白骨化しており、その指には大きなダイヤの付いた指輪をはめていた。 その指輪が満の右手薬指にぴったりであったため、勝手に拝借されてしまう。指輪以外にもブランドバックや高級財布を所持。都内にあるタワーマンション「ハイブリットタワー」の1564号室の住人。マンションの室内には、お洒落な家具を置いており、クローゼットにはメルヘンな可愛らしい洋服や、大胆な勝負下着を所持している。 身の周りの品から、裕福な暮らしぶりだったことがうかがえるが、家賃のシステムは不明。生前から教師としての志が高く、問題児だらけの帝辺高校を赴任先として選んでいた。帝辺高校で教鞭をとるにあたっては、落ちこぼれがいなくなることを目標に、着任の日を楽しみにしていた。

朝比奈 景子 (あさひな けいこ)

帝辺高校の2年巳組担任の新任教師。23歳の女性。担当科目は英語教師で、福島満子と小学校と大学の同級生。斜めわけ前髪のロングヘアーで、誰に対しても笑顔で挨拶する気さくな美人。新任式で隣に座った「ミツコ先生」が、女装した福島満とは気づかず、満子だと思ってフランクに声をかけてくる。新任の挨拶では、その初々しく容姿端麗なことを活かし、オリンピック招致の際に有名となったスピーチを真似て、着任早々から男子生徒の心を掴む。 中学生の時にいじめに遭ったため高校へは行かず、わけあって海外で生活した後に帰国。高卒認定を得て国立の旧帝大学へ進学し、教員免許を手に入れた。大学時代、美しさのせいでちやほやされ過ぎて、成績がぱっとしなかった。2学年の主任である沢矢海人に恋心を抱いており、振り向かせようと必死にアプローチする。

沢矢 海人 (さわや かいと)

帝辺高校2学年の学年主任の男性教師。担当科目は体育。スポーツ全般に長け、格闘技では特にボクシングが得意。名前の通り、容姿も立ち振る舞いも爽やかで、私服で街に立っていると、芸能人やモデルと間違われるほどのイケメン。一方で、校内で生徒間トラブルが発生すると、すぐ逃げたり、遠くから見守るだけ、といった薄情な一面もある。 父親は二枚目のルックスであるが、母親が残念な容姿。本人の歴代の彼女たちも皆デブでブスだった。実はそんな母親を思わせるような女性が理想のタイプであり、好みの容姿と、奇跡的な教師としての能力を持つ「ミツコ先生」、すなわち福島満に好意を寄せている。「ミツコ先生」の誕生日にレストランデートに誘い、その後自分の部屋に連れ込んで告白。 さらに流れで身体の関係を持とうと迫るが、逃げられてしまう。「ミツコ先生」が男性であることを知った後も気持ちは変わらず、告白の返事を待ち続けている。

柳田 三太夫 (やなぎだ みたお)

帝辺高校の教頭を務める男性教師。浅黒い顔で傷だらけのスキンヘッド。細眉で眼鏡をかけている。ジャケットを腕を通さずに羽織っていて、シャツは蛇柄のような模様が多い。いつも竹刀を持っており、振り回したり、大声を出して生徒を指導している。ヤンキーを通り越し、堅気ではなさそうなその容姿のため、生徒からも「ヤクザ教頭」「ヤクザ先生」と呼ばれている。 ジャージを着ることもあるが、なぜか柳田三太夫のものにだけは、鯉と月の模様が入っており、まるで刺青のように見える。怖そうな容姿ではあるが、福島満扮する新任の「ミツコ先生」に対し、学校行事の説明や細かな申し送りをしてくれる、しっかりとした教師である。ハイスペックな奇跡的能力を見せる「ミツコ先生」に期待を寄せている。

校長 (こうちょう)

帝辺高校の校長。背広姿に蝶ネクタイをした、小柄な男性教師。玉子のようなつるつる坊主頭に、1本だけちょろ毛の生えているヘアスタイル。一文字の口ひげに数字の「3」のような目をしており、普段は表情もぼーっとしている。福島満扮する「ミツコ先生」の奇跡的な行動を褒め称え、「天が遣わした救世主」と言いながらも、時折しっかりと目を開けて鋭いにらみを利かせたりと、謎の多い人物。

裏見 多摩郎 (うらみ たまろう)

帝辺高校の男性教師で、2年寅組の副担任。担当科目は理科。影が薄く暗い性格で、陰では「陰険教師」と呼ばれている。福島満扮する「ミツコ先生」を2年寅組の教室に案内する時も、教室入口に刃物が落ちてくるトラップがあることを知りながらも、「ミツコ先生」を先に行かせるなど、陰険ぶりを発揮する。ことあるごとにネガティブな発言をし、「ミツコ先生」を不安にさせている。

小山 大器 (こやま たいき)

帝辺高校2年寅組の男子生徒。優しく大人しそうな顔と、華奢な体型のクラス中からのいじめられっ子。下半身丸出しの写真を撮られたり、サンドバックの中身にされて殴られたりと、酷いいじめに遭っている。小山大器自身がいじめられているにも関わらず、荒れくれ者が多い2年寅組に赴任した「ミツコ先生」を心配する、純粋で優しい生徒。 その容姿とは裏腹に、立派な男性シンボルを持っていることをクラス中が知っている。それが度々話題にされることはあるものの、「ミツコ先生」赴任後はいじめられなくなる。家庭科部に所属する唯一の男子であり、旧校舎が火災になった時には、どさくさに紛れて家庭科部の女子たちから襲われそうになった。両親と祖母は、旅館とラブホテルを営んでいる。

緋熊 五郎 (ひぐま ごろう)

帝辺高校2年寅組の男子生徒。熊のように大きな体で、額に大きな三本線の傷跡がある。ケンカが強く、校内屈指の問題児で、「寅組四天王」と呼ばれるうちの1人。校内でも番長的な存在で、子分がいる。福島満扮する「ミツコ先生」の赴任後にクラスで起こった喧嘩騒動で、偶然に「ミツコ先生」から救われたことをきっかけに、「ミツコ先生」を信頼するようになる。 あくまで誤解ではあるものの、「ミツコ先生」を今までの教師と違うと感じ、自ら「ミツコ先生」親衛隊長となる。サイドカー付のバイクを所持しており、「ミツコ先生」を乗せたりもする。また、以前は自宅で両親と妹から怖がられ避けられていたが、五郎自身が学校生活に張り合いができ、穏やかになったので、家族関係も改善された。 「桜子(さくらこ)」という、緋熊五郎とは似ても似つかぬ華奢な容姿の妹がいる。

義志沢 月人 (よしざわ げっと)

帝辺高校2年寅組の男子生徒。「寅組四天王」と呼ばれる校内屈指の問題児の1人。ズボンのポケットにトンファーを携帯している。長身で、道行く女子高生から「かっこいい」と言われるほどの甘いマスクの持ち主。小学生時代の名字は「田中」で、あだ名は「3号」だった。その後両親が離婚したため「義志沢」となり、現在は総入れ歯の婆さんと猫とで、ボロ屋暮らし。 小学生の時には痩せて小さく、いじめられっ子だった。そのため他人の弱い者いじめを見ると、街中でも学校でも暴れ出して叩きのめしてしまう。小山大器と小学校、楯野龍一と中学校が一緒だった。不登校気味のため、福島満扮する「ミツコ先生」の着任後少し経ってから、その存在を知る。学校行事で爆破騒ぎを企ててガソリンを持ち込んだ際、誤爆により自身も瓦礫の下敷きになってしまう。 そこを偶然「ミツコ先生」に助け出され、これをきっかけに、「ミツコ先生」を尊敬する。と同時に、恋愛感情を抱くようになる。レストランでフランスパンを丸かじりする「ミツコ先生」を見て、エロいと感じる変わり者。

神夜 晶 (かみや あきら)

帝辺高校2年寅組の女子生徒。校内でも上位の問題児であり、「寅組四天王」と呼ばれるうちの1人。肩までのセミロングでパッツン前髪をした、クールビューティーな容姿。義手である左手の下には、刀が仕込まれている。義手になったのは、父親の神谷力からの暴力により、熱湯をかけられたため。神夜晶と彼女の母親は、力のDVと存在に怯えたまま、離婚できずにいる。 親や教師といった大人を信じられないまま、いつ人を殺してもおかしくないほど凶暴化していた。しかし、福島満扮する「ミツコ先生」に出会って気持ちを入れ替える。「移動教室」で遭難した際、発情したサルに襲われそうになっていたところを、小山大器に助けられた。それ以来、小山に想いを寄せている。

神夜 力 (かみや ちから)

神夜晶の父親。ウェーブのある髪を七三分けして眼鏡をかけ、一見まともそうに見える。しかし、誰彼かまわず暴力を振う空手三段の元受刑者で、驚異的な身体能力の持ち主。家に金もいれず、妻と娘にも手をあげ、暴力と精神的圧迫で服従させてきた。晶の左手が義手になったのは、神夜力が熱湯をかけて大やけどを負わせたことが原因。また、自分勝手で、今まで娘である晶を、学校行事である「移動教室」に参加させないようにしてきた。 福島満扮する「ミツコ先生」からの一撃を受けて失神させられ、その間に、晶の母親がこっそり用意していた離婚届に拇印を押される。

楯野 龍一 (たての りゅういち)

帝辺高校2年寅組の男子生徒。「寅組四天王」と呼ばれるうちの1人。眼鏡をかけてきっちりと制服を着用している。金持ちで、ぱっと見は真面目そうなため、女性からはモテるが、実は女性を使い捨てしている非道な性格。優等生を装って、担任教師らを「カワハギ」というゲームでいたぶり、遊び半分で廃人にしてきている。担任になった福島満扮する「ミツコ先生」も陥れようと企てている。 父親は大物政治家の黒原剛三で、母親はその妾。今までの楯野龍一がしてきた悪事は、父が金によりもみ消してきた。楯野自身は偉大な父親の単なる奴隷と思っており、人を信じることができない父親との確執や極度の精神的圧迫から、血まみれの死体が見える幻覚症状に悩まされている。

武良 広海 (むら ひろみ)

帝辺高校2年寅組の男子生徒。頭脳明晰であり、冷静でいつも涼しい表情をしている。教室内で発言も少なく、何か考えている様子が多い。ヘアスタイルはオールバックにした髪を、細めのカチューシャで留めている。福島満扮する「ミツコ先生」や、クラスメイトたちの様子を遠目に見ており、「ミツコ先生」が何者なのかと怪しんでいる。 日頃は楯野龍一と一緒に行動することが多いが、龍一が発案した「カワハギ」に関わることもなく、言動には謎が多い。サバイバルの知識があり、鍛えられた身体には無数の古傷が刻まれている。

黄龍 力生 (きりゅう りきお)

帝辺高校2年寅組の男子生徒。「顔面凶器」と言われるほどの鋭い目つきで、ストレートな長髪。教室では言葉数も少なめで、スクールカースト上位に就くため、暴力団「黄龍組」組長の息子だと嘘をついている。背中には立派な刺青があるが、実はタトゥーシール。登下校の時には指定の学校鞄を持って髪を1つにしばり、ビン底眼鏡とマスクで顔を隠している。 出身中学校は「海陰学園」という進学校で、体操競技の「あん馬」で全国ベスト8に入るほどの文武両道な優等生だった。インフルエンザで欠席したことをきっかけに不登校となり、帝辺高校に入学することとなった。現在、下校後は図書館で勉強しており、テストの点も良い。のちにクラスメイトが引き起こした事件に巻き込まれて「黄龍組」に拉致された際、実は伯父が本当に「黄龍組」の組長であるという事実が発覚する。 将来は、東大を出て財務官僚となって日本を変えるのが夢。

樋口 (ひぐち)

帝辺高校2年寅組の男子生徒。坊主頭で、あごひげを生やしている。小学生の頃は優等生だったが、中学受験に失敗しグレてしまった。クラスの大友とは、「移動教室」で金剛の宿に泊まった際、流れで黄龍力生にいじめられた時から仲良くしている。神夜晶の義手の刀を盗もうと企て、金剛の宿の女湯に侵入する。しかし、晶に見つかり、義手の刀で電撃ネットワークのメンバーの1人のような髪型にされてしまう。

大友 (おおとも)

帝辺高校2年寅組の男子生徒。中学までは背が高く、ヤンキーとしてそこそこの地位を築いていた。タバコと「アンパン」のせいで、中学2年で身長が止まり、ヤンキーとしての黄金時代が終わってしまう。クラスの樋口とは、「移動教室」で金剛の宿に泊まった際、流れで黄龍力生からいじめられた時から仲良くしている。神夜晶の義手の刀を盗もうと企て、金剛の宿の女湯に侵入する。 ところが、晶に見つかり、義手の刀で髪を剃られて、寿司のシャリにネタが乗ったような「寿司ヘッド」にされてしまう。

七星 心美 (ななほし ここみ)

帝辺高校2年寅組の女子生徒。地味で特徴がない薄い顔がコンプレックス。いつも濃い化粧をして、誰かに変装している。実の母親からも、別れた旦那に似ている薄い顔だと蔑まれ、顔を整形するために当たり屋をさせられたことが、トラウマになっている。実はそんな母親自身も印象の薄い顔だったため、整形をした過去がある。七星心美の右手首には、自傷行為のリストカット跡が多数ある。 飛び降り自殺をしようとしていたところを、楯野龍一に発見されて救われる。それをきっかけに楯野の「カワハギ」に、チェス駒のクイーンとして加わることになる。楯野の命令で「カワハギ」が始まり、福島満扮する「ミツコ先生」の化けの皮を剥ごうとする。

場所

帝辺高校 (ていへんこうこう)

東京都内にある自由な校風の私立高校。他の高校では受け入れ困難な、荒れくれた生徒が集まる学校。サファリパークのような高校で、着任式で啖呵をきった新任教師が、直後に担架で運ばれて行くこともある。クラス分けは干支になっており、2学年は子から巳組までの6クラス。学年主任がおり、各組に担任と副担任がいる。男子の制服はブレザーに白のシャツ、ネクタイ、チェックのスラックス。 女子の制服はブレザーに白のシャツ、リボン状のタイ、チェックのスカート、ハイソックス。指定の内履きがある。武器や凶器の荷物検査はあるものの、金髪、モヒカン、ピアス、髭などには特に指導はない。私立高校なので学校設備も良く、学食もある。年に1度「移動教室」という校外授業や、部活動の新入生歓迎会、運動会といった学校行事が行われる。 新入生歓迎会にはレイプ事件、運動会には病院送りが続出するのが例年である。また、移動教室の前に、集金を兼ねた家庭訪問がされる。暴力団組員や宗教関係者、公安のマークを受けている家族など、色々な家庭があり、訪問に行ったきり行方不明になる教師もいる。行事活動は教師たちも命がけである。 問題のある家庭が多いため、実は4分の1もの家庭が学費滞納をしており、大変な経営難の学校でもある。

金剛の宿 (こんごうのやど)

「移動教室」で佐渡島を訪れた際、帝辺高校の生徒と教員が泊まった宿。250年の歴史と由緒のある老舗宿で、昔、金を採掘する職人が定宿していたという。人のよさそうな従業員と豪華そうな名前とは裏腹に、室内外とも廃屋さながらで、屋根にはカラスが群がっている不吉な出で立ちである。風がないのに玄関の扉が勝手にバタバタと開閉したり、人型をした壁のシミが浮かび上がったり、霊感の強い人は鳥肌が止まらない、といった怪奇現象が現れる。 旅館名物は、金山の労働者たちが食べていたお膳「無宿膳」を再現したもの。とろろ、麦飯、梅干し、めざし、ねぎの味噌汁、たくあん、番茶といった、現代の旅館では珍しい大変質素な料理。また、部屋割では「鳥兜の間」と呼ばれる大部屋に、義志沢月人と緋熊五郎、小山大器をはじめ楯野龍一、武良広海、黄龍力生といった多くの男子生徒が割り当てられた。

イベント・出来事

新入生歓迎会 (しんにゅうせいかんげいかい)

帝辺高校の新入生を各部活動へ勧誘歓迎する行事。毎年新年度に行われる。部活動への勧誘という建前はあるものの、部活という名の愚連隊が多く、歓迎にかこつけた「拉致」や「カンゲイ行為」が主流。例年、救急車が何台も来るので、「死人」が出ないように教師陣は注意している。また、避妊具の事前配布と指導を校内で行っており、性行為の関わる事件が発生した場合は、教師は合意のもとかどうかを生徒に確認する必要がある。 新入生歓迎会当日の朝には、教師が校門で金属探知機を使い、武器の持ち込みがないか、荷物チェックを行っている。前年は、義志沢月人が校内にダイナマイトを持ってきたり、他の生徒らがスタンガンや特殊警棒を大量に持ち込もうとして近隣から通報され、警察騒ぎになった。 そのため、強引に突破しようとする生徒は、SMプレイ用の手錠をかけて捕まえておく。荷物検査終了後は、アルカトラズのごとく校門は封鎖される。教師は2人一組で校内の勧誘行為の監視に巡回するが、腕っぷしの強い教師以外は「スタンガンつき警棒」を渡される。

移動教室 (いどうきょうしつ)

帝辺高校で2学年の5月に行われる行事。クラスの親睦を深めることを目標にした行事で、前年は北海道の「網走」で網走監獄を見学してきた。福島満扮する「ミツコ先生」の着任した年は、島流しで有名な佐渡島で金山の史跡訪問をすることとなる。実はクラスの親睦以外にも、展示された蠟人形の無宿人(住所不定者)らの重労働と質素な食事を見せて体感させ、「ブラブラ生きていると、おまえらもこうなるぞ」いと言い聞かせて、生徒らに戒めるという目的がある。

体育祭 (たいいくさい)

帝辺高校で毎年行われる体育競技を中心にした行事。子、丑、寅、卯、辰それぞれの組ごとに点数を競い合う。ケガはもとより、死人が出ないよう気を付けて行われるイベントでもある。凶器の持ち込みは禁止のため、競技出場の際には、事前に警備員立会いのもと、担当教師から金属探知機で検査を受ける。競技種目には徒競走、ムカデ競走、騎馬戦などがあり、教師の参加競技にパン食い競走もある。 福島満扮する「ミツコ先生」の着任前の寅組は、やる気がなく、ひたすら暴力を振るっていたため、最下位であった。「ミツコ先生」が担任となってからは、生徒たちが暴力に走らずにルールを守り、見事優勝を果たす。中でも義志沢月人を中心に、緋熊五郎、神夜晶、楯野龍一、七星心美、小山大器、黄龍力生は、放課後に自主的に練習をするほど、ムカデ競走に力を入れていた。

その他キーワード

謎の指輪 (なぞのゆびわ)

大きなダイヤが付いた指輪。富士の樹海で福島満が穴に落ち、白骨化した福島満子に出会った際に、満子の手から拝借してきた。サイズが満の指にぴったりだったので、右手薬指にはめて持ち帰ったが、指輪が抜けなくなり外せなくなってしまう。指輪の石が怪しく輝く度に不思議なことが起こり、「ミツコ先生」として学校へ行くことになったり、奇跡的な格闘能力を見せたりする。 時には虫の知らせのように危険を察知し、人並み外れた行動をさせることもあるが、その間の満の記憶はあいまいになっている。ただのデブで変態な満を、ハイスペック教師「ミツコ先生」として導く謎の指輪。

カワハギ

偽善者ぶった教師らの化けの皮を剥がす行為。帝辺高校2年寅組の楯野龍一が考案した。これまで5人の教師がカワハギの被害にあっており、その教師らは、その後失踪したり、心療内科通いになったり、また自殺未遂を繰り返すなど、心身に大きなダメージを受けている。楯野をキングとし、七星心美がクイーン、他にもビショップ、ナイト、ルーク、ポーン、といった役名の生徒がいる。 日々の生活で、いたる所に罠を仕掛けてターゲットを落とし入れていく。これによりターゲットにされた教師の肉体と精神を追いつめ、醜い本性をさらけ出させることを目的としている。

ベース

サイコメトラーEIJI (さいこめとらーえいじ)

物体に触れることでその物体に残された過去の記憶の断片を読む能力、サイコメトリー能力を持つ少年明日真映児が、刑事の志摩亮子と組み、難事件の解決の力になるミステリーマンガ。事件の計画立案や犯行理由の説明に... 関連ページ:サイコメトラーEIJI

関連

サイコメトラー

『サイコメトラーEIJI』の続編。人の残留思念を読み取る特殊能力を持つ明日真映児が美人刑事の志摩亮子と共に自らの特殊能力を活かし数々の怪事件を解決していく。「ヤングマガジン」2011年第21・22合併... 関連ページ:サイコメトラー

クニミツの政 (くにみつのまさ)

とある事件をきっかけに日本を変えるべく政治家を目指すヤンキー・武藤国光が、その一歩として政治家浪人の坂上竜馬を新千葉ヶ崎市の市長とすべく奮闘していく政治漫画。同作者の代表作『サイコメトラーEIJI』の... 関連ページ:クニミツの政

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