青夏 Ao-Natsu

青夏 Ao-Natsu

夏休み限定で祖母が住む田舎へ行くことになった船見理緒は、酒屋の跡継ぎ息子の泉吟蔵と偶然出会う。美しい自然の中で触れ合いながら、夏休みだけの恋と知りつつも互いに惹かれていく2人の恋模様を描いた青春ラブストーリー。「別冊フレンド」2013年8月号から連載中の作品。

正式名称
青夏 Ao-Natsu
ふりがな
あおなつ
作者
ジャンル
青春
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

第1巻

友人と合コンざんまいの日々を送って若干疲れ気味だった船見理緒は、合コンで始まるありがちな恋よりも運命的な出会いにあこがれを持っていた。ある日、船見奈緒の仕事の都合で理緒と船見颯太は夏休みの期間中、上湖村で一人、そば屋を営む船見理緒の祖母の家で過ごすことになる。祖母が住む田舎に到着して早々、軒先に置いてあったジュースの空きビンを蹴り飛ばして割ってしまう理緒だったが、偶然出くわした泉吟蔵から、割れたビンは触らない方がいいと忠告を受ける。さらに吟蔵の両親が営む泉屋酒店の宣伝をされ、新しいジュースまでプレゼントしてもらった理緒はなんとなく吟蔵のことが気にかかり、後日、一人で酒屋を訪れるのだった。これをきっかけに二人は打ち解け合い、もう一度会う約束をする。

第2巻

泉吟蔵の母親がカゼで寝込んでいると聞きつけた船見理緒は、泉屋酒店で店番をしている吟蔵をねぎらうため、いっしょにそば打ちをしようと持ちかける。二人で過ごすことに緊張しながらも、できあがったそばを食べるうちに、理緒は吟蔵がデザインに興味を持っており、オリジナルのショップカードを作っていることを知る。吟蔵は当然のように泉屋酒店を継ぐのだろうと考えていた理緒は意外な事実に驚き、彼にデザイン系の進路を勧めてみる。しかし、代々続く家業を継がずにほかの道に進むという選択は、上湖村で暮らす吟蔵にとって簡単には決断できないことだった。そんな中、理緒は吟蔵とその友人たちと夏祭りに向けて映画を撮影することになる。

第3巻

友人たちと映画のロケ地候補の川にやって来た船見理緒泉吟蔵は、にわか雨に降られて雨宿りをすることになった。そこでデザインへの思いと自分への印象を吟蔵からそっと打ち明けられ、理緒は吟蔵への思いを強めていく。一方の吟蔵も、理緒の携帯電話にかかってきた菅野に理緒の彼氏を名乗られて思わずやきもちを妬くようなそぶりを見せたり、理緒と二人きりの時間を過ごしたいと望むようになる。そんな中、東京から遊びに来たあや のあとを追って、あやの彼氏と菅野が上湖村へとやって来る。そこで菅野は理緒に彼氏を名乗ってしまったことを謝るが、それには事情があった。

第4巻

東京からやって来た友人や、泉吟蔵と彼の友人も含めたみんなでバーベキューを楽しんだ船見理緒は、友人たちと古いトンネルで肝だめしをすることになった。理緒は吟蔵といっしょのペアを望んでいたものの、引いたくじの相手は菅野だった。この肝だめしを通して理緒と距離が縮まったと感じた菅野は、理緒から吟蔵への思いを聞かされていたにもかかわらず、彼女への思いを募らせていく。そして後日、菅野は吟蔵に向かって理緒を巡る恋の宣戦布告をする。これを受けて吟蔵も理緒への気持ちをさらに募らせていくが、いずれ東京に帰ってしまう理緒と付き合っていく自信は持てずにいた。

第5巻

泉吟蔵と花火大会へ行くことになり、東京から上湖村へ一時的に帰省した船見奈緒の計らいで浴衣を着付けてもらった船見理緒だったが、その日はいつになく吟蔵の機嫌が悪かった。そのため理緒もうまく会話を続けられず、二人はぎくしゃくした雰囲気になってしまう。しかし、吟蔵の態度は、単に理緒の浴衣姿に照れていただけであった。夏休みのあいだだけでも自分と付き合ってほしいと、やっとの思いで素直に打ち明けた理緒を、吟蔵は迷いながらも抱きしめることしかできなかった。だが、日が経つごとに吟蔵は気持ちを抑えることができなくなり、自分も同じ気持ちだと理緒に告げる。

第6巻

小さな村ではなかなか二人きりになることはできなかったが、泉吟蔵と思いを通じ合わせたことで、船見理緒は彼と毎日少しでも会えることがますます楽しみになっていた。しかし、キスのチャンスがあったにもかかわらず、何もしてこないことに違和感を感じた理緒は、夏場の疲れがたまっていたこともあって体調を崩してしまう。心配した吟蔵は見舞いに来てくれたものの、チャンスが訪れてもやはり理緒にキスはしなかった。それでもなんとか気を取り直し、元気になった理緒は、映画の撮影準備にも再び参加するようになり、フライヤーの担当に吟蔵を推薦する。悩んだ吟蔵は理緒にキスができない本当の理由を伝え、二人は少しずつ近づく夏休みの終わりを意識し始めていた。

第7巻

夏休みの宿題が終わっていない船見理緒の様子を見に来た泉吟蔵だったが、宿題を手伝わされそうになっていた船見颯太と将来の夢について話をする。理緒の存在が颯太にとって大きな影響を与えたと知った吟蔵は、ようやく自分が今やるべきことに気づいて理緒とは少し距離を置く。理緒は吟蔵の考えが読めず、一人でさみしさを感じていた。ある日、学校に忘れ物をした吟蔵は理緒を連れて高校を訪れる。当たり前の日常を楽しんだ理緒は、このまま帰りたくないと言い出したが、やはり吟蔵を困らせるわけにはいかず、少しずつ現実を受け入れようとする。そして、夏祭りの準備中に大鳥万里香と吟蔵がじゃれ合っているのを見てしまう。 

第8巻

大鳥万里香泉吟蔵のあいだに入りこめない空気を感じて、船見理緒は吟蔵に他人行儀な態度を取るようになる。やがて夏祭りが始まり、みんなで協力して撮った映画の完成版を見た理緒は人知れず涙を流し、その場から姿を消す。その後、成功を祝ってジュースで乾杯していた吟蔵は、船見颯太から理緒がいなくなったことを聞かされる。吟蔵は理緒がいそうな場所を思い出し、誰よりも先に理緒を見つけることに成功。そして二人は思い出の場所で大切な時間を過ごし、その翌日、理緒と颯太は東京へ帰っていく。そして、東京に戻っても吟蔵を忘れられない理緒は、ついに上湖村へ移住することを決心する。

登場人物・キャラクター

船見 理緒 (ふなみ りお)

私立女子高校に通う1年生の女子。高校は偏差値と通学距離で選んだが、入学後に周囲の学校の男子から人気の、いわゆる「モテ校」として有名であることを知り、戸惑っている。共働きの両親をサポートするべく、任された家事はきちんとこなすしっかり者。しかし恋愛には奥手で、今まで誰とも付き合ったことがない。素敵な出会いに憧れており、どこかに自分の運命の相手がいると信じて疑わない。 合コンで知り合った菅野に気に入られるが、勝手に彼女だと宣言されたこともあり、ストーカー扱いしている。両親が多忙なため、夏休みの間、弟の船見颯太とともに母親の実家がある上湖村で過ごすことになる。そこで偶然出会った泉吟蔵に、少しずつ惹かれていく。のちに上湖村のイベント準備を手伝ったことがきっかけで、吟蔵の友人たちとも仲良くなる。

船見 颯太 (ふなみ そうた)

船見理緒の弟で中学1年生の男子。中学受験をして、最難関の有名私立中学に合格した。年齢にそぐわない落ち着いた性格をしており、実験キットを持ち歩くなど、理科系に造詣が深い。理緒よりも遥かに頭が良く、理緒が通う高校の数学の問題であれば、いとも簡単に解いてしまうほどの頭脳を持つ。ロシアの文豪・ドストエフスキーが大好きで、全集を好んで読んでいる。 両親が多忙なため、夏休みの間、理緒とともに母親の実家がある上湖村で過ごすことになる。

泉 吟蔵 (いずみ ぎんぞう)

高校3年生の男子。船見理緒の祖母の家の近くに住んでいる。両親が酒屋「泉屋」を経営しており、本当はデザインに興味があるものの、自分は家業の跡を継ぐものだと思って夢を諦めている。大島万里香とは周囲から夫婦扱いされているが、恋愛感情は抱いていない模様。理緒の祖母が営む「成瀬そば」に出入りしながら、一人暮らしの理緒の祖母を気遣っている。 夏休みに東京からやって来た船見理緒と仲良くなり、だんだん惹かれていく。

大鳥 万里香 (おおとり まりか)

泉吟蔵の幼なじみの20歳の女性。吟蔵とは、親同士が口約束で勝手に決めた許嫁同士である。美人なことを鼻にかけない気さくな性格と、誰もが羨む巨乳の持ち主で、吟蔵の友達にも人気が高い。両親が雑貨屋「大鳥百貨店」を営んでおり、将来は家業を継ぐものだと考え、自分の人生を諦めている。周囲から夫婦扱いされている吟蔵を何とも思っていないふりをしているが、その内心は誰にも明かしていない。

菅野 (かんの)

船見理緒が友達と参加した合コンで知り合った他校の男子。他の女の子にはない理緒の素朴さに惹かれ、一目惚れした。理緒とは電話番号を交換したものの、ほとんど連絡を取り合っていなかった。夏休みに入ってから突然、理緒に会うために船見理緒の祖母が住む田舎へとやって来る。ある事情から、理緒を彼女だと、仲間内に勝手に宣言してしまい、誤解も重なってストーカーだと勘違いされている。 本来は誠実で心優しく、とても真面目な好青年である。

あや

私立女子高校に通う1年生の女子。船見理緒の友人。一見、軽そうだが芯はしっかりとしている。恋愛に奥手な理緒の気持ちを否定することなく、持ち前の明るい性格を活かしてポジティブな方向へと導く。理緒にとって非常に大事な存在。理緒と一緒に参加した合コンで、他校の男子と付き合うことになり、着実に大人への階段を登ろうとしている。

さつき

泉吟蔵と同じ高校に通う女子。吟蔵の友人。夏休みに上湖村へ遊びに来ていた船見理緒と、村のイベント準備を通して仲良くなる。時々、ナミオの漫画のアシスタントを務めることもある。自分の夢をしっかり持ったナミオに想いを寄せているが、打ち明けるまでには至っていない。理緒からは親しみをこめて「さっちゃん」と呼ばれている。

ナミオ

泉吟蔵と同じ高校に通う男子。吟蔵の友人。高校生でありながら、実は「皆見ナミヲ」のペンネームで少女漫画家としてプロデビューしており、雑誌で作品を連載中。高校卒業後には上京する予定。普段からどこへ行っても、漫画制作に役立つアングルを意識するなど、創作へのモチベーションが非常に高い。

船見理緒の祖母 (ふなみりおのそぼ)

船見理緒と船見颯太の祖母。田舎で一人暮らしをしながら、そば屋「成瀬そば」を営んでいる。店によく出入りしている泉吟蔵には、常日頃から何かと助けてもらっており、吟蔵をとても気に入っている。理緒たちとは離れて暮らしているが、ことある度に東京へ遊びに行っている。老齢にしてTwitterやFecebookといった最先端のアプリケーションも使いこなす柔軟な性格である。

船見 奈緒 (ふなみ なお)

船見理緒と船見颯太の母親。東京でウェブデザイナーの仕事をしながら、理緒と颯太を育てている。夫は海外出張中で、自身も仕事が非常に多忙なため、家事は理緒に任せてしまうことが多い。普段は落ち着いた性分だが、いざ仕事に取り掛かると、非常にせわしない態度になってしまう。幼なじみの泉譲二から、昔は何度もデートに誘われたが、一度も了承したことはない。 当時は譲二につきまとわれていたこともあり、学校では暴走族のヘッドと付き合っていると恐れられていた。

泉 譲二 (いずみ じょうじ)

泉吟蔵の父親。酒屋「泉屋」の店主。将来的に大鳥万里香の両親が経営する雑貨屋「大鳥百貨店」との合併を計画しており、本人たちの了解を得ずして、万里香を吟蔵の嫁に迎えようと考えている。吟蔵が心の奥底に秘めている夢に、薄々勘づいてはいるものの、知らぬ存ぜぬを決め込む。船見奈緒とは同級生で、初恋の相手だった。また、当時は暴走族「上湖愚連隊」のヘッドを務め、「峠のジョニー」という異名を持っていた。

場所

上湖村 (うえこむら)

東京から離れた場所にある自然豊かな村。地域のつながりを大切にする土地柄で、普段から近所同士での付き合いも多い。祭りなどのイベントは、村民あげての一大イベントとなり、世代を超えて盛り上がる。観光地ではないが、美しい水を湛える上湖は、数少ない名所の1つ。

SHARE
EC
Amazon
logo