淀川ベルトコンベア・ガール

淀川ベルトコンベア・ガール

大阪・淀川で豆腐と油揚げを扱うはせ食品の工場で働く16歳の少女・瀬川かよと、はせ食品にパートでやってきた名門私立高校に通う黒崎那子の出会いを皮切りに、10代の少年少女が成長していく様子を描いた青春劇。2003年に週刊ビッグコミックスピリッツで短期連載された同作者の「純粋あげ工場」をベースにつくられた。「純粋あげ工場」は単行本「CUE」3巻に収録。なお、あとがきで連載終盤の2011年に東日本大震災が起こったことを受け、当初予定していたラスト2話のネームを破棄し、別の内容に書き換えたことが明かされている。ただし、作中では震災の描写は一切なく、内容的にも直接の関連性はない。

正式名称
淀川ベルトコンベア・ガール
ふりがな
よどがわべるとこんべあ がーる
作者
ジャンル
青春
関連商品
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概要・あらすじ

家庭の事情により高校進学を断念し、福井から単身大阪にやってきて、豆腐と油揚げをつくる小さな会社・はせ食品の工場で働く瀬川かよ。地元を離れ、職場も中高年がほとんどというかよは、16歳の誕生日に淀川大橋の下で電車の神様に「ともだちが、ほしい!!」と願掛けをする。そんな折、はせ食品にパートとして同世代の美少女・黒崎那子がやってくる。

無口で取っつきにくい那子だが、工場内で起こった盗難騒動をきっかけに、少しずつかよと交流を深めていくことになる。

登場人物・キャラクター

瀬川 かよ (せがわ かよ)

豆腐と油揚げをつくるはせ食品の工場で正社員として働く16歳。中学校を卒業後、家庭の事情で故郷の福井から単身大阪に渡り、はせ食品の社員寮に住みこみで暮らしている。工場では油揚げのベルトコンベア作業を担当。工場への通勤路が近隣の名門高校・私立淀川大学附属学園の通学路でもあるため、同校の一部生徒の間では「おかっぱちゃん」という通称で呼ばれていた。 地元を離れ、工場内にも同世代の同僚がいないさみしさを抱えており、「淀川大橋の真下で上り電車と下り電車がすれ違っている間に大声で3回願い事を言って、その声がかき消されなければ願いが叶う」というおまじないを実行。「ともだちが、ほしい!!」と願う。

黒崎 那子 (くろさ きなこ)

大阪・淀川近くの名門高校・私立淀川大学附属学園に通う高校3年生。第一志望の公立に落ち、第二志望の同校に入学した。入試成績はトップで新入生代表として入学式で挨拶をしており、入学後も成績優秀者が入るA組に。ただし、その後は成績で校内トップ10に入ったことはない。校内では読者モデルをつとめる天川エリカのグループに所属。 学校に隠れて午後3時か午後6時までの3時間、パートタイム勤務で豆腐と油揚げを扱うはせ食品で働く。工場内では同僚に心を開かない様子だったが、職場内での窃盗疑惑などを通して瀬川かよと交流を深めていく。

大沢 スミ江 (おおさわ すみえ)

豆腐と油揚げを扱うはせ食品の工場に勤務。同工場では、16歳の瀬川かよに次いで若く、独身。かよと同じくはせ食品の社員寮に住んでおり、比較的年齢が近いこともあって、お姉さん的存在としてかよの相談に乗っている。連載開始時、55歳の彼氏は台湾の育毛剤を仕入れてネット販売を行う事業の起業準備中で、スミ江も2人で住むマンションの頭金にする予定だった貯金を彼の事業に投資している。

天川 エリカ (あまかわ えりか)

大阪・淀川近くの名門高校・私立淀川大学附属学園に通う高校3年生。成績優秀者が集まるA組の生徒で、黒崎那子とはクラスメイト。ときおりファッション誌「CC」の読者モデルもつとめており、校内では彼女を中心とした友人グループを形成している。お嬢様育ちでオーダーメイドのアクセサリーを頻繁に購入したり、修学旅行用の服を東京まで買いに出かけたりといった学校生活を送っている。

長谷川 ヒロキ (はせがわ ひろき)

大阪・淀川近くの名門高校・私立淀川大学附属学園に通う高校3年生で、豆腐と油揚げを扱うはせ食品の社長のひとり息子。同校には補欠合格で、成績最下位の生徒が集まるE組に所属。黒崎那子とは小学校時代のクラスメイトで、高校2年のときに再会し、その後友人として交流を続けていた。

チカ

高校2年生。瀬川かよの中学時代の同級生で、かよとともに手芸部に所属していた。福井在住だが、ネットを通じて大阪の彼氏に出会い、かよを訪ねる。

長谷川 弘司 (はせがわ こうじ)

豆腐と油揚げを扱うはせ食品の社長で長谷川ヒロキの父。

集団・組織

私立淀川大学附属学園 (しりつよどがわだいがくふぞくがくえん)

『淀川ベルトコンベア・ガール』に登場する高校。淀川の近くにある名門私立高校で、文武両道の進学校。比較的裕福な家庭に育った生徒が多く、修学旅行先はオーストラリアなど海外へ行くのが恒例。自由な校風で知られ、近隣ではもっとも文化祭が盛り上がる。

株式会社はせ食品 (かぶしきがいしゃはせしょくひん)

『淀川ベルトコンベア・ガール』に登場する企業。代表取締役社長は長谷川弘司。豆腐、油揚げを主力に展開する、いわゆる中小工場。現社長の父である先代がリアカーで豆腐を売り歩いたところから始まり、現在では1日約5000丁の豆腐をスーパーに卸している。豆腐はアメリカ産、カナダ産大豆を使った低価格商品、国産大豆使用のものなど価格帯別に複数を生産している。 社員向けには個室の社員寮があり、福利厚生も比較的良好。

場所

テーラーセガワ

『淀川ベルトコンベア・ガール』に登場する洋裁店。同作の主人公・瀬川かよの実家で、福井県の小さな商店街に店を構える。裾上げなどの手直しから、オーダーメイドのスーツまで手がけていたが、時代とともに注文が減っていき、現在は開店休業状態となっている。商店街自体も人通りが絶え、シャッター通りとなっている。

淀川大橋 (よどがわおおはし)

『淀川ベルトコンベア・ガール』に登場する鉄道橋。作中では国道2号線にかかるものではなく、淀川にかかった鉄道橋を指してこう呼称している。同作では「淀川大橋の真下で上り電車と下り電車がすれ違っている間に大声で3回願い事を言って、その声がかき消されなければ願いが叶う」という噂話が描かれており、主人公・瀬川かよはこの橋の下で「ともだちが、ほしい!!」と願掛けを行った。 淀川にかかる鉄道橋はいくつかあるが、ここでモデルとなっているのは阪急電鉄の阪急神戸線と思われる。

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