Ultra Red

Ultra Red

破傀拳と呼ばれる特殊な拳法を使う皇閃が、大手の総合格闘道場「ドラゴンフレイム」の格闘家たちと熾烈な争いを繰り広げる。鈴木央による、格闘技をテーマとした作品。「週刊少年ジャンプ」2002年45号から2003年29号まで連載された。

正式名称
Ultra Red
ふりがな
うるとら れっど
作者
ジャンル
バトル
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概要・あらすじ

破傀拳の使い手である皇閃は、偶然遭遇した秋葉道場の一人息子、秋葉大樹を守るため、総合格闘道場「ドラゴンフレイム」の門下生である片桐秀人を撃退する。これにより、「ドラゴンフレイム」に打撃を与えたとして格闘界の注目を浴びることとなった閃は、「ドラゴンフレイム」所属の格闘家や、従兄弟であり破傀拳の使い手である皇友などの強敵との激闘に臨むこととなるのだった。

登場人物・キャラクター

皇 閃 (すめらぎ せん)

破傀拳、および皇流武術を使う13歳の少年。物心ついた時より皇帝から破傀拳の修業を受けていたが、5歳の時に祖父の皇朱門によって引き離され、それ以来は朱門とともに各地を転々としていた。父である皇帝と、彼から学んだ破傀拳に誇りを抱いており、現在も破傀拳によって世界の頂点を目指すべく修行に励んでいる。

皇 朱門 (すめらぎ しゅもん)

皇閃の祖父。高名な武術家で、かつて息子である皇帝や皇崇、焔豪将騎の師として、彼らに破傀拳を伝授している。しかし、閃が5歳の時、彼を連れて突如皇家を出奔。それからは2人で各地を転々としてきた。現在は閃に武術の訓練を課しているが、破傀拳を危険なものとしており、使うことを禁じている。

秋葉 大樹 (あきば たいき)

空手の道場である秋葉道場の一人息子で、13歳。総合格闘道場「ドラゴンフレイム」によって土地の買収を強いられており、何とか取りやめてもらおうと、門下生である片桐秀人に嘆願しているが、相手にされていない。業を煮やした秀人たちに殴られていたところ、皇閃によって助けられる。空手に対する熱意や、道場を守ろうとする意志こそ本物だが、実力は今一つ。

皇 帝 (すめらぎ みかど)

皇閃の父親。かつて皇崇や焔豪将騎とともに、皇朱門のもとで修行し、その際に破傀拳を修めている。閃の物心がついた時から破傀拳の修業を課しており、現在の閃のスタイルを作り上げた。閃が破傀拳で世界の頂点に立ちたがる理由は、帝に認めてもらいたいからというのが大きい。皇帝の内心には自分自身こそがトップでなければならないという認識があり、そのためには手段を選ばないという、凶暴かつ残忍な本性を秘めている。

焔豪 将騎 (えんごう まさき)

皇朱門のかつての弟子で、皇一家とは懇意の間柄。皇閃にも一目置いているが、皇帝に対しては強い警戒心を抱いている。現在の格闘界における日本の現状を憂いており、気骨のある若者を育て上げるべく、総合格闘道場「ドラゴンフレイム」を作り上げた。分別のある性格だが、筋を通すなら通すだけの力と意志が必要であると考えている。

片桐 秀人 (かたぎり ひでと)

総合格闘道場「ドラゴンフレイム」に所属するボクサー。中学1年生でありながら焔豪将騎に将来性を見出されており、ミット打ちでは、ミットを持った相手を吹き飛ばすほどの強烈なパンチ力を誇る。しかしまだまだ発展途上の段階にあり、兄の片桐貴人や、破傀拳を使う皇閃、皇友などには及ばない。

渡辺 則夫 (わたなべ のりお)

総合格闘道場「ドラゴンフレイム」のナンバー2に位置する、中学3年生の巨漢。東北生まれで、強い訛り言葉で話す。片桐秀人を倒した皇閃に興味を持ち、対決した際には得意とする相撲の技で翻弄した。武術に対して、自らにも相手にも妥協を許さぬ性格をしており、相手に対しては容赦をせず、相手も自身に対して常に本気であることを望んでいる。 一方、試合から離れれば気さくな人間で、敵である閃や秋葉大樹に対してもフレンドリーに接している。

白羽 三千也 (しらは みちや)

総合格闘道場「ドラゴンフレイム」に所属する中学生。まつ毛が長い長髪の少年。空手、および合気道の技を用いる。見切りの達人で、敵の攻撃の威力を活かしたカウンター戦術が得意。片桐秀人を苦戦させた皇閃に興味を抱き、彼と渡辺則夫の試合に乱入した際には、得意のカウンター戦術で閃を驚かせた。

焔豪 大我 (えんごう たいが)

焔豪将騎の息子で、総合格闘道場「ドラゴンフレイム」の大将。空手の技を使う。全国大会7回連続優勝という凄まじい実績と、他の門下生とは比較にならない実力を持つ。かつては自身の拳が凶器になることを強く恐れており、本気を出すことができなかったが、副将である渡辺則夫との鍛錬によって手を抜くことが武術に対する冒涜であると悟り、全力で試合に臨めるようになった。 秋葉道場の取り潰しを阻止するため道場破りに訪れた皇閃と、一対一の対決を行う。

原田 羽奈 (はらだ うな)

異種格闘技jr大会に訪れた、女子ボクサー。悪質なナンパ師に絡まれていたところを皇閃に救われ、彼に好意を抱く。閃本人から「うな田」と呼ばれるが、嫌がる様子はない。大会においては優れた成績を残すことができなかったが、閃の試合を見て一念発起。彼に釣り合うような力を得るべく、特訓に精を出している。

皇 友 (すめらぎ ゆう)

皇閃の従兄弟で、破傀拳の使い手。かつては閃と仲が良く、ともに世界の頂点を目指し修行に励んでいたが、現在はある因縁により彼と皇朱門に憎しみを抱いている。試合においても冷酷そのもので、閃に見せつけるという理由で、戦意を喪失した相手に対し破傀拳の技をかけようとすらしてしまう。

皇 崇 (すめらぎ たかし)

皇友の父親で、破傀拳の使い手。かつて父親である皇朱門のもとで修業をしていたが、兄である皇帝に完敗。さらに、息子である皇友とともに、家族に置き去りにされてしまう。そのため、友に対して破傀拳を伝授。自身の教えた破傀拳で、朱門の直弟子となった皇閃を倒すことで、朱門を見返そうと企む。

片桐 貴人 (かたぎり たかと)

片桐秀人の兄。「モンスターボックス・ジム」に所属するボクサーで、188センチもの高身長を誇る。焔豪大我に強いライバル心を抱いている。異種格闘技jr大会にて皇閃に敗北した秀人を役立たずと罵ったうえで傷つけ、原田羽奈が皇閃のために作ったケーキを床にぶちまけたことによって閃の怒りを買う。

倉橋 正人 (くらはし まさと)

異種格闘技jr大会の参加者である少林寺拳法の使い手。試合前に片桐貴人に因縁を付けられ、乱闘になってしまう。しかし、体格で大いに勝る貴人の攻撃をほぼ紙一重でかわしており、その縁によって貴人にも一目置かれるようになる。

山田 吾郎 (やまだ ごろう)

「王狼館」に所属する少林寺拳法の使い手。異種格闘技jr大会の参加者である。挑発的な言動が目立つが、それに見合った高い実力を持っている。蛇蝎拳と呼ばれる中国武術の秘拳を会得しており、ノーモーションで人体の急所を狙い、相手に攻撃をさせないまま打ち倒す戦法を得意としている。

生駒 紅梨 (いこま こうり)

異種格闘技jr大会の参加者。筋肉質の少年で、我流のスタイルで本戦に勝ち上がってきた。焔豪大我と渡辺則夫の試合を「楽しいショーだった」と発言したことにより大我の逆鱗に触れるが、その際に則夫との対決で負った大我の傷を見抜いている。

集団・組織

ドラゴンフレイム

焔豪将騎によって設立された、全国規模で展開している総合格闘道場。格闘界における日本の地位向上を目的としており、中学生や高校生の育成機関として知られている。痛みを伴う方が練習に気合が入るという将騎の方針で、練習においてはヘッドギアの着用を禁じている。

その他キーワード

破傀拳 (はかいけん)

皇閃をはじめ、皇家の武術家が使用する流派。1人で大勢の敵を倒すための、関節破壊を追求した古流武術。まるで操り人形の糸を断ち切るように、攻撃を交わすごとに相手の身体が動きを失っていくさまからそう名付けられた。日本の武術のほとんどが西洋文化の影響を受けスポーツ化する中、全く逆の進化をたどり禁じ手のみを極め続けた結果の産物である。

破傀拳奥義・九十九折 (はかいけんおうぎつづらおり)

皇閃が使用する破傀拳奥義の1つ。足のみを用いた連携技で、ハイジャンプから、三段蹴り、回し蹴り、かかと落としと続け、その反動によるバック宙で相手の後ろ側に回り、首元を掴んで股関節にニードロップを決める。本来は多人数相手を想定した大技で、派手な見た目に見合った威力を持つが、ミスなく決めるには超人的な身体能力と動体視力を必要とする。

破槍球突 (はそうきゅうとつ)

皇閃が使用する破傀拳の1つ。金剛指と呼ばれる構えを作り、腕を槍に見立て利き腕を添えて真っ直ぐに突く。厚さ2~3ミリの鉄板すら難なく貫くほどの威力を持つが、攻撃範囲が狭く軌道を読まれやすいという欠点がある。また、相手の関節を狙うだけの絶妙な間合いやタイミング、集中力が求められる技でもある。

破傀拳奥義・百花繚乱 (はかいけんおうぎひゃっかりょうらん)

皇閃が使用する破傀拳奥義の1つ。焔豪大我との対戦で半ば無意識に発動させた。突きを連続して繰り出すことで、肉を裂き骨を外し、身体の自由を奪うと同時に致命傷を与える。力を解放し、達人すら凌駕する者のみに許された禁断の技で、その威力は試合を見たすべての人に恐怖をもたらした。

背面双突 (はいめんそうとつ)

皇閃が使用する、破傀拳の1つ。高い跳躍から両足で相手の首をホールドし、無防備な背面に対して指による突きへとつなげる強力な技。相手の背面に身体を折り曲げる際、振り落とされないようにホールドした両足をより締めるため、自動的に頸動脈を圧迫し、うまくいけばそれだけで意識を失わせることも可能となっている。

螺旋球破 (らせんきゅうは)

皇閃が使用する、破傀拳の1つ。相手の両肩前後に自らの両足を立ったままの状態でかけ、全身を捻りこみ強烈なスピンを与える。その凄まじいスピードによって、肩を外したり骨をきしませたりといった、大きなダメージを与える。さらに、三半規管を狂わせるという追加効果を持つ。

破傀拳奥義・雲蒸竜変 (はかいけんおうぎうんじょうりゅうへん)

皇閃が使用する破傀拳奥義の1つ。倒立から肘、および体幹を屈曲させた反動を活かし、蛇が竜へと姿を変えるがごとく空中に飛翔。連蹴りを叩き込むことで相手を宙に持ち上げる。かけられれば身動きの取れない状態になるので、一度この技に捕まるとかわす術はない。

破傀拳奥義・紫電一閃 (はかいけんおうぎしでんいっせん)

皇閃が使用する破傀拳奥義の1つ。達人すら見切ることが不可能なほどの突きを連発し、相手の関節を貫く。その連撃は瞬きをするほどの一瞬で完了するといわれているが、代償として自らの腕を犠牲にするほどの反動を強いられるため、使用はとどめを刺す際、さらにいざという時のみに限られる。

トルネード・スルー (とるねーどするー)

片桐秀人が使用するボクシング技。柔道の背負い投げの身体の捻転と回転を応用した必殺ブロー。一発の威力は高いが大振りであるという短所があり、相手が体勢を崩していなければかわされる可能性が高い。また、その力を十分に引き出すには優れたボディーバランスと三半規管が不可欠となっている。

テンペスト・アロー (てんぺすとあろー)

片桐秀人が使用するボクシング技で、トルネード・スルーの強化版。身体の捻転、回転を応用したブローを打ち続けることにより、回転速度とそれに伴う破壊力を増大させる大技。優れたボディーバランスと三半規管を要求されるのは同じだが、使う局面によっては一発逆転を狙える必殺ブローである。

鯖十字 (さばじゅうじ)

渡辺則夫が使用する技。相撲では禁じ手とされる鯖折をかけつつ、利き腕で相手の襟首を締めるという荒技。肋骨、背骨に凄まじい圧力がかかるうえ、首を極めるため呼吸も困難になり、かけられた方は地獄の苦しみを味わうこととなる。ただし、この技をかけるためには、相手との体格に差がなければならないうえ、片方の腕で腰を絞めるだけの筋力が必須条件となっている。

二連鉄砲 (にれんでっぽう)

渡辺則夫が使用する大技。やや下方から相手を打ち上げるような強烈な突きを繰り出し、浮き上がった相手に連続して2段目の突きを放つ。鯖十字同様、相撲の技を則夫が独自にアレンジしたものとなっており、彼の持つ絶大なパワーがあってこそ成立する技と言える。

稲妻居反り (いなずまいぞり)

渡辺則夫が使用する大技。彼が扱う他の技同様、相撲の技を独自に改良したものである。しゃがみ込むように相手の懐に入り、膝を掴んだままほぼ垂直に相手を投げ落としてしまう。上空から叩きつけられるダメージに加え、則夫の体重までかかるため、特に軽量級の選手にとっては一撃必殺といっても過言ではない破壊力を秘める。

エグゼキューショナー・ソード (えぐぜきゅーしょなーそーど)

白羽三千也が使用するカウンター戦術。相手のパンチをかわしながら腕を取り、勢いを殺すことなく流して地にねじ伏せる。同時に逆立ちになり、そこから相手の背面に膝の一撃を喰らわせる。膝落とし自体の威力はそれほど高くないが、肩、背中、後頭部などが無防備になっているところに攻撃を叩き込めるため、結果的に大きなダメージを与えられる。

バルディッシュ

白羽三千也が使用する大技。後ろ回し蹴り、中段回し蹴り、後ろ蹴りのコンビネーションを素早く繰り出す。それぞれが、払う、斬る、突くという異なる役割を持っており、その多機能さが中世の戦斧であるバルディッシュを彷彿とさせるため、この名前が付けられた。

迅雷砕牙 (じんらいさいが)

焔豪大我が使用する大技。左右の親指を合わせた状態で両手を組み、胸の前に構えて真っ直ぐに相手の身体の中心に打ち込む。カウンター技としても優秀であり、相手の防御のみならず、攻撃すら弾き、打ち破ることができる。大我は、この技で相手のガードをはじき、楼月崩顛撃に繋げる連携を得意としている。

楼月崩顛撃 (ろうげつほうてんげき)

焔豪大我が使用する大技。父親である焔豪将騎より伝授された必殺攻撃である。迅雷砕牙でひるんだ相手に、左旋回跳躍から、固めた両拳を振り下ろし、相手を自分の足元にひれ伏させる。館内における練習試合においても多用しており、その力強さから、大我を象徴する技として喝采を浴びている。

嶄絶爪牙 (ざんぜつそうが)

焔豪大我が使用する技。迅雷砕牙の変化版で、両掌底で相手の胸部、または腹部を挟み、搾りこむように衝撃を発生させ、相手の胸骨、肋骨、内臓に大きなダメージを与える。総合格闘道場「ドラゴンフレイム」の関係者からは、大我が放つこの技を「竜の衝撃(ドラゴン・ロアー)」と呼び、恐れている。

広背掌 (こうはいしょう)

皇友が使用する、破傀拳の1つ。背中を抱き込む姿勢から、広背筋を一気にねじる。それによって、相手は腕を上げることも引くことも不可能となる。大技というよりは通常技に近いが、厚さ2~3ミリの鉄板をやすやすと引き裂くほどの威力を持つ。

破傀拳奥義・四面楚歌 (はかいけんおうぎしめんそか)

皇友が使用する破傀拳奥義の1つ。肉体の潜在能力を最大限に引き出すことで獣のごとき敏捷性を獲得し、つむじ風のごとく相手を翻弄しつつ嵐のごとき乱撃を打ち込む大技。友はこの一撃一撃に筋肉をねじる追加効果を含めており、ひとたび喰らえばたちまち行動不能になってしまうレベルに昇華されている。

破傀拳奥義・不倶戴天 (はかいけんおうぎふぐたいてん)

皇友が使用する破傀拳奥義の1つ。技名の持つ「共に天を戴かず」との意のままに、相手を空高くから腕をホールドしたまま地面に叩き伏せる。さらに、ホールドした際に広背掌で背中の筋をねじり、激痛を与えつつ脱出を阻むという、まさに凶悪な必殺技。

ブレイク・スルー (ぶれいくするー)

片桐貴人が使用するボクシング技。ジャブを連打することにより拳の壁を産み出して相手を翻弄し、不意打ちでストレート、あるいはアッパーを叩き込む。防御が困難な技で、距離さえ取られなければ強烈な一撃を叩き込める。相手が距離を詰めてきた場合は、ジャブの猛ラッシュから最後のストレートまでの全弾が見舞われる。

毒蛇探路 (どくじゃたんろ)

山田吾郎が使用する、蛇蝎拳の1つ。互いに絡み合う毒蛇のような構えで相手をひるませ、その隙を狙って人体の急所を突く。攻撃範囲が広く前後左右周囲360度へと自由に展開できる。また、急所に命中すれば一撃で相手を失神させられるが、少しでも外してしまえばダメージを与えられないというデメリットが存在している。

白蛇氾濫 (はくじゃはんらん)

山田吾郎が使用する、蛇蝎拳の1つ。全身の急所を狙った手刀を連発するというシンプルな技だが、一撃でも急所を直撃すれば相手の動きを止められ、以降の攻撃はすべて命中するため、まさに必殺と呼べる威力へと昇華される。しかし、急所を外した場合は毒蛇探路と同様に一切のダメージは与えられない。

異種格闘技jr大会 (いしゅかくとうぎじゅにあたいかい)

総合格闘道場「ドラゴンフレイム」が主催する、全国規模の格闘大会。若者たちの肉体、精神的成長を大会の目的としており、そのため、13歳から15歳までの男女を対象としている。男女それぞれ128人ずつが参加し、予選となる8人のバトルロイヤルを勝ち抜いた者にのみ、本戦への出場が許可される。さらに、本戦は4戦を1日で行い、試合で負ったダメージは蓄積されていくため、よほど上手く戦わなければ決勝まで体力を維持するのが困難とされている。

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