覇王伝説 驍

覇王伝説 驍

「週刊少年マガジン」で長期連載された、親子2代にわたる戦いが描かれる2部構成の長編歴史ロマン。島崎譲の手掛ける架空歴史ドラマの代表作。

正式名称
覇王伝説 驍
ふりがな
はおうでんせつ たける
作者
ジャンル
ファンタジー
 
時代劇
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概要・あらすじ

鳳家の嫡男・鳳驍は武道が苦手で気弱な少年だった。だが領主であり父であった鳳典膳八朶冥鬼の謀略によって亡くなり、わずかに残された北の領地に向け旅立つ。供は千人力の武神・巽凱(一部)、天才火薬師・甲斐流輝。死線を潜り抜け、ようやく到達した北の領地では、驍の気弱な様子に信頼を得られず苦心する。

しかし学者の息子・藤太を信じて水脈を掘り当てたことをきっかけに、領民の心を掴む。驍は常に人を信じ、自分が先頭に立って行動する。それに人々の心が動かされるのだ。北の領地から周辺小国を味方につけ、軍師や商人など才能豊かな仲間を得、八朶冥鬼討伐を目指す。

登場人物・キャラクター

鳳 驍 (おおとり たける)

第一部に登場する。乱世に生まれた心優しい少年。鳳家の嫡男。13歳の時、八朶冥鬼によって鳳領が滅ぼされ、父の鳳典膳の願いで自ら自分の父を射る。優しさの中にも王者の気魄(きはく)があり、八朶冥鬼ですらも一瞬ひるんだ。私利私欲ではなく、平和と愛に満ちた国を作るために天下取りを目指す。

タケル

第二部に登場する。先代鳳国王の鳳驍と白砂の女王・瑠璃香姫の子。女官サヨが母親代わりとなり雫村で育てていた。鳳驍とそっくりの顔をしているが、性格はタケルの方が破天荒である。驍が一番安全な策を取るなら、タケルは一番危険な策を取る。動物と心通じさせる能力は驍譲りで、人を憎む山岳馬・獅子王とも仲間になった。 赤子の時に冠達無頼に付けられた傷が額にある。巽凱(二部)と出会い、無頼を倒す決心をする。

鳳 典膳 (おおとり てんぜん)

第一部に登場する。鳳驍の父。大陸の北方に最も広大な領土を支配している名将。武士としての勇猛さだけではなく、自由と平等を尊ぶ政治力に、国中が期待していた。しかし腹違いの弟・八朶冥鬼に裏切られ、命を落とす。

鳳 詩織 (おおとり しおり)

第一部に登場する。鳳驍の姉。美しく心優しい姫君。八朶冥鬼と政略結婚をさせられる。巽凱(一部)と両想いで、第二部では巽凱(二部)との挙式まで決定しているが、新しい国を見ることなく謀殺されたことが明らかになる。

巽 凱(一部) (たつみ がい)

第一部に登場する。鳳家一の勇者。千人力の武神。戦乱で親を亡くした浮浪児だったが鳳典膳に拾われ、立派な武将になった。鳳驍が幼い頃から、その資質に気づいていた。驍のよき理解者であり、忠臣。鳳詩織に好意を寄せている。

甲斐 流輝 (かい りゅうき)

第一部に登場する。高い報酬を貰って戦場を渡り歩く、流れ者の天才火薬師。自分の領主に妻子を殺され、侍を憎んでいる。鳳驍の人格にほれ込み、命を賭して戦う仲間になる。白砂領での戦いで面の兵士を使った罠にはまった。

仁紗 辰人 (じんしゃ たっと)

第一部に登場する。鳳家参謀長。北の領地を守ってきた鳳家自慢の武将の1人。武骨で真面目なため、鳳驍や他の面々とぶつかることもあったが、仲間想いの忠臣。面の兵士との戦いで黒騎兵の1人・濁人が面の兵士に命令を下せることに気づき、自分の命と引き換えに濁人を殺す。

堤 障 (つつみ しょう)

第一部に登場する。鳳家特攻部隊隊長。元・鳳軍第十一番隊隊長。鳳領が落ちた時に隊ごと孤立し、保坂領で圧政に苦しむ領民のために盗賊をやっていた。巽凱(一部)に正体を見抜かれ、鳳驍の軍に加わる。

藤太 (とうた)

第一部に登場する。北の領地で地質を調べていた学者の息子。父を信じて水脈を掘ることを鳳驍に進言する。全体を見る目と知識を持っており、鳳軍の軍師になる。葵炎丞が仲間に加わってからは炎丞に師事する。

ゲン(一部)

第一部に登場する。北の領地の悪ガキ共のリーダー。藤太を嘘つき呼ばわりしていたが、鳳驍が水脈を信じたため、心を動かされる。武人として驍につき従う。直情的な性格。第二部にも登場する。

夢屋 蛮代 (ゆめや ばんだい)

第一部に登場する。豊上一の大商人で、大の侍嫌い。借金の申し入れに来た鳳驍に海賊退治の条件を出すが、驍が海賊が食い詰めた漁師であったことを見破り救ったことで驍を信頼し、すべての財力をつぎ込む。若い頃、八朶冥鬼とは共に国を憂い、国の将来を語り合う仲だったが裏切られた。

タスク

第一部に登場する。夢屋蛮代の側近であったが、夢屋の言いつけで鳳驍のもとで諜報活動をする。普段は頭に布を巻いているが、実際の髪色は金色。この国の人間ではないが、幼い頃船が難破して祖国に帰れず、父親と一緒にこの国に永住する決意をした。父親は正義感が強い人格者で、ずっと父を尊敬している。

葵 炎丞 (あおい えんじょう)

第一部に登場する。幻の天才軍師。八朶冥鬼の双子の弟で、彼の軍師として仕えていた。夢屋蛮代とは旧知の仲。元の名前は「白離」。かつては「悪魔の白離」と呼ばれ、八朶冥鬼が西側列強国を制圧したのは彼の力によるところが大きい。身体が弱く病に倒れたため、冥鬼に見捨てられた。過去の恐ろしい行いを購うために、鳳驍の軍師となる。

八朶 冥鬼 (はちだ めいき)

第一部に登場する。鳳典膳の腹違いの弟で、鳳驍の叔父。学問も武術も典膳より優れていたが、正室の子でないという理由で、敵国の矢面である八朶領に養子に出された。兄の典膳を憎悪し、鳳領侵略後は驍の命を狙う。黒い鎧で固めた黒騎兵団を組織する。人殺しを楽しむ残虐な性格。

宵 死馬人 (よいの しばと)

第一部に登場する。黒騎兵団第十部隊隊長。2本の鎌を自在に操る双魔鎌(そうまれん)の使い手。鳳驍の捜索のために同年代の少年狩りを行う。罠とわかっていながら少年が殺されるのを見捨てられず、驍はおびき出されてしまう。

魔卑人 (まひと)

第一部に登場する。黒騎兵団の白砂領侵略隊隊長。幻の天才軍師・葵炎丞が鳳驍の軍にあることを知らせるために、戻れば死罪とわかっていながら八朶家に戻る。死罪は免れたが、蛇次の作った面をつけさせられ操り人形になる。

梳罵人 (すばと)

第一部に登場する。黒騎兵特別隊隊長。鳳驍の父、鳳典膳を滅ぼした黒騎兵軍団の一員。最初の鳳攻めで容易に勝利しているため、驍を侮っていた。鳳、陵、白砂の八朶三方攻めで、鳳軍と再び戦うことになる。

濁人 (だくと)

第一部に登場する。黒騎兵団の一員で、魔卑人亡き後の白砂領制圧部隊隊長。面部隊を操る。子供に面をかぶせ甲斐流輝をだまし討ちにした。面の力が強すぎたため、子供は死亡するが流輝を殺すことにも成功した。

蛇次 (へびじ)

第一部に登場する。八朶冥鬼に仕える毒使い。人を操る面を作る。冥鬼にひどく殴られている所を鳳詩織に救われ、初めて人の優しさに触れた。冥鬼に見捨てられるが、死ぬ前に最後の力を振り絞って鳳驍を助ける。

陵 竜道 (みささぎ りゅうどう)

第一部に登場する。陵家・領主。一代で広大な領地と力を作りあげた。1人殺すまで生きて帰るなという一撃必殺の断末剣の創始者。非情さと豪胆さでは八朶冥鬼に勝るとも劣らない。

陵 王虎 (みささぎ おうこ)

第一部に登場する。陵家の第一王子。陵の人食い虎と恐れられている。鳳驍と出会った豊上では女遊びをしていた遊び好き。怪鳥のような雄たけびを上げ、相手を殺すまで自分も生きては帰らないという断末剣の使い手。八朶冥鬼攻略のために一時的に手を組むが、終始、驍の命を狙っている。

陵 巴 (みささぎ ともえ)

第一部に登場する。陵家の第一王女。陵王虎の姉。美人で高飛車だが、弟思いの頭のいい女性。鳳驍や鳳家の人間にも一目置いており、全体を見る目に優れている。

欺脂 (ぎし)

第一部に登場する。陵家御用達の悪徳商人。鳳驍に恥をかかせるため、一晩で十万本の矢を用意すれば金を貸すと約束するが、風来坊の知恵によって驍が矢を集めてしまったため、財産を失うことになる。

草間 雄馬 (くさま ゆうま)

第一部に登場する。病身の母のために薬を持って、陵軍を脱走した兵士。鳳軍に捕えられるが、事情を聴いた鳳驍が草間雄馬の身代わりとなって、故郷の村から帰るまでの間、陵の人質になる。驍の信頼に応えるため、軍律違反で殺されるとわかっていながら雄馬は戻ってくる。

瑠璃香姫 (るりかひめ)

第一部に登場する。白砂家最後の後継者。宝石のような美しい少女。八朶冥鬼、陵王虎と政略結婚させられそうになるが、その都度鳳驍に助けられる。驍と両想いで結ばれる。

石見 (いわみ)

第一部に登場する。白砂領特殊部隊隊長。子供の頃から瑠璃香姫に仕えてきた忠臣で、姫を想い慕っている。白砂攻めの際、濁人の策略によって面の兵士にされるが精神力で打ち勝ち、自害する。

スガタ・イギョウ (すがたいぎょう)

第一部に登場する。白砂の武神。黄金の鎧を着た戦士が白砂を救ったという伝説から、代々白砂を守ってきた戦士の子孫。八朶冥鬼に倒され、捕えられた。実際は死にかけた老人で、信仰を守るために鎧を纏っていた。

道塵 (どうじん)

第一部に登場する。麻薬を使って島の領民を支配している。自身を神として崇めさせている残虐な男。前領主を殺し、風来坊の親や兄弟も麻薬の人体実験に使って殺した。八朶冥鬼と麻薬の取引をしていた。

風来坊 (ふうらいぼう)

第一部に登場する。白砂領で盗みを働いていた浮浪者。実は天才学者の「叶九庵」で、幻の天才剣士紫蘭を仲間にするため、鳳驍の助力を仰ぎに来た。驍に課された10万本の矢を準備しろという要求に頭脳で応えた知恵者。麻薬の発見者であり、解毒剤を用いて島を救った。驍と共に道塵を倒したあと、領民に請われて島の領主になる。

紫蘭 (しらん)

第一部に登場する。幻の天才剣士。歓楽街長楽を1人で守っている。町にいる時は長楽で働くしとやかで美しい女性の「千草」だが、戦いの時には鎧と兜で全身を覆う剣士の紫蘭になる。紫蘭の時は兜で顔までを覆っているため、女性であることは町の人間にしか知られていない。1人の力で長楽を守れると思っていたが野党の罠にはまり、殺されかけた。 鳳驍の助けで町は守られたため、風来坊に助力し、道塵を倒した。

渡割 雷甲 (とかつ らいこう)

第一部に登場する。砂漠の国・漠陀羅国の王。南の大国・陵を滅ぼした男。友好を結ぶと言って鳳驍を騙し、驍と同じ顔をした偽者と入れ替えてしまう。幼い頃鳳軍に村を焼かれ親兄弟を殺され、自らも奴隷に売られた過去から、鳳家を憎悪し破壊と殺りくを欲している。実際に村を襲ったのは鳳軍ではなかったと、最後に告白する。

木霊 (こだま)

第一部に登場する。鳳驍と瓜二つだったため、渡割雷甲に拾われ、驍の偽物として入れ替わる。本当の名前はわからない。驍の作った国の美しさに感動し、最後は驍を助ける。第二部では彼のいた時代のことが重要になってくる。

臀 肥大 (でん ひだい)

第一部に登場する。漠陀羅国の強制労働地の大もとじめ。極端に太っており、人の命より食べ物が大事。鳳驍に濡れた革の首輪をつけて砂漠に放置し、首輪が締まってゆくようにして殺そうとする。また砂琵奈姫の美しさに目をつけるが、拒否され彼女をサソリ責めにする。

砂琵奈姫 (さびなひめ)

第一部に登場する。砂漠の遊牧民族・留丹族の族長の一人娘で美しい姫君。臀肥大に仕えさせられていたが、鳳驍を助けたため、彼女の命も危なくなる。驍に好意を抱く。

オクタ

第一部に登場する。臀肥大に食べ物を運ぼうとしてこぼしたため、殺されかける子供。鳳驍が彼を助けたことによって、驍は処刑されることになった。第二部では成長し、驍の息子・タケルの軍に参加するになる。

イクサ

第一部に登場する。オクタの兄。砂琵奈姫を逃がす計画を立てていたが、鳳驍がオクタを助けたため台無しになる。それを怨んで驍を殺そうとまで思うが、驍が砂琵奈姫だけでなく全員を助けようとしていたことを知り、考えを改め味方になる。第二部ではイクサと砂琵奈姫の息子、シビナがタケルの軍に参加する。

甚儡 吾同 (じんらい ごどう)

第一部に登場する。小国の1つ、須玉領の領主。甲斐流輝が元仕えた領主で強欲で非情。八朶冥鬼に加担し、近隣の小国をのみこみ8万の軍勢で北の領地を攻めるが、流輝によって殺される。

保坂 明期 (ほさか みょうご)

第一部に登場する。小国の1つ、保坂領の領主。表向きは穏やかで鳳驍への援助にも賛同するが、裏では甚儡吾同と通じて驍を捕えようとしていた。領民に対しても圧政を行っていた。

保坂 明元 (ほさか みょうげん)

第一部に登場する。小国の1つ、保坂領の先代領主。人格者で鳳典膳とも親交が厚かった。息子の保坂明期に幽閉されていた。保坂兵の3分の2に当たる兵士1万人を驍に託した。甚儡吾同により殺害される。

我離王 (がりおう)

第一部に登場する。体中傷だらけの金髪の大男。竜河村に3年前に現れ、前領主を退けて自分が領主になった。埋蔵金探しのために村人を力ずくで労働に駆り出していたが、実は氾濫する川のため堤と水路を作っていた。死んだと思われていたタスクの父親。

サエ

第一部に登場する。貧しい漁村の娘。町で暴行にあっているところを鳳驍に救われる。彼女の告白で、海賊の正体が実は食い詰めた漁村の人間であったことがわかった。父の海賊行為を止めさせるために、驍に協力する。

漁村の村長 (ぎょそんのむらおさ)

第一部に登場する。漁村の村長。地震に寄って出来た島により潮流が変わり、漁ができなくなった村民を食べさせていくために海賊行為を行う。サエの父。鳳驍に救われたのち、八朶軍の船を沈める作戦を伝授する。

ナナエ

第一部に登場する。鳳軍の兵舎で賄いをしている女性。美人で皆のアイドル。仁紗辰人の恋人だったが、戦を前に別れを切り出され自害しようとする。鳳驍の計らいで戦の前に仁紗と結婚した。

巽 凱(二部) (たつみ がい)

第二部に登場する。かつて千人力の武神と恐れられた武将。老いたがその力は健在。鳳驍の子、タケルを補佐し鳳家復興を目指す。鳳国建国の日、鳳詩織を失った深い悲しみと絶望から一夜にして白髪となった。猟火に昔の自分の姿を見て目をかけ、いつか息子ができたら譲ろうと思っていた刀を猟火に譲る。戒名峠の古城で冠達無頼から先代王・鳳驍の場所を聞き出すが命を落とす。

サヨ

第二部に登場する。鳳家女官。鳳驍によって赤子のタケルを任される。タケルが16歳になるまで雫村で普通の子として育てていたが、冠達無頼に見つかりタケルを守って死亡する。

大垣四兄弟 (おおがきよんきょうだい)

第二部に登場する。「玄武」「青竜」「白虎」「朱雀」の四兄弟。鳳の隠れ里を守っている武人。4人で連携して敵を倒す。全員が直情的な性格で、タケルに威厳がないとして、鳳驍の子の偽物と決めつけた。タケルには東西南北兄弟と呼ばれている。巨人兵との戦いで「白虎」と「青竜」が戦死する。

ゲン(二部)

第二部に登場する。先代王・鳳驍の忠臣の1人で、隠れ里の村長。タケルに王者の気魄を見る。無頼軍の作った秘密兵器・巨人兵との戦いで致命傷を負い、自ら火薬を抱えて突っ込んだ。

若基 (じゃき)

第二部に登場する。鳳驍の子と騙り、鳳の隠れ里に現れる。盲目だがその分、勘が鋭く天候の変化なども言い当てる。策略に優れているが、それは無頼軍一の軍師の父親から英才教育を受けていたためであった。綺良黎とはその時、共に学んだ仲間だった。無頼軍では親子共々忠義を尽くしてきたが、家臣からの信頼と人望を集めすぎたという理由で冠達無頼から処刑命令が下る。 それを実行したのが黎で、彼によって目の前で両親を殺され、若基本人は瞼をにかわで固められ失明する。新鳳軍では葵四迷(弟)が加わるまでは軍師を務め、四迷が加わってからは補佐に回った。

余太 (よた)

第二部に登場する。隠れ里の子供。英雄を夢見て若基に利用されるが一命を取り留める。殺されかけても自分を英雄にしてくれた若基を慕う。若基は彼の存在によってタケルたちを騙そうとしていた自分を恥じ、悔い改めることになる。

正吉 (しょうきち)

第二部に登場する。冠達無頼の息子・冠達由来の軍に恋人を人質に取られ、タケルの命を狙う。タケルを殺すことはできなかったが、逆に村ごと助けられ、新鳳軍内における義勇軍の中心人物となる。

与奈久 (よなく)

第二部に登場する。医者の下働きをする少年。タケルについて行きたがるが、断られ、代わりにタケルが持っていた朱鞘に銀の鈴のついた刀を貰う。その刀は鳳家の者だと証明するのに必要な物で、これを持たないため、タケルは隠れ里で偽者扱いされることになった。のちにタケルを助けた医者が殺され、与奈久は逃れてタケルに刀を返しにきた。 新鳳軍の医療担当になる。

夢屋 蛮丈 (ゆめや ばんじょう)

第二部に登場する。大商人の夢屋蛮代の息子。親の敵である冠達無頼に命乞いをし、多額の献上金を納めている。巽凱が資金援助を求めて訪ねてきた際、金儲けにならぬことはやらぬと断るが、実際は人柄を見極めるためであった。王家を倒すために屈辱に耐えながら蓄えてきた資金を、すべて反乱軍に投げ打つ。

陽蘭 (ようらん)

第二部に登場する。先代王の鳳驍が共に戦った風来坊と紫蘭の娘。母親譲りの剣の使い手。両親は冠達無頼の「鳳狩り」で処刑された。タケルを好いている。正反対の性格の砂亜羅と何かと対立する。

堤 大吾 (つつみ だいご)

第二部に登場する。先代王の鳳驍の忠臣・堤障の息子。新鳳軍の一番隊隊長。執拗な「鳳狩り」を逃れ、タケルのもとにはせ参じた。

仁紗 沖人 (じんしゃ おきと)

第二部に登場する。先代王の鳳驍の忠臣・仁紗辰人とナナエの息子。新鳳軍の四番隊隊長。執拗な「鳳狩り」を逃れ、タケルのもとにはせ参じた。

草間 祥鬼 (くさま しょうき)

第二部に登場する。先代王の鳳驍に助けられた元陵兵・草間雄馬の息子。執拗な「鳳狩り」を逃れ、タケルのもとにはせ参じた。

猟火 (りょうか)

第二部に登場する。鳳家にゆかりがあり冠達無頼を憎んでいる。血の気が多く自信家。巽凱(二部)の若い頃に似ていると言われる。巽凱を人生の道標にし、また巽凱も彼に目をかける。

葵 四迷(弟) (あおい しめい)

第二部に登場する。天才軍師葵炎丞の弟子として名高い本物の葵四迷(兄)の弟。ずっと兄の影武者をしてきたが、優秀な軍師である。ひねくれた性格で、タケルと毒の入った杯で勝負をし、仲間になる。博打好きで人を見下した態度を取ることから新鳳軍の仲間には信用されていないが、百鬼暗黒と瑞宝の攻撃を知略で破ったことから、皆に軍師として認められる。

流鬼王 (りゅうきおう)

第二部に登場する。九尾城の創設者。絶対的な支配力を持って、荒くれどもを束ねている。正体は死んだと思われていた甲斐流輝。33年前、一命を取り留めた流輝は鳳驍に会いに行ったが、それは3か月だけ入れ替わっていた驍の偽者だった。偽者にゴミのように扱われたことを怨んで生きていた。巽凱(二部)と再会し、自分が間違っていたことを知り仲間になる。

冠達 無頼 (かんだちぶらい)

第二部に登場する。鳳国二代目王。私設軍隊赤かぶとにより鳳国を乗っ取り、自身が王になった。己の息子さえ愛せない残忍な性格。元は小国の戦闘囚であった。戦闘囚であった過去から、己の血を見ると逆上して見境なく人を殺す。その所為で過去には鳳詩織を、タケルとの戦いでは自軍の軍師である葵四迷(兄)を斬り殺してしまう。

砂亜羅 (さあら)

第二部に登場する。冠達無頼の一人娘。無頼とは似てもにつかない、天女のように優しく美しい女性。無頼ですら、この娘の前では好々爺のように振る舞っているため、世の中がいかに乱れているか、無頼がどれほど残虐かを知らないで過ごしてきた。タケルと出会い、国の真実を知ると共に彼に好意を持つ。士衣名国の王子・破火洲と婚約していたが逃げ出し、タケルと行動を共にする。

春螺 (はるら)

第二部に登場する。砂亜羅付きの女官。砂亜羅を敬愛する心優しい女性。正体を知りながらも瀕死のタケルを匿い、助ける。砂亜羅の馬車が野党に襲われた際に、砂亜羅を逃がすために戦い死亡する。砂亜羅のことをタケルに託す。

綺良 黎 (きら れい)

第二部に登場する。冠達無頼の側近。忠誠心と完璧な働きにより無頼の絶大な信頼を得ている。美しい姿からは想像も出来ないほど容赦がない。金の髪を持つため金色の死神と呼ばれている。

冠達 由来 (かんだち ゆらい)

第二部に登場する。冠達無頼の息子。残忍で狂暴な性格。正吉の村を襲い、彼の恋人の美世を人質に取りタケルを殺させようとした。実の父である無頼にも疎まれている。タケルとの戦いで負傷し、綺良黎に裏切られ殺される。

爾怨 (じえん)

第二部に登場する。冠達無頼に信頼を受けている将軍。砂亜羅には知的で礼節を重んじる人格者と思われていたが、それは砂亜羅の前だけのみせかけで、実際は残虐な性格。彼の本当の姿を見て、砂亜羅は現実を知る。

梨遠 (りえん)

第二部に登場する。冠達無頼の側近中の側近と言われた書記官。無頼の過去を知る者として氷漬けにされ、17年間同じ姿で保存されていた。海に近い小国の牢番だったが、その国の戦闘囚であった無頼にそそのかされ、2人で嘘をついて鳳驍に召抱えられる。驍は生きていると告白する。

白眉 地黄 (はくび じおう)

第二部に登場する。赤かぶと特殊部隊の闇の四将軍の1人。常に自分より強い人間を求め、力によってしか人は生きられないと思っている。鳳軍に乗り込み巽凱(二部)と戦う。

堕媚 青羅 (だび せいら)

第二部に登場する。赤かぶと特殊部隊の闇の四将軍の1人。諜報活動が専門。影を潜入させ情報を集める。白砂攻略を任される。派手な外見で、武人然とした白眉地黄をバカにしている。

瑞宝 (ずいほう)

第二部に登場する。赤かぶと特殊部隊の闇の四将軍の1人。無頼軍最高司令官で、巽凱(二部)をしのぐともいわれる大将軍。最強の軍団と言われる瑞宝騎馬隊を従える。人間としても優れており、別の場所で出会っていれば酒を酌み交わす仲になれたかもしれぬとタケルに言うほど、タケルを気に入り認めていた。しかし冠達無頼の息子であるため、父親を裏切ることはできなかった。

百鬼 暗黒 (ひゃっき あんこく)

第二部に登場する。赤かぶと特殊部隊の闇の四将軍の1人。小柄な老人であるが、卑怯な策略家。幻覚作用のある香を使って人を操る。先代王の鳳驍が生きていると言って巽凱(二部)をおびき出した。最後は自分の仕掛けた毒蛇によって命を落とす。

葵 四迷(兄) (あおい しめい)

第二部に登場する。天才軍師・葵炎丞の弟子。新鳳軍の葵四迷の兄で、本物の「葵四迷」。冷酷で自分の力を誇示できるなら、物の善悪など問わない。無敵の巨人兵を作ったが、最後は見境をなくした冠達無頼に斬られる。死ぬ直前に弟を優秀だと認める発言をする。

破火洲 (はびす)

第二部に登場する。大国・士衣名国の王子。世界制覇を夢見ている。砂亜羅の婚約者だったが、タケルを好きになった砂亜羅は彼を振り切り国へ戻ってしまう。のちに国王として鳳国を再び訪ねる。

カナエ

第二部に登場する。無頼軍に若者をすべて連れて行かれた寒村に、唯一残された若い女性。新鳳軍が立ち寄った際に猟火と出会う。猟火は彼女と出会ったことで、武人は戦うことだけが大事ではなく、領民を生かしてこそだと気づく。幼い頃、鳳の武人であった父が、村人のために戦わずして命を差し出したことを怨んでいたが、その考えを改めた。 のちに猟火と結ばれる。

獅子王 (ししおう)

第二部に登場する。大きく、見事なたてがみの黒馬。野生の山岳馬のリーダー。体中に刀傷がある。人嫌いだがタケルは認めている。死にかけたタケルを救うために春螺を呼び寄せるなど、タケルの死地を何度も救う。

場所

鳳領 (おおとりりょう)

蒔枝城を中心とする肥沃で平和な土地。名君の鳳典膳が治めていた。蒔枝城が攻められることによって、鳳驍の過酷な運命が始まる。第一部にのみ登場。

八朶領 (はちだりょう)

不夜城を中心とする、荒涼とした土地。鳳領と敵対する西の国々との防波堤として役立って来た。鳳典膳の腹違いの弟、八朶冥鬼が治める。第一部にのみ登場。

北の領地 (きたのりょうち)

鳳家が北に所有している最後の領地。広大な鳳領とは比ぶべくもない小さな領地だが、鳳領を奪われてからはここを頼りにする。第一部にのみ登場。

須玉領 (すだまりょう)

甚儡吾同が治める領地。火薬師の甲斐流輝が仕えていた領地。八朶冥鬼と組んで悪辣なやり方で北側の領土を増やす。第一部にのみ登場。

保坂領 (ほさかりょう)

保坂明期が治める領地。鳳驍たちが最初に協力を仰ぎに行った国。先代領主の保坂明元は人格者で、鳳典膳との親交も厚かった。第一部にのみ登場。

白砂領 (しらさごりょう)

瑠璃香姫が治める領地。長い間、外界と交流を絶って来た神秘の国。最も古い歴史をもち、神の力によって守られていると信じられてきたため、乱世でも侵略を受けなかった。第二部では冠達無頼によって破壊の限りを尽くされた廃墟。来たる日に備え、鳳驍が神殿の玉座の下に大量の武器を隠していた。

陵領 (みささぎりょう)

南の大国。陵竜道を筆頭に陵一族が治める領地。陵軍は1人殺すまで生きて帰ることがかなわないと言われる一撃必殺の断末剣を使う。渡割雷甲の漠陀羅国に攻め滅ぼされるが、のちに陵王虎が新陵国を建国する。

豊上 (ほうじょう)

大商人の夢屋蛮代が治める港町。豊かで栄えているが、八朶冥鬼に狙われる。第二部では蛮代の息子、夢屋蛮丈が治めていて、第二部での仇敵の冠達無頼に狙われている。

地獄島 (じごくじま)

白砂領近海の荒廃した島。本来の島の名前は不明。麻薬の花を栽培し、薬で支配する道塵が領主。城壁に囲まれた町、長楽はこの島の中にある。第一部にのみ登場。

長楽 (ちょうらく)

白砂領から船で半日ほどの荒廃した地獄島の中にあるが、高い城壁と自警団に守られた華やかな歓楽街。天才剣士の紫蘭が守っている。第一部にのみ登場。

漠陀羅国 (ばくだらこく)

渡割雷甲が王として治める砂漠の王国。南の大国・陵よりさらに南の砂漠地方に突如現れた新興国。のちに砂漠の民と共に挙兵した鳳驍に滅ぼされる。第一部にのみ登場。

雫村 (しずくむら)

鳳驍の息子タケルが女官だったサヨに守られ、隠れ育った村。冠達無頼はタケルを殺すために村人全員を皆殺しにする。タケルが兄弟として育った子供たちも殺される。第二部にのみ登場。

鳳国 (おおとりこく)

天下統一を果たした鳳驍が建国した平和で豊かな国。建国と共に鳳歴に改める。第二部では冠達無頼によって治められていて、天界城を居城とする。第一部の鳳領とは異なる。

鳳の隠れ里 (おおとりのかくれざと)

鳳軍の生き残りが住む村。深い森の中にあり、大垣四兄弟が入口付近の森を厳重に守っている。鳳軍の生き残りのゲンが村長を務める。村を焼かれたタケルは巽凱(二部)と共にここに向かった。第二部にのみ登場。

士衣名国 (しいなこく)

海の向こうの大国。国土の広さも軍事力も鳳国の何十倍もある。王子の破火洲は鳳国の姫・砂亜羅の婚約者。第二部にのみ登場。

紅葉村 (もみじむら)

葵四迷が潜伏していた村。村というより、賑やかな歓楽街。本物の葵四迷(兄)と偽者の葵四迷(弟)の2人が潜伏していた。偽者の葵四迷がタケルの仲間になり、本物は無頼軍の仲間になった。第二部にのみ登場。

九尾城 (きゅうびじょう)

凶悪な世のはみ出し者が何百人も集まっていると言われる悪の砦。冠達無頼ですら手に負えず、放っておかれている無法地帯。流鬼王がその頭目。第二部にのみ登場。

戒名峠の古城 (かいみょうとうげのこじょう)

百鬼暗黒によって、巽凱(二部)がおびき出された古城。巽凱は無頼から先代王、鳳驍の居場所を聞き出すことに成功する。しかし巽凱は白眉地黄に深手を負わされる。第二部にのみ登場。

黒死塔 (こくしとう)

天界城の最北端にある塔で、先代王の鳳驍が幽閉されていた。冠達無頼は驍を人質に取ってここに立てこもり、この塔以外の部分を水没させようとする。第二部にのみ登場。

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