犬ガンダム

犬ガンダム

人気SFロボットアニメ『機動戦士ガンダム』を、ストーリーの骨子はほぼそのままで、キャラクターを、すべて犬に換えて描いたパロディギャグ漫画。安彦良和が執筆した漫画、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』からのエピソードも入っている。『地上編』と『宇宙編』の2冊の単行本から構成されている(『宇宙編』には、続編の『犬Ζガンダム』も収録されている)。元の作品と異なる点は、とにかくみんな犬の本能に従って行動してしまうことと、登場人物がまったく死なないことである。『機動戦士ガンダム』の富野由悠季監督は、『宇宙編』の単行本の巻末で、「こちらが描きたかったことをテッテイ的にあてこすられているのが気持ちがいい」と書いている。一応、「原案:矢立肇・富野由悠季」というクレジットが入っている。『猛犬連邦軍 あむくろ二等兵』という番外編も描かれ、これは田川水泡の『のらくろ二等兵』のパロディでもあるが、短編でまだ単行本化されていない。続編とは少し違うが、キャラクターがすべて肥満体になっている『機動戦士ぶよガンダム』というパロディも、唐沢なをきは描いている。

正式名称
犬ガンダム
ふりがな
いぬがんだむ
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
 
パロディ
 
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概要・あらすじ

宇宙コロニー国家・犬ジオン公国は、犬地球連邦のコロニー・犬サイド7に侵攻するが、アムロ犬が犬ガンダムを起動してこれと対戦する。このあと、犬ホワイトベースで犬サイド7を脱出したアムロ犬は、シャア犬の追撃をかわし地球に降下する。彼らは犬ジオン軍(ランバ・ラル犬黒い三犬星)との激戦を経て、九州の犬地球連邦総本部・犬ジャブローに到着する。

シャア犬の襲撃のあと、犬ホワイトベースは再び宇宙へ上がり、宇宙要塞・犬ソロモンでドズル犬に勝つ。その後、アムロ犬ララァ犬と犬ータイプ(イヌータイプ)同士の交感を行い、能力を拡大させる。犬ジオン公国を支配する犬ザビ家は追いつめられ、長男ギレン犬ザビは講和を結ぼうとする父を犬コロニー兵器で亡き者にしようとする。

そして最後に、宇宙要塞・犬ア・バオア・クーで決戦が行われ、素晴らしい結末が訪れるのだった。

登場人物・キャラクター

アムロ犬 レイ (あむろけん れい)

RX-78 犬ガンダムのパイロット。犬種は柴犬系雑種。オスで年齢十ヶ月。毛色は赤で、尾は裏白。やたらと他の犬達から尻を舐められる(舐め心地が良いらしい)。年上のメス犬が好き(年上フェチ)。戦いの中で、犬ータイプ(イヌータイプ)に目覚め、ララァ犬との交感を経て犬ータイプ能力を拡大させる。

シャア犬 アズナブル (しゃあけん あずなぶる)

『犬ガンダム』の登場犬。犬ジオン軍の軍人で、階級は少佐でのちに大佐。犬種はキャバリア・キング・チャールズ・スパニエル。オスで年齢一歳半。毛色は白に栗色のブチで、タレ耳。いつも仮面とヘルメットをつけている(はずしても同じ顔をしている)。赤く塗装したモビルスーツ「MS-06S シャア犬専用ベコ」に乗り、目覚ましい戦果を挙げたことで「赤犬の彗星」の通り名を持つ。 犬ザビ家への復讐を考えていたが、犬ータイプ(イヌータイプ)による犬類の革新を唱えるようになる。実はジオン犬ダイクンの息子でセイラ犬の兄、キャスバル犬ダイクン。ガルマ犬ザビをいじめるのが趣味。犬ガンダムを執拗に追い、ララァ犬を失った後、アムロ犬と宇宙要塞・犬ア・バオア・クーで最後の戦いを迎える。

ブライト犬 ノア (ぶらいとけん のあ)

『犬ガンダム』の登場犬。宇宙艦・犬ホワイトベースの艦長。犬ジオン軍の軍人で、階級は少佐。犬種はブル・テリア。オスで年齢一歳四ヶ月。毛色は白で、耳は立っている。やたらとアムロ犬を咬む。ほかの乗員も咬む。

セイラ犬 マス (せいらけん ます)

『犬ガンダム』の登場犬。犬ホワイトベースの乗組員。犬種はキャバリア・キング・チャールズ・スパニエル。メスで年齢一歳。毛色は白に栗色のブチで、タレ耳。むやみに気が強い。実はジオン犬ダイクンの娘でシャア犬の妹アルテイシア犬ダイクン。

ガルマ犬 ザビ (がるまけん ざび)

『犬ガンダム』の登場犬。犬ジオン公国を支配する犬ザビ家の四男(末っ子)。犬ジオン軍の軍人で階級は大佐、北海道方面指揮官。犬種はチワワで、年齢一歳半。毛色は茶色で髪は紫色、非常に大きな耳をしている。子犬並みに小さく非常に甘えん坊で臆病で、いつもシャア犬にいじめられている。イセリナ犬という婚約者がいた。 シャア犬のお膳立てした作戦で、犬ホワイトベースを襲うが、それはシャア犬の罠で、失敗して飛行空母・犬ガウとともに落ちる。

ランバ・ラル犬 (らんば・らるけん)

『犬ガンダム』の登場犬。犬連邦軍の軍人で、階級は大尉。犬種はジャック・ラッセル・テリア。オスで年齢不明。毛色は緑で、耳は立っているが先が千切れている。ハモン犬というメスの愛人を連れている。モビルスーツ「MS-07B クマ」に乗り、地球に降りた犬ホワイトベースを襲うが、敗れる。父親のジンバ・ラル犬は、キャスバル犬とアルテイシア犬の保護者だった(ジオン犬ダイクンの側近)。

マチルダ犬 (まちるだけん)

『犬ガンダム』の登場犬。犬連邦軍の軍人で、階級は不明。犬補給部隊に所属して、輸送機犬ミディアを操縦する。犬種はシェパード系雑種。メスで年齢不明。毛色はアプリコットで、耳は立っているが犬連邦軍の制帽をかぶっている。尻舐めが好き。アムロ犬の年上フェチを増強する。犬ミディアで犬ホワイトベースを守ろうとして、犬ジオン軍の黒い三犬星にやられる。

黒い三犬星 (くろいさんけんせい)

『犬ガンダム』の登場犬。マッシュ犬・オルテガ犬・ガイア犬のチーム。犬ジオン軍の軍人で、モビルスーツ「MS-09 トラ」に乗るエースパイロットの三匹組。階級不明。犬種はポメラニアン。オスで年齢不明。そのすさまじい可愛さに対し誰も攻撃できず、戦果を上げ続けていた。「犬ジェットストリーム・アタック」という、相手の周りをぐるぐる回って不安を誘う技を使う。 マ・クベ犬司令の指示で犬ホワイトベースを襲いマチルダ犬の乗った輸送船犬ミディアを落とすが、アムロ犬が年上フェチだったため可愛さが効かず、犬ガンダムに敗れる。

マ・クベ犬

『犬ガンダム』の登場犬。犬ジオン軍の軍人で、階級は大佐の基地司令官。犬種はミニチュアダックスフンド。オスで年齢不明。キシリア犬の配下。黒い三犬星とミサイル攻撃で「犬オデッサ作戦」に勝利しようとするが、犬ガンダムの活躍によって敗北する。後に犬テキサスコロニーの廃墟で、モビルアーマー「YMS-15 コケシ」に乗り、犬ガンダムと直接対決するが、犬ータイプ(イヌータイプ)能力に目覚めつつあったアムロ犬に敗れる。 靴コレクター。口ぐせは「あれはよいものだ」。

レビル犬将軍 (れびるけんしょうぐん)

『犬ガンダム』の登場犬。犬連邦軍の軍人で、総司令官犬。犬種はスタンダード・シュナウザー。オスで11歳。冷静沈着な司令官。階級章を首輪につけている(『のらくろ』と同じ)。終盤で、デキン犬ザビと和平交渉の席に着くが、ギレン犬ザビが放った犬コロニー兵器の標的になる。

犬ザビ家 (いぬざびけ)

『犬ガンダム』の登場犬。犬ジオン公国を支配する家族。全員犬種はチワワで非常に小柄。当主で父親のデキン犬ザビは11歳で犬ジオン公国の公王(すごく太ったチワワ)。長男のギレン犬ザビは5歳で犬ジオン公国総帥で、かつ犬ジオン軍の大将。次男(もしくは三男)のドズル犬ザビは1歳8ヶ月で犬ジオン軍の司令官。 ゼナ犬ザビというセントバーナードの妻とミネバ犬という娘がいる。長女のキシリア犬ザビは2歳2ヶ月で、やはり犬ジオン軍の司令官。四男がガルマ犬ザビ。ドズル犬ザビは宇宙要塞・犬ソロモンで「執念のイメージくん」を出してから犬ガンダムに敗れる。ギレン犬ザビは父を犬コロニー兵器で攻撃してのち、宇宙要塞・犬ア・バオア・クーでキシリア犬ザビに咬まれる。

ララァ犬 (ららぁけん)

『犬ガンダム』の登場犬。犬ジオン軍のパイロットで階級不明。犬ータイプ(イヌータイプ)能力者。犬種は不明だがスピッツ系雑種と推測されている。メスで年齢不明(子犬らしいが)。毛色は茶色で耳は立っており、アニメと同じように瞳にハイライトがない。シャア犬に拾われた過去がある。モビルアーマー「MAN-08ウサギ」に搭乗し、犬サイコミュで次々と戦艦を撃沈する。 犬ータイプ能力でアムロ犬に感応し、かれに尻舐めのよさを伝え、いつかすべての犬たちが考えただけで尻を舐め合うことができるような世界を幻視するが、シャア犬が割って入ったせいで、ウサギが犬ガンダムに攻撃されて破壊され、ララァ犬は宇宙空間に飛び出してしまう。

その他キーワード

RX-78 犬ガンダム (あーるえっくすななじゅうはち いぬがんだむ)

『犬ガンダム』に登場する架空兵器。犬連邦軍のモビルスーツだが、東京の郷土玩具「犬張子」の形態をしている。武器は「でんでんダイコ」の形をしており、相手が癒されている間に先っちょからビームを発射して倒す。アムロ犬の父テム・レイ犬が開発に参加している。紙でできていて、水に弱い。とんでもない方法で、大気圏突入に耐えた。 宇宙に上がってから、モスク・ハン犬博士のニスによるコーティング処理を受け、見栄えが良くなる。

MS-06S シャア犬専用ベコ (えむえすぜろろくえす しゃあけんせんようべこ)

『犬ガンダム』に登場する架空兵器。犬ジオン軍のモビルスーツで、福島県会津若松市の郷土玩具「千両べこ」の形態をしている。赤く塗装して、角をつけたものがシャア犬専用ベコで、通常のベコの三倍多く首を振る。シャア犬はその後、モビルスーツ「MS-14 サルボボ」、「MSN-02 ダルマ」と乗り継ぎ犬ガンダムと戦った。

犬ホワイトベース (いぬほわいとべーす)

『犬ガンダム』に登場する架空兵器。犬連邦軍のモビルスーツ搭載可能な宇宙艦船。モトネタでも「空母」か「戦艦」か「強襲揚陸艦」かで論争があるようなので、上記のような表現にとどめた。犬小屋に、艦橋と翼とエンジンがついたような形をしている。犬ジオン軍のコードネームは「犬小屋」。コロニー・犬サイド7が犬ジオン軍の侵攻を受けたとき、この船に主人公たちと、難民となった多くの市民を乗せて地球へ降下した。 犬ガンダムと犬ガンタンクと犬ガンキャノンという3台のモビルスーツを搭載している。

クレジット

原案

矢立肇 , 富野由悠季

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