ゼロ戦行進曲

ゼロ戦行進曲

舞台は昭和17年の日本。海軍中尉として戦場で活躍している兄に憧れ予科練に入隊した少年南将一は、厳しい訓練によって成長してゆく。登場する予科練生や軍人たちは日本のために死を厭わない決意を見せる様子が描かれるが、出撃前夜には故郷の母を思って泣く姿も描かれている。太平洋戦争と日本のたどった歴史に対し一面的でない描き方をしている。

正式名称
ゼロ戦行進曲
ふりがな
ぜろせんこうしんきょく
作者
ジャンル
第二次世界大戦
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概要・あらすじ

舞台は昭和17年の日本。撃墜王として戦場で活躍している兄南将太郎に憧れて、弟の南将一予科練に入隊する。劣等生の地野茂やニヒルなライバル渡三郎などの同期生とともに、将一は厳しい訓練にもへこたれず鍛錬を重ね、成長してゆく。その後戦況が厳しくなると、将一たちは極秘の秘密部隊へ選抜され、戦場へ向かうこととなる。

登場人物・キャラクター

南 将一 (みなみ しょういち)

昭和17年の晩秋に茨城県土浦にある土浦海軍航空隊の予科練に入隊した。海軍中尉として戦場で活躍し撃墜王と呼ばれる兄将太郎に憧れ、また母親を戦火から守るために日本の勝利に貢献しようと決意し、自ら志願して入隊した。母や兄への恋しさも残る少年だが、予科練の厳しいしごきに耐え、軍人として肉体的にも精神的にも成長してゆく。 その後、田沼教官が指揮する秘密部隊に抜擢され、戦地でゼロ戦に乗り活躍することとなる。

南 将太郎 (みなみ しょうたろう)

南将一の兄。海軍中尉。高度な航空技術で、撃墜王と呼ばれる程の戦歴の持ち主。一時帰国して母親と最後の別れに訪れたときに、弟の将一が予科練入りしたことを知る。もう二度と会えまいと思っていたが、その後、秘密部隊に参加した将一とは戦地にて再会を果たす。

南 波江 (みなみ なみえ)

将太郎将一兄弟の母親。夫は病弱で若くして亡くなり、女手ひとつで息子たちを育て上げた。息子たちが2人とも軍隊に入隊してしまったことを悲しんでいたが、2人とも国のために戦っているのだと思い直し、毅然とした態度で彼らを送り出した。

地野 茂 (ちの しげる)

土浦海軍航空隊の予科練に入隊した、南将一の同期生。坊主頭で出っ歯の少年。入隊規定より身長が10cmも低かったが、軍医に無理を言って入隊した。ゼロ戦に乗ることを夢見ている。熱意はあるが体格が貧弱で体力にも乏しいので、足を引っ張ることが多い。故郷の母親が危篤になったことを知ったが、断腸の思いで帰郷せず、軍人を全うする道を選んだ。

田沼教官 (たぬまきょうかん)

土浦海軍航空隊所属。ひげの濃い険しい顔つきの男性。予科練に入隊した南将一の配置された第1班の班長として、新入隊者たちを、体罰も交えて厳しく教育してゆく。鬼教官ぶりで恐れられているが、教え子たちを戦場で殺したくはない、という本音を漏らしたこともある。後に独立して動く秘密部隊を率いて、南将一たちとともに最前線で戦うこととなる。

渡 三郎 (わたり さぶろう)

土浦海軍航空隊の予科練に入隊した、南将一の同期生。漁村の生まれだが泳げないことを班長に責められ、夜中に練習して泳げるようになった。同じ班でヘマばかりして周りの足を引っ張る地野茂のことを嫌い、追い出そうとする。利己主義的でニヒルな性格。軍隊で昇進することを第一の目標にしている。 意見の食い違うことの多い南将一をライバル視している。

目黒・鼻黒 (めぐろ・はなぐろ)

ラバウルにて海軍中尉南将太郎の部下として生死を共にした男たち。目黒は目の周りが黒く、鼻黒は鼻の頭が黒い。目黒は南の島で食糧調達を得意としていた。一時は3人そろって南方での死を覚悟したが、田沼教官が率いる秘密部隊と出会い、本国帰還がかなった。

田沼 エミ子 (たぬま えみこ)

土浦海軍航空隊の予科練教育係だった田沼教官の妹。九州鹿屋(かのや)の特攻基地にて、兄の教え子であった南将一や南将太郎たちと出会う。2本の三つ編みの少女。兄とはかなり年が離れているようである。

立花 武男 (たちばな たけお)

神雷特攻隊に所属する少尉。九州鹿屋(かのや)の特攻基地にて特攻直前のところ、南将一や南将太郎の秘密部隊と出会う。将一たちの秘密の任務を知らない立花は、将一たちのことを死にぞこないの臆病者だと非難する。

大西さん (おおにし)

南将一の実家の隣に住むメガネの中年女性。東京で生まれ育ち、江戸っ子を自認している。身寄りはなくひとり暮らし。将一の母波江と親しく、息子たちのことも小さいころから知っている。息子が2人とも戦場へ行ってしまった波江のことを気遣い、なぐさめる。

集団・組織

予科練 (よかれん)

『ゼロ戦行進曲』に登場する組織。正式名称は「海軍飛行予科練習生」。14歳以上17歳までの男子で小学校卒業程度の学力があれば、誰でも志願できた。7つボタンの制服が特徴的。船上生活に慣れるため、地上に居る時から船上の用語を使って生活する決まり。入隊した少年南将一は、一人前の航空兵となるために、厳しい訓練を受けることとなる。

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