千の目先生

千の目先生

超能力を持つ千草カオルは地球侵略を企む宇宙人と戦うために、超能力者たちを集めるために教師として各地の学校を転々としている。二部構成で、前半は都会、後半は漁師町と舞台が変わる。特撮ドラマ『好き!すき!!魔女先生』の原作ではあるが、超能力を持つ女性教諭が主人公ということ以外に共通点はない。

正式名称
千の目先生
ふりがな
せんのめせんせい
作者
ジャンル
ファンタジー
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概要・あらすじ

不思議な新任教師千草カオルは、赴任直後から生徒たちの人気を集めた。だが、その正体は超能力者で、目覚めたばかりの超能力者を早期に発見し、正しく指導するために各地を廻っている。白鳩学園の山代ナツ子五本櫛町松宮五月など、すばらしい素質を持ちながら、道を誤りそうになる超能力者を助けることになった。

登場人物・キャラクター

千草 カオル (ちぐさ かおる)

セミロングの明るい色の髪の前頭部が後ろ向きに跳ね上がっている女性。白鳩女子学園と波丘高等学校で教鞭を執った。他人の心を読み、時には催眠状態にし、手を触れずに物を動かすなどの超能力を使う。なんでも知ってるのはなぜかと聞かれて「わたしは千の目を持っている」と応えたことから千の目先生と呼ばれるようになった。 何人かの仲間と連絡を取り合って、地球侵略を企てる敵との戦いに備えている。超能力が眠っている若者を覚醒させ、仲間にするために人知れず活動中。恋人の旗野は敵に攫われ、コントロール装置を埋め込まれそうになって自殺。兄の坂本三郎も超能力者。

山代 ナツ子 (やましろ なつこ)

ショートカットの女子高生。白鳩女子学園の生徒で2年B組。活動的で友人たちを引っぱるリーダー的な存在。自宅では母が小料理屋やましろを切り盛りしている。近くに住む坂本三郎のことが好きで、絵のモデルになっているほか、出前に行くと身の回りの世話もする。「ミス白鳩」の白河杏子とは折り合いが悪く、杏子の名前を使って北高と南工の剣道部部長同士をいがみ合わせて騒ぎを起こすなどしている。 千草カオルと三郎が会っているところや、母が杏子の父と出かけるところなどを目撃し、さらに杏子からやましろに杏子の父が出資していることなどを聞いて深く悩む。その恨みから超能力が目覚め、体調を崩して寝込むが、千草が精神世界に潜って説得して目覚める。 覚醒した後は劣等感から開放された反動で杏子を支配下に置くなど、性格に歪みが発生。山本一によって敵に騙されかける。だが、三郎から真実を明かされ、さらに円盤に拉致されるなどして、その怒りから円盤を破壊。千草たちに合流した。

白河 杏子 (しらかわ きょうこ)

髪の長い女子高生。白鳩女子学園の生徒で2年B組。少し切れ長の目の「ミス白鳩」で、何人かの取り巻きを連れている。学外でも人気があり、隣の北高と南工の剣道部部長は特に熱烈なファン。家は裕福で、千草カオルの赴任に合わせてPTA会長の母が名刺代わりに贈り物を届けるなど、資産家らしい活動をしているようだ。 また父は山代ナツ子の母と幼馴染みで、小料理屋やましろに出資している。ただし、これは旧い友人という関係。超能力が覚醒したナツ子の支配下に置かれてしまう。

坂本 三郎 (さかもと さぶろう)

安アパートトキワ荘に住む画家の卵でイラストレーター。千草カオルの兄。山代ナツ子に慕われていることを千草から指摘されて困惑している。敵の催眠にかかって拉致されるなど、特に優秀な人物ではないらしい。

山本 一 (やまもと はじめ)

少し離れた町に住む男子高校生。メガネをかけている。旗野たちが監視していたが敵の手で超能力が覚醒してしまう。山代ナツ子に接触し、仲間にしようとするが坂本三郎に阻止される。再度、ナツ子に接触すると、仲間を人質に取られていると話して、千草を呼び出させる。待ち合わせ場所にした千草の下宿先である頭光寺で、和尚たちとともに千草と戦う。 だがナツ子によって円盤が破壊され、敵のコントロールから外れる。

和尚 (おしょう)

長い三日月形の口髭と顎鬚のある頭光寺の住職。頭光寺は千草カオルの下宿先で、人当たりの良い、つかみ所のない坊主として接していた。実は敵の一族で強力な超能力者。千草に気付かれないように心を閉じて読ませなかった。ナツ子が円盤を破壞したことで敵のコントロールから外れる。

旗野 真二 (はたの しんじ)

少し髪が長めのスーツの男性。千草カオルの恋人で、超能力者仲間。覚醒していない超能力者の山本一を監視していたが、目の前で敵の円盤が山本と接触。一緒に監視をしていた仲間の高田が円盤の攻撃で消され、山本も拉致されてしまう。朝方帰宅した山本を尾行すると山代ナツ子と接触して、ナツ子を気づかう千草と合流。 その場は何ごともなく別れたが、円盤に攫われてしまう。敵にコントロール装置を埋めこまれそうになり自殺。

松宮 五月 (まつみや さつき)

耳のところの髪が前にはねているショートカットの女子高生。波丘高等学校の一年生だが、生活が厳しくあまり出席していない。同級生の久保竜生とはかなり親密。ようやく病気がよくなってきた母と、家を出た兄の松宮五郎、小学生の弟の松宮五平の4人家族。浜での昆布採りと、たまに帰ってくる五郎の置いていく生活費だけで暮らしている。 超能力に目覚めていて、人間を人魚に変えることができる。五郎が昔の恋人の貝塚弥保子を殺したところを目撃し、その死体を人魚にして兄に疑惑が向かないようにした。それをタネに見られ、利用されている。竜生の言葉に苦悩した末にタネの命令を拒否すると催眠術で操られてしまう。 五郎に助けられ、千草の説得で人魚にした人々をもとに戻した。だが、事件の発端を作った五郎の死を笑うタネだけは許せず、人魚にしてしまう。

久保 竜生 (くぼ たつお)

坊主頭で下膨れの高校生。波丘高等学校の一年生で、あまり成績はよくないらしい。幼馴染みの松宮五月のことが好きで、力になろうとしている。

松宮 五郎 (まつみや ごろう)

左腕が肩からない、いつもサングラスの男。村を出て東京で働いていた頃に、機械に挟まれて左腕を失った。松宮五月の兄で、たまに帰って生活費を置いていく。大黒観光チェーンの社員として、五本櫛町の観光地開発のために町に戻ってきた。網元の息子に嫁いだ昔の恋人、貝塚弥保子に「片腕しかない貧乏人に用はない」と言われ、カッとして殺してしまった。 観光地開発も、漁獲量が減ってきている町のためにと思ってのことだったが、大伴黒主や貝塚鯛三の強引なやり方に心を痛める。千草カオルに心を許し、五月と村を救うために活躍。責任を感じて自殺した。

タネ

長い白髪に黒い布をヘアバンドのように絞めている老婆。鼻はつぶれて穴だけのようで、肌は浅黒い。口寄せや占いを行う盛子(もりね)。大黒観光チェーンの開発事業を聞きつけ、松宮五月の力で人魚を作って海が呪われたことにして開発を進めさせ、協力費をガッポリいただこうと考えた。千草カオルから強い霊気を感じ、計画の邪魔にならないように藁人形で呪った。 一度は松宮五郎に藁人形を処分されたが、五月を利用して千草の髪を手に入れて再び呪った。この呪いで千草は体調を崩し、超能力を封じられた。2度目の呪いは五郎の指示で久保竜生らが藁人形を奪取。また、超能力を使うことを拒むようになった五月を催眠術で操り、さらに怪現象を起こさせた。 五郎が五月の目を覚まさせたために陰謀は幕を閉じた。邪魔をした五郎が自殺したことを笑ったため、五月によって人魚にされて海をさまよっている。

大伴 黒主 (おおとも くろす)

ロマンスグレーの髪と口髭のメガネをかけた老紳士。大黒観光チェーンの社長。五本櫛町に巨大な観光施設を建設する計画のために町を訪れた。網元の貝塚鯛三との交渉で、建設計画はほぼ確定。反対派を黙らせるために、乱暴な設計士と土建屋を町に呼んだ。タネから松宮五郎が殺人を犯したことを聞き、解雇を決めた。 タネの起こした騒動がおさまった後、観光開発についての話し合いが行われることになりそうだ。

貝塚 鯛三 (かいづか たいぞう)

丸顔で眉の太い、口髭を生やした男性。郡内でも一番の金持ちだと言われる大網元。貝塚御殿と呼ばれる屋敷で暮らしている。浜丘高等学校が近隣から多くの生徒を集めているのも、網元の力によもるのと言われる。大黒観光チェーンの開発計画に対して、漁師たちには計画に反対するそぶりを見せたが、大伴黒主社長との交渉では、反対派対策の資金を要求するなど、小悪党ぶりを見せる。 観光施設建設の契約を締結。土地収用などはこれからのようだ。

場所

白鳩女子学園 (しろばとじょしがくえん)

千草カオルが英語の教師として赴任した学校。北高等学校と南工業高校の2つの男子高校に挟まれた女子校。洋館のようなオシャレな校舎で、制服はブレザー。

波丘高等学校 (なみおかこうとうがっこう)

五本櫛町にある、分不相応に大きな高校。近隣の8町村から850人の生徒が通う。五本櫛町の村民は千人弱であり、村民とほぼ同数の生徒が在籍していることになる。

五本櫛町 (ごほんぐしまち)

千人弱の住民が暮らす小さな漁村。住民の8割が漁師をしている。5つの入り江と細く飛び出した4つの岬の地形がその名の由来。入り江のうち、ひとつは遠浅の砂浜で海水浴場になっていて、もうひとつは漁港。残りの3つは崖になっていて人は寄りつかない。夏だけ忙しい五本櫛ホテルと小中高の3つの学校、そして網元の貝塚鯛三の屋敷の5つが、村の主だった建物。 最近、漁獲量が減ってきているのが悩みだが、漁師たちは漁を生きがいにしている。

その他キーワード

(てき)

『千の目先生』の用語。千草カオルたちが戦っている謎の侵略者。空飛ぶ円盤でやってきているが、彼らの姿は登場しない。故郷の星が滅亡しかけているため、移住するために地球人類を滅ぼそうとしている。超能力者は人間ではなく新人類だとして、コントロール装置を埋め込んで仲間にしている。円盤がなくなり、コントロールを外れると、支配からも外れるらしい。

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