みえるひと

みえるひと

霊に襲われたことがきっかけで霊が見える体質になった女子高生が、悪霊と戦う案内屋の男性や良い霊たちと共にさまざまな事件に遭遇するバトルアクション。「少年ジャンプ」平成17年33号から平成18年42号にかけて連載された。本作『みえるひと』の原形であり、岩代俊明のデビュー作となった、一部設定の異なる読み切り版2種類も収録されている。こちらは「青マルジャンプ」平成16年4月1日増刊号と「少年ジャンプ」平成16年45号に掲載された作品。

正式名称
みえるひと
ふりがな
みえるひと
作者
ジャンル
お化け・妖怪
関連商品
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世界観

霊が題材。霊を陽性の思いで人間界にとどまった陽魂と、陰性の思いで人間界に残った悪霊の陰魄に分けた世界が舞台。陰魄に襲われたのがきっかけで霊が見える体質となった桶川姫乃が、陽魂たちと親しくなり、時に陰魄の想いすら理解し受け入れる姿を描く。

あらすじ

高校入学を機に上京した桶川姫乃は、上京初日に不審な男性から、悪しき霊「陰魄」に襲われているところを助けられる。彼は、姫乃の引っ越し先「うたかた荘」の管理人を務める明神冬悟であった。この事件以来霊が見える体質となった姫乃は、明神や「うたかた荘」に住む霊たちと共に、「霊が見える側の人間(みえるひと)」として暮らすことになる。

登場人物・キャラクター

桶川 姫乃 (おけがわ ひめの)

私立咲良山高校1年C組に所属する女子生徒。胸のあたりまで伸ばした黒髪ストレートロングにヘアピンを留め、後頭部に一房「アホ毛」を生やした、おっとりした雰囲気だが芯の強い人物。物事をあまり深く考えないタイプ。高校入学を機に上京し、「うたかた荘」2階3号室で暮らすことになった。上京初日に明神冬悟と出会い、自分に憑いていた流仙蟲を駆除してもらったことで親しくなる。 以来霊の存在を認識できるようになり、明神や「うたかた荘」の面々と共にさまざまな事件に立ち向かっていく。上京前は祖父と暮らしており、仕事で忙しい父と自分に関心の薄い母親の間で孤独を感じていた。誕生日は4月12日で、血液型はO型。「青マルジャンプ」読み切り版では「桶川ヒメノ」という名で登場し、おじの自殺について調査する。 「少年ジャンプ」読み切り版では本作と同じ「桶川姫乃」で、上京直後T駅の女子トイレで起きる怪奇事件に巻き込まれる。

明神 冬悟 (みょうじん とうご)

案内屋を務める若い男性で、「うたかた荘」の管理人でもある。本来の苗字は「久能」だが、現在は「明神」と名乗っている。白い髪に黒いサングラスをかけている。性格はやや単純なところがあるが、心優しく面倒見がいい。霊に触れることのできる特殊な体質で、それが原因で幼少期から辛い経験を数多くしてきた。「うたかた荘」に訪れた桶川姫乃を貴重な生きている人間の住人であり収入源として歓迎する。 誕生日は1月15日で、血液型はA型。「少年ジャンプ」読み切り版では「明神」の名で登場し、T駅の女子トイレで起きる怪奇事件の調査を行う。

眞白 エージ (ましら えーじ)

「うたかた荘」2階3号室に住み着いている少年の霊。黄土色の髪を立て、常に野球用バットを携行している。性格は単純だが高い観察力を持ち、意外と冷めたところもある。陰魄と戦う明神冬悟に憧れ、最強の霊となるべく日々修行を続けている。桶川姫乃がやってきたことで部屋を追われるが、幽灯大師観照が現れた一件から彼女と親しくなる。 誕生日は5月25日で、血液型はO型。

木備野 安曇 (きびの あずみ)

「うたかた荘」に住み着いている幼い少女の霊。黒髪のおかっぱヘアに、後頭部の1房だけを結んだ明るく無邪気な性格の人物。母親と保育園に向かう途中交通事故に遭って亡くなり、その際に母の消息が知れなくなったことで未練を残し霊となって留まっている。明神冬悟に非常に懐いており、彼を探して街に出ることもよくある。絵本を読むことが好き。 誕生日は8月8日で、血液型はAB型。

十味 源五郎 (とみ げんごろう)

「うたかた荘」に訪れる年老いた男性。頭頂部はスキンヘッド、耳から下は白髪を伸ばした、太く長い眉毛が特徴。元刑事かつ霊が見える体質で、街に発生した陰魄の討伐の件で明神冬悟を頼りやってくる。しかし基本的に報酬は用意していないため、明神はタダ働きをさせられることが多く、明神からは「非常にタチが悪いじーさん」と評されている。

犬塚 我区 (いぬづか がく)

雉ノ葉月武(ツキタケ)と常に行動を共にしている10代後半の少年の霊で、「うたかた荘」で暮らしている。長い前髪で右目を隠しており、思い込みが激しく極端に惚れっぽい性格。素性を明かさず、たまに「うたかた荘」に戻ってきては明神冬悟に難癖をつけ戦いを仕掛けている。声をかけてくれた女性に片っ端から恋をし、ストーカーのごとく付きまとってしまう困った癖があり、逆に気に入らない人間はすぐに追い出そうとするため、「うたかた荘」に人が定着しない大きな原因を作っている。 情緒不安定で危険な存在ではあるが、無差別に人を襲うようなことはしない。桶川姫乃にも恋をし、「ひめのん」と呼び積極的なアプローチを行う。「うたかた荘」不在時は、日夜ツキタケと2人で陰魄と戦い腕を磨いている。 武器はピコピコハンマー。誕生日は10月11日で、血液型はB型。

雉ノ葉 月武 (きじのは つきたけ)

犬塚我区(ガク)を「アニキ」と慕い常に行動を共にしている小学生男子児童の霊で、「うたかた荘」で暮らしている。小柄な身体とギザギザの歯が特徴。生前は裕福な家庭に住んでいたが、それが原因で孤立し、孤独な生活を送っていた。霊となってからは生前の知り合いでもある眞白エージにことあるごとにちょっかいを出し、喧嘩ばかりしている。 「うたかた荘」不在時は、日夜ガクと2人で陰魄と戦い腕を磨いている。誕生日は6月6日で、血液型はA型。

明神 勇一郎 (みょうじん ゆういちろう)

明神冬悟の亡くなった師匠で、「空」の梵痕を持つ案内屋の男性。黒髪をオールバックにして立て、サングラスをかけた軽薄な雰囲気の人物。案内屋としての実力は本物で、若くして数々の事件を解決してきた実力派でもある。十味源五郎とは知り合いで、十味を介して明神冬悟の存在を知り、その孤独と高い資質を見抜き案内屋にスカウトした。 本当の姓は別にあるが明かされていない。「青マルジャンプ」読み切り版では「明神」の名で登場し、桶川ヒメノのおじの自殺について調査を行う。

湟神 澪 (こうがみ みお)

明神勇一郎に会いに「うたかた荘」を訪れた「水」の梵痕を持つ案内屋の若い女性。前髪は白く、それより後ろは黒髪のストレートロングヘアに、ニッカボッカを履いた非常にスタイルの良い人物。左目の下にほくろがあるのが特徴。幼少期に両親を亡くして以来荒んだ青春時代を送り、過去には14歳にしてレディースの総長を務めた経歴がある。 その後案内屋として湟神一兆に師事するが、頻繁に家出をしては勇一郎に連れ戻されていた。本名は「園城寺澪」。

湟神 一兆 (こうがみ いっちょう)

湟神澪の師匠で育ての親でもある、「水」の梵痕を持つ案内屋の年老いた男性。真ん中で分けた長髪に、腰のあたりまで伸ばした非常に長いひげを蓄えている。全国の除霊師や案内屋に広いネットワークを持ち、霊能力者たちのリーダー的存在として活動している。趣味は釣りで、スケベなのが玉に瑕。本名は「神山一兆」。

神吹 銀一 (かんぶき ぎんいち)

「風」の梵痕を持つ案内屋の男性。オールバックにした髪に眼鏡をかけた、スーツ姿の人物。「処刑屋銀一」の異名を持ち、高度な剄の操作技術がもたらす高い破壊力と戦闘力を持つ。案内屋業務のかたわら高校の世界史教師として働いているが、指導者としてはやや厳しすぎるところがあり、生徒受けは芳しくない。本名は「松倉銀一」。

火神楽・M・忠勝 (ひかぐらまいくただかつ)

「火」の梵痕を持つ案内屋の男性。ふさふさした黒髪にもみあげを伸ばして口ひげを生やし、サングラスをかけている。案内屋業務に加え、非合法バー「バレットイーグル」のマスターも務めている。寡黙で、軽薄な人間を嫌っている。本名は不明。喫煙者で葉巻を吸っている。

神吹 白金 (かんぶき しろがね)

神吹銀一の弟子で、「風」の梵痕を持つ案内屋の若い男性。斜めに分けたストレートヘアにサングラスをかけたスーツ姿の人物。銀一の養子であり、幼い頃からエリートとして、梵術・勉学共に徹底的なスパルタ教育を受けて育った。幼い頃は真面目で控えめ、人の言うことをよく聞く少年だったが、現在では素の自分を出して生きていくことを決め、軟派で自由な雰囲気の人物になっている。

ハセ

明神冬悟と明神勇一郎が陰魄退治に向かった坑道で出会った陰魄。前髪を真ん中で分けて胸のあたりまで伸ばし、電車のつり革のような髪留めをつけたスーツ姿の若い男性。自らが取り込んだ魂の特性を自分の望む力へと変化させる能力があり、理想の姿を手に入れるために数多の魂を喰らっている。顔は、コモンのものを理想としているため、まったく同じ顔をしている。

コモン

人間願望の一員で、リーダー的存在を務める「焔狐(ほむらぎつね)」の妖の霊。漢字では「狐門」と書く。若い人間の男性の姿に狐の耳としっぽを生やしているのが特徴。数十年前、ある集落でハセを発見し彼を育てた過去から、ハセはコモンの顔を理想とし同じものを使っているため、どちらも同じ顔をしている。短気で残忍な性格をしており、偶然狙いを定めた桶川姫乃が桶川雪乃の娘と知ると、より執拗に追いまわすようになる。 炎陣を用い、焔狐を使役して戦う。かつてはパラノイドサーカスに属していた。

キヌマ

人間願望の一員で、頭にかぶった桶のような帽子で右目を隠し、亀の甲羅のような鎧を着た年老いた男性の姿をした亀の霊。漢字では「亀沼」と書く。地蟲たちを襲い食べ「不味い」と評したことから、生き残った地蟲から強い怒りを向けられている。水陣を用いた、防御に特化した戦い方をする。元は沼に住む古老の亀だった。

ホルト

人間願望の一員で、鳥の頭に人間の身体を持ち、背中に羽を生やした鳥の霊。プライドが高く他者を見下したところがあり、自分より格上のコモンのことを常に意識している。風陣を用いた、スピードに特化した戦い方をする。自分の名は異国の地で鳥の神と崇められる存在の名から取って付けた。

バオ

人間願望の一員で、二足歩行をする巨大な象の姿をした象の霊。言葉を発することはできず、ホルトが言った「自分の言う通りに技を身に着け多くの魂を狩り続ければ、いつか人間の姿なれる」という言葉を信じている。自分が受けるダメージを無視した激しい戦い方をする。生前は動物園で「パオパオ」という名前で飼われていたが、死後ホルトに「バオ」と命名された。

幽灯大師 観照 (ゆうとうだいし かんてら)

鳥籠のような物に乗って現れる、人間の僧の姿をした顔を隠した霊。桶川姫乃の亡くなったはずの母親、桶川雪乃の居場所を知っており、母親に会いたければ自分たちのところへ来いと姫乃に持ちかける。自らを「監視するもの」と称しており、姫乃を無理に連れ去ることはしないが、他の「迎えの者たち」が姫乃を迎えに来ると言い放ち姿を消した。

桶川 雪乃 (おけがわ ゆきの)

亡くなったはずの桶川姫乃の母親。無縁断世として生まれ、自らの存在が及ぼす危険性の高さから自害するか「牢」に入るかの二択を迫られる。しかし当時お腹の中にいた姫乃を想いどちらも選ばず、制限がある中でも普通に暮らすことを選んだ。姫乃が自立するまではそばにいたいと考えていたが、10年前にパラノイドサーカスと名乗る陰魄集団に襲われ、「倚門島(いもんとう)」へ連れ去られた。 現在は肉体と魂が分かれた、特殊な状態で生きている。

キヨイ

パラノイドサーカスの一員で、多頭角のヤギ「呪殺のバフォメット」の陰魄。頭に2本の山羊の角を生やし、パパーハを被った長髪の若い男性の姿をしている。真霧に虐待を受けていた際にゴウメイ、グレイ、コクテンと出会い、彼らを救うために自らの力を使い死亡した。だが、魂だけの存在となったことで真の力を発揮し、ゴウメイたち3名と「パラノイドサーカス」を結成する。 その後、桶川雪乃と無縁断世の存在を知り、その力を得るべく誘拐。異天空間を手に入れ、全人類に復讐を目論んでいる。

ゴウメイ

パラノイドサーカスの一員で、中国に棲む伝説の生物「雷猿(ライエン)」の陰魄。大柄な身体にふんわりとした黒髪を肩まで伸ばし、顎ひげを蓄えた屈強な男性の姿をしている。キヨイたちとは真霧に虐待を受けていた際に知り合い、脱出後「パラノイドサーカス」として行動を共にするようになった。武力で物事を解決しようとする単純な性格だが、勝負ごとには潔癖で1対1の戦いを大切にし卑怯な行いは好まない高潔さがある。 コモンを「パラノイドサーカス」へ勧誘した人物でもある。

グレイ

パラノイドサーカスの一員で、西洋の伝説の生物「クロックラビット」の陰魄。真ん中で分けた銀色の、胸のあたりまで伸ばした長髪に垂れた黒い兎の耳を生やし、眼鏡をかけた若い男性の姿をしている。計算高く冷酷な性格だが、キヨイたち真霧のもとで出会った陰魄たちへの仲間意識は強い。キヨイへ強い愛情を抱いており、彼のためならばどのようなことでも実行する。

コクテン

パラノイドサーカスの一員で、人心を惑わし操る吸血コウモリ「皇帝コウモリ」の陰魄。桃色のストレートロングヘアを胸のあたりまで伸ばし、前髪を真ん中で分けて額を全開にした髪型をしている。また、巫女のような服装で、頭にコウモリの羽根を生やした少女の姿をしている。性格は好戦的で暴力的だが、一度した約束は守る。キヨイたちとは真霧に虐待を受けていた際に知り合い、脱出後「パラノイドサーカス」として行動を共にするようになった。

真霧 (まぎり)

変わった動物を集め、研究や虐待を行っていた人物。キヨイ、ゴウメイ、グレイ、コクテンは彼のもとで出会った。衰弱していく仲間たちを助けようとしたキヨイによって命を奪われ、パラノイドサーカス結成のきっかけを作った。

ミズチ

パラノイドサーカスの一員で、地中に流れる気を狂わせる「水霊」の集合体。緑色の髪をオールバックにした、三白眼の若い男性の姿をしている。一族やリーダーという概念を持たず、ただ共生することで現在の姿を保っているため、仲間意識や協調性といった考え方を理解することができない。そのため強い絆を持つ他の4名の「パラノイドサーカス」メンバーたちのことも理解できず、彼らのことが珍しくてたまらずにいる。

木備野安曇の母親 (きびのあずみのははおや)

木備野安曇の母親。胸のあたりまで伸ばしたストレートロングヘアと、前髪で右目が隠れているのが特徴の若い女性。木備野安曇が交通事故に遭って亡くなった際消息不明となっており、明神冬悟は彼女の捜索を続けていた。現在は霊となり銭湯施設「玉の湯」の煙突の上で安曇を探しているが、安曇を求める気持ちが強すぎるあまり陰魄となっている疑いがある。

轟 宗之助 (とどろき そうのすけ)

雉ノ葉月武(ツキタケ)の生前、彼の運転手を務めていた若い男性。父親の意向で私立ではなく普通の小学校に通うツキタケを気にかけており、彼が止めるまでは父親の意見を無視して毎日高級外車で送り迎えにやってきていた。孤立するツキタケに、「友人は大切なもの」「肝心なのは他人が自分をどう思っているかよりも、自分の気持ちを素直に伝えること」とアドバイスしていた。 大の車好きで、整備もできる。

桶川 良一 (おけがわ りょういち)

「青マルジャンプ」の読み切り版に登場。桶川ヒメノのおじ。童話作家で、ヒメノに新作についての意欲を語っていた直後に謎の死を遂げる。警察は自殺と判断したが、納得のいかないヒメノは他殺と考え明神に調査を依頼する。童話作家としては少しずつ人気を集めていたが、それによるプレッシャーも感じていた。

地縛霊の女性 (じばくれいのじょせい)

「少年ジャンプ」の読み切り版に登場。T駅に存在する地縛霊の女性。髪を肩まで伸ばした、スーツ姿の若い女性の姿をしている。生前は孤独な生活をしており、話し相手もいない状態にあったが、死後も日がな行きかう人々を眺めるだけのあまり変わらない日々を送っている。T駅の女子トイレにまつわる噂「トイレの殺人鬼」を道行く人間に囁いて広めた張本人だが、それにはある理由があった。

集団・組織

地蟲 (ちこ)

桶川姫乃たちの暮らす街の下水道に棲んでいる陽魂たちのこと。丸い身体に細長い手足を生やし、豚のような鼻をした小柄な容姿をしている。地下に暮らす陽魂の一族で、ネズミやモグラといった小動物の魂の集合体。「仙陽」の一種でもある。街の下水道に40個体ほど生息していたが人間願望に狙われ滅亡寸前にある。リーダーのジジ以外には個体名はない。

人間願望 (あにま)

桶川姫乃たちの暮らす街の下水道に現れ、地蟲を狩りつくそうしている陰魄たちのこと。ホルト、バオ、コモン、キヌマの4名で構成され、カケラが流れ着いて再構築されたハセも同行している。人への強い嫉妬心から生まれ、人を超える存在になることを目的としている。グループの決定権はコモンが持っており、彼の提案で地蟲狩りから姫乃の捕縛に目的を変える。

パラノイドサーカス

10年前、桶川雪乃を「倚門島」へ連れ去った陰魄集団のこと。人間願望のうち、完全な妖(あやかし)の血を引く者のみで構成されており、雪乃の無縁断世の力で強化された結果、最悪の脅威と化している。ゴウメイ、グレイ、コクテン、ミズチの4名の構成員の他、彼らを束ねる存在としてキヨイがいる。 5名ともかつて真霧邸の地下室で飼われ、彼の不当な暴力に苦しめられていた。かつてコモンもこの組織に所属していたことがある。

場所

うたかた荘 (うたかたそう)

桶川姫乃が高校入学の春から暮らすことになったアパートのこと。明神冬悟が管理人を務めており、木造で外観、内装共にかなり傷んでいる。現在生きている人間の住人は姫乃しかおらず、眞白エージや木備野安曇をはじめとする霊のほうが多く暮らしている。

その他キーワード

案内屋 (あんないや)

古来から存在する、陰魄と戦う存在のこと。生きている人間たちのために霊と交渉し、時に排除するために活動を続けている。「案内屋」という名称の語源は、一説によると街を苦しめた陰魄が倒され、街の人間が「これで安寧や、安寧や」と言ったことに起因するといわれている。

梵術 (ぼんじゅつ)

霊に触れられるほどの魂を持つ者が行使できる、対霊戦闘術のこと。案内屋が陰魄と戦う際にも用いている。世を構成する空(キャ)、風(カ)、火(ラ)、水(バ)、地(ア)の「五大」の力を借り、自分の体内の剄を術に昇華させて使う。補助道具に「黄布」と呼ばれる連梵字の書かれた布があり、ある程度の長さの「黄布」を腕に巻き、精神を集中し術を唱えることで作用する。

陽魂 (ようこん)

陽の性質を持った霊のこと。死して肉体から離れてもなおこの世に何らかの未練を残して留まった魂のうち、他者を想う気持ちや強い志など、陽性の思いで残った魂がこう呼ばれる。「うたかた荘」で暮らす霊たちはこの陽魂にあたる。

陰魄 (いんはく)

陰の性質を持った霊のこと。死して肉体から離れてもなおこの世に何らかの未練を残して留まった魂のうち、他者への恨みや憎しみなど、陰性の思いで残った魂がこう呼ばれる。陰魄はいわゆる悪霊であり、生きている人間に干渉して傷つけたり心の隙間に入り込もうとするため、陰魄となった霊は討伐しなくてはならない。古い墓地や自殺の名所、人の立ち入らない薄暗い森など、負の感情がたまりやすく霊的な力の濃い場所に集まり、夜間は活動が活発になる。

無縁断世 (むえんだんせ)

永い時の中で生まれる突然変異の霊能力者のこと。その霊力は16歳を境に発現し「無縁断世が現れる時、死の理が世を蹂躙し、死した時生者の理が息を吹き返す」といわれている。霊魂を増幅し創り変えてしまう強力な力を持ち、それゆえに力を求める陰魄を自然に引き付けてしまう。そのため、古来より無縁断世の力が悪しき魂に渡れば国が1つ滅びるといわれてきた。

異天空間 (とばり)

パラノイドサーカスの構成員たちが使用する妖(あやかし)の結界のこと。時代と共に衰退した力を蘇らせる能力を持ち、外界を遮断した濃密な霊場を作り上げることで己の異能力を最大限まで発揮する領域となる。生きている人間の世界からは切り離されているため、領域内は外側の誰からも気づかれることなく、内側からは決して出られない、異天空間を張ったものたちのテリトリーとなってしまう。

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