一球さん

一球さん

創設5年目にして夏の甲子園大会ベスト8に進んだ新進の野球強豪校・巨人学園高校に突如として現れた忍者の子孫・真田一球が大波乱を巻き起こす痛快高校野球漫画。『男どアホウ甲子園』の続編。クロスオーバー作品として『大甲子園』、『ドカベン スーパースターズ編』、『ドカベン ドリームトーナメント編』がある。

正式名称
一球さん
ふりがな
いっきゅうさん
作者
ジャンル
野球
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概要・あらすじ

忍者の子孫で野球を知らない野生児・真田一球が野球強豪巨人学園に突如現れる。純粋で真っすぐな性格と、いかなる場面にも動揺しない精神力と集中力、打撃・守備・走塁の全てにおいて野球の常識を遥かに凌ぐ超人的身体能力をもって周りの人々に様々な変化と気付きを与えてゆく。

登場人物・キャラクター

真田 一球 (さなだ いっきゅう)

巨人学園高校野球部右翼手、三塁手、投手、ほか。右投げ右打ち。真田幸村に仕えた忍者・真田鉄心の19代目の子孫、真田鉄心の息子。呉九郎と共に富士で育った野生児。6年前、真田鉄心と死に別れるが、下界と別れ富士へ修行に訪れた丹下組二代目丹波左文字を義父として育つ。 そして巨人(おおき)な少年を求めて放浪旅をしていた巨人学園理事長・住吉源五郎によってその資質を見いだされ野球を全く知らないまま野球強豪校巨人学園に入部する。純粋で真っすぐな性格。いかなる場面にも動揺しない精神力と集中力、更に常識を遥かに超える超人的身体能力を持って他を圧倒する。 足の速さ、肩の強さ、スタミナ等、他の追従を許さないレベル。打撃スイングの速さは世界のホームラン王・王貞治のそれを超え、視力は投手の投げたボールの縫い目のほころびが見える忍者の目を持つ。肩は甲子園球場の外野の一番深い位置からキャッチャーへダイレクトで力強くスピードのあるストライクの返球が可能。 走力は外野フライで2塁からのタッチアップでホームを狙える。小学生の野球少年ヤスタケを野球の師匠とし、ヘッドコーチ・原島の猛特訓を受けながら監督・岩風の指揮の下、野球を学びながら、周りの人々に様々な変化と気付きを与えてゆく。

岩風 五郎 (いわかぜ ごろう)

巨人学園高校野球部二軍監督、一軍代理監督。体育教師と監督を兼任。7年前に甲子園大会で優勝(春夏連覇)した南波高校の捕手で伝説の大投手藤村甲子園の恋女房(捕手)を務めた。元阪神タイガース捕手。一軍監督原島のアメリカ遊学中に東部六大学リーグの覇者・神宮大学との練習試合を行う。 この試合で外部から集めた3人の野球の達人・三球士をスタメンの主軸に起用。原島帰国後、二軍を率いた紅白戦で原島率いる一軍との試合に引き分け、住吉理事長の判断で一軍監督となり原島に一軍ヘッドコーチを依頼する。 その後開幕した西東京予選を勝ち抜き、夏の甲子園出場の切符を手に入れるが、チームのエース大友俊は岩風の常識を逸した作戦に反旗を翻しほぼ全員の部員達と共に野球部を去って行く。自ら高校時代にやってきた「あまりにも凄い野球」が巨人学園高校ナインに理解して貰えず、原島の提案で甲子園大会の監督を真田一球に託し、自らは監督を辞任する。

呉 九郎 (くれ くろう)

巨人学園高校野球部捕手、外野手。幼き日から真田一球と共に富士の山で暮らしてきた野生児。一球を追って東京にやって来る。一球と共に橋の下の小屋で生活する。野球を全く知らず、小学生の野球少年ヤスタケに野球を教わる。拳骨でボールを打ったり、素手でボールを受けるなど、人間の域を遥かに超えた身体能力を持つ。 守備練習のノックも拳骨で行う。逆に、普通の行為であるバットでボールを打ったりグラブでボールを捕ることなどはできない。真田一球を除く一軍全員が退部した後に出場した夏の甲子園大会1回戦南波高校戦では捕手として試合に出場する。

文六 (ぶんろく)

巨人学園高校野球部マネージャー、右翼手。運動センスが皆無だが真田一球のプレーに憧れ野球部へ入部する。選手としては完全に戦力外であるが一球と共に行動し、他校の偵察等を行う。一球を除く一軍全員が退部した後に出場した夏の甲子園大会1回戦南波高校戦では右翼として試合に出場する。

大友 俊 (おおとも しゅん)

巨人学園高校野球部投手。巨人学園高校のエース。昨年夏の甲子園で敗れ、そして春の選抜出場をかけた秋季大会でも敗れ、共に味方のエラーで負けた不運のエース。再起をかけた春の神宮大学との練習試合であったが代理監督岩風五郎と突然現れた野球素人の1年生真田一球に完全にペースを狂わされてしまった。 更に一軍と二軍の紅白戦において一球中心のチームへ変貌したことがハッキリとわかったため、プライドを打ち砕かれてチームを去る。そして懐に刃物を忍ばせ力ずくで一球に復讐しようとさえする。だが、鬼桜男子高校の松竹梅地獄のクリーンナップとの野試合でメッタ打ちを喰らったことで、かつての負けはエラーでなく打たれた球がダメだったことを自覚する。 酒に溺れ、連日、夜の街を彷徨うものの一球の熱心さに負け無意識のうちに野球部グランドへ戻り復帰を果たす。だが、西東京予選が始まり岩風との対立が更に加速する。結局、百戦錬磨の岩風の野球を理解することなく、西東京予選決勝・対神宮大学附属高校戦の勝利後に、他の野球部のメンバーを引き連れ集団で退部する。 しかし、甲子園で孤軍奮闘する真田一球に心を動かされる。

堀田 三吉 (ほった さんきち)

巨人学園高校野球部部員。左投げ左打ち。巧みなバッティングと驚異的な俊足を誇る。代理監督の岩風五郎が、神宮大学附属高校のエース五味連次郎を攻略するために集めた三球士の一人。岩風が指揮を執る神宮大学との練習試合からベンチ入りする。大阪市天王寺区出身。 元々野球らしい野球はやっていなかった。また関西人であるため「巨人」という名前を聞いただけでチームに参加する気もなかったが東部六大学リーグの覇者・神宮大学との対戦と聞いた途端、新幹線に乗り駆けつける。金にがめつく野球をやっているのもプロで金を稼ぐため。左投げのため、当初は外野を守っていたが岩風の指示でセカンドを守る。 チームのエース・大友俊ら部員たちとの確執で、西東京予選決勝、神宮大学附属高校戦当日の朝、同じ三球士の司幸司と共に野球部を去る。

司 幸司 (つかさ こうじ)

巨人学園高校野球部一塁手、投手、捕手。代理監督の岩風五郎が、神宮大学附属高校のエース五味連次郎を攻略するために集めた三球士の一人。岩風五郎が指揮を執る神宮大学との練習試合からベンチ入りする。高知県出身。容姿に自信があり、球場ですらナンパをする。 だが野球の実力は確かで、昨年夏の甲子園ベスト8投手大友俊の球をノーサインで平然とキャチングし、ホームランも放つシュアなバッティングをするなど、走攻守と安定したオールラウンドプレイヤー。大友俊ら部員たちとの確執で、西東京予選決勝神宮大学附属高校戦当日の朝、同じ三球士の堀田三吉と共に野球部を去る。

一角 志郎 (いっかく しろう)

巨人学園高校野球部一塁手、外野手。右投げ右打ち。代理監督の岩風五郎が、神宮大学附属高校のエース五味連次郎を攻略するために集めた三球士の一人。岩風が指揮を執る神宮大学との練習試合からベンチ入りする。北海道釧路市出身。巨体で穏やかな性格だがキレることもある。 精神的には脆い部分もある。豪快なホームランを放つパワーヒッター。西東京予選準々決勝恋ヶ窪商業高校戦で、北海道に住む妹の妙子の手術に間に合わせるため自ら試合に決着を着け、飛行機で帰郷する。

原島 (はらしま)

当初は巨人学園高校野球部一軍監督。巨人学園野球部を創設5年目にし夏の甲子園大会でベスト8進出を果たす。厳しく接するものの学校や選手からの信頼は厚い。巨人学園高校の対神宮大学戦の後、アメリカへの野球遊学から帰国。西東京予選を前にして行った紅白戦で真田一球の素質を見抜き三塁守備上の真田一球を打者に狙わせ徹底的に攻めて巧くなってもらう作戦を立てた。 その試合に引き分けたことが原因で一軍監督を退くことになるが、新たに一軍監督に就任した岩風五郎に協力を求められヘッドコーチに就任する。その際、真田一球を任せてもらう条件を岩風に了解させる。 紅白戦までは、岩風とは険悪な関係であったが、試合終了以降は、互いを認め合う良い関係となる。

五味 連次郎 (ごみ れんじろう)

神宮大学付属高校野球部投手。巨人学園高校と神宮大学の練習試合に、兄であり神宮大学のエース五味連太郎に変装し登板。剛球で巨人学園高校を圧倒するが野生児真田一球に打たれたことにより脆くも崩れ、猛打・巨人学園打線の連打に沈みコールド負けを喫する。 その後、兄連太郎のスパルタ特訓により精神面で鍛えられる。元々、巨人学園高校の岩風は夏の甲子園西東京予選での五味戦対策として三球士を連れてきていたがその対戦を前にして三球士は全員巨人学園を去ることになる。

住吉 源五郎 (すみよし げんごろう)

巨人学園高校新理事長。金があるのに住まいは橋の下の小屋。全国放浪の旅で探し当てた真田一球と三球士を野球部代理監督・岩風五郎に連れて来させ、神宮大学との練習試合を行わせた。監督・原島に対する評価はことのほか高く、着任早々アメリカへ出張させ野球遊学をさせる。 審判を買って出た一軍と二軍の紅白戦では試合に勝った方の監督を一軍監督とすることを決めており、結果、試合は引き分けに終わるが岩風を新監督に指名する。懐の深さを見せる人物のようだが正体は不明。実は巨人学園の名付け親でもある。

五味 連太郎 (ごみ れんたろう)

神宮大学の左腕エース。大学ナンバーワンの剛球左腕。東部六大学リーグの覇者・神宮大学のエース。五味連次郎の兄。神宮高校のOBでもある。幼い頃、泣き虫連次郎と呼ばれた弟に対してより強くなって欲しいと願っており、連次郎に厳しくスパルタ式のマンツーマンの特訓を行った。 連次郎も、兄の想いはよく理解している。

芦田 麗子 (あしだ れいこ)

巨人学園高校の生徒。芦田財閥の令嬢。神宮大学との練習試合を観戦中、三球士の名前を思いつく。元々は巨人学園高校のエース・大友俊の想い人であり、当初は良い間柄であった。だが、真田一球の破天荒なプレーに一喜一憂し、一球のキャラクターに魅力を感じ好意を寄せ始める。 通学、野球観戦共に運転手、使用人付きの高級車のお迎え付き。巨人学園の新理事長住吉源五郎を物語開始以前から知っており、おじさまと呼ぶ。

ヤスタケ

真田一球と親交のある野球少年。小学生。巨人学園高校と神宮大学の練習試合が行われた高尾球場の観客スタンドに抜け道を通り潜入。その試合で初めて野球をやった真田一球のプレーのデタラメさに呆れ、試合中、一球に野球のルールや常識をアドバイスする。ノックなどを駆使し、度あるごとに一球を教育指導する。 一球にとっての野球の師匠。友人の卓、ミチと共に行動する。

丹波 左文字 (たんば さもんじ)

真田一球の養父。元南波高校の選手で、岩風五郎や藤村甲子園のかつてのチームメイト。隻眼隻腕の男。6年前、就任した丹波組二代目に相応しい人間となるべく修行の場として富士の山を選び下界と縁を切る。そこで10歳の真田一球と出会う。

藤村 甲子園 (ふじむら こうしえん)

元南波高校野球部投手。元東京大学野球部投手。前阪神タイガース投手。母校・南波高校で活躍する双子のバッテリー・投手・藤村球二と捕手・藤村球三の兄。7年前に甲子園大会で優勝(春夏連覇)した剛球一直線の伝説の大投手。前作、『男どアホウ甲子園』の主人公。 巨人学園野球部の前監督・岩風五郎の親友。真田一球の気迫に動揺した弟球二と球三の二人をその存在感だけで立ち直らせる。

別当 (べっとう)

神宮大学付属高校 野球部 一塁手。神宮大学付属高校の主砲。容貌や打撃フォームは元プロ野球選手田淵幸一に酷似している。

住吉 (すみよし)

巨人学園高校理事長。普段は橋の下の掘建て小屋で生活している。真田一球および「三球士」を巨人学園高校野球部にスカウトした。懐の深さを見せる人物のようだが正体は不明。

集団・組織

巨人学園高校 (きょじんがくえんこうこう)

『一球さん』の舞台・組織。東大に毎年10人以上を送り出す進学校。また、昨年は創設5年目にして夏の甲子園大会でベスト8まで進んだ西東京地区屈指の野球強豪高。設備が充実し、一軍と二軍がある。注目のエース・大友を擁するが、昨年の夏の甲子園大会、春のセンバツ出場をかけた秋季大会では共にエラーで敗退した。 昨年の暮れに新たに理事長として就任した謎の男・住吉源五郎が野球部改革のメスを入れる。漢字で「巨人」と書かれた赤ヘルと、卵色のユニフォームがトレードマーク。西東京予選からは新監督・岩風の方針で攻守に関係なくスタッフを除くチーム全員が赤ヘルを被る。

弁強高校

『一球さん』の舞台・組織。巨人学園高校西東京大会1回戦の対戦校。進学校で野球部は弱小であるものの部員達は一浪覚悟で夏の大会で1勝することを目標に必死に野球に打ち込んできた。だが、1回戦で本来シード校になるべく強豪巨人学園高校がシードを辞退したため対戦することになり失望する。試合は真田一球を除く一軍全員が食中毒のためベンチ入りすら出来ない巨人学園高校に対し、序盤から大差をつけるという想定外な展開となる。

友西高校

『一球さん』の舞台・組織。野球部は5年前から学校に見放されており、今年になり監督も退任、学校の存続そのものが危ぶまれる状態にあり野球部最後の試合、対巨人学園高校戦に臨む。選手は全員、南海ホークスのファンで、「芸名」として南海ホークスの選手の名前を名乗っている。バットは部員の手作り、ベースはボロボロ、ボールは3年間使っており、試合でニューボールに慣れるため試合の前日に一球だけ購入し練習に使う。 急遽監督を務めることになった三ツ縞(みつしま)は水島新司本人をモデルとしている。野球の野の字も知らないものの、したたかな采配で巨人学園高校を苦戦させる。

恋ヶ窪商業高校

『一球さん』の舞台・組織。知略に優れ、コンピュータを導入したデータ重視のコンピュータ野球を展開する。野球の知識がありスタンドで端末のコンピュータを操りデータを算出する女子マネージャー・明智が実質的にチームの采配を揮う。真田一球のデータを収集すべく男装した明智が真田一球に接近し、その弱点を見つけ出すことに成功する。

鬼桜男子高校

『一球さん』の舞台・組織。硬派な男子校。1番打者・丑松、2番打者・竹之丈、3番打者・梅吉、4番打者で地獄のエースと呼ばれる3累手・桐野の地獄のクリーンナップ・松竹梅と、被本塁打0を誇る豆ころエース・花園章太を擁する。1年前、巨人学園高校のエース・大友俊にかすりもせずノーヒットノーランを喫したが、島岡監督の元、がむしゃらに史上最高の打撃のチームを作るという執念が開花した。 その後、大友と多摩川読売巨人軍練習場、および夏の西東京準決勝で対戦することになる。

神宮大学付属高校 (じんぐうだいがくふぞくこうこう)

『一球さん』の舞台・組織。作中の大学野球の強豪・神宮大学の付属校で有力選手が集まる名門校。西東京地区での巨人学園高校最大のライバル校で、西東京予選決勝で対戦する。エース・五味連次郎と主砲・別当を擁する。巨人学園高校の監督・岩風五郎は対五味に巨人学園に連れてきた三球士なしでこの試合に臨むことになり、真田一球を先発投手として起用する。

南波高校

『一球さん』の舞台・組織。前作『男どアホウ甲子園』の主人公、藤村甲子園と、巨人学園高校岩風五郎監督の母校。夏の甲子園大会初日第1試合で巨人学園高校と対戦する。99%優勝確実候補校。バッテリーは藤村甲子園の弟の双子。双子の兄、投手・藤村球二は3年間通算360イニング無失点の左腕。 双子の弟、捕手・藤村球三は3年間通算40本塁打のスラッガー。

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