シンソウガクシャ 深層学舎

シンソウガクシャ 深層学舎

特異な能力によって差別を受けていた少年・立見硬の活躍を中心に、各地で発生する犯罪者たちとの対決を描いた異能力バトル作品。複数の作家が同一の世界観で展開している、ヒーローや異能力者を題材にしたヒーロークロスラインシリーズ(http://www.heroxline.com/)の1つ。コミックスには「マガジンZ」で連載された第5話までと、同人誌「ヒーロークロスラインアフターミッション」で発表された第5.5話、第6話が収録されている。

正式名称
シンソウガクシャ 深層学舎
ふりがな
しんそうがくしゃ
作者
ジャンル
バトル
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概要・あらすじ

オルタレイションバーストにより20年が経過してもなお、異能力者であるノッカーズの発生が止むことはなく、社会はより混迷は深めていた。生まれながらにノッカーズである少年の立見硬は、周囲からの迫害に耐えながら学校生活を送っていたが、ある日、ノッカーズ犯罪専門の対策機関であるBOOTSから捜査協力を依頼される。

半ば強制的に捜査チームに加えられ、硬の生活は一変する。

登場人物・キャラクター

立見 硬 (たつみ こう)

パーマがかった前髪をした目つきの悪い中学生男子。生まれながらのノッカーズ。年齢は14歳。能力者への差別から生じる衝突を避けるため、その能力をできるかぎり隠しながら生活していた。シュライクが起こした事件をきっかけにBOOTSに勧誘される。能力を発動すると二足歩行の爬虫類のような姿になり、重力や慣性への干渉が行えるようになる。 基本的には自分の身体を浮かす程度の力しかないが、ブースターを用いた際には、身体能力とともに、その異能も爆発的に強化される。メディアに活躍が取り上げられるようになると、その見た目から「トカゲルゲ」「シッポマン」という愛称で呼ばれるようになった。

立見 香子 (たつみ かこ)

立見硬の母親で、パーマがかった黒髪の中年女性。生まれながらにノッカーズである硬をめぐる周囲の偏見によって、何度も転居を強いられた。立見家のなかでも、とりわけ差別に対する恐怖感が強い。もともと結婚により村上姓となったが、硬が生まれてからは身元を誤魔化すために、旧姓である「立見」を使用するようになり、家族もそれに倣っている。 シュライクが起こした事件によって、硬が世間からの注目を集めると、また差別されるかもしれないという恐怖からヒステリーを起こし、硬の行動を一方的に責めた。しかし硬が家出すると自身の態度を反省し、硬が帰って来た時には涙を浮かべて出迎えた。

矢的 基未 (やまと もとみ)

BOOTSに所属している若い女性。ウェーブがかった黒い長髪をしている。出身は大分県。シュライクが起こした事件を解決するため、シゲとともに立見硬の家を訪れ、シュライクの制圧にも携わった。事件後、家族との折り合いが悪くなって家出を図った硬を、自身が寝泊まりしている大深部警察局の一室へ案内するなど、年上相応の面倒見の良さを見せる。 自身の母親からは仕事への理解を得られておらず、女性でありながら危険な現場で働くことについて心配されている。

シゲ

BOOTSの現場指揮官を務める中年男性。パーマがかった短髪と険しい顔つきをしている。20年前は教師だったが、ノッカーズによる犯罪で教え子を殺害されており、それからというものノッカーズに憎しみを抱くようになった。事件後はBOOTSの隊員に転職し、その後17年間を復讐に費やしてきた。その過程で両足の機能を失っており、現在は車椅子を使っている。 3年前、その境遇から望まずに犯罪者となった子供のノッカーズに関わったことから、自身の在り方を見つめなおすようになった。立見硬や戸田那由他といった子供のノッカーズたちに、正しい生き方を教えられる人間になりたい、と考えるようになった。

五ヶ山 橘花 (ごかやま きっか)

BOOTSの福岡支部に所属するノッカーズ。白い長髪で福岡訛りの言葉を話す若い女性。立見硬と同じ重力操作の能力を持っているが、その練度は硬とは比較にならないほどに強力。成層圏で発生した、ノッカーズによる航空機襲撃事件を解決するためのパートナーとするため硬を訪ねたが、彼の能力の未熟さを知り、短期集中型の修行を施した。

戸田 那由他 (とだ なゆた)

ノッカーズの少女。切りそろえた真っ白な長髪と、透明感ある不思議な雰囲気をまとっている。年齢は10歳。能力は不明だが、ブースター開発のため、シゲによって大深部警察局のさらに地下深くに軟禁されていた。VOIDの襲撃により能力を奪われそうになるが、立見硬と矢的元未の活躍によって難を逃れる。

シュライク

ノッカーズの男性。20年にわたって各地で犯罪を起こしてきた。ヴェネツィアンマスクを付けている。能力は強力な催眠と洗脳だが、能力発動時も立見硬のように身体が変化することはない。警視庁本庁舎と各警察重要施設を襲撃して、BOOTSの隊員をも洗脳し、大深部警察局へと立てこもる。

パウダー

ノッカーズの男性。黒い外套をまとった屈強な身体つきをしている。ソッキューとともに、大分県の九重夢大吊橋を襲撃。観光客50名以上を人質にとり、20億円の身代金を要求した。自身の身体の一部を爆発物に変化させる能力を持ち、髪を抜いたり、小指を噛みちぎったりすることにより投擲可能にする。爆発の威力は部位の体積に比例し、片手を犠牲にした時には、吊橋に壊滅的なダメージを与えた。

ソッキュー

ノッカーズの男性。\マークの付いた野球帽を被った、巨大な体躯をしている。パウダーとともに、大分県の九重夢大吊橋を襲撃。観光客50名以上を人質にとり、20億円の身代金を要求した。能力は身体強化と投擲技術の強化で、パウダーが作り出した爆発物を狙ったところへ着弾させる役割を担う。性格は臆病で、咄嗟の事態に狼狽しがちだが、パウダーからは最高の相性のパートナーとして高く評価されている。

VOID (ゔぉいど)

大深部警察局にいた戸田那由他を突如として襲撃したノッカーズ。能力は対象のノッカーズに触れて、その能力を奪い去るというもの。能力発動時は複数の黒い羽が背中から生える。自身もノッカーズでありながら、ノッカーズの存在に否定的で、手当たり次第に襲撃を繰り返すため「ノッカーズ狩り」と呼ばれている。だが、その真意は謎に包まれている。

集団・組織

BOOTS (ぶーつ)

対ノッカーズ犯罪専門の特殊部隊で、警察庁管轄の組織。ブースターを装備した隊員を主力として、各地で発生するノッカーズによる悪事に対処する。東京都内をはじめとして、矢的基未の出身地である大分県や、五ヶ山橘花が所属する福岡県など全国に支部がある。

マジン団 (まじんだん)

ノッカーズによって構成された犯罪集団。ノッカーズによる世界征服を企んでいる。ノッカーズが差別されるのは、一般の人間に比べて数が少ないためだと考え、自分たちが迫害されることなく自由に生きられる世界を求めては騒動を起こしている。

場所

大深部警察局 (だいしんぶけいさつきょく)

対ノッカーズ犯罪用の地下要塞。警視庁の地下100メートルに建設されている。警察官5000人が2年間は籠城できるといわれる巨大施設だが、設置から間もないため、まだ利用者は多くない。BOOTSの隊員は無料で寝泊まりができるため、矢的基未はここで暮らしている。矢的によれば、職場に絶対に遅刻しないので便利だが、コンビニが遠いことだけが難点とのこと。

深層学舎 (しんそうがくしゃ)

立見硬や戸田那由他のように、生まれながらノッカーズである子供たちを受け入れるための寮。VOIDの襲撃からしばらく経った後に大深部警察局に新設された。子供たちの多くはBOOTSに所属し、訓練を終えた者は現場に送られることもある。深層学舎の設立以降、都心におけるノッカーズ犯罪の検挙率は30%上昇した。

イベント・出来事

オルタレイションバースト

西暦1999年に観測された、「能力者集団発生現象」とも呼ばれる出来事。これ以降、各地でノッカーズが誕生するようになるが、その発生原因などは一切不明。また後天的に能力を獲得した人間もいれば、立見硬や戸田那由他のように先天的に能力を獲得した者もおり、その法則性は解明されていない。

その他キーワード

ノッカーズ

超能力者の総称。「地獄の扉を叩いた者」という表現に由来する。オルタレイションバースト以降、数万人に1人の確率で無作為に目覚めるようになった。その能力はさまざまで、多くの場合、能力の発動とともに外見上の変化を伴う。人間の枠組みを超えた能力を持つようになり、道を踏み外してしまうものも多い。そのことが、結果として立見香子のような、差別による被害者を生んでいる。

降着生物 (こうちゃくせいぶつ)

10年前、地球に衝突する直前に破壊された隕石に寄生していた宇宙生物。形状により8種類に分類されている。そのうち「降着生物8号」と呼ばれるタイプは、あらゆる物質を次々と捕食しながら巨大化し、臨界点に達すると、周辺の建物などを含めて一帯を消滅させてしまうため、BOOTSでも危険視されている。

ブースター

BOOTSの隊員が装備している対ノッカーズ用に開発された特殊強化スーツ。一般的な銃器であれば無力化するほどの防御力を誇る。また巧妙化するノッカーズ犯罪に対応するため、一般の隊員ではなく、ノッカーズの隊員に対応した新型のスーツも日夜研究されている。立見硬がBOOTSに勧誘されたのは、この新型スーツへの適性があったためである。

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