ヴァムピール

ヴァムピール

ヴァムピールは人の負の気を喰らう化け物。その昔、吸血鬼と呼ばれていた。ヴァムピールが一旦体内に入ったことで特殊な能力を持った半死人、水沫伶と、すでに死んでいるものの、ヴァムピールと肉体を共有することで生かされている北杜笙。そしてヴァムピールの肉体にたまる毒を浄化する能力を持つ人間、笛吹攸一朗が様々な事件に直面していくホラーファンタジー。自殺、離婚問題、殺人事件など負の感情や悪意を持つ人間が暴かれていき、ヴァムピールが生気を奪う。ヴァムピール同士のいさかいも描かれる。

正式名称
ヴァムピール
ふりがな
ゔぁむぴーる
作者
ジャンル
ファンタジー
 
ホラー
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概要・あらすじ

飛び降り自殺をした少女の下敷きとなって、死の淵をさまよう水沫伶。奇跡的に生還するものの、金髪で赤い瞳に変貌していた。その日を境に他の人には見えない霊や得体の知れないものが見え、残留思念が聞こえるようになっていた。ある日、謎の美少女、北杜笙に出会い、一分間心停止した間にヴァムピールという化け物が体内に入り込み、この世でただ一人、生と死の狭間にある異質な存在になってしまったと告げられる。

また、その髪と目の色はヴァムピールがつけた印で、が死ぬのを待っているという。孤独と無気力でしだいに死に魅せられていく水沫伶北杜笙の協力の元、この世で生きていく道を探る。

登場人物・キャラクター

水沫 伶 (みなわ りょう)

男子高校生。自殺に巻き込まれ、一分間心停止した際、化け物ヴァムピールに入り込まれ、死者とも生者とも違う半死人となって蘇生する。元々は黒髪だったが、蘇生後、金髪で赤い瞳に変貌し、霊や得体のしれないものが見えるようになる。また、触ることで残留思念が読み取れ、暗闇も感じない体になる。図太くてがさつな性格。 怒っていることが多い。

北杜 笙 (ほくと しょう)

資産家の令嬢。物静かで近寄りがたく、町でも評判の美人だったが、17歳の時に父親が無理心中を図り、死亡。カンタレッラという化け物・ヴァムピールと同化し、肉体を共有する。何年たっても外見は17歳のまま。無表情だが、威圧感がある。中学時代、同級生の笛吹攸一朗に恋心を抱いていた。 自分の境遇に近い半死人の水沫伶の手助けをし、無気力になって朽ち果てないようオド(生命流動体)を分けている。

笛吹 攸一朗 (うすい ゆういちろう)

早聖大学心理臨床センター所属の臨床心理士。本人に自覚はないが、化け物ヴァムピールと同化した肉体にたまる毒の澱を浄化できる能力者。ヴァムピールにとって貴重な存在。霊感はないが、ヴァムピールは見える。北杜笙とは中学時代の同級生で、当時、笙に憧れていたが、高嶺の花だった。 お人よしで、困った患者でも誠心誠意尽くす。

男爵 (ばろん)

『ヴァムピール』に登場する化け物。ヴァムピール。自殺に巻き込まれ、一分間心停止した水沫伶の体に入り込むが、蘇生したため、追い出される。水沫伶の体は100年に一度のピッタリの体だと水沫伶に付きまとい、死ぬのを待っている。長らく体が見つからず、霊体のままさまよっていた。人の姿でないと話ができないため、以前、肉体を共有していた英国の貴族・男爵の姿で現れ、自分のことを「バロン」と名乗る。 飄々としており、気まぐれ。また口が達者で狡猾なメフィストフェレス。黒いマントを羽織っている。

カンタレッラ

『ヴァムピール』に登場する化け物。ヴァムピール。死亡した北杜笙の体に入り込み、肉体を共有する。黒髪のウエーブで、深い緑の瞳を持つ彫りの深い妖艶な美女の姿で現れる。負の気オド(生命流動体)を持つ者の前に現れ、「あなたすてきよ」と言って、オドを喰らう。ヴァムピールの中でもランクが高い能力者。男爵には魔女、大魔女と呼ばれている。 肉体の持ち主、北杜笙の言いなりになっており、他の仲間から心の病ではないかと言われている。

ヴァムピール

『ヴァムピール』に登場する化け物の名前。彼らは血ではなく、人間の負の気オド(生命流動体)を喰らう。生気を吸い取られることから、古来の人は彼らを吸血鬼と呼んだ。普段は形を持たない霊体。死人に入り込み同化することで、人間の姿を保ち、オドを吸う。入りこまれた死人は外見は年をとらず、記憶や意識はあるが、澱という毒がたまっていずれは朽ち果てる。 ヴァムピールにとって肉体は洋服のようなもので、朽ち果てれば他の肉体を探す。ちなみにヴァムピールは肉体がなくても、イメージすることで人間の姿を現し、会話することが可能。ヴァムピールにもステージがあり、レベルの高い同化、完全同化を繰り返すと魔女、魔人と呼ばれ、さらにステージが上がると魔女王、魔王と呼ばれるようになる。 自分の手で人間を殺して肉体を手に入れるのはヴァムピールにとって恥ずかしい行為。

リュカ・ディボア (りゅかでぃぼあ)

『ヴァムピール』に登場する化け物。ヴァムピール。名前は明かされておらず、同化した少年の名前を名乗る。カンタレッラとは長い付き合いで様子がおかしいと聞き、日本にやってきた。同化している体は病気で亡くなった10歳の少年。以来、10年間同化しており、外見は10歳のまま。肉体は八割方毒に犯され、もう長くはもたない。 能力の高いヴァムピールで、次回、完全同化を果たせば魔王にランクアップする。150年前に日本で言葉を覚えたことから、江戸言葉で話す。礼儀に厳しい。肉体はリュカの父が仕向けた殺し屋に爆破され、塵になる。

水沫伶の姉 (みなわりょうのあね)

水沫伶の姉。幼くして両親をなくし、19歳で叔父の家から追い出され、姉弟二人で暮らす。明るくポジティブで、たくましい女性。保険の外交員をしており、夜のバイトもしている。弟・伶のために昼夜働いて、生活費と学費を稼ぐ。弟を一流企業に就職させ、逆玉の輿にのってもらい、そのお金で弟に一生面倒をみてもらうのが夢。

牧村 みほ (まきむら みほ)

飛び降り自殺をして水沫伶を巻き込んだ18歳の少女。城西医大学長の娘。声が小さく気弱でおとなしい。水沫伶を巻き込んでしまったことを気にして、霊になって病院までついてくる。水沫伶に名乗るまでは「自殺ちゃん」と呼ばれる。

浄化者 (じょうかしゃ)

『ヴァムピール』に登場する能力者の名前。化け物ヴァムピールと同化した肉体にたまる毒の澱を浄化できる能力者。触るだけで体にたまる毒の澱を浄化することができる。まれにこの能力を持った人間がおり、笛吹攸一朗がこれにあたる。本人には自覚がない。肉体をできるだけ長く使いたいヴァムピールたちにとって貴重な存在。

サビーヌ・フェルマント (さびーぬふぇるまんと)

ベルギー出身の金髪美人。ルーベン大学の日本語科より、笛吹攸一朗のいる早聖大学に語学留学をする。アルバイトで10歳のリュカ・ディボアの付き添いをしている。以前、日本に旅行に来た時に黒伶にひとめぼれし、再会するため、3か月で日本語を覚える。語学は日本語を含め10か国語を習得。 優しく面倒見が良い。リュカが殺された時の爆破に巻き込まれ、死亡。このまま死にたくないという思いから、これまでリュカの肉体に同化していたヴァムピールに同意。そのヴァムピールと完全同化してしまう。

市丸 理子 (いちまる さとこ)

水沫伶の幼稚園からの幼なじみでクラスメイト。水沫伶に気があり、何かとちょっかいを出す。髪はおだんごにしており、眼鏡をかけた優等生タイプ。父は一流商社の部長。疑似完全同化の際に生まれた水沫伶そっくりの人格、黒伶に迫られる。黒伶が水沫伶とあまりに違うため、水沫伶が二重人格になってしまったと思っている。

その他キーワード

完全同化 (みっくす)

『ヴァムピール』に出てくる用語。レベルの高い同化のことを指す。通常の同化と違い、ほとんど肉体に毒は溜まらない。完全同化すると本人とヴァムピールの個性が混ざった新しい人格ができる。脳内にヴァムピール、本人、新人格がおり、能力も共有する。自分に合った肉体でないと完全同化はできない。また完全同化するためには肉体を持つ者の同意が必要。 男爵は水沫伶に疑似完全同化を勧めてくる。疑似完全同化は48時間で元に戻る。この時にオド(生命流動体)を食べてしまうと死者になってしまい、元には戻れなくなる。

黒伶 (くろりょう)

『ヴァムピール』の登場する人格。水沫伶と男爵の疑似完全同化の際にできた別人格。外見は金髪、赤い瞳になる前の水沫伶。フェロモン全開でサビーヌ・フェルマントや市丸理子を誘惑する。冷酷で乱暴。青臭い青年。

オド

『ヴァムピール』に出てくる用語。生きた人間の生命流動体。生気。ヴァムピールの栄養源で、人間の悪意や負の感情ほど美味しく良い栄養になる。美男美女のオドは栄養にならないが美味な嗜好品。

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