墨繍綺譚

墨繍綺譚

悩みや不安など、心に闇を抱える人物の前にだけ現れる、謎の白髪の彫師・繍。彼が客の体に見えた図柄を彫り終えると、その客の周りで人が死ぬ事となる。繍と、彼が出会う人々の周囲で巻き起こる夢とも現実ともつかない不思議な事件を、オムニバス形式で描くミステリー。「office YOU」平成27年6月号から掲載の作品。

正式名称
墨繍綺譚
ふりがな
ぼくしゅうきたん
作者
ジャンル
サスペンス
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あらすじ

第1巻

高校1年生の田端瞳は、学校に居場所がなく、本当の友達もいない。偶然、席が近くになった野川エリカ達のあとをついて行ってはいるものの、透明人間のように扱われる事もあり、つねに孤独を感じていた。そんな中、エリカから心ない言葉を投げかけられて傷ついた瞳は、心の安らぎを求めていつものようにリストカットをしようとする。その時、瞳の目の前に謎の彫師・の店が現われる。「あんたが来る事はわかっていた」という言葉で瞳を迎え入れた繍は、彼女の手首に蜂の刺青を彫るのだった。それが理由なのか、瞳をいじめていたエリカは蜂に刺されて顔中が腫れ上がってしまう。その後、瞳は手首を切って自殺未遂を起こす。瞳は一命を取り留めたが、病院のベッドの上で目を覚ますと、これが現実なのか夢なのかがわからない様子だった。その後、瞳の学校生活は順調なものとなり、おびただしい数のリストカットの痕も消えていた。さらに、繍に彫ってもらったはずの刺青も消えていたのである。瞳は、再び繍に会おうと彼の店があった場所に赴くが、そこには刺青の店など影も形もなかった。

第2巻

椿木小枝は、結婚をすれば幸せになれるとばかり思っていたが、保険金殺人を狙っていた恋人に毒殺されかける。どうにか体調を取り戻した小枝は、ずっと気にかかっていた自分のルーツを探るため、自身が育った小さな施設を訪れる。小枝の祖母や父親、母親は火事で亡くなったと信じていた小枝は、施設でショッキングな事実を知る事になる。その火事は、父親の無理心中によるものであり、父親が小枝の祖母と母親を刺したあとに火を放ったというものだった。実は小枝の脳裏には、火事を思い出すたびに謎の白髪の男の姿が浮かんでいた。そして小枝は、自分が働く老人ホームで、その男の気配をたびたび感じていたのである。

登場人物・キャラクター

(しゅう)

彫師を務める白髪の男性。繍が刺青を彫った人物は、その後の人生が意外な方向に導かれていく。繍はその人物の身体に絵を見い出す事ができるが、彫れるのはその絵のみにかぎられる。そのため、図柄や彫る場所を任意に選ぶ事はできない。繍を必要とする人物がいる場所に店を構えるため、どこに現れるのかについては、誰もわからない。

田端 瞳 (たばた ひとみ)

高校1年生の女子で、友達と呼べるクラスメイトは一人もいない。団地で看護師の母親と二人暮らしをしている。いつも孤独を感じており、その事を誰にも気づいてもらえない事を辛く思っている。リストカットをする事で心の均衡を保っており、手首には無数の切り傷がある。

椿木 小枝 (つばき さえ)

高級老人ホームのスタッフとして働く女性。家族全員を火事で亡くしており、今は恋人といっしょに暮らしている。恋人の母親が結婚を認めてくれないと言われているが、恋人自身は結婚に乗り気で、プロポーズもされている。そんな中、駅のホームで不思議な人影を見かけて以来、職場の入居者が突然死亡したり、椿木小枝自身が突如倒れるなど、周囲で不思議な出来事が起こり始める。 これらの原因がホームで見かけた謎の人物と関係があるのではないかと疑っている。

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