信長のシェフ

信長のシェフ

戦国時代の真っただ中に、記憶を失くして取り残されていた現代の料理人が、自らのたった一つの武器ともいえる料理の腕で織田信長の料理頭となり、様々な歴史の局面に関わっていく物語。主人公は単に信長のための食事を作るだけでなく、自らの提供する料理によって歴史が動く様を目の当たりにし、己の生き様に反映させていく。登場する戦国武将や大枠の出来事はほぼ史実に則っており、織田信長に惚れこんだ主人公目線での詳細な「if」を考察する内容となっている。

正式名称
信長のシェフ
ふりがな
のぶながのしぇふ
原作
漫画
ジャンル
料理人
 
戦国
レーベル
芳文社コミックス(芳文社)
巻数
全36巻完結
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概要・あらすじ

ふと気づくと戦国時代にいた平成の料理人ケン。自身についての記憶をほぼ失くしていたケンは、京に住む鍛冶職人のに拾われ、そこで料理の腕前を発揮する。ケンの料理は評判を呼び、噂を聞きつけた織田信長によって専属の料理頭に取り立てられることとなった。信長ケンに求めるのは、珍しい味覚のみでなく、戦や調略にも使える料理。

記憶に残る料理と歴史の知識を武器に、ケンは戦乱の世を生き抜いていく。

登場人物・キャラクター

ケン

現代においてはフレンチの料理人だったが、戦国時代にタイムスリップし、織田信長の専属料理人となる。自身についての記憶は失っているが、食材や日本史、怪我の応急処置などの知識は豊富。頭の回転も速く、身に着いていた料理の腕と合わせて信長の無理難題に的確に応えていく。後に本名が葛城賢一郎で、顕如の元に身を寄せているようこと親しい関係にあったことを知るが実感はなく、戦国の世に置いて自分を助けてくれた夏を大事に思っている。

織田 信長 (おだ のぶなが)

戦国時代に実在した武将で、通説どおりの実力主義者。ケンの料理を知って専属料理人に召し抱える。気が短く他人を簡単に信用しないが、料理人としての矜持を曲げないケンには一目置き、信頼して自由に采配をとらせることもある。冷酷かつ非道に思われているが、意外と義に厚く、義弟の浅井長政に温情をかけたり、功績を残した部下を労う一面が、ケンの目を通して描かれている。

(なつ)

京に住む刀鍛冶。記憶を失くしたケンを家に住まわせ、三か月にわたって面倒を見てきた。男の身なりをしているが実は女性。共に暮らすうち、ケンに好意を寄せるようになる。ケンが信長に見出されて岐阜に行く際、包丁を作って送り出したが、後に鍛冶職人として岐阜に招かれ、ケンの身近で暮らすようになる。 ケンとは時折いい雰囲気になるが、刀鍛冶を司る女神の嫉妬をかわないよう、未通女を貫いている。

(かえで)

織田信長の間者を務めるくノ一。敵方の浅井家にケンが潜入する際、見張り役として同行して以来、ケンと共に行動することが多くなる。10年前の戦で親を亡くした際、たまたま通りかかった信長に「強くなりたいか」と問われ、確固とした肯定の意志を見せて召し抱えられた経緯を持つ。信長の命には絶対忠実の立場を崩さないが、実はケンに秘かな思いを抱いている。

ようこ

石山本願寺の門跡顕如の元で珍しい洋菓子を作っていた女性。後にケンと共にタイムスリップしてきた平成のパティシエールで、ケンと愛し合っていたことが判明する。戦国時代で乱暴されたことがトラウマになっており、自分を救ってくれた顕如には絶対服従の姿勢を見せている。

果心居士 (かしんこじ)

ケンと共にタイムスリップしてきた現代の人間だが、伝説の幻術師の名を騙っている。ケンの勤めるレストランの給仕長をしていたため洞察力が鋭い。その能力や平成から持ち込んだ道具を使ってのトリックなどで戦国武将たちに取り入る。平成の記憶がないため苦悩が少なく、かつ歴史上の大人物に気に入られたケンを妬んでおり、自身も大成するべく、日本史の知識を使って良からぬことを画策する。

濃姫 (のうひめ)

美濃の斎藤道三の娘で、信長の正妻として実在した人物。高貴な姫らしく気位が高いが、ケンの人間性と料理には一目置いている。ケンが悩んでいると、それとなく助言を与えることも少なくない。ケンによると「味覚が人並み以上に鋭い繊細な人物」とのこと。信長の妻らしく、細事にはこだわらない大らかなところがある。

武田 信玄 (たけだ しんげん)

甲斐の虎と恐れられた実在の戦国大名。信長の元で実力を発揮するケンを危険視し、家臣に殺害を命じる。が、自らの病を癒すかのようなケンの料理に惚れ、強制的に手元に置くことに。ケンを伴い上洛を目指すが、志半ばで病に倒れ、ケンを逃がして鬼籍に入る。

森 可成 (もり よしなり)

織田信長に仕えた実在の武将。槍の名手ながら穏やかな性質の人物として描かれ、物語序盤のケンの良きアドバイザーを務める。史実通り宇佐山城の戦いで討死した際は、これを止められなかったケンに大きなショックを与える。後の比叡山焼き討ちの際、彼が弔われた聖衆来迎寺だけは信長の命で焼かれなかった描写があるが、これも史実とされている。

木下 秀吉 (きのした ひでよし)

後の太閤豊臣秀吉だが、ケンの訪れた時代ではまだ織田信長に仕える一介の武将に過ぎない。当初はケンを間者と疑い警戒していたが、ケンの人柄を知るにつれて親しくなる。コミカルで憎めない人物設定や、信長からサルと呼ばれている点は通説どおり。後に羽柴秀吉と改名する。

明智 光秀 (あけち みつひで)

織田信長の家臣で、時の将軍足利義昭との折衝役。穏やかな初老の男で、森可成亡き後のケンの良き相談相手となる。史実では本能寺の変で信長に反旗を翻した人物であり、ケンもそのことは危惧しているが、現状では信長を政治的側面からよく助ける優れた武将の立場を崩していない。

浅井 長政 (あざい ながまさ)

北近江を治めていた実在の戦国大名。お市を娶り、織田信長と姻戚関係を結ぶ。当初は信長に心酔していたが、やがてその斬新な考えについていけなくなり、主家にあたる朝倉と織田が対立した際、朝倉方につく。数度の戦を経て落城を迎えた際、妻のお市と娘たちを織田に逃がす。 最期にケンから「茶々、初、江の三姉妹が新たな平和の世の礎を築く」と聞かされ、希望を抱いて死に臨む。

お市 (おいち)

織田信長の同腹妹と言われる実在の人物。近江の浅井長政に嫁ぎ、茶々、初、江の三姉妹を儲ける。兄と夫が敵対する中でもぶれることなく自らの出来ることを探してきた総明な女性。信長によって婚家の長浜城が攻め落とされる際は長政との最期を選ぼうとするが、当の長政に説得され、娘たちと共に生家の織田家へ戻る。

顕如 (けんにょ)

一向宗の総本山である石山本願寺の門跡で、実在した僧侶。タイムスリップしてきた平成のパティシエールであるようこを手元に置き、彼女の作る洋菓子と日本史の知識を巧みに利用する。ようことケンの関係を察し、頭の回転の速いケンが織田信長につくことの危険性を危惧している。

書誌情報

信長のシェフ 全36巻 芳文社〈芳文社コミックス〉

第1巻

(2011-08-09発行、 978-4832232617)

第32巻

(2022-07-14発行、 978-4832239289)

第33巻

(2022-11-16発行、 978-4832239524)

第34巻

(2023-03-16発行、 978-4832239753)

第35巻

(2023-07-13発行、 978-4832203099)

第36巻

(2023-12-14発行、 978-4832203495)

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