國崎出雲の事情

國崎出雲の事情

四条河原高校に通う歌舞伎一家の國崎屋の跡取り息子、國崎出雲は8年ぶりに女形として舞台に戻り、演目を通して曲者揃いの若手俳優達と友情と愛情を深めながら役者としても成長していく。女装絡みの事件を中心に据えつつ、本当の「男らしさ」とはなにか、そして俳優仲間の栂敷紗英との同性愛を描いた学園ラブ・コメディ漫画。ひらかわあやの週刊連載デビュー作品。

正式名称
國崎出雲の事情
ふりがな
くにさきいずものじじょう
作者
ジャンル
BL
 
ラブコメ
 
歌舞伎・能・狂言
 
同性愛
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概要・あらすじ

歌舞伎の名家に生まれた國崎出雲は幼少期より天才女形として活躍していたが、日に日に可愛くなる息子を危ない目で見る父の國崎八雲に危機感を感じた母の國崎美月と、女装させられ父の玩具になっていたのではという彼自身の疑念により、歌舞伎の世界を離れることになる。しかし高校生になったある日、突然の世界一周旅行に出た母に置き去りにされた出雲はやむ無く実家の父を頼り、彼の離脱以降没落していた國崎屋を救うため、女形として8年ぶりに歌舞伎の舞台に復帰することになる。

「男の中の男を目指す」という目標を掲げながら、事あるごとに女装する羽目になってしまう出雲だが、幼い見た目のために子役から脱却出来ない源玄衛、跡継ぎ問題に揺れる悪童の兄である菅原梅樹と優秀な弟の菅原松樹、そして歌舞伎界のプリンスとしてちやほやされていたため傲慢になった栂敷紗英といった一癖も二癖もある若手俳優達と、舞台の上と外でぶつかり合いながら友情を深め、役者としても成長していく。

特に唯一出雲のことを「男装した女の子」と誤解し、献身的に彼のことを守ろうとする紗英に対しては次第に恋心が目覚め、その想いと、自分が本当は男だという真実を告げるべきかで苦悩しはじめる。

登場人物・キャラクター

國崎 出雲 (くにさき いずも)

歌舞伎の名家、國崎屋の17代目にあたる跡取り息子。まるで美少女の様な見た目の持ち主だが、正真正銘の男。幼い頃から父の國崎八雲の手によって天才女形として舞台に立たされていたが、ある日幼馴染の仲村柚葉の一言で自分が女形をやらされていると気付き、そのことに危機感を感じた母の國崎美月と共に國崎屋を離れる。 しかし高校生になったある日、突然の世界一周旅行に出かけた母に置き去りにされた出雲は8年ぶりに父のもとを訪れ、出雲の離脱以降没落していた國崎屋を救うために四条河原高校芸能科の1年生として転校し、梨園に復帰することになる。性格は非常に直情的で喧嘩っ早いが、正義感が強く仲間思い。 自分のルックスに対するコンプレックスからか男の中の男になることを望んでいるが、反対にそのルックスのせいでやたらと女装をさせられたり、同姓からアプローチを受けることが多いのが悩み。しかし、積極的にアプローチしてくる栂敷紗英に対しては、特別な感情を覚え始める。

栂敷 紗英 (とがしき さえ)

四条河原高校芸能科の2年生で、歌舞伎界の御曹司として君臨する、非常に傲慢な性格の持ち主。基本的に自分のことを特別な存在だと思っており、同じ高校に通う普通科の生徒を見下し、そのことで國崎出雲と対立。しかし、「鳴神」の公演で出雲と競演した際に自分の愚かさを知り改心する。しかし、出雲のことを「普段は男装している女の子」だと思い込み本気で恋してしまう。 その後、出雲から自分は本物の男だと告げられるが、恋する気持ちは変わらなかった。

源 玄衛 (みなもと くろえ)

國崎出雲と同じく四条河原高校芸能科の1年生で、まるで少年のような見た目の歌舞伎役者。歌舞伎一家の源屋の一人息子で、そのルックスを生かして子役を演じ続けてきたが、成長期を迎えたことで子役を演じられなくなり、両親から芸能界へ入る事を勧められる。しかし出雲と競演したことで芸能界入りを断る決心をし、自分の意思で歌舞伎を続けることになる。 小悪魔的な腹黒い性格で、慕っている出雲に対してでも構わずイタズラを仕掛ける。

菅原 梅樹 (すがわら うめき)

四条河原高校芸能科の2年生で、現在もっとも有力な歌舞伎一家、菅原屋の長男。非常に粗野粗暴であり、國崎出雲以上に喧嘩っ早い。弟の菅原松樹と仲が悪く、菅原屋の長男として傍若無人な態度を取ってきたかのように思われていた。しかし、実はそれは松樹の努力を認めさせ家を継がせるためにわざと振る舞ってきたことであり、「籠釣瓶花街酔醒」で出雲、松樹と競演した際にその事を明かす。 顔に似合わず大の猫好きで、猫カフェによく入り浸っている。

菅原 松樹 (すがわら まつき)

四条河原高校普通科の1年生で、現在もっとも有力な歌舞伎一家、菅原屋の次男。勤勉で努力家であり、学業も非常に優秀で、兄の菅原梅樹同様に身体能力も高い文武両道の青年。当初は梅樹との仲は険悪だったが、「籠釣瓶花街酔醒」で國崎出雲、梅樹と競演した際に誤解が解け、以降は「バカ兄貴」呼ばわりしながらも、梅樹と行動を共にすることが多くなった。 出雲のバイト先であるメイド喫茶の常連であり、そのせいか出雲のことを「メイド」と呼ぶ。

皇加 賀斗 (すめらぎ かがと)

國崎出雲の兄弟子であり、8年前に國崎屋を去った出雲と入れ替わりで國崎屋の養子として入門した。國崎屋に戻ってきた出雲が男たちに絡まれているところを助け、結果として出雲が梨園に復帰するきっかけを作る。女形として人気の歌舞伎役者で、出雲とは違い「女形の練習」として普段から女装をしている。 あまり体が強くなく、無理をすると倒れてしまう。

國崎 八雲 (くにさき やくも)

歌舞伎の名家、國崎屋の16代目であり、國崎出雲の父親。病的なまでに息子の出雲を愛しており、出雲の女装姿の可愛らしさに興奮し鼻血を噴き出すほどの危険人物。そのせいで一門の役者からも呆れられており、8年前には妻子と別居することになってしまった。過去の怪我のせいか長時間舞台に立つことができず、周囲にはそのことを隠している。

仲村 柚葉 (なかむら ゆずは)

四条河原高校の1年生で、歌舞伎一家の仲村屋の一人娘。國崎出雲とは幼少期からの幼馴染で、8年前のパーティ会場で何気なく尋ねた一言によって出雲の歌舞伎嫌いのきっかけを作ってしまう。皇加賀斗のファンであり、彼の女形としての舞台を見に来た際に、入れ替わりで出演した出雲と8年ぶりに再会する。 幼少期からの名残で、出雲のことを「いっくん」と呼ぶ。

志賀 累 (しがるい)

歌舞伎の名家、國崎屋の役者で、中学校の演劇鑑賞会で國崎屋の演目を鑑賞した際に國崎出雲の演技に魅せられ、國崎屋へ入門してくる。そのためか、出雲のことを「師匠」と呼ぶ。女装の技術が非常に高く、出雲たちも当初は女性だと思い込んでいた。可愛らしい外見とは裏腹に、たまに男性声に戻り腹黒いコメントをする。

集団・組織

國崎屋 (くにさきや)

『國崎出雲の事情』に登場する歌舞伎の名家。16代目である國崎八雲を筆頭に、17代目の國崎出雲、人気女形の皇加賀斗、新人の志賀累、古株の夏希、冬政、春一、秋彦といった役者で構成されている。元々は菅原屋などと肩を並べる有名歌舞伎一家であったが、出雲が去っていた8年の間に没落してしまい、ほかの歌舞伎一家から見下されることも多い。

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