ドメスティックな彼女

ドメスティックな彼女

父親の再婚により、ある日突然、片思いの相手が義姉に、初体験の相手が義妹となった男子高校生。お互いに複雑な感情を抱いたまま家族となった三人が織り成す青春ラブストーリー。講談社「週刊少年マガジン」2014年第21・22合併号から2020年28号まで連載の作品。2019年1月テレビアニメ化。

正式名称
ドメスティックな彼女
ふりがな
どめすてぃっくなかのじょ
作者
ジャンル
恋愛
レーベル
プレミアムKC(講談社) / 講談社コミックス(講談社)
関連商品
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あらすじ

第1巻

高校2年生の藤井夏生は、自分の高校の教師である橘陽菜に、密かに思いを寄せている。しかし、叶わぬ思いと理解している夏生は、ある日、陽菜への思いを断ち切るため、合コンへ行く事にする。そこで夏生は不愛想な少女の橘瑠衣と親しくなるが、瑠衣は突如、夏生に恋愛経験を積みたいので、自分とセックスしてほしいと言い出す。思わず応じてしまう夏生だったが、瑠衣と関係を持っても陽菜を忘れる事はできず、悩むのだった。しかしその直後、とんでもない事件が起こる。夏生の父親が再婚を考えており、その相手の橘都樹子は、なんと陽菜と瑠衣の母親だったのである。突如義理の兄弟になるかもしれないと知らされ、戸惑う夏生、陽菜、瑠衣であったが、それでも三人は再婚を認め、新しい家族として打ち解けようする。だが、そんなある日、夏生は友人のフミヤから、陽菜が見知らぬ男性と不倫しているらしいという話を聞き、さらにその現場を目撃してしまう。陽菜を案じた夏生は、家に戻るとたまらず陽菜に真相を尋ね、キスをする。しかしそこで、突如陽菜に押し倒されてしまうのだった。

第2巻

藤井夏生は、橘陽菜に不倫をやめるよう説得したものの失敗し、そのうえ子供扱いされてしまう。深く傷つき、このまま陽菜と生活はできないと感じた夏生は、一時的に家を離れ、しばらくフミヤの家に泊めてもらう事にする。さらにそこへ、夏生と同じように考える橘瑠衣までもがやって来る。相談した結果、三人は陽菜に不倫をやめさせるための作戦を立て、ある日、とうとうフミヤのアルバイト先である喫茶&Bar「ラマン」に、陽菜とその不倫相手である萩原柊が来店する。そして夏生、瑠衣、陽菜、柊の四人は店内で話し合う事になるが、柊のいい加減な態度に腹を立てた瑠衣は、途中で店を出て行ってしまう。これにより話し合いは失敗に終わるが、自分の行いで夏生と瑠衣を苦しませたと痛感した陽菜は、柊との関係を終わりにするのであった。こうして陽菜の不倫問題はひとまず解決し、夏生はある日、陽菜からこれまでのお詫びとしてデートに誘われる。そこでとうとう陽菜に告白する夏生であったが、ふられてしまい、二人は改めて義姉弟として生きていく事を決意する。

第3巻

橘陽菜の不倫問題が解決して以来、橘瑠衣は、クラスメートの柏原ももと親しくなっていた。やがて瑠衣を通じて藤井夏生とももは出会うが、ももには異性関係にだらしないという、悪い噂が流れていた。ある日、ももの自宅に招かれた夏生は、勢いでももと関係を持ちそうになる。しかし、ももの手首にリストカットの痕を発見した夏生は、ももが強い孤独を感じているために恋愛に依存し、自分を誘った事を察する。夏生はそんなももと、友人として付き合っていく事を決意し、誘いを断って代わりに楽しくいっしょに過ごすのであった。その直後、夏生は文芸部顧問の桐谷怜士に弱みを握られてしまい、強制入部させられてしまう。そこにちょうど部活動に入りたいと考えていた瑠衣と、夏生について来たももも現れ、三人は揃って文芸部に入部する。そして三人は、文芸部の唯一の部員である葦原美雨と親しくなり、期末テストが終わったのを機に、文芸部は親睦会を兼ねたキャンプ合宿へ行く事になる。さらに陽菜と葦原美夜も参加する事になり、夏生は喜ぶが、キャンプ初日の夜、陽菜は怜士の口から、萩原柊がついに離婚する事を知らされてしまう。

第4巻

橘陽菜は、萩原柊の友人である桐谷怜士から、柊がついに離婚すると聞いて、動揺していた。それを盗み聞きしてしまった藤井夏生も悩み、陽菜に今後どうするのかを尋ねられないまま、キャンプ合宿は終了してしまう。それからしばらくして、夏生は夏休み中の高校で、2学期から編入予定の松川・J・アレックスと出会う。夏生とアレックスは、その直後に現れた下着泥棒をいっしょに捕まえた事で親しくなるが、アレックスは、なんと夏生を迎えにやって来た橘瑠衣に一目惚れし、夏生に瑠衣を紹介してほしいと言い出すのだった。夏生は渋々承諾するが、瑠衣は、先日自分は夏生の事を好きになり始めていると伝えたにもかかわらず、アレックスに紹介しようとするのはいかがなものかと激怒する。夏生は瑠衣をなだめるために瑠衣とキスするが、その場をなんと陽菜に目撃されてしまう。これ以上三人でいっしょに暮らすのは限界と感じた陽菜は家を出る決意をするが、夏祭りで夏生とじっくり話し合った事で、とうとう自分の思いを自覚し、夏生と交際を始めるのだった。

第5巻

橘陽菜とついに交際を始めた藤井夏生は、陽菜から新居の合鍵を受け取り、周囲には秘密で会うようになっていた。そして2学期が始まり、松川・J・アレックスも文芸部に加わった事で、夏生の周囲はより一層にぎやかになる。しかしその直後、高校に、桐谷怜士が生徒と淫行したという怪文書が送られてくる。怜士本人は平然としているものの、夏生は怜士と葦原美雨が交際しているのではと疑うようになり、陽菜は夏生と自分の関係が高校に知られた場合、自分達はどうなってしまうのかと強い不安を感じるようになる。犯人は不明なまま文化祭が始まり、初日は無事に終了したものの、2日目の朝に怜士は再び嫌がらせに遭い、今度は文芸部部室が荒らされてしまう。しかし柏原ももの機転により、犯人は怜士の元教え子である楠本沙希である事が発覚。沙希は以前怜士に思いを寄せていたが、ふられてしまった事で逆恨みし、犯行に及んだのだという。そこに追いついた怜士が沙希を叱った事でひとまず事件は解決するが、その直後、夏生は美雨に押されたのがきっかけで階段から落ち、大ケガをしてしまう。夏生を案じた橘瑠衣は献身的に夏生の世話をするが、それがきっかけで、瑠衣はある日、夏生と陽菜の関係を知ってしまう。

第6巻

藤井夏生橘陽菜の関係を知った橘瑠衣は、夏生への思いを断ち切るため、夏生に、これから夏生の事を嫌いになると宣言した。さらに瑠衣は、自分に好意を持っている松川・J・アレックスに、まだ交際していないにもかかわらず、キスをしてみようと誘う。結局キスは未遂に終わるが、瑠衣の独特の恋愛観を知る夏生はアレックスを案じ、修学旅行の夜に、安易な行動は自分も周囲も傷つけると瑠衣を叱る。これによって瑠衣は反省したものの、二人の会話を盗み聞きしていたアレックスは、夏生と瑠衣には肉体関係があり、自分にはそれをずっと隠していた事に深いショックを受ける。やけになったアレックスはアルコールの入った食べ物を食べて泥酔し、勢いで瑠衣を襲うが、夏生によって阻止される。そしてじっくり話す機会を得た三人は、謝罪しあい、絆を深めるのであった。一方その頃、陽菜は桐谷怜士の文化祭での一件や、瑠衣に夏生との関係を知られてしまった事から、夏生との別れを決意していた。しかし何も知らない夏生はプレゼントに指輪を買い、陽菜に呼び出された際に、改めて思いを伝える。陽菜は感激し、別れを取り下げて二人は結ばれる。しかし、二人がこっそり会っている光景は、なんと修学旅行のスナップ写真に写ってしまっていた。

第7巻

以前桐谷怜士の勧めで、文芸部部員全員が応募した文学賞の結果発表が行われた。しかし、賞を受賞したのは藤井夏生の作品ではなく、橘瑠衣の作品であった。ショックを受けた夏生は、小説家として本気で活動するため、怜士に弟子入りを決意。週に一本短編小説を書き上げ、怜士に添削してもらう事になる。そんな夏生を橘陽菜も応援するが、陽菜は母親の橘都樹子に、夏生とは義兄弟なのだから、どんなに仲がよくても恋人関係にはならないようにと釘を刺された事で、再び悩んでいた。陽菜に元気がない事に気づいた夏生は陽菜を一泊旅行に誘い、二人はまた関係を深める。しかしその直後、修学旅行の写真を整理していた教師により、夏生と陽菜がキスしている写真が見つかってしまう。責任を感じた陽菜は、夏生と陽菜の関係を表沙汰にしない代わりに、2学期をもって赤森高校を去る事を決意。夏生にいっさい何も告げずに、姿を消してしまう。

第8巻

橘陽菜が一通の手紙を残して姿を消してしまい、藤井夏生橘瑠衣は深いショックを受けていた。しかし、フミヤの言葉により気力を取り戻した夏生は、前に進むために長編小説「じゃあ、また。」の執筆を始め、完成させる。その内容は桐谷怜士にも認められ、3学期が始まったある日、夏生は突如怜士から新虹社(しんこうしゃ)の編集者、蔦谷総一郎を紹介される。なんでも怜士が夏生の作品をこっそり「新虹社 文藝大賞」に応募しており、それがアマチュア部門大賞を受賞した事で、総一郎が担当編集者として夏生につく事になったのである。こうして小説家としてついに結果を出した夏生は、自分を支えてくれた瑠衣との関係を再び深めながら、高校3年生に進級する。文芸部にも新入部員が訪れ、夏生の活動は順調に思えたが、ある日、文芸部への入部を考えている新1年生の芝崎昴に夏生と瑠衣の会話を盗み聞きされた事で、夏生と陽菜の関係がばれてしまう。

第9巻

藤井夏生は、芝崎昴から、夏生と橘陽菜の関係を周囲にばらされたくなければ、自分と小説で勝負してほしいと言われてしまう。話を聞いていた桐谷怜士の提案により、二人は無記名で書いた小説を文芸部員達に読ませ、よりよい作品に投票してもらうという形で競う事になる。結果は夏生の圧勝であったが、昴の小説に対する強い熱意を感じた夏生は、自分に負けた罰として、昴に文芸部に入部する事を命じるのだった。一方その頃、陽菜は赴任先の伊豆大島で、萩原柊と再会していた。陽菜の突然の移動により事態を察した柊は、陽菜を案じ、ずっと探していたのだという。しかし陽菜は、柊の力になりたいという申し出を断る。これにより、柊は陽菜が今も夏生を思っていると気づき、夏生に陽菜をあきらめさせるため、陽菜はもう夏生に未練はないらしいと噓をつく。ショックを受けた夏生は小説に打ち込もうとするが、蔦谷総一郎からはなかなかいい評価を得られず、悩む。そんな夏生を橘瑠衣は献身的に支え、それが功を奏して小説の評価も上がってきたある日、二人はまたキスをするのであった。

第10巻

藤井夏生は、橘瑠衣とキスをした日から、自分が瑠衣に惹かれ始めている事を自覚していた。そんなある日、瑠衣はずっと音信不通だった実の父親、幹本丈と再会する。イタリアンレストラン「テンポ・フェリーチェ」を経営している丈は、今度、瑠衣達の家の近所に2号店を構える事になったため、こちらへやって来たのだという。丈と話した事により、自分のやりたい事は進学ではなく、料理人になる事であると気づいた瑠衣は、丈への弟子入りを決意するが、それを聞いた橘都樹子は大反対し、瑠衣は家を飛び出してしまう。その後、瑠衣は義理の父親である藤井昭人と相談し、都樹子を説得するには、自分の熱意を感じてもらうしかないと考え、都樹子と昭人を「テンポ・フェリーチェ」に招待し、自分の料理を食べてもらう事にする。ディナーは成功し、また都樹子は丈と、丈の義理の娘である幹本響から、丈が響の母親と不倫して都樹子の事を去ったというのは誤解であり、丈は経営不振によりできた借金を都樹子達に隠し、自力で返済するために離れたという、離婚の真相を知らされる。これによって丈と都樹子のわだかまりも解け、瑠衣は「テンポ・フェリーチェ」で正式に修行する事となるのだった。そして夏休みが近づき、文芸部は、今年の合宿先を伊豆大島に定める。しかしそこは、陽菜の現在の赴任先であった。合宿中、偶然陽菜を目撃した夏生は、いてもたってもいられず、引き留める瑠衣を置いて陽菜を追う。そして陽菜の現在の教え子、柿崎から陽菜の現在の住所を聞いた夏生は、ついに陽菜と再会する。

第11巻

藤井夏生は、伊豆大島でついに橘陽菜と再会した。しかし陽菜には、もう夏生と交際する意思はないと冷たくあしらわれてしまう。一方その頃、橘瑠衣は、夏生が自分よりも陽菜を優先して去って行った事に深く傷つき、夏生の事はもうあきらめ、自身を案じて迎えに来た松川・J・アレックスとの交際を考えるようになる。こうして合宿は終わるが、夏生が陽菜宅に携帯電話を忘れた事で、夏生と陽菜は帰る直前にもう一度会う事になる。しかし、陽菜との恋を完全に終わりにしようと考えた夏生は、そこで以前陽菜から送られた指輪を返却するのであった。そして夏生達は東京に戻るが、夏生は蔦谷総一郎の勧めで、作家の胡桃沢のもとへ、息抜きと勉強を兼ねてアルバイトをする事になる。そこで胡桃沢から、作家としての視野が狭いと指摘された夏生は、胡桃沢の知人であるキャバクラ嬢の梅田百合に取材する事を思いつく。百合と話すうち、百合がかつての夢である女優と、地元で暮らすかつての恋人、仲林基樹にまだ未練があると感じた夏生は、百合と、そこに偶然現れた菊池悦夫と三人で、百合の地元である秋田へ向かう。しかし、基樹はすでに病気で亡くなっていた。基樹の母親から、基樹が死の直前まで百合を思い、百合の女優になる夢を応援していたと知った百合は、もう一度夢と向き合う決意をし、自分の生きざまをぜひ小説にしてほしいと、夏生に頼むのだった。

第12巻

法事により藤井昭人橘都樹子が数日家を離れる事になり、その間に藤井夏生橘瑠衣は二人っきりで過ごす事になってしまう。さらに初日は、嵐で怯えた瑠衣が夜、夏生の部屋を訪れ、二人は勢いでセックスを始めそうになる。しかし、風で窓ガラスが割れた事で未遂に終わり、翌朝からは二人を心配した松川・J・アレックスがやって来た事で、夏生達は三人でいっしょに過ごす事になる。その夜、アレックスから瑠衣と二人にしてほしいと頼まれた夏生は承諾するが、瑠衣は夏生の、自分と交際したいのかまるでわからない、どっちつかずの態度に激怒。夏生と瑠衣は気まずいまま文化祭準備が始まってしまう。そして文化祭当日となり、アレックスは瑠衣に、柏原ももは夏生に、桜坂律はももに、葦原美雨桐谷怜士への告白を決意していた。文化祭2日目の夜、アレックスが瑠衣に告白している最中、なんと全裸のももから本気の告白を受けた夏生は一瞬揺れるが、すぐさま自分が思っているのは瑠衣であると己を律し、瑠衣のもとへ走る。

第13巻

文化祭2日目の夜、ついに橘瑠衣と再会した藤井夏生は、とうとう瑠衣に告白する。瑠衣もまた松川・J・アレックスからの告白を断った事を話し、二人は両思いになる。ふられてしまったアレックスと柏原ももは落胆するが、たとえ恋が実らなくても、夏生と瑠衣と疎遠になるのは悲しいと考え、改めて友人として付き合っていく決意をする。そして冬が近づくが、ある日、あまりにも成績が悪い事を指摘された夏生は、急きょ予備校に通う事になる。そこで夏生は、忘れ物を貸してくれた椿姫愛里栖と親しくなりたいと考え声をかけるが、愛里栖の辛辣で攻撃的な態度に驚く。なんでも、愛里栖は容姿に強いコンプレックスがあり、自分のような容姿の女性と仲良くなりたいという男性は信頼できないし、そもそも男性全般が嫌いでたまらないのだという。夏生は愛里栖の言い分に腹を立てつつも、愛里栖の気持ちも理解できたため、その後も声を掛け続け、成績を競い合ううちに親しくなっていく。やがて愛里栖のコンプレックスの根底には、子供の頃の友人、源太の存在があると知った夏生は、愛里栖の頼みで源太に会いに行く。源太と愛里栖はしっかり話し合う事に成功し、愛里栖は夏生のお陰で新しい一歩を踏み出すのだった。

第14巻

クリスマス。藤井夏生橘瑠衣は、藤井昭人橘都樹子に内緒で東北旅行へ行く事になった。途中宿泊トラブルに見舞われた二人は、吹雪で危機に陥るが、「民宿 棟方」の経営者に助けられ、急きょそちらへ泊まる事になる。宿泊中、二人は些細な行き違いから険悪になるが、最終的には仲直り。夏生はクリスマスプレゼントとして、瑠衣にペアウォッチをプレゼントするのだった。そして帰宅後、瑠衣はしばらくイタリアに料理の修行旅行へ行く事になるが、そこに入れ替わりで戻って来たのは、なんと橘陽菜であった。夏生と陽菜は気まずいなりに平穏な時間を過ごすが、夏生は瑠衣に陽菜が戻って来た事を連絡できず、悩む。さらに年が明けたある夜、夏生は、陽菜が都樹子に、教員として働いていくのがつらくなったので、今年度いっぱいで伊豆大島の高校を退職し、この家に戻りたいと相談しているのを聞いてしまう。夏生は、陽菜の人生を狂わせたのは自分であり、自分と交際さえしなければ、陽菜がこんなに悩む事もなかっただろうと苦しむ。しかし、椿姫愛里栖のアドバイスにより、陽菜には心から謝罪し、瑠衣には陽菜が戻って来たが、今自分が愛しているのは瑠衣であるときちんと説明するのだった。そしてセンター試験を終えた夏生は、高校を卒業したら家を出て、一人暮らしを始めたいと家族に伝える。

第15巻

茗治大学文学部に合格した藤井夏生は、合格発表の日、木梨まおと名乗る商学部の女性から、夏生の入学後、自分達は再び出会うだろうと予言をされる。それからすぐに卒業式が訪れ、桜坂律柏原ももに告白。二人はついに交際を始める。一方、葦原美雨は最後まで桐谷怜士に思いを伝える事はなかった。しかし、出版社の編集者になりたいという美雨の夢を知る怜士は、美雨が将来その夢を叶えたら、今度は作家と編集者としていっしょに仕事しようと言い、美雨はその優しさに涙するのだった。そして新居に引っ越した夏生は、同じアパートに住む葉月かすみと、桑名と出会う。さらに入学直後、予言通りまおと再会した夏生は、まおが演劇サークル「フォレスター」に所属しており、すでに小説家として実績のある夏生を、サークルの新脚本家として迎えたいと思っている事を知る。文芸サークルに入ろうと考えていた夏生は一度は断るが、最終的には演劇という未知の世界に惹かれ、入会を決意する。一方その頃、陽菜は転職活動に成功し、ホテルのフロントとして働く事になる。ある日、偶然出会った夏生と陽菜は、夏生の新居と陽菜の新しい職場が近所である事に驚くが、夏生はすでに別れている以上、特に問題はないだろうと考える。しかし夏生の家に橘瑠衣が泊まりに来た夜、突如陽菜が遊びにやって来る。泥酔した陽菜は今でも夏生を思っていると告げると、そのまま夏生にキスをする。

第16巻

橘陽菜の思いを知った藤井夏生橘瑠衣は戸惑い、瑠衣は宿泊を中止して、柏原もものもとへ向かってしまう。翌日、ももから瑠衣が悩んでいると聞かされた夏生は、その足で瑠衣の就職先である「テンポ・フェリーチェ」へ向かうが、なぜか瑠衣には会ってもらえず、拒まれてしまう。仕方なく夏生は「フォレスター」から頼まれている脚本の執筆作業を抱えながら、翌日以降も会いに行くが、ある日、ようやく顔を出した瑠衣の目の前で倒れてしまう。これにより瑠衣は、夏生が多忙なうえ、体調まで崩しながら毎日会いに来てくれていた事を知り、深く反省。二人は仲直りするのだった。そして無事に脚本も完成し、夏生達「フォレスター」の面々は、新人公演の稽古のため、合宿に行く事になる。しかし夏生は、主演女優の芹沢雅から、夏生は脚本家であるにもかかわらず、自作の解釈についてあいまいな点が多く、意欲に欠けると指摘されてしまう。反省した夏生は、自分の思いを示すために再度演出を練り始め、その熱意にほかの役者達も協力にやって来る。これによって一度は主演を降りたいと言った雅も考えを改め、合宿は成功に終わるのだった。

第17巻

橘陽菜が戻って来た事により、藤井昭人橘都樹子が、藤井夏生橘瑠衣も交えた家族旅行を企画してしまう。先日瑠衣は陽菜に、夏生と交際を始めたと告げたばかりであったため、三人は気まずい思いをするが、その夜、陽菜は夏生からのプレゼントを紛失し、雨の中を探しに出てしまう。すぐさま夏生は陽菜を迎えに行くが、プレゼントは無事回収したものの、夏生がその途中でケガをし、夏生と陽菜は山小屋で一夜を過ごす事になってしまう。しかし二人は何とか何事もなく過ごし、待っているあいだ、少しでも陽菜を疑ってしまった瑠衣は深く反省する。そして瑠衣は陽菜を「フォレスター」の新人公演に誘い、二人は楽しく過ごすが、根底に陽菜に対するコンプレックスをぬぐい切れない瑠衣は、ある日仕事中、不注意から左手に20針以上縫う大ケガをしてしまうのだった。一方その頃、芹沢雅は新人公演の成功を機に、夏生に思いを寄せるようになっていた。夏生と、脚本家と女優としてでもいい関係を築きたいと考える雅は、「フォレスター」の次回作でいい役を得られるよう努力し始める。しかし葛岡寧々には、恋愛経験に乏しい雅には、次回作の主演は難しいだろうと陰口を叩かれ、悩む。そこに雅の大親友である草薙優香が現れ、ラブシーンの練習として、自分とキスしてみないかと誘うのだった。

第18巻

芹沢雅は、ラブシーンの練習のために、友人の草薙優香とキスしているところを藤井夏生に目撃されてしまう。夏生はすぐに状況を理解するが、ショックで雅は逃げ出してしまい、さらに優香は、夏生に衝撃の事実を告げる。優香は同性である雅に長らく思いを寄せており、練習と称してでも、雅に触れたかったのだと。翌日から優香は大学に来なくなり、さらにサークルをやめると言い出す。優香を案じた夏生と雅は、先輩である楢龍一檜山悠二に相談。その直後、優香の母親から、優香が軽井沢の別荘にいると知った夏生達は、悠二の強い勧めで、四人ですぐさま現地に向かう。結局優香は一人で頭を冷やしていただけで、雅とも無事に仲直りするが、悠二には、雅に早く会いに行くべきだと勧めた理由があった。悠二には以前親しくしていた同性の友人がいたが、ある日彼に告白され、返事に困って保留にし続けていたところ、彼が自殺してしまったのである。夏生は雅と優香が、悠二とその友人のようにならなかった事に安堵しつつ、周囲の人々が織り成す真摯な人間模様に感激する。そして、自分が書きたいのは人間の心の機微なのだと実感するのであった。一方その頃、橘陽菜は、母親から紹介された男性、 種部健吾の熱烈なアプローチに困惑していた。健吾は一見好青年だが強引で、陽菜の意思を無視するような行動が目立つのである。健吾と関係を続けていくのは難しいと判断した陽菜は、結婚を前提に交際したいという健吾の誘いを断り、別れを告げる。しかし、健吾はそれを気にも留めず、その日から次第に本性を現していく。

テレビアニメ

2019年テレビアニメ化。1月11日からMBS、TBSほかにて放送。アニメーション制作はディオメディア。主人公の藤井夏生を八代拓、橘瑠衣を内田真礼、橘陽菜を日笠陽子が演じる。

登場人物・キャラクター

藤井 夏生 (ふじい なつお)

赤森高校2年4組に所属する男子。高校卒業後は、茗治(めいじ)大学文学部に進学する。前髪を目が隠れそうなほど伸ばした、焦げ茶色の、癖のあるふんわりとしたショートカットヘアにしている。周囲からは「ナツオ」と呼ばれているが、葦原晴真には「ナツオ氏」、松川・J・アレックスには「なっちゃん」、木梨まおからは「なーくん」と呼ばれている。 小説を書くのが趣味で、将来は小説家を目指している。まじめで心優しい性格だが、やや流されやすいところがある。一方で、小説の執筆など、一度夢中になると没頭しすぎてしまう一面もあり、周囲を心配させる事も多い。10年前に母親を亡くし、父親の藤井昭人と団地暮らししている。高校1年生のある日、屋上で小説を書いていたところに、橘陽菜が現れ、何度も屋上で会ううちに、陽菜に思いを寄せるようになる。 しかし、恋人のいる陽菜と交際するのは困難であると察しており、陽菜への思いを断ち切りたいと考えていた。そのため、ある日合コンで知り合った橘瑠衣と、瑠衣の頼みで関係を持ってしまい、瑠衣が初体験の相手となる。しかしその後、実は瑠衣は陽菜の妹であり、さらにお互いの親が恋人同士で、再婚を考えていた事が発覚。 驚きつつも再婚を認めた事で陽菜、瑠衣と義理の兄弟となる。それ以来、陽菜と瑠衣とのあいだで揺れ動く事になっていく。高校2年生の夏に陽菜と交際を始めるが、二人の関係が表沙汰になる事を避けるために陽菜が失踪し、そのまま別れる事になってしまう。その後瑠衣に支えられ、高校3年生の文化祭から瑠衣と交際を始める。 高校2年生の冬、小説「じゃあ、また。」で第77回「新虹社 文藝大賞」を受賞した事により、プロデビューを果たす。中学時代までは眼鏡をかけており、目立たない存在だった。しかし、今のままでは高校に進学した際に、周囲から軽く見られてしまうのではと案じたフミヤが、ファッションにおいて大改造を行った結果、現在の容姿になった。 髪の毛は非常に癖のある天然パーマで、きちんとセットしないと、爆発したような髪型になってしまう。好きな作家は村上春樹。得意料理は焼きうどん。

橘 瑠衣 (たちばな るい)

藤井夏生の義妹であり、橘陽菜の妹。もともとは桜川高校に通っていたが、母親の橘都樹子の再婚により赤森高校に転校し、2年2組に所属する事になる。高校卒業後は大学には進学せず、実の父親である幹本丈の店「テンポ・フェリーチェ」で働く事になる。前髪を右寄りの位置で斜めに分けて目の上で切った、黒のショートカットヘアにしている。周囲からは「ルイ」と呼ばれているが、小林昌樹と柏原ももからは「ルイルイ」と呼ばれている。また、都樹子の再婚後も苗字は変えておらず「橘」姓のままにしている。クールで表情に乏しく、人付き合いが苦手。さらに、歯に衣着せぬきつい言動をするため、周囲からは浮いてしまっている。しかし本人に悪気はなく、実際は友人を作りたいと思っている。また、天然気味でトボけた一面もある。高校2年生のある日、姉の陽菜が見知らぬ男性と不倫をしている事を知ってしまう。そのため陽菜を説得し、二人を別れさせようとするが、陽菜からは恋愛経験のない橘瑠衣には、自分の気持ちはわからないと言われ、説得に失敗してしまう。そこで、どうすれば陽菜と対等に話せるかと考えた結果、自分も恋愛経験を積む事を思いつき、合コンで出会ったばかりの夏生に、自分とセックスしてほしいと頼む。そしてお互い初体験の相手になるが、夏生に対して恋愛感情を持っているわけではなかったため、夏生とはそれきりであると考えていた。しかし、都樹子の再婚により夏生と義兄弟になってしまい、以前関係を持った事があるのは周囲に隠しながら、兄と妹として付き合っていく事になる。そのため、夏生と同居が始まった当初は夏生に対して特に何とも思っていなかったが、いっしょに生活するうち、次第に夏生に惹かれていくようになる。しかし、恋人のいる男性や、特に好意を持っていない男性ともキスをしたり、いっしょに寝ようとしたりするなど、精神的なかかわりより先に肉体的な触れ合いを求めるという、恋愛に対して一風変わった考えを持っている。結果として、無自覚に夏生と、友人である松川・J・アレックスを振り回していく。特技は料理。クールな人柄に反し、パジャマが非常にかわいらしい。また、実は癖毛で、セットしないと夏生同様、爆発したような髪型になってしまう。音楽は自分の世代よりも上の世代が聞く音楽が好きで、好きなアーティストはさだまさしと中島みゆき。好きな作家は舞城王太郎。誕生日は9月5日。...

赤森高校に勤める女性教師。年齢は23歳。藤井夏生の義姉で、橘瑠衣の姉、橘都樹子の娘でもある。担当教科は英語。髪型は前髪を目の上で切り揃え、胸まで伸ばした黒のストレートロングヘア。スタイル抜群で、胸が大... 関連ページ:橘 陽菜

赤森高校2年2組に所属する女子。藤井夏生と橘瑠衣の友人。高校卒業後は大学に進学し、医学部に入る。周囲からは主に「モモ」と呼ばれている。前髪を右寄りの位置で斜めに分け、胸が隠れるほど伸ばしたロングウェー... 関連ページ:柏原 もも

葦原 美雨 (あしはら みう)

赤森高校に通う2年生の女子。藤井夏生の友人。高校卒業後は大学に進学する。葦原晴真と葦原美夜の姉でもある。髪型は、前髪を目の上で切り揃え、肩につくほどまで伸ばした姫カット。柏原ももからは「ミューちゃん」と呼ばれている。生まじめで控えめな性格の持ち主。文芸部の部長を務めており、高校2年生のある日、部活見学にやって来た夏生が、無断で文芸部部室にある蓮川要の本を持ち出そうとしたのがきっかけで、夏生と知り合う。 その後、夏生が桐谷怜士によって文芸部に入部する事になり、同時期に夏生につられる形で橘瑠衣とももも入部し、三人と親しくなっていく。小説家としては長く活動しているが、あまり振るわず、自分には才能がない事を自覚している。 さらに、よい小説作品を読んでも、作者を書き手としてライバル視するのではなく、読み手として感動する事の方が多かったため、やがて小説家ではなく編集者になろうと、将来の夢を変更する。色恋沙汰には疎く、恋愛経験に乏しい事について、密かにコンプレックスを感じている。そのため怜士にあこがれているものの、うまくアプローチできずにいた。 しかし、高校2年生の文化祭で楠本沙希が怜士に対して行った嫌がらせには激怒し、怜士に逆恨みする沙希に対して、毅然とした態度で反論した。最終的に怜士に思いを伝える事はなかったが、卒業式の日、作家でもある怜士と、将来作家と編集者として、いっしょに働こうと約束をした。

松川・J・アレックス (まつかわじぇいあれっくす)

赤森高校に2年生の2学期から編入して来た日系人の男子。藤井夏生の友人。生まれは日本だが、6歳の時にアメリカに渡り、高校2年生の1学期までを過ごした。そのため日本語は読めるが、難しい漢字は友人にルビを振ってもらって読んでいる。髪型は、前髪を上げて額を全開にし、肩につくほどまで伸ばした金色のセミロングヘア。 長身で、非常に体格がいい。周囲からは主に「アル」と呼ばれているが、柏原ももには「アルル」と呼ばれている。明るく行動的なお調子者で、夏生とは、夏休み中、赤森高校へ編入手続きに行った際に出会った。その直後、赤森高校近辺で発生している下着泥棒を夏生と共に捕まえるが、その後警察に行った際、夏生を迎えにやって来た橘瑠衣に一目ぼれしてしまう。 編入後はすぐに文芸部に入部し、瑠衣への思いを深めていくが、高校2年生の修学旅行で、夏生と瑠衣に実は肉体関係があり、自分にはそれを知らされていなかった事を知って深く傷つく。そのためやけになって瑠衣を襲うが、夏生によって阻止された。その後謝罪し、瑠衣に片思いする日々を続けるが、文化祭で告白し、ふられてしまったのを機にあきらめた。 美形だが女性にはモテず、それを密かにコンプレックスに感じている。また、お酒には極端に弱く、アルコールの入った調味料のかかった食べ物を食べるだけで酔っぱらってしまう。高校2年生の修学旅行だけでなく、子供の頃にもごく少量のアルコールで酔っぱらい、当時思いを寄せていた女子に嫌われてしまった苦い経験がある。 両親は離婚しており、その原因にはコミュニケーション不足があると考えている。そのため、自分の気持ちは素直に発信する事を心掛けている。父親は軍人であったため、応急処置などのサバイバルの知識は父親から授かった。

樺沢 史乃 (かばさわ ふみの)

赤森高校1年6組に所属する女子。藤井夏生達が高校3年生に入学して来たため、夏生達とは2学年下にあたる。前髪を目の上で切り、顎の高さまで伸ばした内巻きボブヘアをヘアピンでまとめ、眼鏡をかけている。柏原ももからは「フーミン」というあだ名を付けられた。物静かで心優しい性格の持ち主。夏生達とは、高校に入学してすぐ文芸部に見学に訪れ、入部した事で知り合った。 芝崎昴 とは小学校時代からの友人であったが、昴が私立中学に進学した事で、一度疎遠になっていた。しかし二人が中学2年生の頃に昴の父親の会社「芝崎製作所」が倒産し、昴は私立中学に通い続ける事が難しくなったため、中学3年生から昴が転校して来た事で再会した。そして高校も同じ赤森高校に進み、現在に至る。 昴の性格が「芝崎製作所」の倒産前と倒産後で大きく変わり、冷たく荒んでしまった事を案じている。そのため夏生と昴の小説対決では、一度夏生に、わざと負けてくれないかと頼んだ事もあった。また、父親は銀行の係長であり、父親経由で「芝崎製作所」の経営が苦しく、樺沢史乃の父親もなんとか助けようとしたが、できなかった事を知っている。 そのため、史乃自身は直接関係ないものの、「芝崎製作所」が倒産した事に対して、長らく罪悪感を感じていた。しかし、高校1年生の秋に昴にその件について尋ねたところ、精神的に成長した昴が、それはもう仕方のない事で、恨んではいないと言った事で、ようやくわだかまりが解けた。昴に密かに思いを寄せているが、昴にはまるで伝わっておらず、歯がゆい思いをする事が多い。 あさのあつこや森見登美彦の作品が好き。

桜坂 律 (おうさか りつ)

赤森高校1年1組に所属する男子。藤井夏生達が高校3年生に入学して来たため、夏生達とは2学年下にあたる。前髪を眉が見えるようM字に切った、刈り上げショートカットヘアにしている。周囲からは葦原美雨の弟である葦原晴真に似ていると言われている。柏原ももからは「りっくん」というあだ名を付けられた。明るく純朴なロマンチストで、夏生達とは、桜坂律が高校に入学してすぐ文芸部に見学に訪れ、入部した事で知り合った。 そして入部してすぐに、ももの、誰とでもセックスするという悪い噂を友人達から聞き、真偽を確かめるためにももの自宅を訪れる。しかし、噂を真に受ける事自体が、ももを深く傷つけたと気づき、すぐさま謝罪。この出来事がきっかけでももと親しくなり、次第に思いを寄せるようになっていく。 それから桜坂律が高校1年生、ももが高校3年生の頃、ももの卒業式の日に告白して交際を始めた。非常にピュアで素直な性格で、もものリストカット痕を見ても嫌悪感を示さず、これもももが生きて生きた証のひとつだと捉えるほどに心優しい。一方で、ロマンチックな趣味が災いして、告白のための文章を考えようとするとポエムのようになったり、ももとの記念日には大量のバラを送るなど、少し情熱的すぎる一面もある。 『涼宮ハルヒの憂鬱』や『彼女がフラグをおられたら』など、ライトノベル作品が好き。中学時代は野球部に所属していた。

芝崎 昴 (しばさき すばる)

赤森高校1年5組に所属する男子。藤井夏生達が高校3年生に入学して来たため、夏生達の2学年下にあたる。前髪を右寄りの位置で七三分けにした、ストレートショートカットヘアに眼鏡をかけている。柏原ももなどからは、名前である「すばる」の3文字を入れ替えて『天空の城ラピュタ』に出てくる呪文とかけた「バルス」というあだ名で呼ばれている。 生まじめな勉強家だが、精神的に思いつめやすく、また、やや他人を見下したところがある。樺沢史乃とは小学校時代からの友人であったが、芝崎昴が私立中学に進学した事で一度疎遠になる。しかし中学2年生の頃に父親の会社である「芝崎製作所」が倒産し、私立中学に通い続ける事が難しくなったため、中学3年生から公立に戻り、史乃と再会した。 そして高校も同じ赤森高校に進み、現在に至る。「芝崎製作所」が倒産するまでは明るく、周囲から慕われる人気者であった。しかし、倒産を機に周囲の態度が大きく変わった事で深く傷つき、現在の精神的に余裕がなく、きつい性格になってしまった。小説執筆は小学生の頃から行っており、これまでさまざまな文学賞に応募し、主に学生部門において、多数の賞を受賞している。 そのため、父親の会社が倒産してからは、小説を書く事だけが心のよりどころとなっており、自分の作品を大切に思うあまり、自分の作品を理解しない人間は、人間として劣っていると思いがちなところがある。実は第77回「新虹社 文藝大賞」にも応募していたが、自分ではなく、夏生が大賞を受賞した事で、夏生を一方的に憎んでいた。 その後、赤森高校文芸部で夏生と出会い、小説で勝負を挑むが完敗。負けた罰として文芸部に入部させられた事で、次第に以前の人柄を取り戻していく。小説家としてはコンスタントに作品を執筆しているだけでなく、非常に読書家でもある。しかし、作品の世界観や設定を作り込もうとするあまり、キャラクターの人物描写をおざなりにしがちで、夏生との勝負時は、桐谷怜士にそれを敗因として指摘された。 好きな作家は、北方健三、山崎豊子、蓮川要(怜士)。中でも蓮川要の大ファンで、怜士の正体が蓮川要である事を知って以来、非常に慕っている。

赤森高校の30代の男性教師。担当は国語で、文芸部顧問を務めている。「蓮川要」のペンネームで、学校には内緒で小説家としても活動している。髪型は前髪を右寄りの位置で斜めに分け、肩につくほどまで伸ばした茶色... 関連ページ:桐谷 怜士

フミヤ

藤井夏生の友人で、夏生とは別の高校に通う2年生の男子。高校卒業後は、東京大学に進学する。癖のある前髪を右寄りの位置で分けて目の上で切った刈り上げヘアに、丸眼鏡をかけており、体型はやや太り気味。アルバイト先である喫茶&Bar「ラマン」のマスター、小林昌樹からは「フミ君」と呼ばれている。面倒見のよい、冗談好きな性格をしている。 そのため恋愛や家庭の事情で悩む夏生にアドバイスする事が多く、夏生が家に居づらい時は、よく自宅に泊めている。夏生とは幼稚園時代からの仲で、夏生が両親の再婚により引っ越すまでは、同じ団地で暮らしていた。フミヤとそっくりな容姿をした、母親と妹がいる。

木根 (きね)

赤森高校2年4組に所属する男子。藤井夏生とユーヤの友人。前髪を上げて額を全開にしたショートカットヘアに、耳にピアスを付けている。あだ名は「カズ」だが、本名は不明。一見派手でチャラチャラとした雰囲気だが、面倒見がよく、夏生が風邪をひいた時は非常に心配した。

ユーヤ

赤森高校2年4組に所属する男子。藤井夏生と木根の友人。前髪を左寄りの位置で分けたウルフカットで、耳にピアスを付けている。あだ名は「ユーヤ」で、本名は不明。性的な事が大好きな遊び人で、赤森高校内に同学年の恋人がいるが、密かにセックスフレンドもいる浮気者でもある。実は柏原ももと関係を持った事もあるが、ももの手首にあるリストカットの痕には気づかなかった。

藤井 昭人 (ふじい あきひと)

藤井夏生の父親で、橘陽菜と橘瑠衣の義理の父親。橘都樹子にとっては、再婚相手にあたる。前髪を額が見えるほど短く切ったショートカットヘアに、眼鏡をかけている。体型は細身で、ひょろりとしている。穏やかで心優しい性格で、一見頼りなく見える。しかし、怒ると非常に怖く、頑固な一面がある。夏生が幼い頃に妻を病気で亡くし、都樹子と再婚するまでは夏生と二人暮らししていた。 そのため、父子家庭である事を理由に、夏生に苦労をさせたくないという思いが強く、夏生が高校を卒業して家を出るまでは、アルバイトもさせたがらなかった。

橘 都樹子 (たちばな つきこ)

藤井夏生の義理の母親で、橘陽菜と橘瑠衣の母親。藤井昭人にとっては、再婚相手にあたる。幹本丈の元妻でもある。前髪を右寄りの位置で分けて額を全開にし、胸まで伸ばしたロングヘアにしている。髪型はよく変えており、結んで一つにまとめている時もあれば、三つ編みにしている時もある。女性一人で陽菜と瑠衣を育てたキャリアウーマンで、現在は会社の重役クラスを務めている。 勘が鋭く、夏生と陽菜が密かに交際している事も見抜いた。

小林 昌樹 (こばやし まさき)

フミヤのアルバイト先である、喫茶&Bar「ラマン」のマスターを務める男性。前髪を中心部に集めて目が隠れそうなほど伸ばしてくるくるに巻き、肩につくほどまで伸ばした巻き髪ロングヘアを、高い位置でポニーテールにしている。ちょび髭を生やし、一見男性的だが、実は同性愛者で、オネエ口調で話す。そのため店の制服も、ミニスカートに網タイツという女性的な服装をしている。 周囲には自分の事を、ゲイバーに勤めていた頃の源氏名「マリー」で呼ばせたがっているが、当時の仲間以外には浸透しておらず、主に「マスター」と呼ばれている。明るく面倒見のいい性格で、藤井夏生をはじめとするフミヤの友人達の相談役でもある。実家はやくざで、さらに小林昌樹は長男であったため、若頭として育った。 しかし10年前、対立する組「講談組」とトラブルが起きた際、お詫びにやって来た「講談組」の若頭に一目惚れし、自分の性的指向に気づく。それをある日、父親にカミングアウトするが、絶縁されてしまい、ゲイバーでの勤務を経て現在に至る。菊池悦夫とは、その頃に出会って以来ライバル関係にある。上半身に入れ墨があり、本来であれば銭湯などに入浴はできない。 しかし、経営者も利用者も「ラマン」の常連客ばかりである「森の湯」には、特例として入浴させてもらっている。

萩原 柊 (はぎわら しゅう)

大学で研究員として働く32歳の男性。橘陽菜の不倫相手。前髪を右寄りの位置で分けたふんわりとしたショートカットヘアに眼鏡をかけている。目が細く、いつも目を閉じているように見える。研究員になる前は高校教師として働いており、陽菜とはその頃に出会った。当時は周囲から孤立していた陽菜を支え、教師と生徒として健全に付き合っていた。 その後、世話になっている教授の娘と結婚するが、性格の不一致で結婚生活がうまく行かず悩んでいたところに、陽菜と再会してしまう。以後、陽菜と2年ほど不倫関係になるが、事態を把握した藤井夏生と橘瑠衣に咎められ、陽菜から別れを切り出す形で関係を解消した。その後は陽菜との接触は避け、夏生が高校2年生の夏に、妻との離婚が成立する。 それから夏生が高校2年生の冬に、陽菜が突然赤森高校を去った事を知り、不穏なものを感じて居場所を探り当てる。そして伊豆大島の陽菜の赴任先まで追いかけ、陽菜の支えになりたいと伝えるが、断られてしまった。その時の陽菜の態度から、陽菜がまだ夏生に思いを寄せている事を察しており、夏生に対しては、まだ陽菜を思う気持ちがあるのなら、これ以上陽菜を苦しめないために、はっきり関係を断ってほしいと考えている。 そのため、陽菜はもう夏生に関心はないらしいと夏生に噓をついた。妻とのあいだに子供はいない。専門は生物学。特技は腹話術。

葦原 晴真 (あしはら はるま)

中学1年生の男子。葦原美雨の弟で、葦原美夜の兄。前髪を眉が見えるようにM字に切った、ショートカットヘアにしている。明るく正直な性格で、美雨と美夜とも仲がいい。藤井夏生とは、夏生が高校2年生の時、芦原家に訪問した際に知り合った。恋愛に強い関心があり、家に遊びに来た夏生が、美雨に思いを寄せているのではと考える。 さらに夏生の持ち物に避妊具があるのを発見した事で、夏生と美雨が両思いであると思い込み、無理やり関係を深めさせようとするが、失敗に終わった。

葦原 美夜 (あしはら みや)

小学2年生の女子。葦原美雨と葦原晴真の妹。前髪を目の上で切り、耳の下まで伸ばしたボブヘアにしている。柏原ももからは「ミャーちゃん」と呼ばれている。明るく人懐っこい性格で、美雨と晴真とも仲がいい。藤井夏生とは、夏生が夏生が高校2年生の時、芦原家に訪問した際に知り合った。その後、美雨の所属する赤森高校文芸部のキャンプ合宿に参加する事になり、もも、橘瑠衣、橘陽菜とも知り合った。 実は恋愛経験豊富で、小学2年生にして、すでに二人以上の男性との交際経験がある。

楠本 沙希 (くすもと さき)

大学3年生の女子。桐谷怜士の元教え子。前髪を右寄りの位置で斜めに分け、胸までゆるく巻いて伸ばしたロングヘアで、右目尻にほくろがある。6年前、不登校になっていたが、案じた怜士の親身な対応により、少しずつ前向きになり、思いを寄せるようになっていた。当時、怜士とは非常に親しく、よく本の話をしたり、いっしょにリレー小説を書くほどの仲だった。 そのためある日、再び学校に行く代わりに自分と交際してほしいと怜士に迫るが、生徒を女性として見る事はないと言われ、ふられてしまう。それがきっかけで怜士を強く憎むようになり、高校に、怜士に強姦されたと噓をついて、怜士を異動させた。その後も怜士への怒りは収まらず、藤井夏生達が高校2年生、楠本沙希が大学3年生の秋、怜士の異動先である赤森高校へ、怜士が過去に淫行したという怪文書を送りつけたり、校内に落書きをしたり、荒らしたりするという嫌がらせを行う。 しかし、犯人は女性ではないかと考えた柏原ももの機転により、赤森高校の文化祭2日目に悪事がばれ、駆け付けた怜士に叱られる。そして、異動後も沙希の事を忘れた事はなかったという怜士の思いを知り、嫌がらせをやめた。

マキ

外資のコンサルタントとして働く女性。年齢は23歳。橘陽菜の友人。前髪を真ん中で分けて額を全開にし、顎の高さまで伸ばしたボブヘアにしている。太眉。気の強いしっかり者で、陽菜の事を常に案じている。就職してすぐアメリカに渡ったため、大学卒業後はしばらく陽菜と会えなくなっていたが、会社の新規事業が始まった事により日本に戻り、陽菜と再会する。 そこで陽菜が藤井夏生と交際している事を知り、その後、偶然夏生と出会った際、夏生に発破をかける。

蔦谷 総一郎 (つたや そういちろう)

出版社「新虹社(しんこうしゃ)」で編集者として働く男性。藤井夏生の担当編集者。前髪を上げて額を全開にした撫でつけ髪に、口の周りにひげを生やしている。気さくでノリのいい性格で、桐谷怜士とは何度も仕事をしている仲。夏生が高校2年生の冬、怜士が夏生に無断で夏生の小説作品「じゃあ、また。」を、第77回「新虹社 文藝大賞」に応募した事で、夏生の存在を知る。 さらに「じゃあ、また。」がアマチュア部門大賞を受賞した事により、怜士から夏生を紹介され、夏生の担当編集者としていっしょに作品作りをしていく事になる。夏生が高校3年生の夏休みには、悩める夏生に胡桃沢を紹介した。

幹本 丈 (みきもと じょう)

イタリアンレストラン「テンポ・フェリーチェ」の経営者兼シェフを務める中年の男性。橘陽菜と橘瑠衣の父親で、橘都樹子の元夫。現在は幹本響の義理の父親である。前髪を左寄りの位置で分けたショートカットヘアにパーマをかけ、無精ひげを生やしている。明るく軽い雰囲気で、大の女性好き。一方で気が弱く、何か問題が起きると、相手と向き合う前に逃げ出してしまう事が多い。 そのため、大事な話し合いがある日などは、瑠衣にあらかじめ拘束されたり、見張られたりする事が多い。かつて、イタリアでの料理修行を経てイタリアンレストランをかまえるが、経営に失敗して莫大な借金を負ってしまう。しかし当時すでに都樹子と結婚し、陽菜と瑠衣も生まれていた。 そのため、家族に借金生活をさせないために、不倫をして別の女性と交際しているので、都樹子とは別れたいと噓をついて離婚した。これによって、都樹子には非常に恨まれている。しかし、その後、新店舗「テンポ・フェリーチェ」の経営が軌道に乗り始め、瑠衣達が住む地域に2号店を建てる準備を進めていたところ、偶然街で瑠衣と再会する。そこで瑠衣に料理を振る舞ったところ、瑠衣が自分も幹本丈と同じように料理人になりたいと言い出した事で、再びかかわりを持つようになっていく。 丈自身はその時から瑠衣の進路を応援していたが、離婚理由を誤解している都樹子には一度猛反対を受ける。そのため、都樹子を納得させたい瑠衣に開店準備中の店を貸し、都樹子と都樹子の現在の夫である藤井昭人を招いてディナーを振る舞わせた。 この時に都樹子と再会し、自身と義理の娘である幹本響の口から、本当の離婚理由を打ち明けた事で都樹子と和解した。

幹本 響 (みきもと ひびき)

私立の中高一貫の学校に通っている高校2年生の女子。幹本丈の義理の娘。藤井夏生達が高校3年生に進級してから知り合ったため、学年は夏生達の1学年下にあたる。前髪を目の上で切り、胸まで伸ばしたストレートロングヘアの、両サイドに小さな三つ編みを作って結んでいる。小柄なうえ、学校の制服は中学と高校で同じデザインのものを着用する規則であったため、夏生には年齢を教えるまで中学生だと思われていた。 夏生からは「ビッキー」と呼ばれているが、幹本響自身はあまりこの呼び方を気に入っておらず、呼ばれると怒る。気が強く非常に心配症で、思い込みが激しいが、根は素直な性格をしている。また、非常に母親思いで、母親と丈の再婚生活がうまく行ってほしいと強く願っている。 しかし、この思いによって、丈の前の家族である橘家の面々を、必要以上に敵視しているところがある。そのため、響が高校2年生、夏生が高校3年生の初夏に、丈の経営するイタリアンレストラン「テンポ・フェリーチェ」に橘瑠衣が出入りしている事を知り、腹を立てる。そしてある日、店の前で夏生と瑠衣を待ち伏せ、丈は自分達新しい家族と幸せに暮らしているので、瑠衣はもう丈に近寄らないでほしいと言い出す。 しかしその直後、夏生から瑠衣の事情を聞き、仕方なく瑠衣の「テンポ・フェリーチェ」で働きたいという意思を尊重する事になる。丈と瑠衣がいっしょに働くうち、またいっしょに暮らしたいと言い出さないように、頻繁に店に顔を出して監視する事にし、結果的に瑠衣の料理にアドバイスする関係になっていく。 自分の母親と丈は、丈が離婚した後に出会い、結婚に至った事を知っている。そのためある日、橘家の面々が、自分の母親と丈は不倫の果てに結婚したと勘違いしている事を知り、驚く。そのため、橘都樹子と藤井昭人が来店した際には、その誤解を解く手伝いをした。人からのアドバイスを真に受けやすい。 そのため、響は年齢よりも容姿がやや幼いので、下着は大人っぽいものをつけるべきだという友人の言葉を真に受け、非常に派手な下着をつけている。また、実は夏生とは夏生が高校2年生の冬、初詣に行った神社で一度会っているが、再会時、夏生にはそれをすっかり忘れられていた。

柿崎 (かきざき)

伊豆大島にある高校に通う男子。橘陽菜の教え子。前髪を眉上で短く切ったベリーショートカットヘアで、両頬にそばかすがある。実家である「柿崎酒店」でアルバイトをしており、陽菜とは教師と生徒としてだけでなく、常連客と店員としても親しい。さらにある日、陽菜と恋愛の話をしていたところ、話の最中に陽菜が泣き出した事から、陽菜が伊豆大島にやって来た理由には、過去の恋愛が絡んでいるのではと考えるようになる。

胡桃沢 (くるみざわ)

小説家として働く中年の男性。ペンネームは、「桃源繁光」。前髪を左寄りの位置で分けた、白髪交じりのぼさぼさのショートカットヘアに眼鏡をかけている。体型は、やや太り気味。梅田百合からは「くるみん先生」と呼ばれている。ぶっきらぼうで冷たく見えるが、実際は面倒見がよく、気に入った相手には、長期的に親身にサポートする性格。 作家としては気難しく、直吉賞をはじめとする多数の受賞歴があるが、授賞式にはいっさい姿を現さない謎の作家として知られている。藤井夏生とは、夏生が高校3年生の夏に蔦谷総一郎から紹介される形で知り合い、夏生をアルバイトとして雇う事になる。そこで夏生に事務仕事をさせながら、小説の指導も行う師弟関係になっていく。そこで夏生の、小説家としての視野の狭さを指摘し、結果的に梅田百合を紹介し、百合をモデルにした小説を夏生に書かせる形になる。 作家としての熱意はすさまじいが、一人の人間としてはだらしないところがあり、寝る時はベッドではなく、作業中にそのまま倒れるように寝ている事が多い。また、服装はいつもタンクトップ姿である。ヘビースモーカーで、よく煙草を吸っている。

梅田 百合 (うめだ ゆり)

クラブ「宵の蝶」に勤めるキャバクラ嬢。年齢は28歳。前髪を真ん中で分けて額を全開にし、胸まで伸ばした巻き髪ロングヘアをしている。源氏名は「樹里」で、菊池悦夫からは「ユリッペ」と呼ばれている。明るく気さくな性格で、人間観察が得意。そのため客の希望を理解するのが早く「宵の蝶」においてもトップクラスのキャストとして評判が高い。 胡桃沢とは、5年前に胡桃沢が新作「月歌(げっか)」の取材で訪れたのがきっかけで出会い、現在も親しくしている。藤井夏生とは、梅田百合が28歳、夏生が高校3年生の夏に、胡桃沢から紹介される形で知り合い、その後、酔いつぶれた夏生を介抱した事で親しくなる。それがきっかけで、夏生から小説の題材として百合を取材させてほしいと頼まれるが、すぐに夏生の観察眼の鋭さに驚く。 そのため心の深いところを見せたくないという理由から、一度は取材を断るが、夏生の熱意に押され、少しずつ自分の内面を打ち明けるようになっていく。「宵の蝶」で働き始める前は女優を目指しており、高校時代に演劇部に入ったのを機に演技をする楽しさに目覚め、やがて短大を中退。 故郷の秋田県を飛び出して、夢をかなえるために東京にやって来た。しかし思うようにうまく行かず、父親が病気で倒れたのを機に夢をあきらめ、「宵の蝶」で働くようになる。また、同時期に、遠距離恋愛中の恋人、仲林基樹とも別れてしまった。現在でも女優になる夢と、基樹に対して強い未練があり、「女優」という言葉が出ると途端に不機嫌になる。 しかし、そこから夏生に真意を見抜かれ、基樹にもう一度会うために、偶然居合わせた悦夫も交えて、三人で秋田へ向かう。そこで基樹の母親から基樹の死を知るが、現実を受けとめた事で前向きになり、再び女優の夢を目指す事になった。

菊池 悦夫 (きくち えつお)

ゲイバーで働く男性。小林昌樹と梅田百合の友人。源氏名は「エリカ」。前髪を上げて額を全開にし、胸まで伸ばしたロングヘアを縦ロールにしている。明るく面倒見のいい性格で、オネエ口調で話す。昌樹とは、昌樹がゲイバーに勤めていた頃からのライバル関係で、昌樹が退職してからも、事あるごとに競い合う仲。百合とも親しいが、百合のぐずぐすしがちで、なかなか一歩踏み出せない一面を案じている。 そのため、藤井夏生が高校3年生の夏、未だに仲林基樹との恋を引きずる百合を見かねて、夏生も交えて半ば百合を無理やり連れて行くような形で、いっしょに基樹の暮らす秋田へ向かう事になる。

仲林 基樹

梅田百合の元恋人で故人。前髪を眉上で短く切ったショートカットヘアで、がっしりとした体型をしている。目が細く、いつも笑っているように見え、顔立ちは母親に非常によく似ている。秋田県に住んでおり、百合とは高校時代、演劇部で知り合い、そこから交際を続けていた。やがて百合が女優になるために上京し、遠距離恋愛になる。しかし、それからも百合の夢を応援しており、百合を励ましたり、オーディション情報を送ったりしていた。 だが、やがて百合が夢をあきらめ、「女優」という単語自体に嫌悪感を示すようになったのを機に、別れを切り出されてしまった。その後も百合を案じていたが、百合が28歳の頃、藤井夏生の勧めで秋田に帰って来た時には、すでに白血病で亡くなっていた。

椿姫 愛里栖 (つばき ありす)

藻上予備校に通う高校3年生の女子。藤井夏生の友人で、椿姫ルナの姉。夏生とは、夏生が高校3年生の時に出会ったため、学年は同じである。前髪を目が隠れそうなほど伸ばし、胸まで伸ばしたロングヘアにしている。体型は太り気味で、父親に似て、三白眼で豚鼻。夏生からは「アリス」と呼ばれており、男性のような口調で話す。気が強く辛辣で、やや卑屈な毒舌家。 子供の頃から、自分とは似ても似つかない美形の妹、ルナと比べられ、自分の容姿が冴えない事を自覚して育つ。さらに中学生の頃、唯一親しくしていた男性の友人である源太にまで容姿を馬鹿にされた事で、大の男性嫌いになってしまった。そのため、自身の容姿と、かわいらしすぎる名前にコンプレックスを感じており、自分のような容姿の女性にわざわざ近づく男性には、悪意があるに違いないと思い込んでいる。 夏生とは高校3年生の冬、藻上予備校の学生同士として知り合い、忘れ物をした夏生に消しゴムを貸した事がきっかけで話すようになる。しかし、当初は夏生を非常に警戒しており、必要以上に辛辣な態度を取っていた。にもかかわらず自分に近づこうとする夏生の姿に少しずつ態度が軟化し、予備校の成績で競い合う関係になる。 やがて、夏生もかつて容姿にコンプレックスを感じており、自分と似た悲しみを抱いた経験がある事を知り、心を開くのだった。そしてある日、いっしょに出かけた際、偶然会った源太に、夏生は自分の恋人であると噓の紹介をしてしまう。しかし、すぐに噓だとばれたのがきっかけで、自分のコンプレックスと向き合い、源太に当時の怒りを正直に吐露した事で、精神的に少し丸くなり、源太との関係も改善した。

椿姫 ルナ (つばき るな)

源太の友人の高校2年生の女子。椿姫愛里栖の妹。藤井夏生とは、夏生が高校3年生の時に出会ったため、学年は一つ下にあたる。前髪を目の上で切り、顎の高さまで伸ばしたウェーブボブヘアにしている。愛里栖とは違い母親似で、周囲から芸能人になる事を勧められるほどの美形。明るく元気な性格で愛里栖とも仲がいいが、愛里栖は椿姫ルナと、実の姉妹とは思えないほど違う容姿をしている事が、コンプレックスの一端になってしまった。

源太 (げんた)

高校3年生の男子。椿姫愛里栖と椿姫ルナの友人。藤井夏生とは夏生が高校3年生の時に出会ったため、学年は同じ。前髪を左寄りの位置で分けたショートカットヘアにしている。椿姫姉妹とは非常に親しく、子供の頃は椿姫家に頻繁に遊びに来るほど仲がよかった。しかし中学時代のある日、友人に愛里栖との関係をからかわれ、恥ずかしさのあまり、愛里栖のような不細工な女性は、恋愛対象にならないと言ってしまった。 それを愛里栖が聞いてしまった事で、愛里栖とは疎遠となり、ルナとも接する機会が減ってしまった。高校卒業後は九州の大学への進学を考えており、進学後はいよいよ椿姫姉妹といっしょに遊べなくなる事を残念に思っていた。そのため高校3年生の冬、街で偶然ルナ、愛里栖、夏生と出会った際、愛里栖に、もう一度ゲームセンターで遊ばないかと誘う。 そしてルナと夏生も交えて四人で遊びに行った当日、夏生から、愛里栖が中学時代の自分の言葉により深く傷ついていると知り、謝罪した。その後、愛里栖から当時の怒りをぶつけられた事で愛里栖の気も済み、関係も元に戻った。

葉月 かすみ (はづき かすみ)

茗治大学経済学部に通う1年生の女子。藤井夏生の友人。夏生とは夏生が大学1年生の時に出会ったため、学年は同じ。前髪を左寄りの位置で分けて、胸まで伸ばしたロングヘアを右に集めてまとめたサイドテールヘアにしている。明るく積極的な性格だが、実家が貧しかった事からお金への執着心が強い。夏生とは茗治大学入学直前に、同じアパートに引っ越して来た事で知り合い、友人になった。 出身地は島根県で、家族は母親、妹、弟二人の五人家族。両親は離婚しており、母親は飲食店経営で家計を支え、葉月かすみ自身もアルバイトを代を家に入れて生活していた。しかし、本心では貧しい生活に嫌気がさしており、密かに貯めたお金で茗治大学を受験し、無理やり家を出て現在に至る。 そのためお金がなくなる事を極端に恐れており、入学してすぐ、風俗店「桃色百景」でのアルバイトを考える。しかし体験入店日、最初についた客が、先輩達に無理やり連れて来られた夏生であった事から、働くのを止められ、また、桑名にも止められた事で、それに従い、ほかのアルバイトに変えた。

桑名 (くわな)

茗治大学経済学部に通う学年不明の男性。藤井夏生の友人。前髪を上げて額を全開にし、ぼさぼさのパーマヘアを乱雑にまとめた髪型をしている。目が細く、いつも目を閉じているように見え、体型は太り気味。夏生とは、夏生の茗治大学入学直前に、アパートの隣室になった事で知り合い、友人になった。一見いつも遊んで暮らしているように見える正体不明の人物だが、非常に顔が広く、学内でも有名人。 しかし、桑名について詳しく知る者はおらず、そのため、実は大富豪の息子ではないかなど、根拠のない噂を多数立てられている。

木梨 まお (きなし まお)

茗治大学経商学部に通う2年生の女子。藤井夏生の先輩。演劇サークル「フォレスター」の広告担当も務めている。夏生とは、夏生が大学1年生の時に出会ったため、学年は1学年上にあたる。前髪を目の上で切ったマッシュルームボブカットにしている。明るく積極的で、人をからかうのが好き。そのため、男性に対して思わせぶりな行動が多い。 夏生とは、夏生の合格発表の日に出会い、その際、自分達は夏生の入学後に再び出会うだろうと予言をする。実際は単純に夏生を気に入っただけで、その後、夏生の名前でインターネット検索をした際に、夏生が作家である事を知る。そこでぜひ「フォレスター」に入会してほしいと考え、入学してすぐの夏生を無理やり楢龍一に会わせ、入会させた。 両親はおらず、弟の木梨れおと二人暮らし。木梨まおが3歳、れおが8か月の頃に母親から育児放棄をされ、その後二人暮らしを始めるまでは孤児院で育った。その際、周囲の大人達から可哀想である、不遇であるという言葉をかけられて傷つくが、孤児院で出会ったシスターの明るく前向きな性格に影響され、現在の明るく、精神的にタフな人柄になった。 れおとは境遇も手伝って非常に仲がいいが、幼い頃からまるで恋人のような距離感で接している。まおが男性に対して距離感が近すぎるのはこのため。誕生日は7月1日。

木梨 れお (きなし れお)

高校3年生の男子。木梨まおの弟。学年は、藤井夏生の一つ下にあたる。学校に通いながら「Leo」の芸名で、モデルとしても活動している。髪型は、前髪を左側は上げ、右側は目が隠れるほどに伸ばしたショートカットヘア。血のつながった実の弟だが、まおを溺愛しており、まおこそが世界一可愛い女性だと思っている。そのためまるで恋人のような距離感で接しており、木梨姉弟は美形であるにもかかわらず、二人とも異性の影がないのはこのため。 8月生まれ。

楢 龍一 (なら りゅういち)

茗治大学の学生。演劇サークル「フォレスター」の部長を務める男子。髪型は、前髪を左寄りの位置で分け、左側の前髪は上げ、右側の前髪は目が隠れるほどに伸ばし、肩まで伸ばしたストレートセミロングヘアをハーフアップにしている。口元にほくろがある。周囲には主に「部長」と呼ばれているが、極度のマゾヒストであるために、自分の事を「オナラブタ野郎」と呼ばせたがる困った一面がある。 また、榊華からは「りゅーくん」と呼ばれている。性的嗜好はやや変わっているが、基本的には穏やかで落ち着いた、頼りがいのある性格。藤井夏生とは夏生の入学直後、木梨まおの紹介で出会い、夏生の能力を買って、ぜひ入会してほしいと夏生を誘った。夏生の入会後は、部長として夏生を暖かくサポートしていく。 性的指向はバイセクシャルで、恋愛対象は性別を問わない。そのため、夏生や周囲の男性に対してお尻を触るなど、セクハラをする事がよくある。反面恋愛にはあまり関心がなく、恋人は特にほしくないが、自分の性的嗜好を理解してくれる「女王様」はほしいと思っている。

榊 華 (さかき はな)

茗治大学の学生。演劇サークル「フォレスター」の脚本家を務める女子。前髪を目が隠れないようにラウンド状に切り、胸に届くほどまで伸ばしたストレートロングヘアに眼鏡をかけている。のんびりとしたマイペースな性格だが、脚本家としての素晴らしい腕を持ち、芹沢雅をはじめとする多くのファンがいる。そのため将来を嘱望されているが、本人にはプロの作家になる意思はなく、一般企業への就職を考えている。 その理由は家が母子家庭であるため、作家という不安定な職業になる事で、母親を心配させないためであった。しかし、藤井夏生に、どうか心から望む道へ進んでほしいと頼まれた事で、プロを志す事になる。

楓本 千佳 (あきもと ちか)

茗治大学の学生。演劇サークル「フォレスター」の総務的な業務である「制作」に携わっている女子。前髪を左寄りの位置で分け、胸まで伸ばしたストレートロングヘアを一つに結んでまとめ、眼鏡をかけている。榊華からは「ちーちゃん」と呼ばれている。まじめで落ち着いた性格で、暴走しがちな「フォレスター」の会員達のストッパー役を務めている。 現在は役者ではないが、実は宝塚歌劇団にあこがれて受験した事があり、舞台に立つ際は女性役のみならず、男性役もできる。

檜山 悠二 (ひやま ゆうじ)

茗治大学の3年生。演劇サークル「フォレスター」の音響を務める男子。前髪を目が完全に隠れるほど伸ばしたマッシュルームボブヘアにしている。周囲からは「ユージ」と呼ばれている。寡黙で落ち着いた性格の持ち主。高校時代、非常に親しくしていた同性の友人がいたが、ある日、彼に告白されて衝撃を受ける。そのため返事に困って保留にし続けていたところ、彼が自殺してしまったという過去を持つ。 現在でもこの件について悔いており、表向きは問題なく振る舞っているものの、精神的に不安定な一面がある。楢龍一にはそんな一面を知られており、ある日、電車を待っている際、衝動的に飛び込み自殺しそうになったのを止められた事もある。

芹沢 雅 (せりざわ みやび)

茗治大学の1年生。演劇サークル「フォレスター」で役者を務める女子。藤井夏生とは同学年。前髪を真ん中で分けて額を見せ、胸まで伸ばしたストレートロングヘアをハーフアップにしている。太眉。生まじめで、自分にも他人にも厳しい性格だが、女優としての腕は高い。中学生の頃、草薙優香をはじめとする友人達と見た演劇に感激し、高校で演劇部を立ち上げて活動していた。 しかし、次第にほかの部員達との演劇に対する熱意の差を感じ、部をやめて役者養成スクールに通うようになってしまった。大学ではそのような事がないように、あこがれの脚本家である榊華の所属する「フォレスター」に入会する。しかし、華は多忙でなかなか脚本執筆ができず、新人公演においては、華ではなく新1年生の夏生が脚本を担当すると聞いて落胆。 それでも仕方なく活動を続け、新人公演の主役に抜擢されたものの、肝心の脚本家である夏生に熱意が感じられないのに腹を立てて、役を降りると言い出す。しかし、そこで夏生がそれに応じず、翌日しっかり演出プランを練ってきた事で考えを改め、夏生に惹かれるようになっていく。恋愛経験には乏しく、それが演技に影響を与えるのではと悩んでいる。 また、悲しみを表現して涙を流す「泣き」の演技が非常に苦手。

草薙 優香 (くさなぎ ゆうか)

茗治大学の1年生の女子。芹沢雅の友人。演劇サークル「フォレスター」に所属し、役者を務めている。髪型は前髪を右寄りの位置で斜めに分けたショートカットヘア。周囲からは「ユウカ」と呼ばれている。穏やかで物腰柔らかいが、時折、ぽろっと毒のある発言をする。雅とは中学時代からの友人で、中学時代、雅をはじめとする友人達と演劇を見た事で、高校進学後、いっしょに演劇部を立ち上げて活動していた。 しかし、熱意があり、プロ志向の雅と、あくまで学生の部活動として演劇を楽しみたいほかの部員達との軋轢が次第に生じ、最終的に雅だけが演劇部を抜ける形になってしまった事を、今でも悔いている。そのため、一生懸命だが暴走しやすく、他者とのコミュニケーションが不得手な雅の性格を案じており、「フォレスター」に入会してからもよくフォローしている。 実は雅に思いを寄せているが、ずっと同性の友人として付き合ってきたために、打ち明けられずにいた。さらに、雅への思いを断ち切るため、別の男性と交際した事もあるため、雅は草薙優香の思いにまったく気づいていない。しかし「フォレスター」の新人公演から雅が藤井夏生に思いを寄せるようになった事に、強い焦りを感じるようになる。 そのため「フォレスター」の次回作オーディションに向けて、演技のレッスンと称して、雅とキスをする。しかし、それを夏生に目撃された事で、雅が自分を置いて逃げ出したため、雅と友人として付き合う事に限界を感じてしまう。そして一度は「フォレスター」を退会し、大学にも来なくなってしまうが、雅と夏生の説得により戻ってきた。 その際、雅とは友人関係に戻ったが、両思いになるのをあきらめたわけではなく、そのまま親しくしている。実家は非常に裕福で、失踪時は軽井沢の別荘で過ごしていた。

葛岡 寧々 (くずおか ねね)

茗治大学の1年生。演劇サークル「フォレスター」で役者を務める女子。前髪を目の上で切り、胸まで伸ばしたストレートロングの姫カットを、耳の下の位置で二つに結んでまとめている。目が細く、一見目立たない容姿だが、性的な事が大好き。そのため気に入った男性とはすぐに性的関係を結び、「フォレスター」においても、新人公演合宿の時点ですでに複数の男性会員と関係を持った。 その際、藤井夏生の事も襲ったが、夏生には拒まれた。芹沢雅のような恋愛経験に乏しい女性を女優として見下しており、雅のような女性には恋愛ものの主演は難しいと考えている。

種部 健吾 (たなべ けんご)

橘都樹子の取引先の息子。前髪を上げて額を全開にし、髪をツンツンに立てたショートカットヘアにしている。ある日、都樹子と種部健吾の父親が知り合い、健吾と橘陽菜とのお見合い話が出た際、すぐに陽菜を気に入る。そのため、陽菜の返事を待たずに直接会いに現れ、以降積極的にアプローチするようになる。一見明るく礼儀正しい好青年だが、実際は思い込みが激しく、強引で一方的な行動が多い。 それが災いして陽菜には交際を断られるが、まるであきらめず、その日からストーカー行為に及ぶようになる。サッカー観戦が大好き。

薊名 鈴子 (あざみな すずこ)

高校1年生の天才女性作家。幹本響と同じ高校に通っており、学年は響の二つ下、藤井夏生の三つ下にあたる。癖のある前髪を目が隠れそうなほど伸ばし、胸まで伸ばしたロングヘアをしている。高校1年生にして数々の文学賞を受賞しており、注目の新人作家として知られている。しかし、歯に衣着せぬ正直な性格で、ほかの作家に対しては容赦がない。 夏生とは新虹社(しんこうしゃ)で一度会ったが、夏生の作品に対しても、いい部分は褒めつつも、全体的に辛辣な感想を投げ掛けた。

書誌情報

ドメスティックな彼女 特装版 28巻 講談社〈プレミアムKC〉

第20巻

(2018-10-17発行、 978-4065136362)

第21巻

(2018-12-17発行、 978-4065141182)

第26巻

(2020-02-17発行、 978-4065192597)

第27巻

(2020-05-15発行、 978-4065188620)

第28巻

(2020-08-17発行、 978-4065203392)

ドメスティックな彼女 28巻 講談社〈講談社コミックス〉

第1巻

(2014-07-17発行、 978-4063951370)

第2巻

(2014-09-17発行、 978-4063951950)

第3巻

(2014-11-17発行、 978-4063952483)

第4巻

(2015-02-17発行、 978-4063952940)

第5巻

(2015-05-15発行、 978-4063953947)

第6巻

(2015-08-17発行、 978-4063954623)

第7巻

(2015-11-17発行、 978-4063955347)

第8巻

(2016-02-17発行、 978-4063955996)

第9巻

(2016-05-17発行、 978-4063956788)

第10巻

(2016-08-17発行、 978-4063957341)

第11巻

(2016-11-17発行、 978-4063957990)

第12巻

(2017-02-17発行、 978-4063958706)

第13巻

(2017-05-17発行、 978-4063959420)

第14巻

(2017-07-14発行、 978-4065100684)

第15巻

(2017-09-15発行、 978-4065101933)

第16巻

(2017-11-17発行、 978-4065103869)

第17巻

(2018-02-16発行、 978-4065109649)

第18巻

(2018-04-17発行、 978-4065112687)

第19巻

(2018-07-17発行、 978-4065117880)

第20巻

(2018-10-17発行、 978-4065129906)

第21巻

(2018-12-17発行、 978-4065134832)

第22巻

(2019-03-15発行、 978-4065144237)

第23巻

(2019-06-17発行、 978-4065153178)

第24巻

(2019-09-17発行、 978-4065164525)

第25巻

(2019-11-15発行、 978-4065173633)

第26巻

(2020-02-17発行、 978-4065184547)

第27巻

(2020-05-15発行、 978-4065188552)

第28巻

(2020-08-17発行、 978-4065203385)

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