夢みる太陽

夢みる太陽

家の中に居場所がないと感じていた亀戸しま奈は、ある日家出を決意する。格安で住める家を見つけたしま奈と、その住民たちとのドタバタな共同生活を描いたラブ・コメディ。「別冊マーガレット」2007年11月号から2011年9月号にかけて掲載された作品。

正式名称
夢みる太陽
ふりがな
ゆめみるたいよう
作者
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あらすじ

第1巻

父親が再婚した事で新しい母親ができ、さらに妹が生まれた亀戸しま奈は家庭内に居場所がないように感じ、衝動的に家出を決行する。行く当てもなくとりあえず公園を訪れたしま奈は、昨晩鍵を失くしてから家に入れず困っている藤原虎と出会う。しま奈は見るからに怪しい虎とかかわらないようにするが、虎はしま奈が家出少女だとすぐに見抜き、鍵を見つけたら月1万円で快適な住居を提供すると言い出す。しま奈は鍵を持っているのが、同じクラスの男子・中城善と聞き、すぐに善から鍵を渡してもらおうとするも、運悪く善も鍵を紛失していた。もう一人鍵を持っている龍ヶ江朝陽とは連絡が取れず、しま奈は途方に暮れるが、偶然にも公園裏の崖に引っかかっている善の鍵を発見する。しま奈は必死の思いで鍵を手に入れ、新たな家に住む事になる。しかしその家はしま奈、虎、善、朝陽の四人で住むシェアハウスだった。しま奈は共同生活をしていく中で陽に好意を抱くが、朝陽には既に好きな人がいると知って落ち込む。そんな中、虎はしま奈にこのままここに住むのであれば、しま奈の両親にシェアハウスで暮らす許可をもらうべきだと声を掛ける。

第2巻

龍ヶ江朝陽に恋する亀戸しま奈はかわいくなりたいと、早乙女美紅の協力を得て、新しいファッションやメイクに挑戦していた。中城善は、そんなしま奈の新たな姿を見て恋に落ちる。善の恋心を知らないしま奈は、朝陽に今の自分を見てほしいと勇気を出して連絡をするが、忙しいからとあっさり断られてしまう。一方の朝陽は、思い人である長浜まなみが結婚をしてそのまま海外に行く事を知り、告白もできないまま失恋してしまう。失恋して落ち込む朝陽の姿を見たしま奈は、朝陽とまなみの仲を取り持ち二人を会わせる。そして、朝陽はしっかりとまなみに告白したうえで断られる事で、気持ちを吹っ切るのだった。その後、しま奈は自分も勇気を出すべきだと朝陽に告白をし、返事も聞かずに彼の事をあきらめる決意を固める。そんな中、しま奈の女友達が、シェアハウスへと押しかけて来る。そこで女友達は朝陽や藤原虎にベタベタし、さらにまんざらでもない表情を浮かべる虎を見たしま奈は、嫉妬心から女友達を追い出す。

第3巻

女友達を追い出した事を藤原虎から咎められた亀戸しま奈は、シェアハウスを飛び出し、しま奈を追って来た中城善と親密な雰囲気になる。さらに熱を出した善をしま奈が看病した事で、二人の距離は一気に縮まっていく。そんな中、同棲中の彼女・河野玲に家を追い出された善の兄・中城拳が、しま奈達が暮らすシェアハウスを訪れる。そこで初めてしま奈は、善の父親が働けなくなったため、プロボクサー志望だった拳が夢をあきらめ、家族のために働く事になった事実を知る。善の過去や葛藤を知ったしま奈は、今まで以上に善を身近に感じるようになるが、しま奈の中ではそれ以上に、いつも自分を見守ってくれる虎の存在が大きくなっていた。そしてしま奈は、善から正式に告白をされるものの、その申し出を断ってしまう。そんな中、世界チャンピオンのプロボクサー坂本は、次の対戦相手として長年のライバル関係だった拳を指名する。

第4巻

中城拳は、当初はプロボクサーの夢をあきらめたと坂本の指名を断っていたが、河野玲から背中を押された事で試合に臨む。そして、坂本に勝利を収めた拳は、もう一度世界チャンピオンを目指してプロボクサーになる事を決意するのだった。季節は巡りクリスマスが訪れ、中城善亀戸しま奈を呼び出し、クリスマスプレゼントを渡して、まだ好きでいる気持ちが変わらない事を伝える。一方、しま奈と藤原虎はお互いにプレゼント交換をして、しま奈は幸せな気持ちになると同時に、虎からは子供としか見られていない事を実感する。虎の事をもっと知りたいと思ったしま奈は、拳の力を借りて高校の卒業アルバムを入手。そこでしま奈は、虎の名前とアルバムに記載されている名前が違う事を知る。その事実を知られた虎は不機嫌になり、さらにしま奈が事情を打ち明けてほしいと追い打ちをかけたため、虎はしま奈を冷たくあしらう。加えて拳と龍ヶ江朝陽からは、虎は英語教師になりたかったが大学受験に失敗し、現在は検事として働いている事実を暴露され、虎はさらに機嫌を損ねていく。そんな虎に対し、しま奈は勢いで告白してしまう。

第5巻

亀戸しま奈藤原虎に告白するも、虎の態度は以前となにも変わらなかった。現状を変えるため、しま奈は学校で催される創立祭りに虎を誘い、舞台上から虎に改めて告白をするが、虎からは返事を保留される。そんなある日、しま奈と虎が二人で話しているところに、偶然中川先生が通りかかる。すると虎は突然しま奈に付き合うと告げ、二人の交際がスタートする事となる。同時にしま奈は、虎と中川先生が恋仲だった過去を知ってしまうが、今は虎との幸せな時間だけに集中しようと、二人の関係を築くために奮闘する。しかし虎はそっけない態度ばかりを取り、しま奈は落ち込んでしまう。そんなしま奈を見た虎は「これから好きになる努力をする」と本音を打ち明け、しま奈を受け入れるのだった。一方、しま奈に好意を寄せていた中城善は、虎としま奈が交際している事実を静かに受け入れ、身を引く決心をする。そんな中、しま奈と虎がデートをしていると、中川先生とその子供と顔を合わせ、虎はこれまでしま奈が見た事もない切なそうな表情を見せる。そしてしま奈は、未だに虎の中に中川先生がいる事を思い知らされてしまう。

第6巻

今でも藤原虎中川先生を大切に思っている事を知った亀戸しま奈は、無理に交際を続けていても虎の負担になるだけだと別れを告げ、シェアハウスを出て自宅へと戻る。しま奈と虎の破局を知った中城善は再び、しま奈に猛烈にアプローチをかける。しま奈も自分を一途に思い続けてくれる善に徐々に心を開いていき、ある日の放課後、二人は手をつないで帰宅する。そんな姿を虎と龍ヶ江朝陽に目撃されたしま奈は、虎と二人きりで話しがしたいと申し出る。そしてしま奈は善ではなく、やはり自分の心は虎にあると改めて告白する。しかし、ここでも虎はしま奈を受け入れる事はなかったが、しま奈はこれからも虎を思い続けていく事を決意する。善はしま奈に対し、自分もしま奈が好きだが、本当に幸せになってほしいからこそ虎との恋も応援すると宣言する。そんなある日、しま奈は善、虎、朝陽、三浦直樹と五人でキャンプに行く計画を立てる。

第7巻

キャンプの夜、藤原虎亀戸しま奈の一途な思いに心を動かされ、思わずキスをしてしまう。それ以上の進展はなかったものの、しま奈は虎との関係が一歩前進した事に幸せを覚える。そんな中、しま奈の誕生日が訪れ、中城善と虎の三人でデートする事になったが、当日になり虎は仕事が終わらずに参加できなくなってしまう。結局しま奈は善と二人きりで過ごすが、善が一生懸命に自分を楽しませようとしてくれる姿を見て、しま奈は不思議と寂しい気持ちにならずにいた。そして夜は、虎がバラの花束をプレゼントしてくれた事もあり、しま奈にとって忘れられない誕生日となる。そんなある日、突然虎の父親・藤原検事がしま奈の前に現われ、虎は立場上女子高生と親しくする事は許されず、もうかかわらないでほしいと釘を刺される。さらに藤原検事はシェアハウスを訪れ、この土地を売却すると宣言。虎と藤原検事が言い争いになっている中、しま奈はシェアハウスを出て行きたくない事、そしてなにを言われても自分は虎が好きだという事を言いきる。

第8巻

藤原検事亀戸しま奈に接触する可能性があるため、藤原虎はしま奈の護衛として共に行動する時間が増え、しま奈は幸せな日々を過ごしていた。そんな中、しま奈は突然に三浦直樹から告白を受けて動揺するものの、すぐに直樹は川内志穂の事で藤原検事に世話になっており、しま奈と虎の恋愛の応援はできないと告げる。さらに藤原検事はしま奈に直樹の従弟・三浦秀次郎を引き合わせ、秀次郎をはじめ虎以外の男性と付き合えばシェアハウスの土地を売却しないと話を持ちかける。そこでしま奈は、中城善と交際をしたふりをして欺こうと計画を立てるが、秀次郎にあっさりばれてしまう。そして藤原検事はしま奈達に対し、あと1週間でシェアハウスから退去するように迫る。

第9巻

藤原虎三浦直樹が持っていた土地の売買契約書を破り捨て、亀戸しま奈中城善龍ヶ江朝陽三浦秀次郎と五人で逃亡がてら旅行へ出かける。その夜、しま奈は秀次郎から、虎は藤原検事の命令で福岡に転勤になり、その代わりにシェアハウスはそのまま残す事になったと告げられる。福岡に行く事になった虎は、しま奈は善と交際した方が幸せになれると告げるが、しま奈は藤原検事から虎を守りたいという気持ちが湧きあがっていた。そしてしま奈は、虎が検事の仕事を辞めれば転勤にならないと考え、善と共に虎の夢だった英語教師の道を目指してもらうべく、大学の情報や入試の要点をまとめたノートを作成する。そんなしま奈を見た虎は、初めてしま奈に好きだと告白する。今まであやふやな関係を続けていたしま奈と虎は、正式に恋人同士になり、しま奈は虎の実家へと遊びに行き、虎の母親・藤原ふみえと意気投合する。一方、善は学校一の美少女・玉田サエコから片思いをされている事実が判明する。

第10巻

藤原虎が福岡へ転勤する前日、亀戸しま奈は登校日だった事もあり、虎に制服を着せて学校へと連れ出す。しかし楽しい時間はあっという間に過ぎ、下校時に中城善龍ヶ江朝陽は虎に改めてこれまでの礼を伝える。そしてしま奈も虎との思い出を語り、虎はしま奈に対して転勤から戻って来たら結婚しようとプロポーズする。その後、虎はシェアハウスを出て福岡へと向かい、しま奈と虎は遠距離恋愛を本格的にスタートさせるのだった。一方、善はしま奈への思いを断ち切れずにいたが、その思いを玉田サエコに打ち明けた事で気持ちに整理をつけ、自分を誰よりも大切に思ってくれているサエコと交際する事を決意。そして2年後、虎は転勤先の福岡からしま奈達が暮らすシェアハウスに戻って来る。

登場人物・キャラクター

亀戸 しま奈 (かめこ しまな)

猶明高校1年生の明るく元気な女子。父親の再婚相手との生活に馴染めず、家出を決意する。簡単な荷物を持って家を飛び出したしま奈は、公園で倒れている藤原虎に出会い、格安物件を紹介される。好条件なので入居を決意したしま奈は、虎、中城善、龍ヶ江朝陽との共同生活をスタートさせる。明るく素直で、喜怒哀楽をはっきりと表す性格なので、どんな人とも親しくなれる。 共同生活を送るようになったことが、家族との関係を見つめ直すきっかけとなったため、そのチャンスを与えてくれた、虎のことが気になるようになる。

藤原 虎 (ふじわら たいが)

亀戸しま奈、中城善、龍ヶ江朝陽が住む家の大家。21歳の男性で、職業は検察官。いつも着物を着て生活している。強度の女嫌いで、「女性」に触れられることを嫌う。しかし、高校生は「女の子」として見ているため、しま奈に触れられるのを拒否することはない。父親である藤原検事が進路に厳しく、教員になる夢を諦めた過去がある。 そのため、しま奈たちには、夢を持つことを入居の条件にしている。

中城 善 (なかじょう ぜん)

猶明高校1年生の男子。亀戸しま奈とはクラスメイトで、しま奈が引っ越して来たことにより、同じ家で暮らすようになる。当初はしま奈のことをからかってばかりいたが、やがてしま奈に惹かれていく。何事にもまっすぐで明るく、周りを楽しませるムードメーカー的な存在。しま奈が困っている時は相談に乗ったりするなど、面倒見がいい一面もある。 将来漫画家になる夢を持っている。

龍ヶ江 朝陽 (たつがえ あさひ)

猶明高校2年生の男子。亀戸しま奈の先輩で、しま奈が引っ越して来たことにより、同じ家で暮らすようになる。将来は弁護士になることを夢見ており、学校ではいつも法律の本を読んでいる。明るく爽やかなイケメンだが、本を読んでいる時は人が変わったように暗くなる。幼なじみの長浜まなみに片想いをしていたが、なかなか気持ちを伝えられずにいた。 しま奈の協力を得て、まなみが海外に行く直前に、ようやく想いを伝えることに成功する。

早乙女 美紅 (さおとめ みく)

藤原虎の友人で、スタイル抜群の美女。亀戸しま奈、中城善、龍ヶ江朝陽が住む家の元住民であり、持ち主。結婚した際に家を建てたが、やがて離婚し、家を使いたがった虎に貸している。離婚の際にいろいろと相談を持ちかけていた虎に、次第に好意を抱き、現在は虎に片想いをしている。明るく面倒見のいい性格。「美」におけるしま奈の師匠となり、綺麗になるための秘訣を伝授したり、ショッピングに連れ出したりしている。

長浜 まなみ (ながはま まなみ)

猶明高校に通う風紀委員の女の子。黒髪で背が高く、美人。龍ヶ江朝陽の幼なじみで、同じアルバイト先で働いている。朝陽の片想いの相手でもある。父親が起こした交通事故の被害者を介護しており、そのために被害者とともにニューヨークに行くことになる。

中城 拳 (なかじょう けん)

中城善の兄で、藤原虎とは高校時代の同級生。ボクシングの世界チャンピオンになる夢を持っていたが、父親が喘息で倒れ、家族を支えるために夢を諦めて働き出した。夢を諦める辛さを知っているため、善には漫画家になる夢を叶えて欲しいと思っている。

河野 玲 (こうの れい)

中城拳の彼女で、藤原虎とは高校時代の同級生の女性。拳が唯一逆らえない相手。高校の時に拳が猛アタックして交際が始まった。基本的に笑顔で優しいが、時にはきつい一言を浴びせる。拳がボクシングに未練があることをわかっていて、再びボクシングをさせるために、坂本と取引をする。

坂本 (さかもと)

中城善、河野玲、藤原虎の高校時代の同級生の男性。現在はプロボクサーで、端正な顔立ちから「ボクサー界のプリンス」として知られる。かつては拳とライバル関係にあり、現在も拳の動向を気にかけていた。玲のことを高校時代から好いており、賭けとして玲から提示された条件を飲み、拳との試合に臨む。

三浦 直樹 (みうら なおき)

藤原虎の高校時代の同級生。無愛想で目つきの悪い男性で、現在は警察官をしている。高校生の時に川内志穂が交通事故にあった際に、近くにいたのに助けられなかったことを悔やんでおり、眠り続ける志穂の病室に見舞いに行っていた。志穂の交通事故の時には藤原検事に世話になっており、その恩返しのため、亀戸しま奈と虎の仲を邪魔していた。

川内 志穂 (かわうち しほ)

かつて三浦直樹と同じ高校に通っていた男性。優柔不断ではっきりしない性格。その性格がもとでトラブルになり、高校生の時に交通事故に巻き込まれ、意識不明のまま眠り続けていた。目が覚めてからは、三浦から、藤原虎と藤原検事どちらの肩を持てばいいのか、相談を受けていた。

中川先生 (なかがわせんせい)

藤原虎が高校に通っていた時の英語の女性教師。高校の時に虎と付き合っていた噂があり、虎も事実であることを認める。虎とは別れ、別の人物と結婚したが、現在は離婚し、息子が1人いる。偶然亀戸しま奈の通う猶明高校の英語の教師をしており、しま奈の文化祭に来ていた虎と再会を果たす。

三浦 秀次郎 (みうら しゅうじろう)

三浦直樹のいとこで、高校生の男の子。女好きで軽い性格。藤原検事の回し者で、亀戸しま奈と藤原虎を近づかせないようにするために、しま奈に接触をする。何度もしま奈にアプローチをかけるが、虎や中城善にことごとく阻まれる。

玉田 サエコ (たまだ さえこ)

猶明高校に通う女の子。ミス猶明高校となったほどの美少女。中城善と高校2年生の時に同じクラスになる。本当は明るく優しい女の子だが、父親の教えにより、好きではない男子には冷たい態度をとる。善に想いを寄せており、亀戸しま奈に対して嫉妬をしていた。のちに言葉を交わし合い、しま奈とは友人となる。

藤原検事 (ふじわらけんじ)

藤原虎の父親で、藤原ふみえの夫。厳格な性格だが、息子である虎に冷たくされると、落ち込んだりする子煩悩な一面もある。常に着物を着用していて、和風の豪邸に住んでいる。自分の跡を継がせるため、虎が幼い頃から検事になるための勉強を教えていた。虎に近づく女性は、虎に釣り合わないという理由で仲を引き裂き、排除してきた。

藤原 ふみえ (ふじわら ふみえ)

藤原虎の母親であり、藤原検事の妻。和風の豪邸に住み、常に着物を着用。自宅で着付け教室を開いている。虎の女性嫌いを理解し、虎が好きなのは自分だけであると豪語する。虎を大切に思っており、虎を理解してくれる女性に対しては優しい。

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