グラスホッパー

グラスホッパー

2004年に出版された伊坂幸太郎による小説が原作の漫画で、2015年に映画化もされた作品。鈴木、鯨、蝉という面識のない3人の登場人物の物語が巧みに交差していくサスペンスアクションストーリー。「コミックチャージ」にて2008年第10号から2009年第3号に掲載された。原作は伊阪幸太郎。

正式名称
グラスホッパー
ふりがな
ぐらすほっぱー
原作者
伊坂 幸太郎
漫画
ジャンル
サスペンス
関連商品
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登場人物・キャラクター

鈴木 (すずき)

真面目で小心者を絵に描いたような元中学校教師。交通事故により最愛の妻を亡くしたことで教師を辞め、妻を轢き殺した男、寺原の息子の父親である寺原が経営する会社に入社した。だが、復讐相手の寺原の息子は鈴木の目の前で車に轢かれてしまい、現場に居合わせた鈴木は寺原の息子を後ろから押した人物を目撃する。押し屋と呼ばれるその殺し屋の後を中津比与子に言われるがまま追うが、鈴木が行き着いた場所はなんの変哲もない普通の一軒家だった。 同僚から押し屋の居場所を教えろとの社命を受けた鈴木は、その家に家庭教師の営業として潜入するが、温かく迎えてくれた家族の様子を見て、社命を果たすべきかどうかを迷い始める。

(くじら)

自殺専門の殺し屋。隻眼で額に蜘蛛のようなタトゥーの入った全身黒ずくめの大男。何故か彼の目を見た相手は自身の心にある死への思いが増幅され、自殺の道を選んでしまう。いつの頃からか、自殺に追い込んだ人間が目の前に現れ話しかけてくる幻覚を見るようになり、現実との区別がつかなくなっている。10年前に一度だけ仕事に失敗した際、押し屋にその仕事を奪われてしまったことが幻覚の原因と思い込み、すべてを清算するため押し屋を追う。 公園でホームレスのような生活をしており、愛読書はロシア文学の古典「罪と罰」。それ以外の小説は読んだことがなく、「罪と罰」は常に何冊か持ち歩いているが、無くしたり破損すると予備を買ってしまう。

(せみ)

ナイフを扱い戦闘能力も高い殺し屋。身長が低く、若く見られることを気にしている。岩西と組んで殺人の依頼を受けているが、鯨を殺すという依頼を遅刻したため失敗してしまう。失敗を帳消しにできると思い込み、総合商社フロイラインを出し抜いて押し屋を殺そうと画策する。口が非常に悪く、煩いほどよくしゃべるので「蝉」と呼ばれている。 岩西の事務所にある自室で食べるために魚を飼っているが、それは命あるものを食べて生きているという事実が重要だと思っているためである。

鈴木の妻 (すずきのつま)

寺原の息子の運転する車に轢かれ亡くなった。鈴木とは朝食バイキングで知り合い、1ヵ月後に付き合い始め、一年半後に結婚した。明るく負けず嫌いな性格で、なんでもやってみないと気が済まない。「やるしかないじゃない」が口癖。

中津 比与子 (なかつ ひよこ)

総合商社フロイラインの営業部所属の女性。鈴木の教育係のようなことをしており、入社1ヵ月になる鈴木の忠誠心を試すため人を撃たせるというとんでもない入社試験を受けさせようとする。だが、そんなとき寺原の息子が車に轢かれてしまい、押し屋を見たという鈴木にその人物を追うよう命じる。一時は社長である寺原の愛人で、社長直属の監察班長を務めていた。

岩西 (いわにし)

蝉と組んで殺人を請け負う業者を経営している。細身でオールバックに無精髭という風貌の中年男。弱小業者であるため依頼の交渉や根回し、金の管理などを一手に引き受けている。ジャック・クリスピンというロック歌手を人生の師と仰ぎ心酔しており、なにかにつけて彼の名言を語る。

(もも)

アダルト雑誌専門の本屋の女主人。裏稼業として武器屋と情報交換の場も兼ねており、仕入れの多さとメンテナンスの正確さで商売は繁盛している。情報とナイフのメンテナンスを頼みに入り浸る蝉をかわいがっているが、サービスと称して新しい武器のモニターとしても使っていた。

槿 (あさがお)

押し屋と思われる男で、妻と2人の息子がいる。決死の思いで潜入してきた鈴木をいとも簡単に受け入れるが、無表情で淡々とした態度をしているためその真意は誰にも見えない。鈴木にトノサマバッタは互いが密集した場所で育つと、黒くて翅が長く凶暴なタイプになるという「群集相」の話を聞かせている。家では着物を着用している。

槿の妻 (あさがおのつま)

明るく元気でショートヘアにメガネという、まるで女子大生のような見た目の女性。誰がどう見ても怪しい理由で潜入してきた鈴木に対し、仕事で京都に行く間だけでも子供の面倒を見てくれると助かる、と言ってのける楽天家。

健太郎 (けんたろう)

槿の長男で小学3年生の男の子。槿家の前で躊躇する鈴木に声をかけ、彼が槿家へと潜入するきっかけを作った。サッカーが好きで部活などには入っていないが、ボール捌きも上手い。「PK」の意味が分からず、鈴木に尋ねていた。

孝太郎 (こうたろう)

槿の次男で5歳の男の子で、猫のような着ぐるみを着ている。鈴木が潜入した際は風邪を引いて病院に行っていた。昆虫が好きで昆虫シールを収集しており、抽選でコンプリートアルバムが当たる応募ハガキを自分で書いていた。

寺原 (てらはら)

総合商社フロイラインの社長。政財界に太いパイプを持っており、常習性のある薬から臓器売買まで、金になることなら何にでも手を出す。ゆえに彼を恨んでいる人物は数が知れないほど。かつては中津比与子を囲っていたが、現在は価値が無いとして距離を置いている。

寺原の息子 (てらはらのむすこ)

父親の威を借るバカ息子。女性やヤクザ関係のトラブルや、訴訟沙汰も数知れず。その度に寺原の権力でねじ伏せてもらっていた。鈴木の妻を轢き殺したことで鈴木に恨まれていたが、押し屋により車に轢かれてしまう。

梶 政男 (かじ まさお)

与党の大物衆議院議員。自身の秘書に不正献金の責任を取る形で自殺をするよう鯨に依頼した。だが、鯨がそのことを外部に漏らすのではないかと怯え、今度は鯨を始末するよう岩西へ依頼する。どこまでも小心者で疑り深いやっかいなタイプの人物。

梶の秘書 (かじのひしょ)

梶政男の雇われ議員秘書。妻とまだ成人していない子供がおり、地元の市議選に推薦の話も来ていたが、梶の保身のため不正献金の責任を負わされ鯨に自殺させられた。彼が自殺したホテルの部屋には、家族あての遺書が残されていた。

土佐 (とさ)

拷問の専門家だが、専門は商品開発と営業。背が低く外斜視でスーツを着ている男。路地裏である男を拷問している途中で蝉に出会う。蝉と交戦するも、自身の開発した液状の劇薬に顔を突っ込まれ倒される。

(しば)

拷問の専門家でナイフの使い手。背が高く長髪でメガネをかけ、帽子を目深に被っている男。路地裏である男を拷問している途中で蝉に出会う。仕込みナイフなどを駆使し蝉と交戦するも、口をナイフで裂かれ倒される。

クロ

キーちゃんの彼氏。黒が好きなためそう呼ばれている。見た目は今時の青年でノリが軽く、口調も知性を感じさせない。鈴木の会社への忠誠心を試す試験の対象者として、中津比与子に拉致されてしまう。

キーちゃん

クロの彼女。黄色が好きなためそう呼ばれている。ギャルらしい見た目と口調で「黄粉」を「キフン」と読んでしまうほど。鈴木の会社への忠誠心を試す試験の対象者として、中津比与子に拉致されてしまう。

集団・組織

総合商社フロイライン (そうごうしょうしゃふろいらいん)

ドイツ語で「令嬢」という意味で、別名「令嬢」とも呼ばれている。社長に寺原を据え、常習性のある薬を美容食品と偽って売りさばいたり、情報や臓器の売買、殺人などを請け負う裏企業。病的に疑り深い会社で、新人に対し入社試験と称して人を殺させるという行為を頻繁に行っている。

その他キーワード

自殺させ屋 (じさつさせや)

自殺専門の殺し屋。「無」である自身の目を凝視させることで、無意識のうちに対象者の心の深淵に潜む死ぬ理由を思い出させる。それにより生きる理由を失った対象者は自ら死を選んでしまう。

押し屋 (おしや)

依頼を受けて、駅のホームや道などで後ろから人を押して死に至らしめる専門の殺し屋。秘密裏に任務を遂行するため、目撃者や情報は極端に少ない。総合商社フロイライン全社員を総動員してもなかなか行方が掴めないほど。

劇団 (げきだん)

裏社会の色々な依頼に合わせた人材を派遣する集団。裏の業界での通称で「何でも屋」とも呼ばれている。総合商社フロイラインと揉めており、寺原の息子を車に轢かせたのは劇団ではないかと疑うフロイライン社員もいる。

クレジット

原作

伊坂 幸太郎

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