ウルトラヘヴン

ウルトラヘヴン

近未来のドラッグや瞑想補助機械によって、誰でも気軽に超現実的な体験ができるようになった世界を舞台に、独特の反復や、有機的に歪曲したコマ割りなどによって、現実と妄想の境界が曖昧になっていく様子を描く異色作。弱冠16歳で手塚賞を受賞した小池桂一の代表作。深層心理学や超能力、物理学などの薀蓄を散りばめながら、緻密な線描と変則的なコマ割りなどの卓越した技術が駆使されている。

正式名称
ウルトラヘヴン
ふりがな
うるとらへゔん
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
関連商品
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概要・あらすじ

自殺願望を持つカブはドラッグに溺れ破滅的な日々を送っていた。あるとき、謎の売人から特別製と言われて飲まされたドラッグウルトラヘヴンによって、虚実の境界がひどく曖昧になってしまう。そんな折、友人に誘われてカブ瞑想センターを訪れ、自らの内的世界の追求を始めることになる。

登場人物・キャラクター

カブ

自殺性向と非合法薬物常習癖がある。自分自身のなかに時空の穴が空いていると、謎の売人から指摘される。瞑想センターでのハンドルネームはヘヴン。瞑想センターの中心的な施設であるドロームにおいて、初参加にもかかわらず上級者たちマスターズの挑戦を受ける。

セブン

カブの友人。金髪のモヒカンと、ウルトラセブンのウルトラアイのようなメガネが特徴。

ネロ

カブの行きつけのポンプバーの店主。カブはネロの店で相性の悪いドラッグの組み合わせをキメてしまい、死にかける。

桐山 (きりやま)

『ウルトラヘヴン』に登場する架空の人物。瞑想センターの創立者。元は大学の物理学教授。瞑想センターを始める前は衛生局で脳の研究をしていた。

サリイ

瞑想センターの中心的な施設であるドロームに通っている。カブをドロームに誘った張本人。ドロームの中では、アリスという薬物によって圧倒的なパワーを発揮し、多くの参加者から愛されている。その反面、ベテランたちからはドロームを穢す魔女、「ドローム荒らし」と呼ばれ嫌悪されている。

曽我ちゃん

『ウルトラヘヴン』登場する架空の人物。瞑想センターの中心的な施設であるドロームの上級者マスターズの一員。サリイと対立するベテランたちを解脱させ、ドロームを騒がせたサリイが薬物を使っていることを暴露した。坊主頭で、耳をピクピク動かしてしまうという癖があり、その癖を指摘したカブを解脱させようとする。 一人称は「ボクちゃん」。自分が覚醒することによって、相手のチャクラを開くクンダリニー覚醒の能力がある。

集団・組織

衛生局

『ウルトラヘヴン』に登場する組織。職員は衛生官と呼ばれている。制服を着て街頭での職務質問を行うなど、現代日本の警察に似ている部分がある。作中では、衛生局は病院と警察を合わせたようなところで、衛生官は病気の人を助けたり危ない薬をなくすために働いている、という形容されている。反面、怪しい言動の人物を見かけたら職務診察を行い薬物乱用を取り締まっている。 市民の健康のためと謳いながら、衛生官の小遣い稼ぎと揶揄されることもある。

場所

ノヴァ

『ウルトラヘヴン』に登場する店舗。ポンプバーと呼ばれる、ドラッグのカクテルを客に合わせて提供する店。ポンプバーは客を適度な依存症に陥れるのが一般的な経営戦略だが、ノヴァのマスターは客を依存症にしないことにプライドをもっている。オリジナルカクテルの「ノヴァ・エクスプレス」は壮絶だが、一回こっきりで生涯にわたる耐性がついてしまう。

瞑想センター

『ウルトラヘヴン』に登場する施設。通称メーセン。元衛生局の研究者である桐山によって創立された。意識と物質を瞑想によって相転移させ、意識で物質に働きかける、いわゆる超能力を可能にさせる訓練を行っている。

ドローム

『ウルトラヘヴン』に登場する施設。瞑想センターの「本丸」と呼ばれる。参加者は各自の脳の特性を記憶させたIDチップを席のスロットに差し込み、参加者ひとりひとりの内面を反映した共同幻想世界を彷徨することができる。共感覚トランスゾーンとも呼ばれる。

その他キーワード

ピーターパン

『ウルトラヘヴン』に登場する薬物。通称P。カブは最上級品からカスのようなものまで、様々なピーターパンをキメてきた。なお、ペギラという薬物との相性は悪く、PPと呼ばれている。PPをキメると脳波停止(フラットライン)の危険がある。

ウルトラヘヴン

『ウルトラヘヴン』に登場する薬物。カブが謎の売人から薬物ピーターパンの特製品と言って渡されたもの。ウルトラヘヴンという名称は、幻覚の中でカブが売人に教えられたもの。

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