最終戦争シリーズ

最終戦争シリーズ

地殻変動兵器による最終戦争以降、人類は滅亡への道をたどっている。その背後には、有史以前に火星と金星を滅ぼした、破滅をもたらす異種生命体、デーヴァダッタの影があった。活力を失った人類と、滅びをもたらすデーヴァダッタとの戦いを描く壮大なSF連作コミック。シリーズ中、最終戦争そのものを描いた物語は少なく、3500年代がシリーズの主たる背景である。さらに20世紀末や歴史上のエピソードなども絡めて展開していく。シリーズの中には、大きな流れから独立して、デーヴァダッタや時空犯罪者の起こした事件を描き、終盤にパトロールの西塔小角らが説明をしに登場するだけのものもある。パトロールとして働く小角らを主人公にした「パトロールシリーズ」、伊津原永都らを主人公にした「最終戦争伝説」を内包する。山田ミネコが1970年代から描き続け、小説や同人誌で展開し続けている超大作。未完。

正式名称
最終戦争シリーズ
ふりがな
あーまげどんしりーず
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
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概要・あらすじ

西暦2296年に勃発した最終戦争により、人類は20程度の都市国家に生き残るのみになってしまった。科学技術の進歩により、ほぼ不老不死を手にした人類だが、西暦3500年に至るまで緩やかに滅亡に向かっていく。人類の未来をつなぐために尾鷹星野西塔小角伊津原永都らは、人々の滅びへの欲求を叶える異種生命体デーヴァダッタなどに抗い続ける。

登場人物・キャラクター

尾鷹 星野 (おだか せいや)

『最終戦争シリーズ』の主人公の一人。『逢魔街道編』『敦煌』『パトロールの門』の主人公。ストレートの長髪で、どこかはかなげで上品そうな青年。西暦3364年生まれ。市トーノ出身。歴史学者の両親が家を不在がちのため、兄の尾鷹森夜に育てられる。3歳で位相幾何を学び、5歳で虚数空間制御装置を作り、時間跳躍機も制作している。 12歳で大学を卒業し、19歳で市立大学特別客員教授となった。森夜との1976年への時間旅行で15歳の大槻笑を見初めて、笑が16歳で病死することを知り、彼女を時間移民させるため、パトロールになる。1970年の鎌倉で笑と将来を約束し、単球性白血病で病死することが分かっていた笑の兄、大槻真砂流を時間移民させた。 1977年に笑が肺ガンで死亡したところを蘇生させて時間移民を行っている。3502年に笑と結婚するはずだったが、式当日に市トーノをデーヴァダッタが襲撃。笑は星夜を助けるために投身自殺し、デーヴァダッタに同化された。 デーヴァダッタとして出没する笑に、それまでと変わらない態度でラブラブに接している。人間の味方をしてくれることもあって、笑が生きているだけで幸せだという。

西塔 小角 (さいとう おづぬ)

『最終戦争シリーズ』の主人公の一人。『ファーストコンタクト』『トルント沼沢地』『夢魔』『笛吹伝説』『放電空間』『雨の降る日は天気が悪い』『とっくりタヌキ』『きつね雨』『ケサラン パサラン』『地平線の銀の星』『ドクター・レイクの休診日』『ワイプ・アウト』『午前2時の丘』『遠い声』『友達に似ている』『夜が明けたら』『激闘 市立病院』『涙のような雨がふる』『悪夢の日』『大車』などの主人公。 真ん中分けの長い黒髪。行動派でかなりムチャなことをする。大槻真砂流や伊津原永都に似ている。西暦2746年7月11日生まれ。カザフスタン大公国の第三公子として生まれたが、公国滅亡の直前に脱出、市オタルに移る。母の秋吉唱が西塔夜行と結婚し、その後、弟の西塔未信が生まれている。 2764年にパトロールとして幼馴染みの依志羽良絵馬超空時課長の部下に配属される。任務中にたびたび出会う熾天使に恋をしている。母・唱の冷凍処置や市長である父・夜行の昏睡などの事件後、パトロール局長になった。2806年には熾天使から現在の宇宙が生まれる前の宇宙への移住を持ちかけられたが、市オタルのために断念。 市オタルの市長に就任するが、3カ月で謀殺された。この時、尾鷹星野に救われ、3506年への時間移民となりカトマンズに落ち着く。そこで、デーヴァダッタとなった母・秋吉唱と再会。熾天使に似た大槻笑に横恋慕してしまうが、これは星夜にイジられる格好のネタとなっている。 市長専用機の主席操縦士に就職するが、友人のハヌマンが壊した王宮の修理費を請求され、パトロールのアルバイトで稼いでいる。母・唱の邪悪さに悩みつつ、幼少期に見た笑顔を忘れられずに強く出られない重度のマザコン。 これは、作者の山田ミネコの正式な見解として語られている。

伊津原 永都

『最終戦争シリーズ』の主人公の一人。『秋津島大和編』『黄泉の向こう岸』『開放都市』『孔雀天使城』の主人公。1964年生まれ。鎌倉の高校で応援団長をしていた。ソマの母を早くに亡くし、父と兄と暮らす。カトマンズに着くまでは、左右の髪が逆立っていたが、後に落ち着いて西塔小角や大槻真砂流によく似た姿に育った。 春車の夢に引き込まれ、3502年に時間移動。春車の姉・大車とともに市トーノから西の22に移り、パトロールの尾鷹星野により一旦1981年に帰還する。1982年に電車ホームから転落死するところを助けられ、今度は尾鷹星野によって正式な時間移民として3502年へ移動。時間旅行以前に出会い、縁があったデーヴァダッタの合歓が黄泉の王の花嫁となったことで、自分がソマ族であることを自覚する。 カトマンズで生き神(クマリ)からソマの王と認められたものの、力不足のために恋をした相手の市長の娘シギリアを失う。その怒りでソマの王として覚醒。修行に明け暮れ、精神飛行によってデーヴァダッタの来歴を探った。 その後は、大車の気持ちに応えつつある。

(しゃどう)

『最終戦争シリーズ』の主人公の一人。『影』『ワイプ・アウト』『風の迷路』『風の尖塔』『黒の谷風』『封鎖地区』の主人公。西塔小角のクローンとして、小角の祖父で魔術師兼医者の秋吉真名部によって作成された。外見は小角と変わらないが、身長は2㎝だけ低かったという。カザフスタン大公国滅亡後、無法者の仲間になる。 市オタル市長、諌早呉道の誘いに乗り、小角との入れ替わりを計画して上司の依志羽良絵馬を誘拐。しかし、絵馬を殺そうとした呉道と相討ちとなって虚数空間に流されてしまう。その後、三合会のドクター・ダウラギリに蘇生させられたものの、人工心臓に半年ごとに更新が必要な時限爆弾を仕掛けられ、配下になる。 ダウラギリがレイクに取って代わられると、レイクの部下になる。その後、レイクから、「視力を失い角と羽を移植された絵馬とともに次の人工心臓の更新までに15世紀のイタリアから三合会の時間通路にたどりつけるか」というゲームを強いられる。絵馬を彼女の安全のためにボルジア家へと売り、バグダッドのパトロール時間支局に向かったが、これはパトロールに絵馬救出を託す計画を立てていたためであった。 ゲームは三合会乗っ取りを狙う時空海賊の乱入の末、小角とエディラの介入で終了。だが三合会にダウラギリを暗殺したことがバレたレイクは、すでに逃走していた。 いち早く彼の後を追い、虚数空間内の潜伏先に侵入して小型爆弾摘出手術を受けた後、パトロールにより救出されている。市オタルで絵馬と結婚。式はレイクとエディラと合同で挙げられたが、絵馬が行方不明になってしまい、捜索中に姿を消している。

レイク

『最終戦争シリーズ』の主人公の一人。『ドクター・レイクの休診日』『ドクターレイクの花祭り』『ゴドニー&アスール・カンパニー』『風の迷路』『海へいこうね』『風の尖塔』『黒の谷風』『封鎖地区』の主人公。籐細工が趣味。人工授精児で峡とともに第三次海王星探検隊に参加。生還後、三合会の首領ドクター・ダウラギリに育てられる。 同じ境遇の8人の兄弟が天竜八部衆と呼ばれ、レイクは五部浄(ごぶじょう)と呼ばれた。ダウラギリの娘デイジの婚約者で、デイジの殺人癖のためにレイクに近づく人間は殺されてしまい、友人はいなかった。2765年に三合会の調査に来た西塔小角と友人になり、彼と依志羽良絵馬を助けるためにデイジを殺害。 屋敷に火を放ち焼死を装って、機を見てダウラギリと入れ代わり三合会の首領となる。0013年のエルサレムで出会ったパトロールのエディラに恋をした頃から、人生について考え始める。その過程で影と絵馬によるゲームを思いつき、愛について考えようとした。 この時、絵馬を追って来たエディラと再会。三合会の八部衆にダウラギリ暗殺のことを知られて逃亡。追って来た影の爆弾を外し、友情を確認する。市オタルに生還後、エディラと結婚。医者として開業した。しかし、エディラがパトロールの任務中の事故で行方不明となると捜索のために姿を消す。 その後、紀元前のペルシャからエディラ似の王女と駆け落ちし、娘フュスリが生まれる。時空犯罪を繰り返すようになったフュスリは西塔小角に保護され、3506年に移された。その後レイク本人はパトロールに追われて時間海賊をしている模様。

大槻 笑 (おおつき えみ)

『最終戦争シリーズ』の主人公の一人。『冬の円盤』『誕生日がこない』の主人公。人類を救うために奔走する女性。右で分けたゆるいウェーブのロングヘアをしている。性格もふわっとしてるが、思いこんだら頑固。1961年生まれ。早くに母を失っている。9歳で父が自殺し、引き取り手をめぐる騒動の中、尾鷹星野と出会い将来を約束する。 その時、兄・大槻真砂流は時間移民で星野とともに未来へ消えてしまった。16歳で肺ガンにより死亡するが、星野に連れられて3500年に時間移民する。静養後、3502年の星野との結婚式当日にデーヴァダッタに脅され、星野を助けるために投身自殺し、20万歳のデーヴァダッタに同化される。 しかし、その後もデーヴァダッタでありながら星野に協力をし続けている。西塔小角からは熾天使と間違えられたことをきっかけに横恋慕されているが、星野の友人以上の認識はなく、あまり気に留めていない。デーヴァダッタの上司である秋吉唱の作戦を邪魔していることも多いが、相手にはされていない。 星野以外の人間の生気を吸い取りたがらないため、力尽きて倒れることがよくある。カトマンズ周辺で倒れ、ハヌマンに拾われて押し入れに放り込まれていたことが2回はある。

秋吉 唱

長い黒髪の女性。市トーノの魔術師兼医者である秋吉真名部の娘だが、自殺嗜好症のために昏睡状態にされ、2年ごとに目覚めていた。カザフスタン大公国で、大公に見初められ一の妃となる。大公との間に小角を生んでいる。大公国滅亡の際は市オタルのパトロール、西塔夜行の先導で、小角と共に市オタルに移民。 夜行と結婚して未信を授かる。文化計画に加わり歌手活動を始めたが、自殺嗜好症が再発して失踪。このころ、未信が唱の影響で自殺している。地下の秘密クラブで逮捕され、人々を死に誘う歌を封じるために声量を1/4にされる。30年間被監視者だったが、2798年に手製の熱線銃で自殺。 市会議の決定で蘇生された後、冷凍睡眠処置を受けた。数百年後、デーヴァダッタの指導的立場となってカトマンズ周辺に出没している。小角がカトマンズに来てからは活動が活発化。事件を起こしては「みんな小角が悪いのよ」と高笑いする、歪んだ母の愛を発揮している。 ソマの戦士ハヌマンに言い寄られていたが、これはまんざらでもない様子であった。自分の弱さが嫌いで、力を強く求めていたため、同化してきたはずのデーヴァダッタの方が捕まえられている状態である。

御子芝 唯 (みこしば ゆい)

『最終戦争シリーズ』の主人公の一人。『西の22』『木は花の天使のオレンジ』『逢魔街道編』の主人公。黒い縮れ髪がトレードマーク。宇宙飛行士(アストロノウツ)の家系で、未来の一等宇宙飛行士と目されていた。両親を事故で失い、叔父の御子柴斗志の養子となる。2296年、訓練中の事故で海中浮遊都市西の22に救助され、市長の娘・侏羅と恋に落ちるが、最終戦争が勃発し、ジェット海流に流された西の22は日本海溝へ沈降。 この時の事故で侏羅を失う。その後、体のほとんどをサイボーグ化し、マリンノウツとなった。ただ、脳の容積が1/3になったため、古い記憶にあいまいな部分がある。それでも、人口が減少するばかりの西の22をまとめて、市長に就任。 3502年、デーヴァダッタが市トーノをメビウスで攻撃をしかけた影響で西の22が浮上。尾鷹星野たちを救助したのをきっかけに、傷みの激しい西の22を出て、市民たちとともにカトマンズを目指すことになる。この時、顔はメカニカルなものだったが、コネミ・ダ・マーヤが人間らしく整形。 1日に70リットルの水を必要とするため、山奥のカトマンズ到着前に一行から別れるつもりだったが、水を操る巨魚の妖怪、鯤と出会い、これをデーヴァダッタから解放したことで協力を得られることになり、水の心配がなくなり、同行できるようになった。

大槻 真砂流 (おおつき まさる)

『最終戦争シリーズ』の主人公の一人。『逢魔街道編』『風の智天使』の主人公。1955年生まれ。早くに母を失う。15歳で父親も死亡。引き取り先で揉めたが、単球性白血病で死亡する予定だったため尾鷹星野に連れられて市トーノへ時間移民する。若い頃は前髪パッヅンの髪形で、長く伸ばしていた。西塔小角や伊津原永都と似ており、特に永都とはよく間違えられる。 7年後に時間移民してきた妹の大槻笑の結婚式の日、デーヴァダッタの襲撃を受けて市トーノが陥落。生存者たちとカトマンズに向かう。途中、野郎国で永大公主の娘・宝砂と恋仲になり、仲間たちの解放の条件として野郎国に残る。宝砂の容体が悪化して心中を図るも、生き残って御子芝唯たちに助けられる。 デーヴァダッタの黄泉の王に唆されてカトマンズを狙うバ・タール・ナガルコットの手から宝砂を救出。4年後、宝砂との結婚を前に父親になる。だが、復活したナガルコットに宝砂たちを人質に取られ、ナガルコットが恨む永都が精神飛行中であったために、彼に代って市トリーバーグに乗り込む。 人質を助け、ナガルコットを倒したものの、メビウス起動によって地下ドームごと溶岩の中に沈んだ。

宝砂 (ほうさ)

野郎国の姫。心臓に寄生虫がつく風土病で、数カ月の命と思われていた。西の22の難民が来た際に、大槻真砂流と恋仲になる。野郎国で真砂流と共に尾鷹星野たちの助けを待っていたが、容体が急変したため心中。だが、黄泉の王に助けられて洗脳され、バ・タール・ナガルコットの部下としてカトマンズに現れた。 真砂流に救出されて真砂流の子を身ごもるが、再度ナガルコットに捕まり、伊津原永都をおびき出す人質にされている。永都の代理の真砂流によって救出された。

大車 (たいしゃ)

『最終戦争シリーズ』の主人公の一人。『七時の鐘』『逢魔街道編』『九月の地平線』『海へ帰れ』『風の笛』の主人公。黒髪を耳の上でおだんごにしている。春車の姉。草原の村で暮らしていたがデーヴァダッタに全滅させられる。春車の死後、伊津原永都と共に尾鷹星野を頼って市トーノへ行く。市の崩壊後、星野らと行動をともにし、カトマンズへ。 永都のことが好きだが、ソマの王として修行中で、なかなか会えずにいる。また、デーヴァダッタになった妹の春車も永都が好きなため、悩みは深い。カトマンズでは、看護師見習い。インドラ・シェルチェンの求婚をはぐらかしている。ただ、永都がピンチに助けにきてくれるようになった。 黄泉の王に気に入られ、花嫁候補として狙われている。

春車 (はるしゃ)

大車の妹。同じようにおだんごにしているが大車よりも髪の色は薄く長い。夢の中に他人を引き込む能力があり、37人目の被害者が伊津原永都。草原の村の子だが、体が弱く、不思議な力をデーヴァダッタから隠すために閉じ込められていた。永都と出会った時に死亡。2万歳のデーヴァダッタとなるが、夢の力は失ってしまった。 永都のことを好いており、デーヴァダッタ研究に協力する。カトマンズでは生き神に責められるが、それが正しい行為ではないために、生き神はシヴァ神から生き神としての力を剥奪された。春車はデーヴァダッタながら市民として認められた。

東日流 七海 (つがる ななみ)

『誰かが街を見ている』で脳天に角と蝙蝠のような翼と悪魔のような尾があるアンドロイド。元々は市オタルに住んでいた少女で、両親と兄が2人いる。誕生日プレゼントとして、おじの東日流青海博士に制作された。妹アンドロイドが希望だったが、人間のコピーを禁ずる法律のために角と羽と尻尾がある。 その直後、デーヴァダッタが街を混乱させるため、人格分離装置によって人々の精神を機械にコピー。生身の七海は本能だけで行動する動物になったため、本人といえるのはアンドロイド側になった。御子芝唯に助けられて、人間部分が少ない同士として恋のアタック中。200馬力だが後にコネミ・ダ・マーヤが200万馬力に改造。 大声で発生する衝撃波はデーヴァダッタの苦手な波長。赤外線レーダーなど各種センサーや分析装置を内蔵している。機械なのでデーヴァダッタの精神攻撃は無効など、デーヴァダッタと肉弾戦が戦える貴重な戦力。

コネミ・ダ・マーヤ (こねみだまーや)

『最終戦争シリーズ』の主人公の一人。『ペレランドラに帰りたい』『火星人と竜の城』『セラフとザンベジ川』『砂糖月ドーナツ曜日』の主人公。元宇宙船医の火星人(ゴ・ダエヴァ・ベム)。日本では、山田を名乗っていた。1万2千年前の金星と火星の最終戦争における地球基地の生き残り。その後、同じく生き残りの金星人ミルテラ・バーツマコとお互いに深層催眠をかけあうなどしながら、地球人として暮らしてきた。 3502年、市トーノを襲ったデーヴァダッタの事件に巻き込まれ、そのまま難民と共にカトマンズへ。デーヴァダッタ研究に勤しんでいる。機械いじりが得意なため、御子芝唯や東日流七海などの改造も手がける。 大槻笑と尾鷹星野のファンで、笑に近づく西塔小角が気に入らなかった。その後は笑の小角への無関心ぶりから、親愛度が増している。名前は作者である山田ミネコを逆から読んだもの。

ミルテラ・バーツマコ (みるてらばーつまこ)

『最終戦争シリーズ』の主人公の一人。『遙なり我が故郷』『セラフとザンベジ川』の主人公。元宇宙飛行士で金星人(ペレランドラ・ベム)。精神感応によるテレポーテーションが可能。日本では小松原を名乗っていた。1万2千年前の金星と火星の最終戦争における地球基地の生き残り。その後、同じく生き残りの火星人コネミ・ダ・マーヤとお互いに深層催眠をかけあうなどしながら、地球人として暮らしてきた。 1977年には地球征服を目論む生き残りの金星人の円盤を爆破したことがある。3502年、市トーノを襲ったデーヴァダッタの事件に巻き込まれ、そのまま難民と共にカトマンズへ。途中、知り合ったリオラマ・アタウアルパに恋している。 テレポート能力があることは周囲には秘密。デーヴァダッタ研究に勤しんでいる。3506年、市トリーバーグで大槻真砂流をテレポートで救えなかったため、しばらく自己嫌悪に陥っていた。その後、デーヴァダッタから逃走中の西塔小角とダ・マーヤを瞬間移動で助けたことで立ち直った。 名前は作者の友人の名前を逆から読んだもの。

熾天使 (せらふぃむ)

『最終戦争シリーズ』の主人公の一人。『雨のふる日は天気が悪い』『きつね雨』の主人公。本名など多くのことが不明。実は、現在の宇宙が始まる前の宇宙からやって来た一族。大跳躍と呼ばれる超長期の時間跳躍をする能力がある。長い金髪。超時間誘拐の容疑者として西塔小角に追われている。両親は人身時空売買組織の先代の首領・光の王。 その後、組織はアーリマンの父に乗っとられ、3歳~8歳頃まではロンドンでセーラとして、8歳~14歳頃には日本の芒原で遠山星夏として暮らした。両親を殺したのが小角だと思わされていたが、アーリマンの父が小角によるものと見せかけて殺害していたものと判明。その後、組織の首領になる。 1284年のハメルンに大商人クーゼンベルクの娘として、ペストで死亡する未来の子を誘拐するために潜入。魔女裁判にかけられるが脱走して部下や子供たちとともに時間通路に逃げ込むが、小角の工作で行方不明になる。2806年に小角が市オタルの市長になる前に、太古の宇宙への移住を持ちかけたが拒否された。 子供の頃から小角を気に入っていたが、小角との出会いの時系列が異なるため、関係が進展しにくくなっている。

ジャッカル

『最終戦争シリーズ』の主人公の一人。『ジャッカル』の主人公。ボサボサ髪の少女であったが、後に、長いくせっ毛になった少女。廃墟の東京付近で独りで暮らしていたところを大車に助けられ、尾鷹星野たちに連れられてカトマンズに向かう。単独での放浪生活が長かったため、当初は言葉も「ウガ」くらいの片言しか喋れず、名前も忘れていた。 薄汚れていたために男の子と勘違いした伊津原永都がジャッカルと命名。この名前を気に入っているらしい。西塔小角にプレゼントされたホロホロ鳥に、オヅヌ、オヅヌV2、オヅヌV3、オヅヌアマゾンと名付けてかわいがっている。小角のことが大好きで、一緒に働くことを夢見てパトロール・スクールに入学。 好成績を修めている。

ダウラギリ

2700年代の三合会の首領。常に全身を覆う衣装で声も変え、他人に正体を明かさないようにしていた。デイジという娘がいる。表の顔はカトマンズの市立大学学長、プロフェッサー巴念速として世間でも好評判の人物だった。2765年には若く美しい奥さんを貰って、男の子が生まれたというが、確認はされていない。 身寄りのない子供に、イシュタルの姓を与え、天竜八部衆として育てていた。虚数空間で拾った影に小型爆弾付きの人工心臓を埋めて、手下とした。その後、死んだように偽装していたレイクにプロフェッサー巴念速として殺される。

黄泉の王 (よみのおう)

デーヴァダッタで唯一の男。黄泉と呼ばれる異次元の岩で眠っていて、1000年に一度目覚めて5人の花嫁を選ぶ。選ばれた花嫁を細胞単位に分解して吸収し、海王星の大気中に何億という新しいデーヴァダッタとして再生させる。すぐれた因子と柔軟な細胞が花嫁の条件。2500年頃にネムを指名したが、拒否されている。 3500年の目覚めで伊津原永都と出会う。この時、永都を人質にしてネムを花嫁としたが、ネムの細胞は海王星から離れようとしないので困っているとのこと。

ハヌマン

『最終戦争シリーズ』の主人公の一人。『猿神の迷宮』の主人公。髪を剃って左側頭部に封印の文様を描いている。ソマ族の戦士。ハヌマンとは猿神のこと。曽祖父の代から秋吉唱を追い続け、常に唱に殺されているらしい。幼いころから唱を追い続けたために、その気持ちはすっかり恋へと転化している。9人兄弟の長兄で、家はソマの村にあるが普段は山の中の洞窟で暮らしている。 カトマンズでの西塔小角の一番の友人。しばしば会う大槻笑はデーヴァダッタだが敵ではないと認識しており、エネルギー切れで倒れているところを拾うと、洞窟の家の樹脂加工した押し入れに放り込んでいた。

リオラマ・アタウアルパ (りおらまあたうあるぱ)

『最終戦争伝説』の主人公の一人。『逢魔街道編』の主人公。3487年生まれ。母はA級時間犯・秋元未散(あきもとみちる)、父はインカ皇帝アタウアルパ。時間犯罪者コロニーに居たが、3492年にデーヴァダッタに襲われ、生き残って子守りロボットに育てられる。3502年にミルテラ・バーツマコに発見され、尾鷹星野らとカトマンズに向かう。 精霊と交信することができ、西風のラシャ王とは好き合った仲。だが、ラシャ王の助言を受けて伊津原永都の導師となるため、人に心を開いた。その際、精霊を見る力を失っている。精霊と語り合っていた頃はおとなしかったが、永都の導師となってからは乱暴な発言が目立つようになった。

風々 (ふーふー)

『最終戦争シリーズ』に登場する妖怪。全身が泥のような単純な造作をしている。短時間、人間に化けられる。人語を解するが、あまり流暢にはしゃべれない。地下で生まれ、5000年前に地上に出た。最終戦争で家族と仲間は海底へ沈んでしまっている。戦争を起こした人間を憎んで、喰っていたため、西暦3000年頃に揚子江中流にある洞庭湖の岩陰に観音人字真言で封印された。 ここを通りかかった大車に助けられるが、かえって大車をさらってしまう。だが、友達になってくれた彼女に感動してカトマンズに同行するようになった。

インドラ・シェルチェン (いんどらしぇるちぇん)

巻き毛で閉じているような目をした少年。レイクに似ている。カトマンズの名家タカリ族長の息子。双子の兄アーシュラが死んだため当主となる。しっかり者の妹ルミドラ(ドラミちゃん)に対して弱い。出来の良い妹に子ども扱いされている。秋吉唱にアーシュラを殺され、その原因は西塔小角だと思いこんで復讐を誓ったが、デーヴァダッタに利用されただけであった。 当主としての権力を利用して大車を強引に嫁にしようとしたときもデーヴァダッタに利用されている。

依志羽良 絵馬 (いしはら えま)

『最終戦争シリーズ』の主人公の一人。『影』『ドクター・レイクの休診日』『風の迷路』の主人公。2743年生まれ。子供のころから市オタルのパトロールスクールに入っていて、サバイバル訓練の最中にカザフスタン公国の三の公子だった西塔小角と出会う。その後パトロールに入った。諌早呉道市長をテロリストから守った功績で超空時課長に昇進。 西塔小角が部下として配属される。市長の陰謀で影に誘拐されるが、彼のことを好きになってしまう。しかし、帰還途中に影は虚数空間に流されてしまった。その後、レイクの標的にされ、黒い翼と角を2本移植され、視力を失った状態で影と共に15世紀のイタリアに置き去りにされる。 影によってボルジア家に売られるが、それはバクダッドのパトロールに救援を求めるためだった。ボルジア家に翼と角をむしられ、慌てたレイクに助け出されて視力も回復。単身影を追って出発し、三合会乗っ取りを狙う時間海賊に捕らえられる。カトマンズで手下を眠らせて基地を乗っ取り、影を救出したが虚数空間に撃墜。 これを小角に救出されている。その後、心臓の爆弾を外された影と結婚。新婚のエディラとレイクを加えた4人で生活を始めた。パトロールの仕事を続けていたが、時間跳躍機の事故で行方不明となる。

ウルスワーピ

『草原の狼』の主人公。名前は「夜明の星の光」の意味。市マラケシュ首長とソマの銀のミルバの娘。褐色の肌に銀の髪の少女。市ニューデリーで暮らしていた。母の仇のステッペン・ウルフを探し、たのまれ屋を始めていたところ、ディンゴの殺人現場を目撃。受けていた仕事が三合会絡みで裏があり、仕事を選ぶようディンゴから助言を受ける。 三合会の幹部になっていた生き別れの弟アルダ・ナーリに狙われてディンゴとともにヒマラヤのソマの村に逃げ込むことになった。1年後、ソマの戦士として修行を積み、生き神のカーラから悪魔の城と呼ばれる旧市マラケシュへ行き首長の陰謀を阻止するように命じられる。 マラケシュでは、市幹部が三合会などと手を組んで人を集め、自分たちの安全と引き換えにデーヴァダッタへ受け渡していた。首長を含めた幹部が白人至上主義によって市民を支配していたが、ウルスワーピの父である首長は手術で白人となった有色人種であり、褐色の肌をした実の娘の存在は身の破滅を意味するものであった。 このため、最優先で命を狙われている。アルダ・ナーリが、命を捨てて守ってくれたおかげで、王宮の突入を果たす。首長は素性を疑うパトロールの手で倒され、有色人種たちのクーデターも成功した。デーヴァダッタを迎え撃つ前夜、ディンゴにプロポーズされた。

(でぃんご)

『最終戦争シリーズ』の主人公の一人。『草原の狼』の主人公。長い黒髪の青年殺し屋。赤ん坊の頃から武器を玩具にしており、初めての殺しは6歳と噂される。実はソマの人狩として、人間を裏切った人間を狩っている。9年前、市マラケシュの首長夫人としてソマの秘密をもらした銀のミルバを狩っている。2人の子供の後を託されたが、家にいたアルダ・ナーリのみを保護し、出かけていたウルスワーピは放置してしまった。 ウルスワーピと再会し、アルダ・ナーリから逃げるためにヒマラヤのソマの村に落ち着く。1年後、生き神のカーラの命で市マラケシュの首長の野望を断つために旅立つ。市マラケシュ内でウルスワーピとはぐれた後は、反政府ゲリラに加担している。 デーヴァダッタを迎え撃つ前夜、ウルスワーピにプロポーズした。

語部 十蘭 (かたりべ じゅらん)

『最終戦争シリーズ』の主人公の一人。『最終戦争』の主人公。2歳で事故のために体を失ったセオのクローン。セオの事故にショックを受けた母を癒す目的で作られたが、母は真実に気付いて精神を病み死亡。真実を告げた父親も自殺した。東京の都市管理コンピュータ・セオとの間に精神交換装置があり、夜8時から朝6時まで意識を交代する。 作家として活動中でアフリカに住んでいたが、2296年9月16日に東京へ戻った。出版社のバイトをしていた玻璃と出会い、恋愛関係となる。その後、最終戦争が勃発。セオ、玻璃と共に凍河から真相を明かされる。セオの手引きによって、玻璃と二人で東京の地下から脱出し、生き伸びたと思われる。

セオ

単独で現れるときはオールバック。作者の山田ミネコによると、全作品中でオールバックの人物は彼のみ。2277年生まれ。2歳で子守りマシンの下敷きになって首から下を潰され、父親によりコンピュータと直結される。また、クローンの十蘭によって精神状態を保っていた母親は、真実に気付いて精神を病んで死亡。 真実を告げた父親も自殺した。後に、東京の都市管理コンピュータとなる。東京に戻って来た十蘭の体を使って凍河に出会い、恋に落ちるが、凍河が十蘭を殺そうとして失敗し、自殺するに至って絶望。最終戦争を勃発させた。その後、デーヴァダッタ化した母親を見て異常に気付き、やはりデーヴァダッタだった凍河に真相を知らされ、自らを凍河と共に地下300メートルに封鎖する。 その後、司令室はデーヴァダッタの巣となるが、3502年、迷いこんで来た永都に、カトマンズで生き神と従者ガーネシュ、バイラブを仲間にした後、大西洋の新大陸へ行くよう指示すると、デーヴァダッタを道連れに自らを水没させた。

ディック・トレイシー (でぃっくとれいしー)

前髪がそっくり返っていて額の左側で分けた黒髪の少年。2010年に四次元コイルを発明する。2150年頃にこのコイルが起こしたエネルギー革命により、化石燃料をめぐる争いはなくなった。また、大出力のレーザー兵器が実現したことで核兵器も無力化。一方、その膨大なエネルギーで地殻変動を起こす兵器メビウスが誕生し、各国が競って配備した。 タイムマシンの発明者である魔術師ハルの恋人マリーユが、実験の失敗で行方不明になったハルを救うために歴史の改竄を計画。ディックは、計画を断念したマリーユから未来を見せられるが、パトロールによりその記憶を失う。山田ミネコのミステリーシリーズであるアリスシリーズのアリスの恋人。

志月 竹流 (しづき たける)

『最終戦争シリーズ』の主人公の一人。『自我系の暗黒めぐる銀河の魚』『緑の少女』の主人公。ショートカットで後ろ襟のところだけ長く伸ばしている少年。コンピュータが選んだ最高の遺伝子を持つ人工受精児で、義務教育を10歳で終了して画家を目指していた。飛鳥時代の和歌なども興味の対象となっている。博物館の塔から投身自殺を図ろうとしていた秋吉唱を助け、孤独な生活への同情が愛へと変わっていった。 唱との関係は2年間続き、画家として成功した年に唱の永久睡眠措置が決定し、離れ離れとなる。失意にくれていたが西塔小角の助言で、飛鳥時代の人々の活力を感じるために時間旅行をする。そこで安曇と出会い再起。元の時代に戻る際に安曇が憧れの歌人額田王だと知らされる。

西塔 夜行 (さいとう やぎょう)

『最終戦争シリーズ』の主人公の一人。『市会議』の主人公。ふわふわ長髪の男性。パトロールを経て市オタルの市長に就任。パトロールとしてウズベキスタン大公国に赴いたときに秋吉唱と出会う。大公国滅亡により唱を息子の小角とともに市オタルへ移住させ、後日、結婚した。唱との間には西塔未信も誕生している。 人々の活力を高めるため、意識を刺激する文化計画を立て、その一環として妻・唱の歌があった。だが、唱の自殺嗜好症が悪化し、影響を受けた未信は光線銃で跡形もなく自殺。唱とは離婚したものの、市オタルに活気は戻らず、唱の永久睡眠措置にショックを受けて昏倒し、市オタルの滅亡を意識が戻らないまま迎えた。

安曇 (あずみ)

『最終戦争シリーズ』の主人公の一人。『緑の少女』の主人公。馬飼連古幹の孫娘。大海比古に強引に連れて行かれそうなところを志月竹流に助けられる。その後、再び狼藉を働いた大海比古を諫めた大兄皇子に恋してしまう。姉の鏡比女が大兄皇子の妃となり、祖父の死後、身寄りがないために宮中へ上がる。歴史上の実在の人物、額田王がモデル。

思惟 (しい)

『最終戦争シリーズ』の主人公の一人。『パトロール』の主人公。漆黒の肌に金髪。新婚3ヶ月だが、多忙で妻の水樹との時間がとれないことを嘆いていた。水樹は思惟に釣り合わないという世間の噂にノイローゼを発症してしまう。パトロールの同僚の西塔小角と、地下の冷凍睡眠場の見回りで秋吉唱が冷凍状態で立ち上がる場面に遭遇。 未来から来たパトロールの尾鷹星野に敵だと説明を受け、未来への移民を打診された。その場では断ったが、水樹が原因不明の死を遂げたことで星野についていくことを決意し、姿を消した。

(かい)

『最終戦争シリーズ』の主人公の一人。『雲上比飛行』『雲中飛行』の主人公。レイクとともに第三次海王星探検隊に参加した宇宙飛行士(アストロノウツ)。幼い頃に某国から亡命してきた。出発前に、生き神(クマリ)の羅沙と出会い、心を通わせる。海王星で霧状のデーヴァダッタに遭遇。精神飛行を強行した羅沙により生き残る。 6年後、隊員52人のうち生還した5人の一人。帰還後、カトマンズで眠り続けていた羅沙を見舞うと、ほどなく彼女も目覚めた。そのままカトマンズに留まったため、最終戦争を生き延びる。

沢渡 勲 (さわたり いさお)

『最終戦争シリーズ』の主人公の一人。『土曜の夜』の主人公。大槻笑と同じ学校に通う高校生。笑の友人をガールフレンドにしていたが、笑に惹かれる。猛アタックをしたが笑は病死し、尾鷹星野とともに未来へ行ってしまう。記憶操作されて、このときのことは忘れたが、後日、西塔小角が追うデーヴァダッタをかばうなど、未来となにかと縁がある。 西塔小角の先祖にあたる。

ミドリ・ガンダルヴァ (みどりがんだるゔぁ)

『最終戦争シリーズ』の主人公の一人。『クレイジー・ドリー』の主人公。褐色の肌の市オタルのパトロール。5年前に知己だった闇のジンと呼ばれる犯罪者が、逮捕後の人格改造で別人になってしまったことを悔やみ、犯罪者の殺処分を選ぶようになった。闇のジンが正気に戻ると彼についていき、その仲間もろとも自爆して果てた。

エディラ・イスタハフリー (えでぃらいすたはふりー)

『最終戦争シリーズ』の主人公の一人。『ゴドニー&アスール・カンパニー』の主人公。前髪を揃えた長い黒髪の女性。バグダッドのパトロールで、かなりの腕利き。右パンチは体重以上に威力があると評判。依志羽良絵馬をお姉様と呼んで慕っている。0013年のエルサレムへの潜入任務中に記憶を失ったレイクと出会う。子どものようなレイクをベビーと呼んで世話をしているうちに恋が芽生えた。 レイクによる絵馬の誘拐事件を追って、レイクと再会。生還後に結婚した。その後、任務中の事故により行方不明となる。

ネム

『最終戦争シリーズ』の主人公の一人。『マヤの青』の主人公。マヤのウシュマルの二の姫。パトロールのディラン・フレイザーに時間移民を持ちかけられたが、近親婚による人物は審査を通らず取り残される。一族が他部族に襲われた時に死亡するがデーヴァダッタ化。目覚めたときに、彼女の死ぬ運命を知りながら見捨てたディランを殺害。 伊津原永都が鎌倉に住んでいた頃に二度、偶然出会って好意を抱いている。黄泉の王の花嫁に選ばれて逃げ回ったが永都を人質にとられ、やむなく受諾。しかし、黄泉の王の花嫁として分子レベルに分解されてなお反抗し、海王星周辺に留まっているという。

ヴァンダル

『最終戦争シリーズ』の主人公の一人。『神聖都市伝説』の主人公。盗賊団を率いる、ちょっと軽いところのある青年。奴隷市場で暴れているメルーが気に入って強奪した。その直後に配下の盗賊団がデーヴァダッタに襲われて全滅。父がパトロールをしている市トリーバーグに向かうが、こちらはデーヴァダッタに襲われている最中だった。 父ヴォルフガング・ファン・アイクとデーヴァダッタ化していた母イリラとともにカトマンズに向かう。途中、気分転換に出ていた大車と風々、七海に出会い、彼らと共に黄泉の王に翻弄されるが、伊津原永都らに救出されている。メルーとは恋人同士になっている。

メルー

『最終戦争シリーズ』の主人公の一人。『神聖都市伝説』の主人公。長いくるくるの巻き毛の少女。市トリーバーグ付近の小さな領国の姫だったが、国が滅びて奴隷として売られる。ヴァンダルの盗賊団に攫われたが、デーヴァダッタにより盗賊団は全滅。ヴァンダルと両親でカトマンズに向かう。途中、気分転換に出ていた大車と風々、七海に出会い、黄泉の王に魅了されるが、伊津原永都らに救出された。 ヴァンダルとは恋人同士になっている。

春美 (はるよし)

『最終戦争シリーズ』の主人公の一人。『ウォーク・ドント・ラン』の主人公。20世紀のビジュアル系ロットバンドの「スラッシュ」のリーダーでボーカル。音楽性にこだわりをもっている。幼い頃、一緒に暮らしたレイクの娘、フュスリと再会したが、移籍したレコード会社がデーヴァダッタに乗っ取られたため、フュスリとともに2500年頃に連れて行かれる。 「スラッシュ」のマネージャーとして潜入していた西塔小角に助けられ、デーヴァダッタの許から逃げ出し、途中でレイクや合歓と合流して黄泉の王の目覚めに遭遇。3500年頃からやってきた尾鷹星野の協力でデーヴァダッタを追い払う。記憶操作をされて20世紀に戻り、フュスリの記憶はなくなったものの、精神的に成長をしたらしく「スラッシュ」は音楽的にも評価されるバンドになった。

集団・組織

パトロール

『最終戦争シリーズ』の組織。最終戦争後の世界の各都市にある、警察と役人、軍を混ぜたような組織。重要な役割を担っているため、メンバーはエリート揃い。時空間犯罪を扱う「超空時課」のほかに「麻薬課」なども存在する。

三合会 (さむはっほい)

『最終戦争シリーズ』に登場する組織。麻薬を主に扱う世界的な犯罪集団で、ダウラギリ山の麓に本部がある。組織を誰がいつ作ったかは不明。薬品チェーン、病院、総合商社などの企業とも関係が深い。デーヴァダッタとも取引をしており、爬虫類と人間の遺伝子操作実験の失敗から生まれたゾンビと呼ばれる怪物を飼うなど、悪事の幅は際限がない。

ソマ

『最終戦争シリーズ』に登場するグループ。デーヴァダッタの存在に早くから気付いて、長い間戦ってきた一族。いながらにしてすべてのことを知る精神飛行の力を持つ生き神がトップ。デーヴァダッタと戦う戦士、デーヴァダッタを探す笛吹、占い師の先読、物知りの語部、裏切り者を殺す人狩りなどがいる。 ただし精神飛行は単独では行えず、僧侶などの協力が必要。

その他キーワード

最終戦争 (あーまげどん)

『最終戦争シリーズ』の用語。西暦2296年10月10日、デーヴァダッタに唆された世界中の生体コンピュータの78基が、それまでこっそり楽しんでいた滅亡ゲームを実行に移す。地殻変動兵器メビウスによって全世界の陸地が壊滅的な打撃を受け、大規模な変動は5年間続いた。この変動により20程度の都市を残して、世界から国家は滅亡。 人類は3億人ほどに減少した。12000年前に金星と火星が最終戦争を戦い、双方とも全滅した。このときの開戦の原因は不明で、当日まで火星人と金星人は地球で談笑していたという。

デーヴァダッタ

『最終戦争シリーズ』の用語。種族名。はるか彼方の宇宙からやって来た異種生命体。単独では灰色の霧状になる。細胞に核を持たない生命体だが、個体としての意識を持っている。岩に付着などして宇宙を移動。主に人間の女性に同化し、男性の生命エネルギーを吸って生きる。食物は摂らず、エネルギーが不足すると眠ってしまう。寿命は数億年以上。 地霊と風霊と仲がよく、石の類を身につけていると空を飛ぶこともできる。そのため宝石などの装身具を好む。壁や岩等をすり抜けるが、金属、ガラス、合成樹脂は通過できない。一方で水霊と不仲のため、水が苦手。ソマの笛など、ある種の音に弱い。人間との同化には相手の合意が必要となっている。エネルギーの摂取も同様に人間の同意が必要である。 しかし、相手の意識下、無意識下の願望を読み、幻覚を見せて同意を得るなどの手段をとることも少なくない。同化すると細胞核を共有するため、一度同化した後は、デーヴァダッタが抜けると人間は死んでしまう。ただし、デーヴァダッタの判断で、細胞核を残して出て行くことで生きながらえる場合もある。また、デーヴァダッタである間は強力な再生能力を使えるため、瀕死の人間も助かることがある。 黄泉の王と呼ばれる男性のデーヴァダッタも存在し、生殖活動を担っている。彼は平時は黄泉と呼ばれる異空間の石の中で眠っていて、1000年に一度目覚めて5人の花嫁を選び、その体を海王星付近で分解して新たなデーヴァダッタにする。 作中でデーヴァダッタと呼ばれる理由は語られていないが、原作者の山田ミネコの同人誌などによると、黄泉の王が人間だった時の名前提婆達多からとされる。まれに、人間の意識を強く残して、人類の味方をする者もいる。対抗する武器として樹脂弾が開発されたが、これは人間ごと樹脂で固めてしまうものなので、最後の手段としてしか使えない。

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