ガウガウわー太

ガウガウわー太

動物と会話できる能力を潜在的に持っていた少年・社太助が、獣医志望の舟越みさとに恋をしたことをきっかけに、人間と動物との間に起きる事件に関わりながら自分自身も獣医を志すようになっていく。作者の梅川和実は獣医の資格と経験を持ち、動物医療については現実的に描写されている。

正式名称
ガウガウわー太
ふりがな
がうがうわーた
作者
ジャンル
動物・ペット
関連商品
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概要・あらすじ

社太助は、社動物病院で暮らす高校生。獣医にして狛犬の化身である父・社犬福の血を引く太助は、獣医に興味がなく病院を継ぐ気もなかった。ある日、舟越みさと社動物病院に持ち込んだ犬・わー太に噛まれたことがきっかけで、太助は限定的ながら動物と会話ができる能力に目覚める。みさとへの恋心から獣医志望と偽る太助だが、人間社会で起きるペットや野生動物の事件と関わるうち、本心から獣医を志すようになっていく。

登場人物・キャラクター

社 太助 (やしろ たすけ)

古い神社の狛犬であった父・社犬福と、稲荷像であった母との間に生まれた少年。家業の動物病院を疎んでいたが、獣医志望の舟越みさとに恋をし、彼女に話を合わせて獣医志望を装うようになる。舟越わー太に噛まれたことがきっかけで、動物に噛まれるなどして流血すると、その動物と会話ができる能力に目覚める。 動物に関する事件に関わるうち本心から獣医を志すようになるが、みさととの関係や、生命の重さに直面することへの悩みで揺れ動く。父の手伝いをしていたことから、獣医の助手としての動作は的確。

舟越 わー太 (ふなこし わーた)

『ガウガウわー太』に登場する犬。13歳のオス。元は捨て犬で、舟越みさとに拾われる前に人間から受けた虐待で左耳が垂れたままになっている。その経験から人間不信が強く、みさとには絶対の忠誠を尽くすものの、他の人間には一切懐かず噛みつこうとする「ガウ犬」だった。舟越家が団地に引越して自分を飼えなくなった事を理解し、みさとに噛みついて自ら保健所に送られるようにしたが、その真意を知った太助と犬福により、輸血用血液を提供する供血犬として引き取られた。 老成した武士のような口調で、太助には口うるさいながらも助言役として協力する。

舟越 みさと (ふなこし みさと)

社太助の通う高校に転入した、1学年上の女生徒。社動物病院で太助と出会い、一目惚れされる。動物に対する情愛が深く、捨て犬だったわー太を拾った時の経緯から獣医を志し、後に大学の獣医学部に合格する。反面、人間同士の付き合いでは一歩引いていたが、阿達直哉との出会いで立ち直った。 太助に対しては年下の友人として見ていたが、告白を受けてからは太助と阿達直哉との間で気持ちが揺れ動く。弟へのおしおきなど、とっさの時にはプロレス技を出すことが多い。

社 犬福 (やしろ いぬふく)

社動物病院を経営する獣医で、社太助の父。普段は人間の姿だが、正体は廃棄された狛犬であり、動物たちからは「コマイヌ様」と崇められている。動物と会話ができるため、来院した動物から相談を受けるアニマルカウンセリングも行っている。常に穏やかで飄々としており、太助が社動物病院を継ぐことに反抗的な態度をとることを嘆いてみせながらも、強制することなく、太助の自覚を促すに留まっている。 妻(太助の母。正体は廃棄された稲荷像)が既に他界したかのように振舞っていたが、実は存命。

前川 サリー (まえかわ さりー)

『ガウガウわー太』に登場する犬。前川家で飼われているアイリッシュ・セッターのメスで、仔を産んだばかりの時期に太助らと出会う。産んだはずの仔と実際にいる仔の数が合わないことから、心理状態が不安定になっていた。真相は、仔の1匹が胎内に残って仮死状態になっていたためで、社犬福・太助親子によって発見され、蘇生した(後の遠藤ひまわり)。

及川 華子 (おいかわ はなこ)

社太助が通う高校の、一学年上の女生徒。舟越みさとの同級生であり友人。後にみさとと同じ大学の環境保健学部に進学する。明るく楽天的な性格。

尾田島 淳子 (おだじま じゅんこ)

社太助のクラスのクラス委員長を務める、女子高校生。近視で眼鏡をかけており、裸眼では周囲がよく見えない。古風な口調かつ生真面目な性格で、同級生らと打ち解けようとせず、当初は太助にも敬遠されていた。愛犬の小次郎に愛情を注ぎ、社動物病院への通院を経て太助と打ち解ける。 飼い主として強い自信を示す半面、小次郎がかつて高名なショー・ドッグだった事を知って以来、自分が飼い主としてふさわしいかどうかの不安を抱えていた。一時は小次郎を前の飼い主に奪われるが、火災事件を経て改めて譲り受ける。その際に尽力した太助を獣医になるよう応援するようになり、同時に恋愛感情を抱き始める。小次郎のため独学で裁縫と体毛のトリミングを身につけているが、編み物は未熟。

尾田島 小次郎 (おだじま こじろう)

『ガウガウわー太』に登場する犬。尾田島淳子の飼い犬でシー・ズーのオス。元はジョーという名で幾多のドッグ・ショーに優勝するスター犬だったが、年をとり人気が衰えたため元の飼い主から手放され、尾田島淳子に譲られた。その経験から、自分たちペットは人間から玩具扱いされるものと達観しており、尾田島淳子から注がれる愛情も上辺だけのものと受け取りつつ、それに演技で応える生活を送っていた。 一時は元の飼い主に奪回され、ジョーとしての生活に戻りかけるが、尾田島淳子の側にいたいという感情を自覚し、元の飼い主の配慮もあって再び尾田島小次郎へ戻る。

クロ

『ガウガウわー太』に登場する猫。黒い子猫で、迷信を気にする人間達に敬遠されるうち、自分が不吉な存在だと思い込んでいた。似た境遇を経た舟越わー太を慕い、師匠と呼ぶ。瓜実条虫(サナダ虫)に寄生され命を落としかけるが、症状に気づいていた舟越みさと、社太助らに救われ治療を受ける。口調から太助にはオスと思われていたが、後にメスと判明する。

角田 マツ太郎 (かくた まつたろう)

『ガウガウわー太』に登場する犬。豆柴のオスで1歳。角田家の老夫婦に飼われていたが、夫が亡くなり、その死を思い出す辛さに苦しむ妻が社動物病院に託した。島内典子に気に入られて引き取られるが、豆柴が正式な犬種でないことを理由に送り返され、太助が飼う決心をする。しかし、マツ太郎との思い出を再認識した角田家の妻の気持ちを汲み、再度、角田家に戻った。 極めて無邪気かつ天真爛漫な性格で、周囲からは飼い主の死を理解していないのではと思われていたが、心中ではしっかりと人の死を認識していた。

島内 典子 (しまうち のりこ)

社動物病院からマツ太郎を引き取った少女。小学2年生。マツ太郎を可愛がり、級友たちに自慢していたが、豆柴が正式な犬種でなく雑種であることを聞かされ、母親に泣きついてマツ太郎を社動物病院に返してもらう。しかしその事を後悔しており、角田家を訪ねてマツ太郎に謝り、しばしば訪問するようになる。

遠藤 まい (えんどう まい)

社太助が通う高校の、2学年下の女生徒。父が日本人、母(故人)がドイツ人で、新体操部に所属。部活時には男子生徒が詰めかける程の美少女。亡母への憧憬もあって、愛犬の遠藤ひまわりをドイツ式に厳しく躾けようとしていたが、聞きかじりで自己流に近い躾け方で、かえってひまわりを萎縮させていた。 ひまわりの胃拡張-捻転症候群発症をきっかけに躾け方を改め、同時に手術で尽力した太助に積極的な恋愛感情を示す。同じくひまわりの手術に協力した舟越みさととも親しくなるが、太助との三角関係から反感を抱く。犬の美容師に相当するトリマーを目指しており、独学でトリミング技術を身につけた尾田島淳子を尊敬する。

遠藤 ひまわり (えんどう ひまわり)

『ガウガウわー太』に登場する犬。ゴールデン・レトリバーとアイリッシュ・セッターのMIX。前川サリーの胎内で仮死状態に陥っていた胎児だったが、社太助によって命を救われた。後に遠藤まいの飼い犬となるが、誕生時の経緯をサリーから聞かされており、命の恩人を名も顔も知らぬまま慕っていた。わー太によって恩人が太助であると知らされるが、その直後に胃拡張-捻転症候群を発症。 生死の境をさまようも、太助が助手として加わった手術で一命をとりとめる。遠藤まいに対しては愛情を抱き、厳しい躾の意図も理解していたが、萎縮するほどの恐怖心も抱えていた。

阿達 直哉 (あだち なおや)

舟越みさとが転校する前の高校で出会った、上級の男子生徒。みさとが合格した大学の医学部2年生として初登場する。動物を深く愛し獣医を志すみさとを理解し、医者を目指す者同士として交流するうち、相思相愛となっていた。獣医を目指している社太助に屈託無く接するが、自分と太助の間で揺れるみさとの心情を感じ、不安を抱く。

場所

社動物病院 (やしろどうぶつびょういん)

『ガウガウわー太』の舞台のひとつ。獣医である社犬福が開業した、個人経営の動物病院であり、社太助・犬福親子の住居も兼ねている。犬福が動物と会話する能力を持つため、動物からの相談事を受けるアニマルカウンセラーも並行して行っているが、動物相手の仕事は金にならないため収入は少なく、太助は貧乏生活と老朽化した設備に不満を抱いている。

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