進撃の巨人

進撃の巨人

作者、諫山創の初連載作品であり代表作。舞台は人を食らう巨人に追われ、人類は壁のなかで暮らすことを余儀なくされてしまった世界。巨人に母を殺された少年エレン・イェーガーが復讐を誓い、巨人を倒すための調査兵団へ入団し巨人と戦っていく姿を描くダークファンタジー。講談社「別冊少年マガジン」の創刊号である2009年10月号から2021年5月号まで連載。2013年4月のテレビアニメ化をはじめ、実写映画化、ゲーム化などメディアミックス多数。

正式名称
進撃の巨人
ふりがな
しんげきのきょじん
作者
ジャンル
アクション
 
ダークファンタジー
 
ファンタジー
レーベル
講談社コミックス(講談社) / 講談社キャラクターズA(講談社)
関連商品
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世界観

巨人に追いやられ、人類は巨大な壁に囲まれて暮らしている。長らく巨人の侵攻はなく、ほとんどの人々は壁の外の世界を知らずに安寧に暮らしている。しかし、超大型巨人の出現により壁は破壊され、その平穏は破られることとなる。これが本作の導入部である。

生活様式、建築などの文化は18世紀前後のヨーロッパをモチーフとしており、「立体機動装置」など一部を除き、兵器などの技術もその時代の文明レベルを超えるものは登場しない。また、作中登場する年号は作品独自のものを用いている。

世界観や小道具などの細かな設定が豊富なことも本作の特徴である。単行本には登場する設定資料が「現在公開可能な情報」として詳しく掲載されており、ゲームデザイナー・シナリオライターである小太刀右京、三輪清宗らが設定協力として参加している。

作品が描かれた背景

2006年、読みきり作品として描かれた『進撃の巨人』が「週刊少年マガジン」主催のMGP(マガジングランプリ)で佳作を受賞。2009年「別冊少年マガジン」創刊号から、読み切り版から設定、世界観を引き続いた『進撃の巨人』が連載開始。

本作はさまざまなジャンルの作品から影響を受けており、作者もインタビューで公言している。

人類が外敵からの攻撃を受けて窮地に追いやられているという切迫した世界観は、ノベルゲーム『マブラヴオルタネィティブ』からの影響が強いと各所で語っている。また、作者の故郷が山に囲まれた盆地という閉塞的環境にあったことも、本作の「壁に囲まれた世界」の創造に関連している。

巨人の設定は、上京した作者が池袋のマンガ喫茶でアルバイト中、「犬よりも意思疎通が困難な人間」に遭遇したことが、人間に似た見た目でありながら対話不可能で異質な存在である「巨人」のイメージが生まれるきっかけのひとつとなっている。また、『サンダ対ガイラ』や『ウルトラマン』などの特撮作品からも影響を受けている。

巨人化したエレンの格闘描写に関しては、作者が愛好する総合格闘技の動きを意識しており、アニメ化の際は資料として総合格闘技の映像をアニメ版スタッフに渡している。

実写映画版で脚本を担当した映画評論家町山智浩のファンでもあり、ポッドキャスト『町山智浩のアメリカ映画特電』の第72回・『ダークナイト』はなぜ素晴らしいか ジョーカーとミルトンの『失楽園』からは、「巨人」という絶対的支配者への反抗、自由を求める意思、というテーマに影響を受けたと自身のブログで語っている。また、司馬遼太郎の『坂の上の雲』を絶対的不利な状況での戦いを描くうえで参考にしており、主要登場人物である「ミカサ」の名も戦艦「三笠」に由来している。

ラジオ番組『ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル』のリスナーであり、番組内で特集を組まれた、料理研究家・福田里香が提唱するフード理論(物語内での登場人物の食べ物の取り扱い方がキャラクターを表現する、という法則)を聞き、フード理論のひとつである「悪人は食べ物を粗末にする」という理論を取り入れ、巨人は捕食した人間を栄養源としていない、という設定や、巨人が口にした人間を吐き出す、という描写を追加している。

作品構成

人間を捕食する「巨人」と人類との絶望的な戦いを中心に物語は描かれるが、「巨人」の正体や、壁に囲まれた世界の謎に迫っていくという、ミステリー的要素も含まれる。

見た目は人間のようだが、まったく意思の疎通が図れない巨人たちの集団が人々を襲っていくさまは、ゾンビ映画やモンスターパニック映画を思わせ、捕食シーンは凄惨に描かれている。一方、主人公・エレンをはじめとした調査兵団に所属する少年少女たちの友情や成長、困難に果敢に立ち向かう姿など、王道の少年漫画らしい要素も強い。

本作の肝である巨人対人間の戦いでは、射出したワイヤーで空中を縦横無尽に駆け回る「立体機動装置」を用い、スピード感のある戦闘シーンを演出している。

過酷な世界観ではあるものの、物語の随所にギャグが挟まれているのも特徴のひとつである。特に、単行本の巻末には必ずセルフパロディを織り込んだ次巻の嘘予告が描かれている。

あらすじ

ウォール・マリア陥落(第1話~第2話)

かつて人類の前に現れた巨人。巨人によって世界は支配され、人類はその脅威から逃れるため巨大な壁を築いた。

845年。ウォール・マリア外周のシガンシナ区に暮らす少年エレン・イェーガーは幼馴染みであるミカサ・アッカーマンアルミン・アルレルトと共に平穏な生活を送っていた。しかし、突如現れた超大型巨人によって壁は破壊されシガンシナ区へ大量の巨人が侵入、やがて鎧の巨人によって門が破られウォール・マリアは陥落する。目の前で母を巨人に食い殺されたエレンは怒りに震え、巨人を一匹残らず駆逐することを心に誓う。

トロスト区防衛戦(第3話~第9話)

850年。ウォール・マリア陥落から5年が経った。訓練兵団を卒業したエレンは調査兵団への入団を志し、訓練兵団の同期と共にウォール・ローゼ外周のトロスト区にて固定砲の整備を行っていた。そこで調査兵団を希望する同期が自分以外にも少なからず存在することを知り、感銘を受けたエレンは人類の反撃の兆しを感じていた。

その直後、かつてシガンシナ区を襲った超大型巨人が再び出現しウォール・ローゼ外周のトロスト区の壁が破壊される。エレンは立体起動による攻撃を仕掛けるも、超大型巨人は音も無く消えてしまう。やがて壁に空いた穴から巨人が街に流れ込み、兵士達は皆住民を守るため戦闘へ駆り出される。それは訓練兵団を卒業したばかりの新米兵士達も例外では無かった。巨人の圧倒的な力の前に次々と兵士達は命を落とし、やがてエレンもアルミンを庇い巨人に捕食されてしまう。

トロスト区奪還戦(第10話~第14話)

巨人を襲う巨人、その中から現れたのは死んだはずのエレンだった。しかしエレンは駐屯兵団に脅威と見なされ命を狙われてしまう。ミカサとアルミンの説得も空しく砲弾が放たれようとした時、ピクシス司令の一声によってエレンは一命を取り止める。そしてエレンの「巨人の力」を用いて陥落したトロスト区を奪還する作戦が立案された。

訓練兵団編(第15話~第18話)

時は遡り847年。ウォール・マリアの陥落から2年が経った頃、エレン、ミカサ、アルミンは訓練兵団に入団する。エレンが日々の訓練に励む姿や104期訓練兵の同期達と出会う姿が描かれる。

調査兵団編(第19話~第21話)

巨人化したエレンの活躍によって人類はトロスト区奪還に成功した。しかし目を覚ましたエレンは憲兵団によって地下牢に拘束されていた。審議の末に調査兵団のリヴァイの元へ託されたエレン。やがてその一方で104期訓練兵の同期達の配属も決定する。

第57回壁外遠征(第22話~第30話)

エレンの生家の地下室に眠る巨人の謎を求めて、エルヴィン率いる調査兵団は壁外調査を始める。出発して間もなく現れた知性を持つ巨人・女型の巨人によって調査兵団の陣形は蹂躙されていく。やがて索敵機能を失った部隊は巨大樹の森の中に入り込む。これは全てエルヴィンによって内密に計画された作戦であり、調査兵団は女型の巨人の捕獲に成功する。

多大な犠牲を払いながらも壁外遠征の真の目的は果たされたかのように思えた。しかし女型の巨人は捨て身の手段によって拘束を逃れ姿をくらます。部隊が撤退する中、再び出現した女型の巨人。エレンを守るために戦ったリヴァイ班は壊滅し、怒りと後悔に震えるエレンは巨人化し女型の巨人に立ち向かっていく。

アニ捕獲作戦編(第31話~第34話)

多大な費用と被害を出した作戦の失敗によりエルヴィンを含む責任者とエレンの王都招集が決定した。アルミンは様々な状況証拠から女型の巨人の正体は104期生の同期であるアニであると断定し、エルヴィンによってその捕獲作戦が計画された。王都招集の日に作戦は決行されるも、アニは地下道へと誘い込むアルミンらの意図に気付き足を止める。やがて隠れていた兵士達によって一度はアニの拘束に成功するが、隠し持っていた指輪で指を切りアニは巨人化する。かつての仲間と戦うことに戸惑うエレンであったが、ミカサやアルミンの覚悟に触れて戦うことを決意する。やがて巨人化したエレンは再び女型の巨人と対峙する。

ウォール・ローゼ内地編(第35話~第38話)

アニの捕獲作戦と時を同じくして、エレン達を除いた104期生の兵士達はその共謀を疑われウォール・ローゼ南区にて軟禁をされていた。その時突如ウォール・ローゼ内に巨人の群れが現れる。武装を持たない104期生の兵士達は調査兵団の兵士と共に4手に分かれて避難、囮としてミケ分隊長が単独で残り追ってくる巨人を迎え討つことになった。しかし全身が無数の体毛で覆われた謎の巨人・獣の巨人によってミケは命を落とす。

一方でエレン達は壁の秘密を知るウォール教の司祭・ニックと共に行動をしていた。頑なに口を開こうとしないニックは、「壁の秘密を話せる人物の名を教えることならできる」と伝える。その人物の名前はエレン達がよく知る人物の名前であった。

ウトガルド城編(第39話~第41話)

ナナバやゲルガーら調査兵団と共にウォール・ローゼに空いた穴の位置を調べていたライナー、ベルトルト、コニー、クリスタ、ユミル達。穴はどこにも見つからず、兵士達の疲労も激しいことから古城・ウトガルド城で夜を明かすことになった。しかし夜間には動けないはずの巨人の群れが突如現れ古城は包囲されてしまう。武器を持たない丸腰の104期生達は為す術も無く、やがてナナバやゲルガー達も戦死し絶体絶命の窮地に立たされる。その時ユミルが突如自分の正体を明かして巨人化し、巨人の群れへと立ち向かっていく。

裏切り編(第42話~第47話)

ウォール・ローゼ付近に現れた巨人の撃退に成功したエレン達。しかし休息も束の間、突如超大型巨人と鎧の巨人の正体が明かされる。やがて激昂するエレンと鎧の巨人の戦いが始まる。

エレン奪還作戦編(第48話~第50話)

鎧の巨人と化したライナーはベルトルトと共にエレンを連れて逃走する。その後を追う調査兵団と憲兵団。やがてエルヴィンが巨人の群れを引き連れて現れ、巨人の群れと兵団と鎧の巨人の三つ巴の混戦が始まった。

フリッツ王政打倒編(51話~第61話)

王の命により中央憲兵はエレンとクリスタ(ヒストリア・レイス)の身柄を狙う。欠員補充として104期をメンバーに加え再構成されたリヴァイ班は郊外に拠点を移動する。ウォール・マリア奪還のためにエレンは巨人化の実験を繰り返す。だが、やがて中央憲兵の追っ手が現れ移動を余儀なくされる。その後に王の命にてエレンとクリスタの拉致を試みたリーブス商会を撃退し、リヴァイの交渉の末に彼らを調査兵団の傘下とすることに成功。商会の協力によって捕らえた中央憲兵への拷問により真の王家がレイス家であることが判明、調査兵団はフリッツ王政を打倒しヒストリアを女王として即位させるため動き始める。

レイス領地礼拝堂編(第62話~第66話)

フリッツ王政打倒に成功し、エルヴィンを始めとする調査兵団は晴れて自由の身となった。ハンジは誘拐されたエレンとヒストリアの居場所をレイス卿の領地内にある礼拝堂と推定、リヴァイ班は夜明けを待たず礼拝堂へと向かう。

一方エレンはレイス家礼拝堂の地下空洞にて目を覚ます。そしてロッドとヒストリアに触れられたエレンは脳内に自身の父・グリシャの記憶が流れ込み、かつて自らの身に何が起きたのかを思い出す。やがて、エレンが持つ巨人化の力はレイス家の血筋の者が手にすることで真の力が発揮されることが明かされる。ロッドはヒストリアに注射器を打って巨人化させ、エレンを食べさせることでその力を再びレイス家の元に取り戻そうとしていた。

オルブド区外壁編(第67話~第69話)

ユミルの言葉を思い出し、ヒストリアは父に背き注射器を叩き割る。ヒストリアの裏切りに激昂したロッドは地面に流れた注射器の液体を舐め、超大型巨人をも超える大きさの巨人と化した。その衝撃で地下空洞の天井は崩落しエレン達は生き埋めの危機になる。その際エレンは偶然転がっていた「ヨロイ」と書かれた瓶を噛み砕いたことで硬質化の能力を発揮しリヴァイ班は一命を取り止める。

巨人と化したロッドは奇行種と化し、人の密集するウォール・シーナ外周のオルブド区へと直進する。兵士達はオルブド区の城壁上にて迫り来るロッドを迎え撃つ。

メディアミックス

TVアニメ

2013年4月より、MBSでアニメ化作品第一期(全25話)が放送された。おおよそ原作8巻までの内容が描かれる。立体機動装置の動きや巨人同士の戦いなどが巧みに表現され、好評を博した。原作者からの評価も高く、特に総合格闘技を参考にした巨人の格闘は、動きや構えで特定の選手とわかるほど、と評している。

2016年、第二期が放送予定。

劇場版アニメ

2014年11月にテレビアニメ版1話から13話までの総集編『劇場版 進撃の巨人 前編~紅蓮の弓矢~』、2015年6月には14話から25話までの総集編『劇場版 進撃の巨人 後編~自由の翼~』が公開された。

実写映画

2015年8月に前編・『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』、同年9月に『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド』が公開された。

監督は樋口真嗣。脚本は町山智浩、渡辺雄介。

作者からの要望により、主人公エレンのキャラクターが改変されているほか、所要な登場人物であるリヴァイは登場せず、変わりにシキシマというオリジナルキャラクターが登場。そのほかにも一部登場人物の名前が変更されている。また、舞台はかつて栄えていた文明が滅んだ後の世界になっており、世界観も原作から変更されている。

実写ドラマ

実写映画版のスピンオフとして、『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN 反撃の狼煙』(全3話)が2015年8月よりdTVにて配信。主人公は原作・実写映画版の登場人物であるハンジとなっている。

スピンオフ

進撃の巨人』の登場人物たちが中学校に通い学園生活を送る、というパロディギャグ漫画『進撃!巨人中学校』が「別冊少年マガジン」2012年5月号より連載。作者は中川沙樹。アニメ化もされ、2015年10月よりMBSにて放送されている。

本編の主要人物であるリヴァイの過去を描いた『進撃の巨人 悔いなき選択』が「ARIA」2014年1月号から連載。原案は砂阿久雁(ニトロプラス)、作画は駿河ヒカル

デフォルメされた本編の登場人物たちの4コマギャグマンガ『寸劇の巨人』が「別冊少年マガジン」にて2014年9月より連載。ウェブコミックアプリ「マンガボックス」でも配信された。

社会に与えた影響

2010年単行本第1巻発売から話題を呼び、2015年10月時点、既刊17巻の単行本の累計発行部数は4000万部を超えるヒット作となった。2013年からはアニメ版も放映され、主題歌を担当した「linked horizon」は2013年の紅白歌合戦に出場、主題歌「紅蓮の弓矢」を披露した。

2014年には上野の森美術館にて「進撃の巨人展」が開催。原画の展示や体感型のシアターも設置され、来場者数は25万人を超えた。その後2015年8月には作者の故郷である大分の大分県立美術館、2015年9月にはグランフロント大阪ナレッジ・キャピタルにて開催。

そのほかにも数多くののメディアとコラボレーションを行っている。

評価・受賞歴

2011年には『このマンガがすごい!』(宝島社)オトコ編第一位、「全国書店員が選んだおすすめコミック2011」第一位、第4回「マンガ大賞第一位、第35回講談社漫画賞少年部門受賞。2014年にはデジタル・コンテンツ・オブ・ジ・イヤー'13/第19回AMDアワード大賞/総務大臣賞を「『進撃の巨人』プロジェクト」として受賞。

登場人物・キャラクター

エレン・イェーガー

壁外の世界に憧れ、調査兵団を目指す少年。幼い頃、巨人に母のカルラ・イェーガーを殺され、全ての巨人を駆逐することを誓い調査兵団を志願して、その過程として訓練兵団へ入団。ミカサ・アッカーマンやアルミン・アルレルトとは幼馴染。アルミンを助けようとして巨人に一度食われるが、その際に自身の持つ巨人化能力に目覚める。 未知数である巨人化の能力のために人類側から裁判にかけられ処刑されそうになるが、調査兵団団長エルヴィン・スミスの意向によってリヴァイが率いる調査兵団特別作戦班(通称「リヴァイ班」)へと配属される。格闘術以外に目立った特技は無いが、並々ならぬ努力と人一倍強い目的意識が評価されている。

ミカサ・アッカーマン

絶滅した人種である東洋人の母親から生まれた黒髪の少女。訓練兵団を経て調査兵団へ入団。エレン・イェーガーやアルミン・アルレルトとは幼馴染。幼い頃に家に入り込んだ人攫いに両親を目の前で殺害され、エレンによって命を助けられる。この際に自分を完璧に支配できる感覚に目覚め、人攫いの一人を殺害している。 そのままイェーガー家に引き取られた。この時にエレンに巻いて貰った赤いマフラーを常に大事に身に着けている。エレンを命の恩人と感じており、どんな時も行動を共にして危険から遠ざけようとする。兵士として全てにおいて秀でており、歴代でも類の無い逸材と評価されている。

アルミン・アルレルト

壁外の世界に興味を持つ小柄で金髪の少年。訓練兵団を経て調査兵団へ入団。エレン・イェーガーやミカサ・アッカーマンとは幼馴染。両親は政府による領土奪還作戦の際に死亡している。臆病な性格で身体能力もそこまで高くはないが座学では優れた成績を記録しており、調査兵団入団後は作戦の立案や実行に貢献した。 基本的には穏かな性格だが、時折冷徹な一面をのぞかせることもある。

巨人

『進撃の巨人』に登場する生物。人類を捕食する巨大な人型の生物で、生態はほぼ不明。サイズは個体差があり、小さいもので3m、超大型巨人を除けば最大でも15m程度とされている。調査の結果、ある程度の行動パターンなどが解析されているが、中には理解不能な行動をとる奇行種と呼ばれている個体もいる。砲撃などの攻撃を受け体の一部が吹き飛んでもすぐに再生する。 人間におけるうなじ付近が唯一の弱点であり、ここを削ぎ落とすことで巨人を殺すことができる。

超大型巨人 (ちょうおおがたきょじん)

『進撃の巨人』に登場する生物。50mを超える巨人。人間における皮膚が無く筋肉が剥き出しとなっているような外観をしている。845年、突如現れウォール・マリア外周のシガンシナ区の門を破壊した。また850年には再び出現し、ウォール・ローゼ外周のトロスト区の門を破壊した。巨体であるが故に動き自体は遅いが、体から蒸気を発して弱点であるうなじを守る。 その正体はベルトルト・フーバーが巨人化した姿である。

鎧の巨人 (よろいのきょじん)

『進撃の巨人』に登場する生物。筋肉質な外見をしている。全身が固い皮膚で覆われており、武器が効かないことから鎧の巨人と呼ばれる。845年、超大型巨人と共に現れ、ウォール・マリアの門を破壊し陥落させた。その正体はライナー・ブラウンが巨人化した姿である。

ジャン・キルシュタイン

率直で口の悪い少年。内地での安全な生活が約束される憲兵団を目指して訓練兵団へ入団。しかしそこで友人マルコ・ボットの死を通して考えを改め調査兵団への入団を決意する。エレン・イェーガーとはなにかと衝突することが多い。立体機動の技術が評価されている。

アニ・レオンハート

口数が少なく冷めた性格をした金髪の少女。父親直伝の格闘技術を身につけており、小柄ながらは男にすら勝る実力を備えている。徹底した現実主義者であるために孤立気味。訓練兵団を経て憲兵団へ入団。巨人化能力を有しており、人類の敵である女型の巨人の正体。エレン・イェーガーと互いに巨人化して戦い、その末に敗れた。 その際、自身を水晶体で包み身を守るようになり、現在は地下深くに拘束されている。

コニー・スプリンガー

坊主頭で小柄な少年。訓練兵団を経て調査兵団へ入団。敬礼の手を逆にしてしまうなど抜けているところはあるが、立体機動におけるバランスと俊敏性に関しては高い評価を得ている。ウォール・ローゼ内のラガコ村に家族が暮らしていたが、彼の母親は獣の巨人によって巨人へと変えられてしまった。

サシャ・ブラウス

黒髪ポニーテールの少女。訛りがコンプレックスであることから誰であろうと常に敬語で話す。訓練兵団を経て調査兵団へ入団。食い意地が張っていて、上官の食糧庫から肉を盗み出す程である。破天荒で組織行動には向かないが、素早い身のこなしと型破りの勘の良さは評価されている。

クリスタ・レンズ

金髪碧眼の美少女。よくユミルと行動を共にしている。壁の秘密を知るレイス家の不貞の子として生まれた。このため、命を狙われるが、実父ロッド・レイスの提案によって名前を変えて開拓地へと送られ難を逃れている。訓練兵団を経て調査兵団へ入団。本名はヒストリア・レイス。

ライナー・ブラウン

大柄で兄貴分のような存在である金髪の少年。訓練兵団を経て調査兵団へ入団。屈強な体格と精神力を持ち、そして仲間から厚い信頼を得ていると評価されている。ベルトルト・フーバーとは同じ村の出身でよく行動を共にしている。巨人化能力を有しており、人類の敵である鎧の巨人の正体。 壁を破壊する目的を持った「戦士」であったが、罪の意識から逃避するため自分を壁を守る「兵士」だと思い込みその結果人格が分裂してしまっている。

ベルトルト・フーバー

長身で細見の少年。訓練兵団を経て調査兵団へ入団。気弱で積極性に欠け自分の行動を他人に委ねる傾向にある。訓練兵団に入ったのも憲兵団になるためであった。ライナー・ブラウンとは同じ村の出身でよく行動を共にしている。巨人化能力を有しており、人類の敵である超大型巨人の正体。 その目的は壁を破壊し、全ての人類を滅ぼすことであった。

マルコ・ボット

穏やかで優しい性格をした少年。そばかすが特徴的。憲兵団に入り王に身を捧げるために訓練兵団へ入団。常に実戦を意識し、全体を見渡した行動を取ることから指揮官に向いていると言われていた。トロスト区奪還戦の際に戦死。ジャン・キルシュタインに進むべき道を示す。

ユミル

細い目とそばかすが特徴的な少女。訓練兵団を経て調査兵団へ入団。口が悪くよく嫌味や暴言を吐き、擦れた性格をしている。クリスタ・レンズとはよく行動を共にする。巨人化能力を有しており、ウトガルド城の攻防戦にて仲間の命を守るために巨人化した。巨人化能力のことはずっと隠しており、クリスタですら知らなかった。 世界の謎について知っている様子を見せている。

グリシャ・イェーガー

エレン・イェーガーの父。有名な医者であったが、ウォール・マリア外周のシガンシナ区陥落以降エレンにイェーガー家の地下室の鍵を託して行方不明となっていた。薬品を用いて巨人化し、レイス家の一家を惨殺し長女フリーダを食らうことでその「力」と「記憶」を奪っている。 エレンに「巨人化能力を得る薬品」を注射し、巨人化したエレンに自らを食わせることでレイス家に継がれてきた「力」と「記憶」を継承させていた。

リヴァイ

人類最強の兵士とまで呼ばれる鋭い目つきをした青年。調査兵団に所属、役職は兵士長。エレン・イェーガーを監視かつ保護する際には特別作戦班、通称リヴァイ班を編成し、これを率いた。調査兵団に入る前は都の地下で有名なゴロツキであった。小柄で掃除好きの潔癖症。 ケニー・アッカーマンとはかつて共に生活をしていた。

エルヴィン・スミス

第13代目調査兵団団長。聡明な思考と強い決断力を持つ男性。かつて都の地下で有名なゴロツキであったリヴァイを調査兵団へと引き入れた。巨人化能力を持つエレン・イェーガーに人類の未来の可能性を見出している。ライナー・ブラウンとベルトルト・フーバーに連れ去られたエレンを奪還に向かった際に巨人に右腕を食われて失う。

ハンジ・ゾエ

茶髪ポニーテールで眼鏡をかけた中性的な外見をしている人物。任務中はゴーグルをつけている。調査兵団に所属、役職は分隊長。飄々とした口ぶりで話す。初めは巨人を憎んでいたが、巨人の生態に疑問を持つ中で愛情のようなものを持って接するようになった。巨人の再生能力を確かめる実験の際は泣き叫びながら巨人に攻撃をしていた。 調査兵団の中でも変人として扱われている。

女型の巨人 (めがたのきょじん)

『進撃の巨人』に登場する生物。通常の巨人とは違い女性のような外見をした巨人。壁外調査の際に遭遇。当初は奇行種だと考えられていたが知性があることが発覚し、アルミン・アルレルトにエレン・イェーガーと同様に中に人間が入った巨人だとされた。高い身体能力を持ち、また身体の一部を硬質化する能力も持つ。 正体は巨人化したアニ・レオンハート。

獣の巨人

『進撃の巨人』に登場する生物。全身が毛で覆われている巨人。通常の巨人と異なり知性を持ち人間の言葉を話すことができる。サイズは17m程度。他の巨人との意思疎通も可能で命令して従わせるできる。長い手足を持っており、壁をよじ登って超えることができる。巨人を発生させる能力を持つとされている。ライナー・ブラウンとベルトルト・フーバーは獣の巨人の元を目指していると言われている。 正体は不明。

ハンネス

中年の男性。駐屯兵団に所属。エレン・イェーガーやミカサ・アッカーマンの住むウォール・マリア外周のシガンシナ区で勤務をしており、エレンの父親グリシャ・イェーガーに、妻の病気を助けて貰ったことから恩を感じている。845年の巨人の侵攻の際、瓦礫に足を潰されたエレンの母親カルラ・イェーガーの言葉に従いエレンとミカサを連れて逃げるが、カルラを見殺しにしたことを悔いている。 ライナー・ブラウンとベルトルト・フーバーに連れ去られたエレンの奪還に向かった際、カルラを食った巨人と再び対峙し、激昂して挑むが下半身を食いちぎられて死亡した。

カルラ・イェーガー

エレン・イェーガーの母親。エレンが調査兵団へ入ろうとしていることに反対していた。845年に巨人が侵攻した際、超大型巨人が蹴り破った壁の破片が家に直撃、瓦礫の下敷きとなる。救助に駆け付けたハンネスにエレンとミカサ・アッカーマンを連れて逃げるように頼み、その直後、巨人に食われて死亡した。

ドット・ピクシス

聡明な頭脳を持つ老年の男性。駐屯兵団に所属、役職は司令官。ウォール・マリア陥落以後、最重要防衛拠点とされるウォール・ローゼ外周のトロスト区を含む南側領土を束ねる最高責任者。生粋の変人とも言われる。巨人化能力を持つエレン・イェーガーを作戦に組み込むなど柔軟な思考をする。 恐怖によって兵士が任務を放棄しようとした際、兵士たち自身の家族にも同じ恐怖を味あわせるつもりなのかと説くことで士気を高揚させた。

集団・組織

訓練兵団 (くんれんへいだん)

『進撃の巨人』に登場する組織。調査兵団、憲兵団、駐屯兵団を志願するものが正式に配属される前に所属する兵団。訓練内容は過酷かつ危険なもので、死亡者が出ることもある。卒業時に立体機動、格闘術、座学などの総合成績から順位が発表され、上位10名の者のみが憲兵団を志願することが出来る。紋章は盾と剣。

調査兵団 (ちょうさいへんだん)

『進撃の巨人』に登場する組織。安全地帯である壁内から巨人の生息する壁外地域への遠征調査を行う兵団。団長はエルヴィン・スミス。巨人と頻繁に遭遇するため戦死率が高く、新兵は最初の遠征で5割は死亡すると言われている。支持母体が存在し、作戦の成果が見られない際には責任問題が生じる。紋章は盾と自由の翼を意味する白と黒の重ね翼。 団員は、通常の兵団の制服に加え、背面にその紋章が刻まれた緑色のフード付きマントが与えられている。

憲兵団 (けいんぺいだん)

『進撃の巨人』に登場する組織。ウォール・シーナの内地で王に仕え、護衛や警備を行う兵団。訓練兵団の卒業時の成績が上位10位内の者だけが志願することが出来る。安全な内地での生活が約束されるため、それを目的に憲兵団への配属を狙う者も多い。実情としては腐敗が進行しており、勤務中の怠慢や横暴な態度などが見られる。 紋章は盾と一角獣。

駐屯兵団 (ちゅうとんへいだん)

『進撃の巨人』に登場する組織。壁の警護や補強を行う兵団。巨人の侵攻前の平和な時期には勤務中に昼間から酒盛りをしており「タダ飯食らい」と呼ばれていた。845年の巨人の侵攻以降は意識改革がなされ、壁に設置された武装も強固なものとなった。紋章は盾と薔薇。

場所

『進撃の巨人』に登場する建築物。人を食らう巨人から人類が身を守るために築いたと言われている。壁は同心円状に三重になっており外側からそれぞれウォール・マリア、ウォール・ローゼ、ウォール・シーナという名称がある。高さは50m程度。壁の内側は人類の活動領域となっており、街並みが広がっている。845年、超大型巨人と鎧の巨人の侵攻によってウォール・マリアが陥落し人類の活動領域はウォール・ローゼまで後退する。

その他キーワード

立体機動装置 (りったいきどうそうち)

『進撃の巨人』に登場する兵器。アンカー付きの鉄線を射出し、ガスの圧力で巻き取ることで人間に三次元的な動きと機動力を与える。両手の柄で操作を行う。主に巨人との戦闘のために用いられ、超硬質スチールで出来た着脱式の刃が装置に付随している。全身に巻き付けた固定ベルトで体重移動を行うが、動作に適応するためには過酷な訓練が必要とされる。

関連

進撃の巨人 Before the fall (しんげきのきょじん びふぉー ざ ふぉーる)

士貴智志の代表作。諫山創の『進撃の巨人』のスピンオフで、涼風涼の小説『進撃の巨人 Before the fall』のコミカライズ作品。本編の時代からおよそ55年前のパラディ島が舞台で、本編の前日譚(た... 関連ページ:進撃の巨人 Before the fall

進撃の巨人 LOST GIRLS (しんげきのきょじん ろすと がーるず)

諫山創の漫画作品『進撃の巨人』を原作とする、瀬古浩司のスピンオフ小説『進撃の巨人 LOST GIRLS』のコミカライズ作品。原作にも登場する憲兵団の少女アニ・レオンハートの活躍と、調査兵団の少女ミカサ... 関連ページ:進撃の巨人 LOST GIRLS

進撃の巨人 悔いなき選択 (しんげきのきょじん くいなきせんたく)

諫山創の漫画『進撃の巨人』を原作とする外伝作品。地下街のゴロツキに過ぎなかったリヴァイが調査兵団に入団し、巨人と戦うきっかけとなった事件を描いている。講談社「ARIA」2014年1月号から8月号にかけ... 関連ページ:進撃の巨人 悔いなき選択

進撃! 巨人中学校 (しんげき きょじんちゅうがっこう)

諫山創の漫画作品『進撃の巨人』を基にしたパロディギャグ作品。人間と巨人が通う進撃中学校を舞台に、巨人たちに恨みを持つ主人公の中学生エレン・イェーガーの学園生活を描く。講談社『別冊少年マガジン』2012... 関連ページ:進撃! 巨人中学校

アニメ

進撃の巨人

今から107年前、人類は突如出現した人を食う巨人によって滅亡の危機に立たされた。生き残った人類は、ウォール・マリア、ウォール・ローゼ、ウォール・シーナという巨大な三重の壁の内側に生活圏を確保し、壁外へ... 関連ページ:進撃の巨人

書誌情報

進撃の巨人 34巻 講談社〈講談社コミックス〉

第1巻

(2010-03-17発行、 978-4063842760)

第2巻

(2010-07-16発行、 978-4063843385)

第3巻

(2010-12-09発行、 978-4063844108)

第4巻

(2011-04-08発行、 978-4063844696)

第5巻

(2011-08-09発行、 978-4063845136)

第6巻

(2011-12-09発行、 978-4063845914)

第7巻

(2012-04-09発行、 978-4063846522)

第8巻

(2012-08-09発行、 978-4063847123)

第9巻

(2012-12-07発行、 978-4063847765)

第10巻

(2013-04-09発行、 978-4063848397)

第11巻

(2013-08-09発行、 978-4063949018)

第12巻

(2013-12-09発行、 978-4063949766)

第13巻

(2014-04-09発行、 978-4063950441)

第14巻

(2014-08-08発行、 978-4063951417)

第15巻

(2014-12-09発行、 978-4063952537)

第16巻

(2015-04-09発行、 978-4063953589)

第17巻

(2015-08-07発行、 978-4063954463)

第18巻

(2015-12-09発行、 978-4063955491)

第19巻

(2016-04-08発行、 978-4063956368)

第20巻

(2016-08-09発行、 978-4063957204)

第21巻

(2016-12-09発行、 978-4063958157)

第22巻

(2017-04-07発行、 978-4063959093)

第23巻

(2017-08-09発行、 978-4065101001)

第24巻

(2017-12-08発行、 978-4065105481)

第25巻

(2018-04-09発行、 978-4065112014)

第26巻

(2018-08-09発行、 978-4065121832)

第27巻

(2018-12-07発行、 978-4065134795)

第28巻

(2019-04-09発行、 978-4065148693)

第29巻

(2019-08-09発行、 978-4065162248)

第30巻

(2019-12-09発行、 978-4065175439)

第31巻

(2020-04-09発行、 978-4065186893)

第32巻

(2020-09-09発行、 978-4065203224)

第33巻

(2021-01-08発行、 978-4065220290)

第34巻

(2021-06-09発行、 978-4065234174)

進撃の巨人 特装版 33巻 講談社〈講談社キャラクターズA〉

第32巻

(2020-09-09発行、 978-4065203231)

第33巻

(2021-01-08発行、 978-4065220306)

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