仙術超攻殻 ORION

仙術超攻殻 ORION

日本神話、クトゥルー、量子力学などが混在した世界を舞台に繰り広げられる神々の戦いを描いたSFファンタジー。後の代表作『攻殻機動隊』における描写のルーツとも言える表現や、ダブルミーニングを狙った言葉遊びのようなネーミングが多用された異色作。

正式名称
仙術超攻殻 ORION
ふりがな
せんじゅつちょうこうかく おりおん
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
 
ファンタジー
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概要・あらすじ

惑星「瑠璃家水天」。天台龍法フゼ一族の長フゼンの娘・セスカは、突然「帝国警察軍」の襲撃を受ける。一門の総本山・「暗馬天台」へ跳んだセスカは、そこも警察軍の標的となっている事を知る。父であるフゼン道人は帝国最高機密である九頭龍法程式セスカに写すが、そこに帝室軍事顧問の蛇目業雲に引きいられた警察軍が乱入、フゼンは殺される。

だがそのとき、念度9億8千万の念積体が召喚され、降馬頭主・宿参ノ王(おるばとうすすさのお)として実体化する。

登場人物・キャラクター

セスカ

天台龍法フゼ一族の族長フゼン道人の娘。割と豪放な性格。天体の密度が濃い「密・蔵天(ミ・クラーマ)」において宇宙船を運航する「難飛芸韻到(ナビゲイター)」をしている。父であるフゼンによって九頭龍の法程式を身体に転写され、歩く帝国機密となる。追われる身であったがどさくさに紛れて帝王増国(ますくに)の印を手に入れて帝室顧問となり、大手を振って事態に関与できるようになる。 九頭龍の法程式を転写された身で宿参ノ王の「法円」を踏んだせいで彼女自身が「第十魔素」となり、一時的に強力な術も使えるようになった。

フゼン

フゼン道人とも。天台龍法フゼ一門の長でセスカの父。九頭龍が天台龍法の邪神を呼ぶ式と暗合している事を知り、止めようとするために盗み出した。式を取り戻しにやってきた蛇目業雲との戦いで倒れ死亡するが、そこに召喚された宿参ノ王によって復活する。

宿参ノ王 (すさのお)

暗黒神。破壊神。フゼン道人が九頭龍を破壊すべく召喚した、念度9億8千万の念積体が実体化した金剛羅漢。だが「出雲望度(イズモモード)」で召喚されたため本来の力を出せず、一旦は制御用の「駆式」を手にしたセスカによって送り返される(多面性を持つ神である宿参ノ王は、単なる破壊神としてふるまう「高天ケ原望度(タカマガハラモード)」と、破壊神以外の側面も見せる「出雲望度(イズモモード)」があり、前者の方が圧倒的に力を奮える)。 しかし、直後に召喚ではなく自らの意思で再臨する。

櫛薙刀 (くしなだ)

水晶眼を持ち観音力を帯びた音断(オトタチ)の神族。「贄(にえ)」として「九頭炉」の炉心になる予定の姫。九頭龍は人の世の諸悪強欲を焼滅し世を浄化すると信じており、説得に来た宿参ノ王を追い返す。帝王増国(ますくに)の祖母と母から嫉妬され、嫌がらせを受けている。

蛇目業雲 (へびめごううん)

金剛龍法の大家で帝室軍事顧問。九頭龍の責任者。フゼンとは前世からの因縁があるらしい。九頭龍の危険を説くフゼンの言葉を無視し、起動させる。

集団・組織

ヤマタ人民帝国 (やまたじんみんていこく)

『仙術超攻殻 ORION』に登場する架空の国家。遥か1430光年の彼方、大銀河帝国から惑星「瑠璃家水天」にやってきた人々が作り上げた帝国。現在の帝王は三代帝王増国(ますくに)。電気ガス水道等すべてを「龍法」でまかなう「龍法文明」によって栄えている。なおヤマタとその周辺以外の土地は、この惑星の現生種である恐竜がうろついている。

その他キーワード

九頭龍 (くとうりゅう)

『仙術超攻殻 ORION』に登場する用語。大銀河帝国全土の諸悪業を龍に変じさせ封滅解体する事を目標に組み上げられた法程式。しかしその龍は月と陰の気を受け邪神を頭に戴き、帝国に害を為す事になる。ネーミングの元は「クトゥルー」。

法程式 (ほうていしき)

『仙術超攻殻 ORION』に登場する用語。所謂「呪文」や「魔法陣」の大掛かりなもの。九頭龍を駆動するものや、金剛羅漢を召喚するものなど用途に合わせて様々なものが存在する。ネーミングの元は「方程式」。

念積体 (ねんせきたい)

『仙術超攻殻 ORION』に登場する用語。実態を持たないエネルギーや情報の塊。「陰子」と「陽子」の多彩な組み合わせで出来ており、複雑さを「韻度」、結合強度を「念度」で表す。全体が極性を帯びており方向性(頭と尾)がある。小さいものは語連虫(ゴレム)と呼ばれ、長くなると蛇、途中に結合端子が4つあって短いとキツネ、長いと龍、端子が多数あるとムカデなどと呼ばれる。 とてつもなく巨大なものが九頭龍。念積体が実体化したものを金剛羅漢と呼ぶ。

金剛羅漢 (こんごうらかん)

『仙術超攻殻 ORION』に登場する用語。龍法によって召喚された念積体が実体化したもの。天台龍法においては金剛羅漢の召喚は禁法とされている。召喚した金剛羅漢を操るために「駆式(くしき)」が用意される場合もあるが、思い通り操れるとは限らない。

天台龍法 (てんだいりゅうほう)

『仙術超攻殻 ORION』に登場する用語。金剛龍法と並び、龍法文明を支える二つの龍法のうちのひとつ。天体の力を集めて使う。「暗馬天台」が本拠地で、現在の長はフゼン道人。ヤマタ人民帝国に組みしない「ロンガイ国」や「ヤナガ国」の者にも出入りを許しているため、蛇目業雲から厭われている。

金剛龍法 (こんごうりゅうほう)

『仙術超攻殻 ORION』に登場する用語。天台龍法と並び、龍法文明を支える二つの龍法のうちのひとつ。大地のあらゆる龍を使う。蛇目業雲が使うのはこちらの龍法で、金剛羅漢の召喚も禁止されていない。

龍理 (ろんり)

『仙術超攻殻 ORION』に登場する用語。龍法文明において、ものの理(ことわり)を説明したり応用したりするための理論大系である。仮学と合わせて龍法文明を支えている。「論理」と「龍」のダブルミーニングになっている。

仮学 (かがく)

『仙術超攻殻 ORION』に登場する用語。龍法文明において、基本となる技術体系の事。龍理と合わせて龍法文明を支えている。ネーミングは我々の「科学」とのダブルミーニングである。

具留化 (ぐるか)

『仙術超攻殻 ORION』に登場する用語。念積体が物質化して実体化する事。『仙術超攻殻 ORION』の世界では「物質」という概念は存在せず、「韻」や「意味」が全てである。この「韻」がまとまって、「龍」と呼ばれるエネルギーや形をなしているため、念積体と実体は相互に変換可能である。

龍法 (りゅうほう)

『仙術超攻殻 ORION』に登場する用語。念を引き金に「龍」(自然界のパワー)を組み換えたり、その構成に対して効率的に働く力(声や思考など)を探してそれを保存する方法を龍法と呼ぶ。天台龍法と金剛龍法の二種類があり、龍理と仮学によって制御される。龍法によって電気ガス水道他すべてのインフラをコントロールしているのが「龍法文明」である。

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