サザエさんうちあけ話

サザエさんうちあけ話

新聞漫画『サザエさん』連載終了から4年後、当時58歳だった作者の長谷川町子がそれまでの生涯をユーモラスなタッチで描く自伝エッセイ漫画。手書き文字に絵をちりばめた絵文字、挿画つき活字文、漫画の3形式で綴られる。

正式名称
サザエさんうちあけ話
ふりがな
さざえさんうちあけばなし
作者
ジャンル
作家・漫画家
 
自伝・伝記
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概要・あらすじ

長谷川家は両親と娘3人の5人家族。戦前の福岡県で楽しく暮らしていたが、1934年にが病死する。その1年後にが一念発起し、残された貯えを頼りに娘らを連れて上京。は東京で、三姉妹に理想的な教育を受けさせるため奔走する。2歳の頃から絵を描くのが好きだった二女・長谷川町子は、当時随一の人気漫画家・田河水泡に弟子入り。

田河に出版社を紹介され、10代半ばで漫画家デビューする。姉・長谷川毬子も東京で挿絵画家の仕事を得た。だが太平洋戦争が勃発すると、一家は疎開のため福岡県へ帰郷。毬子は朝日新聞社の記者と結婚していたが、夫は出征からほどなく戦死した。

1946年に西日本新聞社から夕刊フクイチが刊行されるにあたり、町子は『サザエさん』の連載を開始。一家は間もなく再び上京し、『サザエさん』も1949年から朝日新聞夕刊へ移った。毬子は『サザエさん』の単行本を刊行する出版社・姉妹社の切り盛りに奮闘する。やがて三女・長谷川洋子も結婚し、タカコ、サイコの姉妹が誕生。

タカコが大人になった頃、町子、毬子らはの痴呆症と格闘を始める。

登場人物・キャラクター

長谷川 町子 (はせがわ まちこ)

作者自身で、長谷川家の二女。福岡県で絵といたずらに明け暮れる少女時代を過ごす。父の没後、14歳の時に家族と初上京。母親の強い勧めで、人気漫画家・田河水泡に1年ほど師事した。10代半ばで少女雑誌、児童雑誌など複数の媒体で漫画連載をこなす。疎開先として戻った福岡県で敗戦を迎え、1946年から地元紙・夕刊フクイチで『サザエさん』の連載を開始。 再び上京して『サザエさん』発表の場を朝日新聞夕刊に移し、国民的漫画家に。だが出不精かつマイペースな性格で、出版業界の著名人らとの関わりは薄い。制作のストレスから胃痛に悩まされることしばしば。姉や妹と異なり、独身を貫いている。

(はは)

長谷川町子ら長谷川家三姉妹の母親。夫が病で没してから1年間泣いて暮らした後、一念発起して娘らとともに上京する。絵が好きな長谷川毬子と町子が東京で画業へ進めるよう後押しし、また三女・長谷川洋子を東京女子大学に入学させた。自分の子供たちに限らず、誰かの才能を育てることに熱中する性分。 京都へ行ったことがないという大工に寺院建築を見せるため、自費で京都に連れていったこともある。月越しの金は持たない主義で、独自の良心に基づき惜しげなく使ってしまう。磊落だが家庭内では独裁的に振る舞うため、戦中はヒトラー、戦後はワンマンとあだ名された。娘、孫らに愛されて平穏な老後を迎えるが、痴呆症を患う。

(ちち)

長谷川町子ら長谷川家三姉妹の父親。ハンサムだが、かんしゃく持ちで貧乏揺すりのくせがある。三菱炭鉱の技師から独立し、ワイヤーロープの事業を興した。子煩悩で仕事より家庭を大事にするタイプ。仕事を放っぽって妻子と外出し、出先で得意先と鉢合わせたことも。娘らの成長を見届けることなく病没する。

長谷川 毬子 (はせがわ まりこ)

長谷川家の長女で長谷川町子の姉。福岡時代から油絵をたしなみ、16歳で家族と初上京した際に母のすすめで洋画の大家・藤島武二に弟子入りした。芸大を目指していたが、一家の貯えが尽きた後は挿絵画家として家計を助ける。後に朝日新聞社記者のアズママナブと結婚。 だがマナブは結婚1週間後に出征して戦死、未亡人となる。戦後は進駐軍向けに日本画を描いて売ったりもした。やがて母のすすめで『サザエさん』単行本の出版に携わり、そのため立ち上げた姉妹社を切り盛りして書店や取次などを奔走する。

長谷川 洋子 (はせがわ ようこ)

長谷川家の三女で町子の妹。8歳の時に家族と初上京し、後に東京女子大学に入学する。後に母のすすめで作家の菊池寛に弟子入りし、大学を自主退学した。疎開に前後して肋膜を病むが、のちに快癒する。1953年に読売新聞社の記者と見合い、後に結婚。タカコ、サイコの2児をもうけるが、夫は35歳で病没する。 子供の健康に人一倍気をつかったが、後に反抗期に悩まされるように。

アズママナブ

長谷川毬子の夫。福岡県出身。朝日新聞社の新人記者時代、アサヒグラフの挿絵を依頼した毬子に好意を抱く。プレゼントの木綿の足袋を携えて長谷川家に足しげく通ううち、縁談が進んだ。やがて招集を経て出征が決まると、毬子はアズママナブの郷里を訪れて挙式する。 マナブはその1週間後に日本を発ち、インパールで戦死。

田河 水泡 (たがわ すいほう)

戦前に一世を風靡した漫画界の第一人者。姉・長谷川毬子に連れられて弟子入りを願い出た長谷川町子を追い返そうとするが、熱意に折れて弟子入りを認める。振る舞いは泰然としているが、話し好き。何ごとにも「盛り上がり」と「落ち」を重視する姿勢が、知らず知らずのうちに町子に影響を与える。 自宅を訪れる編集者に町子を紹介し、幼年倶楽部・少年倶楽部・少女倶楽部などで作品を発表する道を開いた。

別荘番一家 (べっそうばんいっか)

箱根を訪れた母が即日購入した別荘の番人一家で、中高年夫婦と幼い娘の3人家族。前のオーナーから長谷川家が引き継いで雇うことになった。周辺は著名な政治家や作家などの上流階級の別荘が立ち並び、別荘番一家も格調高い言葉遣いと振る舞いで長谷川町子らを戸惑わせる。

さつま 治郎八 (さつま じろはち)

大富豪の作家。長谷川家が購入した箱根の別荘の向かいに別荘を構える。東京の長谷川家を訪ね、四国へ移転するので庭の半分を買ってほしいと持ちかけた。姉妹は反対したが、母に押し切られて金策の末に購入する。

タカコ

長谷川洋子の長女。サイコという名の妹がいる。6歳の時、父親が35歳で病没。中学3年生あたりから、長谷川町子らにも反抗的に振る舞い出す。だがやがて反抗期を脱し、老いた祖母の面倒をかいがいしく見るようになった。上智大学仏文科を経て、通商産業省の役人と結婚。 夫は結婚と同時にアメリカ留学へ発ち、タカコも間もなく後を追ってピッツバーグに移り住んだ。

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