うしろの百太郎

うしろの百太郎

霊感のある少年後一太郎が、心霊科学研究者の父健太郎とともに、様々な怪現象を体験する姿を描いたオカルト漫画。70年代、日本で起こったオカルトブームの一端を担った作品。続編に『新うしろの百太郎』がある。

正式名称
うしろの百太郎
ふりがな
うしろのひゃくたろう
作者
ジャンル
オカルト
 
推理・ミステリー
関連商品
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概要・あらすじ

少年後一太郎は、心霊科学研究者である父健太郎と共に、様々な怪現象と対峙する。その最中一太郎霊感に目覚め、その力をどんどん強めていくが、それはマイナスの現象とも関わりを持ってしまうことでもあった。悪意を向けてくる地縛霊浮遊霊ポルターガイスト現象等々、多くの災難に見舞われるが、霊能犬ゼロや、守護霊百太郎に助けられながら、乗り切っていく。

登場人物・キャラクター

後 一太郎 (うしろ いちたろう)

私立千里学園中学校の学生。心霊科学研究者の父健太郎と共に、心霊、超能力等、多くの怪現象を目の当たりにする。自身も霊感、交霊の訓練を積んでおり、次第にその能力を強めていく。そしてついに守護霊百太郎と出会うことにも成功する。能力の高まりにより、怪現象に出会う機会が日増しに増えていくが、それを退ける力は無いに等しいため、いつも霊能犬ゼロや、百太郎に助けられている。

百太郎 (ひゃくたろう)

後一太郎の守護霊で、狩衣を着た長い髪の少年の姿をしている。南北朝時代に生きていた一太郎の先祖に当たる人物。絶大な霊力の持ち主で、悪霊に襲われる一太郎を何度も救う。

ゼロ

『うしろの百太郎』に登場するキャラクター。一太郎が拾ってきた白い子犬。強力な霊感を持っており、人間の顔になったり、一太郎とテレパシーで会話することができる。またテレポーテーション能力で、離れた場所へ一瞬で移動することもできる。心霊現象に関する知識が豊富で、一太郎や健太郎にアドバイスをすることも。

後 健太郎 (うしろ けんたろう)

一太郎の父で後心霊科学研究所の所長。本業は大学講師。心霊現象や超能力等、不可思議な現象を調査、研究している。彼自身はあまり霊感は強くなく、一太郎や、霊能者船越和人の助けを借りている。

億山 靖子 (おくやま やすこ)

「アパート怪異事件」に登場したお下げ髪の少女。世間から「霊感少女」と呼ばれている。次々と自殺者が出るアパートを除霊しにやって来たところ、一太郎と出会う。

小早川 (こばやかわ)

「コックリ殺人編」に登場する男性で、後一太郎のクラスを担任している教師。一太郎たちがやっていたコックリさんを無理やり中断させてしまったところ、悪霊に取り憑かれ、キツネ憑きの状態になってしまう。そして生徒を次々と襲い始める。

大森 和子 (おおもり かずこ)

「念力少女ワッコ」に登場した小さな女の子。自分の持っている能力を調べてほしいと後心霊科学研究所を訪ねてくる。実験の結果、念動力、発火能力、透視能力などを持つ超能力者である事がわかる。しかし、彼女が帰った後、一太郎の家族の身に次々と不可解な災難が降りかかる。

前田 るみ子 (まえだ るみこ)

「コックリ憑依編」に登場した少女。学校でやったコックリさんが原因で右腕が自動書記をするようになってしまい、後心霊科学研究所に相談に来る。そして調査の結果マルーハ・バルガスというスペイン人女性の霊が取り憑いていることが判明する。

望月 (もちづき)

「恐怖の心霊写真」に登場した男性。心霊写真の調査のため後心霊研究所一行に同行し、烏山一の沢を訪れる。そこでムハマディ・カシムという過激派グループの憑依霊取り憑かれ、一太郎を人質にし逃亡する。

清田 益章 (きよた ますあき)

実在する日本の超能力者。テレポーテーションや念写等、彼の能力の実例が、作品中で度々紹介される。

船越 和人 (ふなこし かずと)

度々後心霊科学研究所に協力する初老の霊能者。「公開交霊実験会」のエピソードでは、心霊や超常現象の実在を証明するため、自ら進んで実験台となる。しかしその時のアクシデントが元で命を落としてしまう。

滝口 鯉堂 (たきぐち こいどう)

守護霊との交霊法を教えてもらうため一太郎が訪ねた、日本でも指折りの霊能者。彼からの教えにより一太郎は百太郎と交信することができるようになり、幽界の知識を深めることになる。

中根 (なかね)

一太郎のクラスメイトの少年。一太郎らと幽界の入り口を探していたところ、熊野神社で悲鳴を残し突然行方不明になる。百太郎と交信した一太郎によって、現実世界と幽界の間の幽現界というところに迷い込んでいたことが判明する。

死神 (しにがみ)

『うしろの百太郎』に登場するキャラクター。骸骨がフードを被ったような姿をしており、大きな鎌を持っている。生きたまま幽界へ引き込まれた一太郎の「魂の緒」を切りに現れた。また現実世界でも、死にそうな人間の近くに現れる。

新妻 薫 (にいづま かおる)

一太郎の新しいクラス担任。女性。「イヌ神憑き伝説」に登場。自身に起こる怪現象について相談するため、一太郎を自宅に招くが、真夜中、突如ネズミの顔になり、一太郎に襲い掛かる。その後、後健太郎による聞き取り調査により、四国のイヌ神つき伝説に原因があることが判明する。

新妻博士 (にいづまはくし)

新妻薫の父で医学界の解剖の権威。非科学的なことを一切信じない人物で、過去にイヌ神の存在を否定するため、無謀で残酷な実験を行ったことがある。それが原因で、娘薫にイヌ神の呪いが降りかかったのだが、それさえも迷信と一蹴し、助けに来た後健太郎らもインチキ呼ばわりする。そしてこの騒動は船越和夫をはじめとする、全国の霊能者、マスコミまでも巻き込み、心霊実在の真偽を賭けた、公開交霊実験会にまで発展してしまう。

船越 和子 (ふなこし かずこ)

千葉県の海岸の町に住む中学二年生の少女。ある日、至近距離で炸裂した落雷が切っ掛けとなり、死んだはずの船越和人の人格になってしまう。逆行催眠で記憶をさかのぼったところ、前世で船越和人と兄妹であったことが判明する。

ドクター・マブティ

フィリピンから来た心霊手術者。奇跡を信じたがらない日本人に挑戦するためにしにやって来た。後健太郎が病院に話をつけ、非公開ながら医師たちの前で心霊手術を行うことになる。そして彼は、麻酔もメスも使わず手術を成功させるのだった。

西丸 恭子 (にしまる きょうこ)

後一太郎の担任教師西丸の妹。結婚を控えているが、近頃夢の中に霊が毎晩現れ、式の日に殺すと脅されていた。後心霊科学研究所に相談したところ、式の中止を勧められるが、親戚たちの手前、それも難しいという。そしてそれを見かねた船越和子が、彼女の身代わりを申し出る。

田岡

一太郎と同じ学校に通う超能力少年。周りの人間にウソツキ扱いをされてきたが、テレビ出演した超能力者クロワゼットが世間から糾弾されたことが引き金となり、自身の能力を悪用し、信じない者への復讐をはじめる。

佐久間 正美 (さくま まさみ)

一太郎のクラスに転校してきた少女。自己紹介の場で、自分には玲子さまと呼ばれる霊が憑いており、それを馬鹿にすると悪いことが起きるといい、クラスの人間に気味悪がられる。しかし事実、そのことを注意した教師たちは次々とポルターガイスト現象に見舞われ、大怪我をするのだった。

ポルターガイスト

『うしろの百太郎』の中で使用される用語。ドイツ語で「騒がしい霊」という意味。霊のいる部屋や建物の中で、異音がしたり、家具などの物体が勝手に動く現象。規模や性質によっては、内部にいる人間に危害が及ぶこともある。また、原因は霊ではなく、その家にいる人間の中に超能力者がおり、無自覚にポルターガイスト現象を起こしていると考える研究者もいる。

集団・組織

後心霊科学研究所 (うしろしんれいかがくけんきゅうじょ)

現代の世の中では未だに信じられていない、霊魂や霊感、超能力の謎を解明するために、後健太郎が開設した研究所。後一太郎ら親子の自宅も兼ねており、この場所で日々不可思議現象の調査、研究、訓練に励んでいる。また、怪現象の起こっている現場へ赴いての調査も行っている。

その他キーワード

交霊 (こうれい)

『うしろの百太郎』の中で使用される用語。何らかの方法で霊とコミュニケーションをとること。日本では文字盤と10円玉を使ったコックリさんが有名。エンジェルさん、守護霊さん等、亜種も存在する。その他、西洋のウィジャボードを使用したものや、自動書記等がある。しかし上記のものは、簡単に行えるが、動物霊や低級霊を呼び寄せてしまうため、作品中でも無暗に行うべきではないと警告している。 本格的なものでは、修業をした霊媒師が自分に霊を乗り移らせる降霊や、幽体離脱によって直接霊と話す等がある。

浮遊霊 (ふゆうれい)

『うしろの百太郎』の中で使用される用語。霊界へ行けずに、この世との間を彷徨っている霊のこと。死に方によったり、遺族の強い念によったりと、原因は様々。悪霊化するものや、人に乗り移り、操るものもいるという。

地縛霊 (じばくれい)

『うしろの百太郎』の中で使用される用語。その場所に縛り付けられたように動けなくなってしまった霊のこと。自殺者、事故を起こした者、殺された者などが多く、メッセージを発したり、悪いときには近づいた人間に憑依して災厄をもたらすこともある。

霊界電話 (れいかいつうわ)

後健太郎がある工学研究所に頼んで作ってもらった機械。霊の波動に近いと思われる電波を増幅して音声にするようにしたもの。霊とのコミュニケーションによって研究が進むことを期待していたが、皮肉にもこの機械によって、後心霊科学研究所の周りに、悪の霊団を呼び寄せることになってしまう。

霊感 (れいかん)

『うしろの百太郎』の中で使用される用語。誰もが多かれ少なかれ持ている能力だが、その力があることを知る人は非常に少ないという。能力の種類は様々で、霊を見ることのできる霊視能力、予知能力、テレパシー、念力等があ。

幽界 (ゆうかい)

『うしろの百太郎』の中で使用される用語。死んで肉体から離れた霊が、最初に訪れる場所。悪いことをしてきた者はここから地獄へ落ち、それ以外の者は修行をしてさらに上の霊界、神界へと進むことができる。肉体を持ったままでは幽界へ行くことはできないが、霊感が強い人間なら、幽体離脱をすることにより、現実世界と幽界の間にある幽現界へいくことが可能。 そこで守護霊などとコミュニケーションをとることができる。

背後霊 (はいごれい)

『うしろの百太郎』の中で使用される用語。世界中のどんな人間にもついている味方の霊。人間の後ろについている霊は一人ではなく、善い霊、悪い霊、様々な霊がついて、その人間の一生に大きな影響を与えている。その中でも特に影響を与える霊が二つあり、一つは精神面に影響を与える「守護霊」、もう一つは物質面で影響を与える「支配霊」という。 霊感の強い人は、霊と話ができ、霊から直接名前を聞けるという。

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