バカイチ

バカイチ

『ゴリラーマン』や『BECK』などさまざまなジャンルの作品を発表し続けるハロルド作石が空手やバーリ・トゥードを描く格闘マンガ。「ヤングマガジン」に1994年から1995年にかけて連載された作品であり、当時の空手界およびブームになりつつあった総合格闘技イベントを題材として取り込んでいる。最終巻となるコミックス第4巻には、ヤングマガジン1994年第1号と第2・3合併号に掲載されたサッカーマンガ『世界のアオヤマ』も収録している。

正式名称
バカイチ
ふりがな
ばかいち
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
 
空手
 
格闘技・武道
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概要・あらすじ

『バカイチ』 畠山高校の生徒・大場一良は、伝説的空手家・井上政彦の隠し子。問題児である一良の前に現れた新任教師・関根茂三は、最強の格闘家を育てる夢を一良に託そうとする。正武塾の空手大会で永射謙二にあしらわれた一良は、地上最強になることを決意。名古屋に行き、関根の弟子・柳田英夫の下で修行する。一年半の修行から東京に戻った一良は、井上政彦の死で様変わりした空手界の中で、永射との再戦と再戦、そして総合格闘技大会トーナメント・バーリ・トゥード・イン・ジャパンに参加する。 『世界のアオヤマ』 少年サッカーチームに所属する青山卓也は、補欠でリフティングもたったの2回しかできない。しかし、将来はワールドカップで3度の得点王に輝き、「世界のアオヤマ」と呼ばれることになる日本の宝だった。そんな将来のことを知らない卓也は、サッカーをあっさり辞めてしまう。未来からモニターでそれを見ていた日本サッカー理事会は、これは一大事と、卓也にサッカーを続けさせるため藤井アリサを使者として過去の世界へ向かわせるのだった。

登場人物・キャラクター

大場 一良 (おおば かずよし)

『バカイチ』に登場する。畠山高校に通う男子高校生。ジャッキー・チェンの映画をこよなく愛するドレッドヘアの少年で、祖母と2人で暮らしている。母親を亡くし、幼い頃に出て行った父親の顔も知らぬが、父親はビール瓶切りができた、ということは聞いている。伝説的空手家・井上政彦の隠し子だが空手は嗜んでおらず、人生の目的を見出せないまま学校を辞めようとしていたが、関根茂三と出会い空手道を歩み始める。 「バカイチ」と呼ばれる問題児で、運動神経は良いがケンカの強さは並程度。しかし、関根茂三に見込まれ、正武塾の大会で永射謙二に軽くあしらわれた屈辱もあり、最強の空手家を志す。名古屋で柳田英夫の指導を受けて高い実力は得たものの、永射には勝てないでいた。 その後、青天会館が主催する総合格闘技大会バーリ・トゥード・イン・ジャパンに正武塾から出場。決勝戦にまで進出する。高校時代はドレッドヘアだったが名古屋での修行時代は丸坊主になった。一年半を経て髪が伸び、帰京の頃には再びドレッドヘアに戻っていた。

青山 卓也 (あおやま たくや)

『世界のアオヤマ』に登場する。将来、サッカーワールドカップで3度の得点王に輝き、「世界のアオヤマ」と呼ばれることになる少年。第3次世界大戦後の復興を目指す日本人に夢と希望、愛を与えた男。しかし、少年時代の今はそんなことはつゆ知らず、少年サッカーチームでも補欠。すぐにサッカーを辞めようとするため、未来の日本サッカー理事会から使者として藤井アリサがやってくる。

関根茂三 (せきね しげぞう)

『バカイチ』に登場する。畠山高校に教科講師として赴任した、壮年の男性。伝説的空手家・井上政彦の高弟だったが、井上からは友と認められており、対等に会話をする仲。若い頃、正部塾の支部を広げるようアメリカに派遣されたが、支部作りもよそに「パク・チュー」という芸名で俳優となる、さらに現地ではホットドッグ屋を経営して生活基盤を安定させていた。 強い格闘家を育てる夢を抱いており、大場一良の素質を見込んで共に格闘技部を結成しようとする。一良と打ち解けるためか、整えていた髪をドレッドヘアにした。畠山高校ではさほど権限を持たず変人扱いされがちだが、空手界の重鎮たちからも尊敬を集めている。井上の死後は遺言により、弱体化した正武塾の総帥代理に就任する。

井上政彦 (いのうえ まさひこ)

『バカイチ』に登場する。大場一良の父。世界的な空手組織・正武塾の総帥で、若い頃は熊と戦ったこともある伝説的空手家。三軒茶屋に開いた空手道場を、世界的な空手組織・正武塾にまで発展させた。一良は不義の子らしく、公式には子がいないとされている。正武塾が鈴木信雄の乗っ取りを受け始めた折、実力と指導力を示すためカナダへ渡り熊と戦おうとしたが、病死する。

船越美和 (ふなこし みわ)

『バカイチ』に登場する。畠山高校の女生徒で、大場一良の同級生。陸上部に所属するスポーティーな美少女で、運動神経を買われて関根茂三から格闘技部へスカウトされる。以前から一良を気にかけており、格闘技部がきっかけで親しくなるが、その一良は退学し名古屋へ行ってしまう。関根を通じて一良に手紙を23回送っていたが、いずれも握りつぶされたようで一良の手には渡っていなかった。 そのためか、一良が名古屋で一年半を過ごした頃には、サッカー選手・大石清起と交際していた。一良への好意は残っているようで、試合会場には姿を見せる。

『バカイチ』に登場する。畠山高校の教師。問題児である大場一良を敵視しており、停学に追い込んだこともある。関根茂三と、彼が開く格闘技部に対しても妨害を続けた。校長や教頭よりも発言力が強い。その理由は担任している生徒の成績が良いことと、球技大会などのクラス対抗行事で二年連続三冠王を果たしたためとされている。

鈴木 信雄

『バカイチ』に登場する。世界的な空手組織・正武塾の副総帥。空手家としての実力は無く、政治家にもコネを持つ企業家として正武塾を支え、大きくしていた。しかし、正武塾が経営面で弱体化したと見るや井上政彦を見限って乗っ取りにかかり、空手界の新たな最大勢力となった青天会館のナンバー2に収まった。

高橋 (たかはし)

『バカイチ』に登場する。スポーツ新聞「スポーツ東京」の記者。坊主頭に眼鏡の格闘技ファン。小さい頃から井上政彦のファンで、いまだ自伝が存在しない井上に「スポーツ東京」での自伝連載を頼み込む。

鈴木 恵一

『バカイチ』に登場する。スポーツ新聞「スポーツ東京」の記者で高橋の後輩。高橋に連れまわされる形で格闘技関係の取材に奔走する。目のつけ所は鋭く、井上政彦に関根茂三の存在について質問したほか、大場一良の存在にもいち早く目をつけた。

永射 謙二 (ながい けんじ)

『バカイチ』に登場する。世界的な空手組織・正武塾の一員で、大会三連覇を成し遂げた期待の選手。17歳で大場一良と同い年。長髪の美男子で、右足を骨折しギプスをはめた状態でも一良を軽々とあしらった。一良が名古屋で修行をしていた一年半の間に青天会館へ移籍し、ブラジルで柔術を習得して寝技でも高い技術を持つようになる。 青天会館での組手では寝技で一良にKO勝ち。公式のグローブマッチでは一良の金的蹴りで反則勝ちを得た。青天会館による総合格闘技大会バーリ・トゥード・イン・ジャパンでは一良と決勝戦で戦うことを誓い合うが、準決勝戦でリカルド・シルバに敗れる。関根茂三の娘・関根千明と交際している。

山村 雄二

『バカイチ』に登場する。伝説的空手家・井上政彦の高弟で、正武塾から独立し新たな空手組織・青天会館を興す。キレ者として知られており、井上の死後、国内外の正武塾支部をほとんど吸収して格闘技界を牛耳る勢力に発展させた。大場一良のキャラクターに着目し、総合格闘技大会バーリ・トゥード・イン・ジャパンに参加させるが、青天会館のスター選手を勝たせるための八百長負けを強いた。 大会を自分の考えたシナリオ通りに進める事にこだわるが、客を満足させ興行として成功させることをより大切にしている。

浅野 (あさの)

『バカイチ』に登場する。畠山高校に通う高校3年生の男の子。大場一良とはケンカする間柄だが、仲が悪いわけではない。タイマン勝負をするが、大場の蹴りを喰らって、アバラ骨を3本折られた。それでも大場を恨むことはなく、浜名西高校の不良たちから大場がカッパライの疑いをかけられた際は大場をかばってボコボコにされた。

野垣 (のがき)

『バカイチ』に登場する。浜名西高校3年の不良。少し長い髪を後ろでしばった、ゴツい体格の男。空手のたしなみがあり、後輩がカッパライの疑いで呼び出した大場一良を一方的にぶちのめしたが、その直後、関根茂三に軽く倒される。のちに青天会館に入会し、空手に励む。

大場 くま (おおば くま)

『バカイチ』に登場する。大場一良の祖母。身体の小さなお婆さん。大場の母親がすでに亡くなっているため、小さな家で孫と2人で暮らしている。腰が悪く、国民健康保険の集金の仕事をしているらしい。

愛川 修三 (あいかわ しゅうぞう)

『バカイチ』に登場する。17年前まで関根茂三から空手の指導を受けていた中年の男性で、正武塾の前身である三軒茶屋空手道場の初期メンバー。生え際の後退した広い額に筆先のような髪が少し生えている。空手の実力はビール瓶切りができるほどで、第一回正武塾空手大会の覇者でもある。関根から教わった強さを大場一良に見せるためだけに九州から車を飛ばしてやってきた律儀な性格。

関根 千明 (せきね ちあき)

『バカイチ』に登場する。関根茂三の娘で、ロングヘアの美少女。本格的に空手を始めた大場一良のトレーニングパートナーとして、父から派遣される。父から習った空手は「護身術程度」と言っているが実力は高く、一良に目つぶしから教えるという実戦派。井上政彦への見舞いをきっかけに永射謙二と知り合い、以後交際を続けている。

柳田 英夫

『バカイチ』に登場する。関根茂三の弟子だった、中年の空手家。かつては「蹴り技の悪魔」と異名をとっていた。名古屋在住で、関根の紹介を受けて訪ねてきた大場一良を指導する。酒好きで常に赤ら顔をしており、酒乱が原因で馴染みの居酒屋を出入り禁止になったり、関根から破門されたりしている。のちに関根とも再会して和解した。 一良が帰京した直後に上京し、正武塾の指導員となる。

柳田 由香 (やなぎだ ゆか)

『バカイチ』に登場する。柳田の娘。17歳の不良娘。スタイルは抜群だが、顔は残念ながら父親にそっくり。修行のため家に居候することになった大場一良に好意を抱き、地元の名古屋を案内するが、酒を飲んで目の前でゲロを吐いていた。

大石 清起

『バカイチ』に登場する。大場一良が名古屋で修行している間に、船越美和と知り合い、交際が週刊誌に報じられたサッカー選手。ブンデスリーガでプレーしている。一良と美和の関係を知り、会うことを認めながらも、決着をつけるためプロポーズを急いだ。

有明 健吾 (ありあけ けんご)

『バカイチ』に登場する。大場一良の近所に住む男子高校生。大宮のディスコで用心棒稼業をするほどケンカは強い。不良にチクられて、高校は退学となった。大場と関根茂三に騙される形で正武塾に入門させられる。

草薙 (くさなぎ)

『バカイチ』に登場する。正武塾最後の全日本チャンピオン。青天会館へ移籍し、テクニックでは本部一と言われる。道場やぶりとして青天会館へ乗り込んできた大場一良と闘うが、変則的な動きに敗れる。その後、正武塾へ戻り、有明健吾と共に大場を支える。

良輝

『バカイチ』に登場する。正武塾で空手を習っているちびっ子。大場一良の後輩。よく便所を覗いている。青天会館が主催する格闘技の一大イベント「IKGP」に出場する大場に手紙を渡し、勇気づけた。好物はカニみそ。

リカルド・シルバ (りかるどしるば)

『バカイチ』に登場する。青天会館による総合格闘技大会バーリ・トゥード・イン・ジャパンに出場した、ブラジリアン柔術家。六百戦無敗と言われ、ブラジリアン柔術最強とも言われている。トーナメントを危なげなく勝ち上がり、大場一良のライバルである永射謙二をも倒して、決勝戦で一良と対戦する。

光同寺 明

『バカイチ』に登場する。青天会館に所属する空手家。派手なだけでロクなテクニックも持っていないが、青天会館が主催する「バーリ・トゥード・イン・ジャパン」では八百長で優勝することが決まっている。

クリフ・オールドマン (くりふおーるどまん)

『バカイチ』に登場する。オランダ格闘技界のドン。すでに50歳だが、今だに現役でオランダ格闘技界では実力ナンバー1。八百長試合に応じないリカルド・シルバをトーナメントで潰すため、青天会館に呼ばれて「バーリ・トゥード・イン・ジャパン」に参戦する。

藤井 アリサ (ふじい ありさ)

『世界のアオヤマ』に登場する。青山卓也にサッカーを続けさせるため、未来の日本サッカー協会から使者として現代へやってきた女性。黒髪ショートカットで勝気な性格の美人。卓也を励ましつつも、卓也の兄である青山健一とのデートのほうに夢中になっている。

青山 健一 (あおやま けんいち)

『世界のアオヤマ』に登場する。青山卓也の兄。未来からやってきたという藤井アリサの言い分をあっさりと認め、いっしょに映画を見に行ったり、遊園地に行くなど仲良くしている。

渡辺 洋子

『世界のアオヤマ』に登場する。将来、青山卓也の妻となる女の子。ハンバーガーショップでアルバイトをしているロングヘアーの可愛い子。「世界のアオヤマ」があるのは、陰で支える洋子夫人の絶大な力があってこそと言われる。卓也がのちに記した自伝によると、卓也は一目ぼれし、その日のうちに付き合いを申し込み、1週間後には将来の結婚を誓い合った。

集団・組織

正武塾

『バカイチ』に登場する。伝説的空手家・井上政彦が創始した、実戦的空手を標榜する世界的な空手組織。大会中に大場一良、関根茂三の乱入を受ける。副総帥の鈴木信雄による乗っ取りと、井上の急死で組織が急激に衰え、空手界における地位を青天会館へ明け渡すことになった。井上が残した遺言により、関根茂三が総帥代理を務める。

三軒茶屋空手道場 (さんげんじゃやからてどうじょう)

『バカイチ』に登場する。正武塾の前身である空手道場。この三軒茶屋空手道場の初期メンバーであるのが、井上政彦、関根茂三、柳田、山村雄二などである。

青天会館

『バカイチ』に登場する。伝説的空手家・井上政彦の高弟であった山村雄二が、正武塾から独立して築いた空手組織。正武塾の衰えに乗じて勢力を伸ばし、空手界のみならず格闘技界を牛耳る勢力となる。空手に限らない総合格闘技のイベントとして、立ち技・打撃技主体の「IKGP」、寝技ありのバーリ・トゥード・イン・ジャパンを主催する。

場所

畠山高校 (はたやまこうこう)

大場一良や船越美和が所属する高校。平均して生徒たちの素行が悪いようで、付近住人の評価は芳しくない。一良が自主退学するまでの間、物語の主要な舞台であった。

イベント・出来事

バーリ・トゥード・イン・ジャパン (ばーりとぅーどいんじゃぱん)

青天会館によって開催された、格闘技大会。周囲を金網で囲んだ八角形のリングで、目つぶしと噛みつき以外は何をしてもいいという「バーリ・トゥード」ルールによって勝敗を競う。館長の山村雄二は、青天会館所属のスター選手を優勝させるべく八百長などの根回しを進めていたが、数々のアクシンデントや八百長破りによって、予想外の結果を迎える。

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