拳児

拳児

中国拳法の八極拳を学ぶ剛拳児が、中国に渡ったまま消息を断った祖父・剛侠太郎を追って中国へと渡航。剛侠太郎の足跡をたどりながらさまざまな武術家と交流、激突を繰り返して、心と身体を成長させていく。物語自体は20巻で完結。最終巻の21巻は『拳児外伝』として、神槍と崇められた武術家・李書文を中心とした物語9話が収録されている。原作は中国武術研究家の松田隆智。

正式名称
拳児
ふりがな
けんじ
作画
原作
ジャンル
格闘技・武道
レーベル
サンデーうぇぶりコミックス(小学館)
巻数
既刊2巻
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概要・あらすじ

やんちゃ盛りの小学生・剛拳児は、祖父の剛侠太郎から中国拳法の八極拳を学んでいた。ある日、剛侠太郎は日中戦争時代に恩を受けたかつての知人を訪ねるため、単身中国に渡航する。それから時が流れ、剛拳児は強さの中に礼儀正しさも併せ持つ中学生に成長した。だが、暴走族との抗争に巻き込まれたことが問題になり、不良高校へと進学。

高校生になっても剛拳児の中国拳法への情熱は衰えることなく、横浜在住の八極拳の達人・張仁忠に師事。そこで宿命のライバルとなるトニー・譚と出会い抗争に発展。ついには学校にまで乱入してきたトニー・譚に大怪我を追わせ、剛拳児は無期停学の処分を受けてしまう。

だが、この停学期間を利用し、剛拳児は中国に渡ったきり音信不通となった剛侠太郎を探すために中国に渡ることを決意。台湾、香港を経由して中国に足を踏み入れた剛拳児は、祖父の足跡をたどりながら、武術の郷と呼ばれる滄州を訪ね、さまざまな武術家たちと交流。ついには武術の総本山ともいうべき高名な嵩山少林寺へと辿り着く。

着々と剛侠太郎に近づく剛拳児。だが、トニー・譚もまた、剛拳児への復讐を胸に抱き、回教に伝わる秘伝の拳法を求めて中国へと渡っていた。

登場人物・キャラクター

剛 拳児 (ごう けんじ)

小学生の頃に祖父・剛侠太郎より習った中国拳法の八極拳に熱中する。一見すると真面目で大人しそうだが、実は負けず嫌いで義侠心に厚く、易者から英雄の相があり、波瀾万丈な人生を歩むと言われていた。剛侠太郎が中国に渡ってからは、教育熱心な母親の期待に応えて進学校の附属中学に進むが、暴走族の抗争に巻き込まれたことで不良高校へと進学することに。 その後、横浜に住む八極拳の達人・張仁忠に弟子入り。本格的に八極拳を学び、その後、剛侠太郎を探しに台湾、香港を経由して中国へ向かう。行く先々で名だたる武術家たちと交流。蟷螂拳や八卦掌、太極拳といったな新たな中国拳法を学び、己を磨いていく。

剛 侠太郎 (ごう きょうたろう)

剛拳児の祖父で、小学生の剛拳児に中国拳法の八極拳を教えた。元気なお調子者だが、夏休みを利用して剛拳児が本格的に八極拳の修行を開始した際には、彼が弱音を吐くほどに厳しい面を見せた。日中戦争に従軍した際に命を助けてもらった恩人に再会するため、単身で中国に渡航し、消息不明に。 それから数年後、剛拳児が剛侠太郎を追って中国に渡った際、土地に馴染むために剛侠(カン・シア)と名乗っていたことが判明する。

市村 太一 (いちむら たいち)

剛拳児の小学校、中学校時代の同級生。高校は剛拳児と別れ付属高校へ進学する。肥満児で小学生の頃はいじめられっ子だったが、剛侠太郎から形意拳の崩拳を習い、立ち向かう勇気を身につけた。

風間 晶 (かざま あきら)

テキ屋を営む関東大和屋一家の元締の娘。小学生の頃、花見の出店の番をしていた時に剛拳児と出会い、そのときに見せた彼の勇敢さに惹かれて仲良くなる。中学時代は暴走族に所属していたが、剛拳児との再会を機に違う道を模索するようになり、名門高校に進学。その後、プロのオートバイレーサーを目指すようになる。

井上 (いのうえ)

いかつい顔をした巨漢で、暴走族・鉄羅漢のリーダー。中学生の剛拳児と1対1の勝負をして敗北し、男らしくその実力を認めた。敵対グループとの抗争を機にチームを解散した。張仁忠の中華料理店でコック見習いとして働くようになり、剛拳児とはソウルフレンドと呼べるほどの関係となる。

トニー・譚 (とにー・たん)

横浜を拠点とする愚連隊・黒影会(ブラックシャドー)のリーダー。中国拳法の洪家拳の達人で、紐の先に鉄球を付けた流星錘という武器を操る。ベトナム出身の華僑であり、戦争によって家族と離れ離れになり孤独に生きてきたことから、強さのみに執着する粗暴で残忍な性格になってしまった。 張仁忠に中国拳法の八極拳を習おうとするが、張仁忠はその残忍な心を見抜き拒否。そのため張仁忠のもとで修行する剛拳児に、激しい憎しみの目を向け、抗争を繰り広げた。最終的には仲間を引き連れて剛拳児の通う高校に乱入。乱闘騒ぎを起こすが、怒れる剛拳児から強烈な蹴りを喰らい、顎を砕かれるほどの手痛い敗北を喫した。 その後、剛拳児へのリベンジを誓い中国へ渡航。回教の秘伝である中国拳法・心意六合拳を学ぶ。アメリカ在住の拳法家、トニー・チェンをモデルとしていると思われる。

高山 双八 (たかやま そうはち)

実践空手の一派・松濤館流の師範。親交のある剛侠太郎を通じて、小学生時代の剛拳児と知り合う。さまざまな武道に精通しており、成長して高校生になった剛拳児に相撲やボクシングの技、古武道の体捌きなどを教え、大東流合気柔術の達人・佐上幸義に引きあわせた。國際松濤館空手道連盟最高師範の空手家・金澤弘和をモデルとしていると思われる。

張 仁忠 (ちょう じんちゅう)

横浜中華街で中華料理店を経営する中国人で、中国拳法の八極拳の達人。見習いコックの井上が縁となり、剛拳児を弟子に迎え、本格的に八極拳を教える。中国全土に網を張る結社ユニオンの一員であり、剛拳児が祖父の剛侠太郎を探しに中国に渡った時には、バックアップをした。 在日華僑の武術家・張世忠をモデルとしていると思われる。

劉 月侠 (りゅう げつきょう)

剛拳児が台湾に渡った時に出会ったサングラス姿の物静かな老人。神槍と名高い八極拳士・李書文の最後の弟子であり、太平洋戦争下では軍に所属し、黄河1号というコードネームの地下工作員として暗躍していた過去を持つ。才能と情熱のあるごく限られた若者にのみ、李氏の流れを汲む八極拳を伝授。 剛拳児もそのひとりとして選ばれた。八卦掌の達人でもあり、直線的な剛の技である八極拳を補うため、八卦掌の柔の体捌きを剛拳児に伝授。中国の拳法家・劉雲樵をモデルとしていると思われる。

蘇 崑崙 (そ こんろん)

剛拳児が台湾滞在時に出会った中国拳法の八極拳、および蟷螂拳の達人。劉月侠の弟子で、道場で大学生たちに蟷螂拳を教えていた。低身長で長髪に口髭。常にニヤけた表情で軽口を叩くという怪しい雰囲気を醸し出す。剛拳児も最初はその存在を訝しんでいた。だが、実は拳士としても人間としても経験豊富な大きな男である。 生活面を含めて剛拳児の世話を焼き、剛拳児もその徐々にその奥深さに触れ、尊敬するようになる。中国の拳法家蘇昱彰をモデルとしていると思われる。

閻大旺 (えんだいおう)

九龍城を根城とする有力者で、閻魔大王のあだ名で呼ばれる暗器術の達人。中国全土に網を張る結社・ユニオンの幹部でもある。香港滞在時の剛拳児の世話をし、中国での生活および剛侠太郎探しの力になれるようユニオンのしきたりを教えた。敵対する組織に娘を人質に取られてその地位を脅かされたが、剛拳児の活躍によりその企みは未然に防がれた。

尹 東侠 (いん とんきょう)

剛拳児が滄州の村で出会った太った少年。剛侠太郎の恩人の孫であり、剛拳児のことを哥哥(コーコー:お兄ちゃん)と呼んで慕う。体当たりを得意とする拳法家に父親を殺害されており、仇を討つために八極拳を習っていた。その後、嵩山少林寺に入門し、絞め技の玉帯功を学ぶ。

李 書文 (り しょぶん)

19世紀末に実在した拳法家で、作中では剛侠太郎が語る逸話や、弟子である劉月侠の昔話の中で登場する。八極拳の達人で槍術を得意とし、神槍のあだ名で呼ばれた。

その他キーワード

八極拳 (はっきょくけん)

『拳児』に登場する実在する中国拳法。主に拳による突き、肘打ちや体当たりによる突進を用いて敵を攻撃。大地に根をはるような重心を低くした構えから、一気に力を介抱するように直線的な技を繰り出し、爆発的な威力を発揮させる。

書誌情報

拳児 2巻 小学館〈サンデーうぇぶりコミックス〉

第2巻

(2019-07-12発行、 978-4091293497)

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