墨攻

墨攻

非攻・博愛を信条とする墨家の男が、持てる力のすべてを賭けて、圧倒的不利な状況下にある城を守り抜くストーリー。酒見賢一氏の同名小説の漫画化。第40回小学館漫画賞受賞(1998年)。

正式名称
墨攻
ふりがな
ぼっこう
作画
原作
ジャンル
三国時代
レーベル
コミック文庫(青年)(小学館)
巻数
既刊8巻
関連商品
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概要・あらすじ

戦国時代末期の中国。隣国の趙の大軍に攻められている燕の梁城に一人の男がやってくる。彼こそは、梁城城主の依頼を受けて、たった一人で城を守りに来た墨者・革離であった。圧倒的に不利な状況下、革離墨家の信念に賭けて城を守ることを城民たちに誓うのであった。

登場人物・キャラクター

革離 (かくり)

墨者。墨家集団では黙殺しようとした燕の梁城城主からの依頼を、反対を押し切りたった一人で梁城にやってきた。防衛戦のスペシャリストで、城内の住民をまとめ、倍以上の兵数を有する趙軍から城を守り続けた。その後、腐敗しつつある墨家に向かうも、陰で墨家を牛耳る薛併に捕らえられる。 脱出後は秦から趙の邯鄲を守る依頼を受け、その過程で、蘭鋳、雲荊、娘らと出会い、行動をともにするようになる。

蔡丘 (さいきゅう)

燕の農夫。趙が攻めてくると知り、身重の妻と逃げようとするが失敗。その後、入城してきた革離によって班長に任命される。初めての戦闘では何もできず震えていたが、2度目の戦闘で一度は見逃した趙軍の兵士をやむなく殺すと、顔つきも変わって別人のように頼もしくなり、以後は西壁の警備の指揮を任される。

巷 淹中 (こう えんちゅう)

趙軍の将軍。梁城攻略の指揮を執る。自ら最前線に赴いたり、革離に一対一で話し合いを求める行動力があり、部下からの信望も篤い。革離の前に苦汁を舐めさせられ続けたため、国王からの撤退命令に背き、梁城への総攻撃を決意する。

薛併 (せつへい)

墨者。墨家3代目頭首・田襄子の側近で、政治部門を担当する。秦に軍事協力するよう頭首をそそのかし、墨家を堕落させた張本人。裏では墨家乗っ取りを画策しており、虫部隊を操って敵国に甚大な被害を与えている。

梁適 (りょうてき)

梁城城主・梁渓の次男。怠惰で好色な父を嫌い、自分の力で城民を守ろうと考えている。そのためはじめは革離のことはあまりよく思っていなかった。闘いの中で己の力不足を痛感し、梁城再建に尽力することを誓う。

梁魁 (りょうかい)

梁城城主・梁渓の長男。城内の財宝を売り飛ばし博打に明け暮れていたため、勘当されていたが、梁城の危機を知り駆けつけた。はじめは革離と敵対していたものの、後にその実力を認めた。梁城の戦闘隊長として活躍していたが、潜入していた趙兵に襲われ瀕死の重傷を負う。弟の梁適に城主を継ぐように告げた後、瀕死の体で巷淹中を暗殺しに行く。

司路 (しろ)

墨者。革離の幼馴染みで、戦闘部門に進んだ革離に対し農耕部門へと進む。農作物の研究を行う一方、害虫を軍事目的で操る虫部隊を編成、そのリーダーとなった。そのため、不本意ながらも革離と闘うこととなる。

雲荊 (うんけい)

農民。韓と楚の国境にある小さな村で革離が治水工事を行っている時に知り合う。もともと村の住民ではなく、よそ者に対する村人の態度が許せず、革離とともに村を出て旅をすることになる。

蘭鋳 (らんちゅう)

韓の農民。頭にある大きな瘤が特徴。秦兵に妻を殺された過去を持ち、戦で親を失った子供たちを集めた組織・鼠のリーダーとなり、秦に対してゲリラ活動を行っていた。秦兵に見つかって捕らえられていたところを革離に助けられ、仲間となる。燃える水(=石油)を発見し、秦王暗殺を企てる。

(にゃん)

女スパイ。姉とともに秦に潜入していたが、姉は捕らえて処刑される。娘も処刑寸前だったが革離たちに助けられ、以後、行動をともにするようになる。姉を慰み者にしたあげく処刑した秦の将軍・王翦を仇として狙っている。旅の中で革離に惹かれていく。

飛蝗 (ひこう)

『墨攻』に登場する害虫。一般的なトノサマバッタよりも黒く大きな羽根を持つ。攻撃性が強く、飛行能力に優れており、何千何万もの大群で集団飛行しては農作物を食い尽くす。もとは普通のトノサマバッタだが、増えすぎてエサが不足すると自然発生することもある。

集団・組織

墨家 (ぼくか)

『墨攻』に登場する思想家集団で、諸子百家の一つ。戦国時代の思想家・墨子によって興された。博愛主義、非攻主義を掲げ、その思想に基づいて各地の城の防衛に努めた。戦国時代では儒家と並ぶほど広まったが、秦の中国統一とともに衰退していった。なお、墨家の教えに従うものを墨者と呼ぶ。

虫部隊 (むしぶたい)

『墨攻』に登場する組織。農作物の害虫を軍事目的で利用すべく作られた。隊長は司路。飛行能力やどう猛さが増した「飛蝗」を用いて、敵国の農作物に壊滅的ダメージを与えることに成功した。また、蜂や蝶、寄生虫などを操る者もいる。

その他キーワード

戦国時代

『墨攻』の舞台となった時代。紀元前403年に晋が韓・魏・趙の三国に分裂してから、紀元前221年に秦が中国を統一するまでの期間を差す。その前の春秋時代とひとくくりにして、春秋・戦国時代と呼ぶことも多い。数多くの国家が乱立したが、弱小国は大国に征服されていき、秦・楚・斉・燕・趙・魏・韓の七国が残り、覇権を争った。 なお、この七国は「戦国七雄」とも呼ばれている。

クレジット

脚本協力

久保田千太郎

ベース

墨攻

書誌情報

墨攻 8巻 小学館〈コミック文庫(青年)〉

第1巻

(1999-05-15発行、 978-4091923714)

第2巻

(1999-06-16発行、 978-4091923721)

第3巻

(1999-07-16発行、 978-4091923738)

第4巻

(1999-08-07発行、 978-4091923745)

第5巻

(1999-09-16発行、 978-4091923752)

第6巻

(1999-10-16発行、 978-4091923769)

第7巻

(1999-11-16発行、 978-4091923776)

第8巻

(1999-12-16発行、 978-4091923783)

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