ビーンボール

ビーンボール

日米のプロ野球プレシーズンゲームで驚異的なパフォーマンスを見せた富士鷹桜は、金髪碧眼の日本人選手。入団当初は人の投げる球を打てない素人同然だったが、チームの先輩たちの教えを吸収して、またたく間に秘められた才能を開花させる。特異な過去と才能を持った選手の成長を描いたプロ野球漫画。ストーリー構成は市田実、作画は波多野秀行。

正式名称
ビーンボール
ふりがな
びーんぼーる
作者
ジャンル
野球
 
青春
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概要・あらすじ

メジャーリーグのボストン レッドシューズとのプレシーズンゲームで大敗していた東小金井アーセナルズ。その中で、ただ一人熱いプレイで観客を沸かせていた富士鷹桜。彼は自分と母親を捨てたアメリカ人の亡き父親と、父の祖国であるアメリカを憎んでいた。プロ入団テストでは恐るべき身体能力を見せるも、人の投げる球を打ったことが無い素人同然であることが判明。

しかし、プレシーズンゲームでの活躍をオーナーに認められて半ば強引に一軍入り。周囲の嫉妬を浴びつつも、彼は試合を通じて本格的な選手へと覚醒してゆく。

登場人物・キャラクター

富士鷹 桜 (ふじたか さくら)

プロ野球球団東小金井アーセナルズに所属するプロ野球選手。入団テストに合格するも、当初は一軍の試合に出られない育成枠だったが、メジャーリーグのボストン レッドシューズとのプレシーズンゲームでの活躍で注目を集める。背番号は当初111番だったが、後に99番になる。父親はアメリカを代表するメジャーリーガー、故ジョー・ディオールで母親は日本人。 父親が妻子を捨てたと思い込んでいたため、富士鷹はアメリカへの敵愾心が強い。身体能力はプロの一軍級だが、ずっと一人で練習していたため、当初は人間の投げる球を打てなかった。だが、同じ育成枠だった高木投手の指導を受けて、選手としての能力を開花させた。その後、オーナーが「客を呼べる選手」だとして開幕一軍に抜擢。 当初はポッと出の育成上がりだったため、チームの不和を招くが、やがてその実力を開花させてオールスター戦ではMVPに輝き、チームの優勝にも貢献。2017年にはメジャーリーガーとして活躍するようになった。

宮戸川 勇翔 (みやとがわ ゆうしょう)

幼い頃から富士鷹桜を見守ってきた、奥多摩神社の宮司。娘の宮戸川奈歩(みやとがわ なほ)は富士鷹の幼なじみ。髪が金髪で周囲の子たちからいじめられていた富士鷹を、息子のようにかわいがってきた。彼が沖縄の祖父のもとから戻って、宮戸川に「野球を教えてくれ」と頼んできたときは古いピッチングマシンを用意して、裏山で彼を鍛え上げた。 富士鷹桜の母親である富士鷹舞(ふじたか まい)にほのかな好意を寄せていたようでもある。

高木 (たかぎ)

富士鷹桜と同じ、東小金井アーセナルズの育成枠であるピッチャー。大卒で育成の3年目だが、二軍の監督にも目をかけてもらえず、富士鷹を相手に正規のバッティングピッチャーの代理をやらさられる程度の選手。うっかり富士鷹の顔面にビーンボールをぶつけてしまうが、「冷めた味噌汁のような球」だと罵られる。 その後、自分のスライダーにしっかり食らいついた富士鷹の才能を見抜き、彼が生きた投手の球を打てるように徹底的な特訓をほどこした。

金剛 毅 (こんごう つよし)

東小金井アーセナルズの主砲。一昨年にFAで入団した球界を代表する大打者。昨年は右肩を故障してさんざんな成績だったが、今季に再起を賭ける。育成からの大抜擢で、チーム内から嫉妬の目で見られていた富士鷹桜に対して「生き残っていれば、誰も文句を言わなくなる」とアドバイス。また、スイングに悩む富士鷹のバットにちょっと触れただけで、彼が求めていたバットの感覚を教える一面もあった。 金剛いわく、富士鷹にはささいなヒントで答えを見つける「気づき」があるということで、その後も彼のバッティングに色々なアドバイスをした。試合中に受けたデッドボールをきっかけに、体にガタが来ていることが発覚したが、その後もチームの要として活躍している。

竹屋町 悠希 (たけやまち ゆうき)

東小金井アーセナルズのピッチャー。プロ3年目の20歳で、昨年はローテーション入りして10勝を挙げた。富士鷹桜が一軍入りした開幕戦の先発も務めている。故ジョー・ディオールの大ファンで、打撃センスがあれば彼のようになりたかったと語るくらい心酔しているが、ジョーが富士鷹の父親で、かつ彼が父を憎んでいることを知らなかったため、ケンカになる一幕もあった。 だが、富士鷹の父親がジョーであることがマスコミに知られ、その影響で彼がスランブになると、覆面で正体を隠してまでして富士鷹と真剣勝負をしようとした。この勝負をきっかけに、富士鷹はスランプを脱している。ちなみに広島パイレーツのエースである金村は甲子園時代からのライバルだが、甲子園の決勝戦からプロ入りしてまで、どの勝負でも金村に負けていた。 その負の歴史にピリオドを打ったのは、富士鷹の逆転ホームランだった。

今井沢 (いまいざわ)

東小金井アーセナルズのピッチャー。高校時代は怪物と呼ばれたドラフト一位のピッチャーだったが、プロ入り後は10年経っても結果を出せず、トライアウトでアーセナルズに拾ってもらった。ブルペンではいい球を投げるが、ハートが弱くてマウンドでは力を発揮できないタイプ。そのため、アーセナルズでも大半は二軍暮らしで、一軍でも敗戦処理としてしか使ってもらえない。 だが、富士鷹桜の檄を受けて精神的に立ち直る兆しを見せる。ちなみに美しい妻とかわいい娘がいる。

ノーマン・アイアンJr. (のーまん・あいあん・じゅにあ)

なんばKNIGHTS(なんば ないつ)に緊急で入団した現役バリバリのメジャーリーガー。ピッチャーで、父親はメジャー最高の投手と謳われるノーマン・ライアン。今季はキャンプで右足のくるぶしを剥離骨折していて出遅れていた。所属チームはマイナーで調整させたがっていたが、富士鷹桜がジョー・ディオールの息子だという報道を知り、急遽日本にやってきた。 日本での背番号は34。当初は富士鷹のことを、単なる日本のパワーヒッター程度に思っていたが、彼にホームランを打たれて気持ちを入れ替える。二度目の対決では得意のファストボールで富士鷹を打ち取るが、三度目の対決では全身全霊を込めたファストボールをサヨナラホームランされた。 日本ではこの試合だけで一時帰国してそのまま日本に戻らず。その後、メジャーリーグに復帰した。

ジョー・ディオール (じょーでぃおーる)

メジャーリーグ史上最高の選手と謳われた選手。独身のままこの世を去ったと言われていたが、1990年に来日した際、当時モデルをしていた富士鷹舞と恋に落ち、二人の間にできた子が富士鷹桜である。だか、帰国後にそれぞれが連絡をしようとしてもかなわず、それぞれ捨てられたと勘違い。やがて舞が故郷の沖縄でシングルマザーになっていると知ると、弁護士を通じて連絡を取ろうとした。 妻と子の写真を入手してからはなんとかして二人に会おうとしたが、マイアミで男女のケンカを仲裁しようとしてピストルの弾を受けて死亡。息子とキャッチボールするための「桜」という刺繍をほどこしたグローブは、富士鷹がノーマン・ライアンJr.との勝負に勝ったあと、弁護士を通じて渡され、富士鷹の自分を捨てた(と思い込んでた)父親への恨みも水に流されるように消え去った。

芝浜 (しばはま)

東小金井アーセナルズのGMで、球団の副社長も兼任している。オーナーの芝浜龍之介(しばはま りゅうのすけ)は実の父親。父親からは、球団を高く売って、その資金でメジヤー球団の経営をしたいと思われている。富士鷹桜がジョー・ディオールの隠し子であることをマスコミにリークした。その後、ノーマン・アイアンJr.の来日のために色々と手はずをしたりするなど、富士鷹の商品価値を上げることには懸命だった。 夢はNYヤンキースに負けない球団を作りたいというもので、のちにNYヤンキースを経てWBCの責任者となる。そしてクラブ同士の世界一を決める真のワールドシリーズに向けてアーセナルズに戻ると宣言した。

集団・組織

東小金井アーセナルズ (ひがしこがねいあーせなるず)

『ビーンボール』の舞台となるプロ野球球団で、富士鷹桜が所属している。オーナーは芝浜龍之介で、一軍監督は越智一成(おち かずなり)、二軍監督は高橋裕士(たかはし ひろし)。メジャーリーグのボストンレッドシューズとのプレシーズンゲームでは惨敗していたが、新人の富士鷹が覚醒したことでチームは快進撃を続け、リーグの優勝と日本シリーズ制覇を成し遂げた。

クレジット

ストーリー構成

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